そらになるらむさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

そらになるらむ

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フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

3.0

「怒ってるんでしょ?」

どうにも居心地が悪い映画。

気まずさが夫婦間から子供たちへ、他人へと伝染して、次第に波紋が広がっていく。山を下りるまで意地悪が続いて、気を抜けない。

きっかけは雪崩だろう
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北の果ての小さな村で(2017年製作の映画)

3.0

「この地に何を期待して来たんだ?」

地球上で一番の僻地寒村に若い教師が赴任する、というストーリーは、つい最近見た「ブータン 山の教室」と同じ。

ただ、ブータンの物語では、村人の勉強したい意欲が猛烈
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世界の果ての通学路(2012年製作の映画)

3.0

「無事、学校に着きますように」

驚くべきことに、この映画、世界の僻地の通学風景(命懸け、過酷)をひたすら記録しているだけなのです。

学校に着いてからの描写はほんのわずかなのです。

だから、“なぜ
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ブータン 山の教室(2019年製作の映画)

3.5

「ヤクとヤク飼いの絆はとても神聖なの。家族のように親しい」

かつて国民の幸福度世界一と言われたブータンを舞台にした物語。

物欲、金銭、家族、社会的地位、健康。
幸福っていろいろな側面があるけれど、
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美しい星(2017年製作の映画)

3.0

「地球人の皆さん、まだ間に合います」

途方に暮れるほどアホらしい。

原作の三島文学を未読の私が、この映画だけから感じたメッセージは、なにか美しいと思えるものを信じ、過度に依存してしまう現代人への警
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お父さんと伊藤さん(2015年製作の映画)

2.5

「ああなったらおしまいだな、と思っていたのに」

どこをどう評したらいいのか。
手ががりを全くつかめない。
それは、登場人物の誰一人、熱がないから。
こんなに響かないのは久しぶり。

「知らないよ。私
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ぐるりのこと。(2008年製作の映画)

4.0

「泣いたらいい人なんかなぁ、そんなん当てにならんやろ」

“寄り添う”っていう言葉が使われるようになったのは、案外最近のことだと記憶している。

私はこの言葉が嫌いだ。特に、ワイドショーのコメンテータ
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ボルケーノ(1997年製作の映画)

3.0

「あんたの趣味は“緊急事態”か?」

それなりに楽しめたけど、これはちょっと行き過ぎだな。荒唐無稽の域。

自然災害に対しては、人のできることはただ逃げることだけのはず。

ところが、消防士ものの大好
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イントゥ・ザ・ストーム(2014年製作の映画)

3.5

「僕は生きてる。それだけで十分だよ」

竜巻の恐怖って一瞬のはずで、いったいどうやって1時間半の尺を埋めるんだろう、と思っていたら、なるほどこういうことか。
次から次へ、止んだと思ってはまたやって来る
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ディープ・インパクト(1998年製作の映画)

3.5

「これから道を決めねばなりません」

壮大なテーマを丁寧に作り込んだ大作。2時間じっくり楽しめる。

でも、記憶に残ったのは、大統領を演じるモーガン・フリーマンの沈着冷静なスピーチのみという不思議。何
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名探偵ピカチュウ(2019年製作の映画)

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「腹の底で感じてるんだろ?」

ポケモンなんて一度も興味を持ったことのない私が、この映画を楽しめるはずもなく。
観ちゃった私が悪いんです。ごめんなさい。

「僕にはポケモンなんて必要ない」

ソニック・ザ・ムービー(2020年製作の映画)

2.5

「生まれてずっと走ってる気がする」

有名なハリネズミ君も、ブラウン管から飛び出して、街の中を走るぬいぐるみになっちゃうと、どうにも可愛げがないのだ。
目が動くだけなので表情が乏しいし、毛並み(トゲ並
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.5

「そう、ならお手並み拝見」

いやぁ、良く出来ていてびっくり。面白かった。ディズニーのお株を奪う夢と魔法の王国、勇気と友情の冒険物語でした。

僕はゲームはやらないけど、ピーチ姫のキャラクターってこん
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ケープ・フィアー(1991年製作の映画)

3.5

「俺を怒らせると後が怖いぜ」

あんまり怖くて途中で見るのがイヤになった。もう一生見ない。

こんな悪夢が脳味噌に住み着いているスコセッシは、いったいぜんたい何者なのだ?

こんな悪魔に全身乗り移って
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

4.2

「奴らを根こそぎ洗い流す雨はいつ降るんだ?」

ずいぶん久しぶりに見て、この映画の放つメッセージの強さに改めて気圧されました。

トラヴィスの孤独や心の闇は、ベトナム帰還兵問題と絡めて評されることが多
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ミーン・ストリート(1973年製作の映画)

2.5

「こんな話をグダグダ聞きたくないだろ」

リトル・イタリーのチンピラの日常を綴ったクライム映画。ストーリーがあるわけじゃないので、集中力が続きませんでした。

最初のスコセッシ✕デ・ニーロ作品というこ
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殺したいほどアイ・ラブ・ユー(1990年製作の映画)

3.0

「死んじゃうわ。それでダメなら殺してやる」

くだらない映画なんだけど、暇つぶしにちょうどよい。

チャラいイタリア旦那は添え物で、実はこの映画の主役はチャーミングなユーゴ奥さん。感情の振れ幅が大きく
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P.S. アイラヴユー(2007年製作の映画)

3.5

「きっと驚くよ。すごい計画を立てたんだ」

出来すぎた話で、鼻白むくらい。
素直な気持ちで観ると、楽しめます。

決して美人じゃない個性派ヒラリー・スワンクに主役を演じさせたところが共感を呼ぶ秘密。
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世界中がアイ・ラヴ・ユー(1996年製作の映画)

4.0

「でも焚きつけるのはよそう。一度ハートに火が点くと消せなくなるから」

軽妙で、温かくて、気分がホッと落ち着く映画。秋の夜長に観るウディ・アレン作品はいいもんだ。

セーヌ河畔のダンスシーンはロマンチ
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地上より永遠に(1953年製作の映画)

3.5

「意地悪したければやれ。音は上げない」

70年も前の映画を見るのは勇気がいる。課題レポートのために博物館に勉強しに行く気分。3世代も離れると、世俗が違えば慣習も違う。価値観だってまるで別の星。

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わが命つきるとも(1966年製作の映画)

3.5

「祈りで国が治められるか?」

信教や歴史を題材にしたレビューが多いようですが、私は行政の在り方こそこの映画が考えさせたいことなのではないか、と感じました。

正邪の判断の基準を、最大多数の最大幸福に
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夜の大捜査線(1967年製作の映画)

3.5

「あの刑事に捜査させないなら、技術者たちは引き揚げるわ」

“毅然”というのは、この映画のティッブス刑事のような表情と振る舞いを言うのだな。
刑事と署長、二人の関係性が反目から信頼に変わっていくさまの
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セックスと嘘とビデオテープ(1989年製作の映画)

3.5

「嘘だけはつかないで」
「ビョーキだな」

撮られる側から撮る側へ。
語る側から語らせる側へ。
思いもよらぬ方向に話が急展開して、気が動転した。すごい脚本だ。

誰もが、自分を偽って生きていると自覚し
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ワイルド・アット・ハート(1990年製作の映画)

4.0

「あまり火に近付きすぎるとヤケドをするわよ」

これも難解と評判の作品。
期待していなかったのだが…
   ハマりました。(完全に予想外)

確かに、出てくるやつ皆ぶっ飛んでる。やることなすこと意味不
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バートン・フィンク(1991年製作の映画)

3.0

「今度こそ俺は目覚めた」

難解な映画には2種類あると思う。

1つは、最初から見る人を置き去りにするタイプ。途中でリタイアしたくなる作品。

もう1つは、最後まで興味を引かれるのに、観終えてから突き
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昼顔(1967年製作の映画)

3.0

「それとこれとは別よ」

怖い映画。
たぶん男女の特殊な性癖を描きたいわけじゃなくて、普通の人の“転落願望”がテーマなのだろうと思う。

悪い方に転がっていくことが容易に想像できるのに、なぜそれに近寄
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グロリア(1980年製作の映画)

3.5

「引き受けたわ」

母性が撃鉄を起こす。
根性が決まったときの女性は強い。

息もつかせぬ子連れ逃走劇。
いやぁとにかく格好いい。痺れまくり。

あの “レオン(1994)”と鏡像関係らしいが、久しく
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緑の光線(1986年製作の映画)

3.0

「私には何の切り札も無いのよ」

やや情緒不安定なフランス女のバカンス日記。

彼女のすっごく面倒くさい考え方に90分もつきあわされる。生き方が下手すぎて、見ているこっちまで気が滅入る。

でも何故か
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ANNIE/アニー(2014年製作の映画)

3.5

「♪明日になれば太陽は昇る。
本当よ、明日になれば太陽は輝く」

かなり思い切って現代風にアレンジされた、かの王道ミュージカル。観終えてとびきりハッピーな気分になれる作品。

私はとても楽しめたが、旧
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ディア・エヴァン・ハンセン(2021年製作の映画)

2.5

「♪誰もいない感覚を知ってるかい? 荒野で置き去りにされたような」

私が理解できなかったのは、なぜこれを、ミュージカルのかたちを借りて表現するのか、ということ。

こういう孤独で自省的な感情は、そも
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マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー(2018年製作の映画)

3.0

「何ごとも単純よ。噛み砕けば」

明るくなりたい。
楽しくなりたい。
元気よくなりたい。
ハッピーになりたい。

みんながミュージカルに期待することの結晶。安心保証付き。

「自分の生き方は自分で選べ
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阿修羅のごとく(2003年製作の映画)

4.0

「いいのかね、しこりが残るぞ」

まさに修羅場続き。
四者四様の女の生き様。

オープニングの四姉妹✕喜怒哀楽のイラストに全てが詰め込まれている。刮目してこれを見よ。

人間関係の小さな綻び。
四姉妹
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姉妹坂(1985年製作の映画)

3.0

「今日からいっぺんに、娘が四人に増えたんやなぁ」

ショートヘアの冨田靖子目あてで見てみたら、聖子ちゃんカットの沢口靖子の華やいだ横顔に引き込まれ、ワンレングスの浅野温子のサバサバ感にフムフムし、アッ
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細雪 ささめゆき(1983年製作の映画)

4.0

「ええやないの、似てんかって。姉妹いうても別々の人間や」

大切な人の幸せを願うとき、人は時に過干渉になる。血の繋がった兄弟姉妹ならなおさら。

私の母親は大阪生まれの五人姉妹だが、小さい私の目には、
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コララインとボタンの魔女(2009年製作の映画)

3.5

「ここにいるのが楽しい?」

物語としてじゃない。ただ摩訶不思議な世界にプカプカ浸って楽しむ作品。

誰かの頭の中にこういう不思議世界が存在するから、かたちに顕されるわけで、製作に関わった大勢の造形美
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ティム・バートンのコープスブライド(2005年製作の映画)

4.0

「長い間、暗闇にいたから忘れてたわ。月の美しさを」

誰しもが、死者のメアリーに恋してしまうのです。彼女に共感してしまうのです。
実写では決して描けない世界観。

描く題材によっては、アニメは実写の表
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