そうめんさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.8

冒頭のいささか乱暴な導入から一見さんお断り感が漂ってきて、ちょっと心配になってしまった。初代ウルトラマンを通ってきたかどうかで見方が変わってくるのは違いない。昭和の特撮感をあえて残したいい具合にチープ>>続きを読む

パリ13区(2021年製作の映画)

3.9

いい映画というのは導入でその雰囲気を感じるもので、モノクロのパリの街並みがワクワク感をかきたててくる。ありがちなダラダラしゃべっているだけの映画ではなく、わりとカメラワークで見せてくれる。
中身はトレ
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.1

北アイルランドといえば、暴動や衝突のニュースを何度も見てきた。起きていることは人類の歴史上何度も繰り返された解決し難い事態だが、本作はイデオロギー主張や社会問題提起には寄っていかず、昔を懐かしむような>>続きを読む

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

3.8

心をえぐられる映画を観た。悲劇的な事件を引き起こした犯人には同情の余地はないが、その経緯をみても同情できなかった。
第三者的にあれこれ言うのは簡単だけど、実際に正面から向き合う覚悟を持つのは並大抵のこ
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パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

4.4

タイトルは詩篇の一節「(主よ)犬どもから私を救い出してください」から取られていて、この犬は自分をいじめるものを指す悪人らしい。
1925年という時代、都会は進歩しているがモンタナ州はまだ昔ながらの西部
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偶然と想像(2021年製作の映画)

4.1

タイトル通りの短編集だが、その設定が可笑しく、やがて悲しい。だけど救いがある。人と人との関わりからの自己救済というテーマが一貫していて、トータルの満足感がある。
会話劇の映画ってダレる危険があるが、脚
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.8

感動とか興奮とか教訓とか、映画が与えてくれるものはたくさんある。だけどそれらは必須だろうか?ただ小話を見聞きしたい、という需要もあるはず。
いわゆる寓話。観る人はそこに何を見出しても良い。それは個人の
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さがす(2022年製作の映画)

4.1

連続殺人犯を見たと言って姿を消した父親を娘が探しはじめるという設定から悲劇的な結末が予想される。ああ、父娘の絆と情愛がメインの話なのかなと思いきや、途中から実は・・・と次々に話が盛り込まれ、ちょっと驚>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.7

イーストウッドは骨太で心に染み入る映画を作り続けていたので、今回もそうに違いないと期待していたのですが、ちょっと違いました。確かにシンプルなしみじみした話なのですが、前作と比べてもとても力の抜けたさら>>続きを読む

ボクたちはみんな大人になれなかった(2021年製作の映画)

3.5

予想通り現状への諦めからの思い出を懐かしむ系だった。
さほどドラマチックな話でもないところが妙にリアリティがあって、時代設定的に40~50歳台にドンピシャで突き刺さる。こんな狭いターゲットで大丈夫か?
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漁港の肉子ちゃん(2021年製作の映画)

3.9

原作未読。ほとんど前知識なしで鑑賞。明石家さんま絡みでイロモノ扱いされている気配がするけど、いやいやどうして、素晴らしい映画ですよ。
さすがSTUDIO4℃の作画は相変わらず美しくダイナミック。肉子ち
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

4.2

ある悲惨な事件を取材するフリーのドキュメンタリー監督である由宇子の目を通して、マスコミの報道やSNSによって事件関係家族にもたらされる二次被害や、現状を踏まえた取材者の主張とテレビ局側の意向とのズレを>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

3.9

下北沢でのちょっとした日常ドタバタがおしゃれに描かれ、肩の力を抜いてぼーっと観ていられる。ストーリーはさほど起伏もなく、何か重要なメッセージがあるわけでもなく、そこで起きていることを切り取ってフィルム>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.5

あらすじ紹介を読んでもどんな話かよく分からず、3時間の長尺に気後れしていたが、いざ観てみると、全くダレることなく画面にくぎ付けにされた。
ストーリーはやや突拍子もない要素を含み、混み入っていた。気にな
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.0

あの「デューン」のリメイクということで、並々ならぬ期待があった。おっさん世代にとっては、良くも悪くも心に引っかかっていた作品なのだ。結論から言うと、必見である。というか、興収を上げてくれないと続編が作>>続きを読む

うみべの女の子(2021年製作の映画)

3.6

原作未読。冒頭から不穏な空気に覆われ、一筋縄ではいかないんだろうなという雰囲気。浅野いにおっぽいのかどうか、絡みのシーンも一切エロくなく、思春期と性のこんがらがった感じがひしひしと伝わってくる。
感情
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映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

3.8

映画マニアで冴えない見習いのジーンは幼女の姿をした映画プロデューサー・ポンポさんに見出され、あれよあれよという間に監督を任される。そんなことあるかーい!とツッコんだら本作は楽しめない。出演者もスタッフ>>続きを読む

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

3.9

高校生が自主映画制作に奮闘する話に「時かけ」要素を織り込んだシナリオ。こう言っては何だが、夏!青春!文化祭!というありがちな設定に真正面から取り組む姿勢をまず評価したい。みんなこういうド直球な映画が観>>続きを読む

あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.0

山内マリコ原作映画は2本観ていたのですが、どちらもハマれず、ちょっと敬遠気味でした。だけど本作はすーっと世界観に入っていけました。
若手の監督ながらも画作りがどっしりしていて、中堅の職人的な安心感があ
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.6

時をかける少女とサマーウォーズを足して2で割ったと言ったら怒られそうだが、最近の私小説的な傾向からエンタメに戻した感じがする。キャラクターも個性的でかわいらしく、舞台設定もわかりやすく、見せ場もふんだ>>続きを読む

夏への扉 ―キミのいる未来へ―(2021年製作の映画)

3.0

10代に入ってちょっと背伸びして読むにはちょうど良い平易でロマンティックなSF小説が原作。
映画は舞台を日本にして設定を多少変えているが、話の流れはほぼそのまま。なので、あの「夏への扉」を日本版にしま
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ウルフウォーカー(2020年製作の映画)

4.2

センスあるデザイン、美しい構図、生き生きした動き。どれをとっても最高級の一品。
日本アニメに慣れすぎてキャラクター造形に違和感を持っていたとしたら、なんともったいない!吹替版はないのか?
舞台となる中
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KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

4.0

結果は明らかな話なのに、語り口がうまくて、どうなっちゃうんだろうというヒリヒリとした緊張感が最後まで続く。イ・ビョンホンの静かな演技もイイ。思い浮かんだのが高倉健さん。忠誠を誓っていた親分への信頼、仲>>続きを読む

聖なる犯罪者(2019年製作の映画)

3.9

聖職者が犯罪をする話はよくあるが、逆のパターン。筋金入りの不良が神父になりすますことが出来るのか?身元がバレるのか、バレないのか?この設定だけでも面白いが、この村で起きていることに直面したニセ神父が住>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

4.1

認知症の父親と娘の話というと、ジメジメした重く暗い話になりがちだが、本作はサスペンス風の語り口で、思わず引き込まれてしまう。元が舞台劇のためか、アンソニー・ホプキンスの存在感が圧倒的で、なるほどアカデ>>続きを読む

くれなずめ(2021年製作の映画)

3.7

奇異だがよくある設定。それゆえか、ベタにしたくないのか、いいところで変な方向に進んでいくのは、演劇的な矜持なのかな。
大事な時期を一緒に過ごしたかけがえのない仲間がいる人は共感度が高いだろうが、つるむ
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.5

市民社会とアウトロー、貧困と福祉、罪の償いと寛容、等々いろいろな要素が投げ込まれるのだが、軸になっているのは、人と人とのつながりと理解であって、西川監督がずっと撮ってきた人間の本性を見つめる愛情のまな>>続きを読む

私は確信する(2018年製作の映画)

3.9

実際の事件をもとにしていて、事件関係者も実在の名前で登場し、現時点での現実の結果も改変していない。だから結末が明らかな本作をサスペンスドラマとして捉えるとちょっと違う。

主人公のシングルマザーは架空
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ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画(2019年製作の映画)

3.9

よくありがちなサクセスストーリーものなので、インド映画特有のクセが苦手な人でも大丈夫。尺も短く感じる。舞台背景と登場人物がインドというだけで、ならではのエピソードが反映されるのだが、やってることはハリ>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.0

隣人を愛し、救いを差し伸べる気高い心を持ち、子供たちをたしなめたり導いたりする母の存在が大きい。四姉妹も性向はそれぞれ違うけど、きちんと自分で選んだ人生を歩んでいく。時に間違ったり回り道をするけど、家>>続きを読む

オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)

3.7

夫の浮気疑惑にとらわれた妻が父親と共にニューヨークを徘徊する。ビルマーレイの人間味あふれるおとぼけパパっぷりが楽しい。だが、このパパもかつて浮気で家庭を壊していて、娘はいまだにわだかまりを持っているの>>続きを読む

ニューヨーク 親切なロシア料理店(2019年製作の映画)

3.4

テーマは他人に対してどれだけ親切心を発揮できるか、である。
DVから逃れて無一文で放浪する母子だけでなく、刑務所を出てきた、仕事をクビになった等々、いわゆる弱者が集まって新たなつながりを見つけて居場所
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ペイン・アンド・グローリー(2019年製作の映画)

3.7

カラダ痛くて半ばヤク中になって、とりとめなく幼少期を思い出し、昔ケンカした仕事仲間や別れた恋人と再会するものの、さほどドラマティックに持っていくこともなく、どこにいこうとしているのだろう?と首をかしげ>>続きを読む

mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

4.0

模範的な母や暴力的な兄に対して反抗期に入った弟。“囲い”から抜け出して独立しようと、街の見栄えのする集団に近づいていく。
誰もが通った道が、みずみずしく描かれている。主演の少年がホント素晴らしい。90
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ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方(2018年製作の映画)

3.8

カリフォルニアで荒れ地を開拓して農場を作った記録。設計アドバイザーの思想が土づくりを重視していたが、これは有機農業や自然農法の根幹であり、その実践例を追っていくことができる貴重な資料である。
土を作っ
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ハニーランド 永遠の谷(2019年製作の映画)

4.2

タイトルから養蜂家の優雅なスローライフなんて期待をしてはいけません。草木に乏しく岩だらけの、もちろん電気も水道もないバルカン半島の荒涼とした小村で、ハチミツを都市で売って病床の母を面倒見ながらかろうじ>>続きを読む