フラハティさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

フラハティ

フラハティ

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イエスタデイ(2019年製作の映画)

3.5

ビートルズが存在する、今この世界に愛をこめて。


ダニー・ボイルの新作は、ビートルズが消えてしまった世界。
『トレインスポッティング』で、英国に新風をもたらしたダニー・ボイルは、英国に新風をもたらし
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暗殺の森(1970年製作の映画)

4.4

『暗殺の森』の出来事は、暗く閉ざされた男の人生そのものである。


アルベルト・モラヴィアの小説『孤独な青年』の映画化。
ベルトルッチの代表作として名高い本作は、日本においてドミニク・サンダを有名にさ
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

あの時代を忘れない…。


かつて映画界を賑わしていたのは西部劇だった。
あの頃のハリウッドは輝いていた。
シャロン・テート事件までは…。


落ち目の俳優っていう絶妙な立ち位置にいるリックは、当時の
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走れ、絶望に追いつかれない速さで(2015年製作の映画)

2.8

あいつは死んだ。
それが事実だ。


監督の実体験を元に映像化。
中川龍太郎の新作が気になるので本作を鑑賞。
あの日、笑顔で別れた親友が命を絶った。
自分の隣にいた奴は何を考えていた?
俺といた時間の
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鬼が来た!(2000年製作の映画)

4.3

【~1945.8.15又は1945.9.3、その後】
2000年のカンヌでグランプリを受賞。
中国国内では上映禁止となり、僕の中国映画鑑賞デビュー作も本作であり、非常に重要な作品である。


本作を鑑
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世界残酷物語(1962年製作の映画)

3.1

この世は残酷である。
私たちは見ないふりをするようになる。


もともと映画が登場し始めた頃は、今より100年以上前。
世界の情報を得るためのニュース映画が主流として登場していた時代もあり、映画という
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トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

続編としては蛇足。
単品としてみれば安定のクオリティ。


完璧な三部作『トイ・ストーリー』シリーズの続編として発表された、本作の4。
賛否両論のレビューが飛び交っているので多少の不安はあったけれど、
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ワイルドライフ(2018年製作の映画)

4.4

崩れていく家庭と育っていく我々。


P.ダノ初監督作品であり、パートナーのゾーイ・カザンとの共同脚本。
リチャード・フォード原作の『WILDLIFE』を元に、ダノ自身の少年期の記憶に包まれた本作。
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ヴィデオドローム(1982年製作の映画)

4.1

メディアに侵されていく我々。


裏に流れているスナッフビデオ。
通称やべぇビデオこと“ビデオドローム”
暴力、残虐、エロなど刺激を求めるために、誰もが“ビデオドローム”を望んでいる。
これからのメデ
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タイム・オブ・ザ・ウルフ(2003年製作の映画)

3.7

人間の意思疎通は永遠のテーマ。


水は枯れ、炎は勢いを失い、風は無常に吹き続ける。
誰もが自分たちのことしか考えることができない世界の終焉に、わかり合う術はあるのか。
『白いリボン』のように、無意識
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マイレージ、マイライフ(2009年製作の映画)

3.5

人生の目的は済ませた。
じゃあこれからどこに行く?


旅行の荷物はどれくらいか。
たくさんだと、荷物のせいで思うように動けない。
少なければ身軽に、多くの場所へ思うように行ける。
だから私は人生の荷
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ウイークエンド(1967年製作の映画)

4.6

W E E K E N D .
週末は世界の終末へ。


ブルジョワ夫婦が、遺産のために田舎へ週末に帰る。
いくつもの世界の終末が二人に襲いかかる。
『気狂いピエロ』でアンナ・カリーナと決別することに
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軽蔑(1963年製作の映画)

3.7

ゴダールが“軽蔑”していたのは一体。


芸術ではなく、大衆としてのものとなっていく映画。
思い通りにならない自分の人生や映画制作とともに、夫婦関係における男女のすれ違いに焦点を当てた本作。

どうし
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ポゼッション(1981年製作の映画)

4.5

離別からの愛の行方。


ポーランドの鬼才アンジェイ・ズラウスキーを一躍有名にさせた本作。
長期の仕事から帰宅した夫を待ち受けているのは、不倫をした妻の姿。
少しずつ狂い始める歯車。
崩れていく家庭と
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ビューティフル・ボーイ(2018年製作の映画)

3.2

孤独ではないということ。


気がつけば、誰にも届かない深い穴の底へ落ちている。
這い上がることを何度経験しても、奴は足に絡み付いて離れない。
また落ちた。
現実はくだらないものだ。

愛だけでは救う
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殺人に関する短いフィルム(1987年製作の映画)

4.0

僕の名前を誰も呼ばない。


「暴力という行為をただ描いた。」
三人の男が一つの殺人に繋がっていく。
それは運命か。
ただの暴力か。
そういえば運命についての映画を最近観たが、本作もそう思う。

決め
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山猫(1963年製作の映画)

3.9

時代はまた変革を迎え、新しき世が始まる。


本作を境に、ヴィスコンティは衰退美というものに進んでいくように思う。
貴族出身である自身を描いた作品とも呼ばれ、最高傑作とも名高い『山猫』
完全修復版での
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橋の上の娘(1999年製作の映画)

3.3

「命」を「運」んでくると書いて「運命」


すべての運が悪いと嘆く女。
橋から身を投げようと、川を眺めている。
それを見つめる男。
彼はナイフ投げだと言う。

男に依存しながら、真実の愛を見つけること
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タンデム(1987年製作の映画)

3.4

始まりがあれば終わりがある。


25年ものクイズ番組が終わりを迎える。
クイズ番組の司会者であるミシェルは、その事実を知らない。
長年彼を支えた番組が打ちきりを命じられるが、マネージャーのリヴトは伝
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ライフ・イズ・ビューティフル(1997年製作の映画)

3.9

この映画を観る度に思うんだけど、人生はどうやっても不平等にしかならないのか?ということ。


生まれた時代、生まれた国、性別、性格、家庭環境、生活環境など、どれもがランダムでバラバラで、そんな中でも人
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母の残像(2015年製作の映画)

4.3

母は教えてくれた。


突如崩れていく、“家族の中の母”。
一人の人間であり、一人の女性であった母は、事故当時何を思い、何を感じていたのか。
自殺の疑惑が浮き上がることで、母の残像は再び心をざわつかせ
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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.9

“バードマン”という私と、“リーガン”という私について。


『バードマン』で、輝かしい過去を持つ俳優リーガン。
今では誇るものはなくなってしまい、再起を図る舞台がまもなく始まる。
主演、監督、脚本す
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グリーンブック(2018年製作の映画)

3.9

人が人としての尊厳を持つために。


おめでとう!2019年アカデミー作品賞!
イタリア系白人×富裕層の黒人。
実際の出来事を元に映画化。
監督は主にコメディを撮り続けているピーター・ファレリー。
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霊魂の不滅(1920年製作の映画)

4.1

死の間際に救済を。


シェストレム監督の最高傑作と呼ばれ、スウェーデン映画としても重要な位置に属していると言われる本作。
大晦日に死んだ人間は、翌年死神として死者の魂を集めなければならない。
まるで
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インゲボルグ・ホルム(1913年製作の映画)

3.5

どれだけ離れていても、母の愛は通ず。


「スウェーデン映画の父」こと、シェストレムの初期作。
社会派リアリズムの要素を取り入れたのは映画史上初らしい(wikiからなので、正確な情報かは不明)。
Fi
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わらの犬(1971年製作の映画)

3.3

知性は暴力を越えるのか。


西部劇の印象が強いサム・ペキンパーが描く、現代における暴力の蔓延。
人類が潜在的に備えている暴力性に、人類が築き上げた知性は立ち向かえるのか。

閉鎖的な田舎及び、抑圧さ
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友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.7

【指令】友だちのうちへノートを届けろ。


ジグザグ道三部作の一作目にして、アッバス・キアロスタミ監督の代表作。
大人にとってはどうとでもないことだが、子どもにとってはとてつもなく大きな試練である。
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パディントン(2014年製作の映画)

4.2

クマ、イギリスへ行く。


英国児童文学で大人気の『くまのパディントン』を実写化。
鑑賞前は子供向けだと思っていたけれど、意外と細かいところまで丁寧に作られている良作。

英国紳士という前触れだったけ
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秋のソナタ(1978年製作の映画)

3.7

私という人生の先の家族とは。


久しぶりに会う母には、どのように振る舞えばいいのだろうか。
親しく優しげに?
長年の愛を表現する?
私にはできない。

確執のあった母との思い出は、父の膝上で泣いてい
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第七の封印(1956年製作の映画)

4.0

“死”との対峙へ。いざ。


『夏の夜は三たび微笑む』の成功により、パーソナルな部分を描いた作品へ、いかにも文学的で芸術さを求めた作品へ、名匠としての確固たる地位を築いたのが本作『第七の封印』である。
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若者のすべて(1960年製作の映画)

4.4

僕は将来故郷に戻りたい。


ヴィスコンティ作品としては中期に当たる本作。
今までは後期の作品しか観る機会に恵まれておらず、貴族や退廃美を描いた監督としての印象が強い。
だが本作は若者が描かれ、全てが
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テオレマ(1968年製作の映画)

3.4

謎の青年の登場によるブルジョワ一家の崩壊。


同監督の『ソドムの市』はすげぇ変態な映画と言われるも未だ観ることはできず(ビビり)、本作がパゾリーニ初鑑賞となる。
いい経験になりました。

ブルジョワ
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ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

3.6

トーキョーとは不思議な街だ。


『ヴァージン・スーサイズ』で注目を浴びたソフィア・コッポラの二作目。
東京にやってきた二人の異国人。
一人は俳優。
一人は結婚したばかりの女性。
たまたま同じホテルに
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ブレックファスト・クラブ(1985年製作の映画)

4.1

【論題】「自分とは何か」について。


ジョン・ヒューズ監督の代表作にして、アメリカ青春映画の重要な位置に属している本作。
『ジュマンジ(2017)』や『スパイダーマン ホームカミング』などで再び現代
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緑の光線(1986年製作の映画)

4.2

私の今年のラッキーカラーは緑色!


初エリック・ロメール!
ロメール作品を観られるのが結構貴重なので感謝。
しかも本作が監督作品初鑑賞だったのは良かったかもしれない。
ヴェネチアで金獅子賞を受賞した
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サスペリア(2018年製作の映画)

2.9

魔女は再び目を覚まし、我々は禍々しい舞踊を捧げる。


イタリアホラー界の巨匠ダリオ・アルジェントの代表作『サスペリア(1977)』をリメイク。
監督は『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ。
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