ししんさんの映画レビュー・感想・評価

ししん

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シルクロード.com ―史上最大の闇サイト―(2021年製作の映画)

3.5

前半は平凡な作品だなと思いましたし、締めも微妙だったのですが、事例の面白さで押しきった作品と言えるでしょう。事実は小説より奇なりを地で行くような事件でしたし、それを知れただけで楽しかったです。

作品
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コンフィデンスマンJP 英雄編(2022年製作の映画)

3.3

今回も満足度は高いのですが、過去の二作品と比べるとボリュームが少し見劣りする印象です。新型コロナウイルスの影響もあったのかなと思うのですが、ダー子たちが縦横無尽に駆け回る絵がもう少しあったらなと思いま>>続きを読む

MONSOON/モンスーン(2020年製作の映画)

3.8

戦争の記憶は表面上は風化したように見えても、社会の底で流れている。そんなことに気づかせてくれる佳作でした。

ベトナム戦争の終戦から長い年月が経ちました。私も生まれる前の出来事です。しかし親世代にとっ
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パーフェクト・ノーマル・ファミリー(2020年製作の映画)

3.8

細部へのこだわりと視点の面白さ、リアリティを補完する演出が高度に絡み合った名作でした。
父親が「女」になっていく過程における娘の葛藤が中心ですが、父親の仕草や社会における細かな生きづらさ、途中でホーム
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クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

2.8

観ている人たち全員にイーストウッドがやりたかったことは伝わったと思います。荒野で生きる人々の逞しさ、家族の離反と再生、老いとの向き合い方などが主要テーマで、その意味では過不足ない内容です。

しかしイ
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ひかり探して(2020年製作の映画)

2.6

思っていたよりもシンプルで、ややもすると淡白な感じの映画でした。ミステリーの風味が漂いながらこの単純さだと、どうしても薄味感が否めないですね。大体の帰結が最初の方で見えてしまっていましたし、出てくるキ>>続きを読む

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

3.3

グッチ家の同族企業であるGUCCIの内紛を描く作品であり、出てくる奴らが全員イヤなやつレベルではない権力狂いなので、不快感抜群で楽しかったです。

展開が早いので、各人がイヤなやつになっていく過程が短
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梅切らぬバカ(2021年製作の映画)

3.6

コンパクトな作品ながら、各登場人物のエゴが上手く描かれており、かなり面白かったです。
安易に和解や相互了解にもっていかず、各人が各人の「安心」や「安全」を追い求める結果、不和が顕在化するという構図は、
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逆光(2021年製作の映画)

3.5

こういう作品が世に出ることがものすごく大事なことだと思います。
自主製作でありながら、これだけの「間」を意識した作品を撮れたのは、監督がアフタートークで言っていた観客への「信頼」のなせる技でしょう。た
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ディア・エヴァン・ハンセン(2021年製作の映画)

1.8

徹頭徹尾、不愉快な作品でした。基本的にコナーという人間の過去を好き勝手に妄想したり書き換えることで、生きている人間の喜怒哀楽を満たす映画です。一応、ミュージカルの曲の入れ所は悪くないので、そこだけは救>>続きを読む

明け方の若者たち(2021年製作の映画)

3.7

伏線回収ならぬ伏雰囲気回収が素晴らしい映画でした。前半はステレオタイプな映画だなぁと舐めていたのですが、それがいいフリになって後半の展開が驚きに繋がっており、素敵な映画だなと、見終わったあとには。そし>>続きを読む

マクベス(2021年製作の映画)

3.7

丁寧な作りで、好感がもてる『マクベス』だった。デンゼル・ワシントンの重厚感と説得力のある狂気を同居させる演技は素晴らしい。

白黒で戯曲を描くと、結構な頻度で過剰な演出や演技に頼ることになるが、本作で
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偶然と想像(2021年製作の映画)

3.5

濱口竜介監督作品は基本的に好きなのですが、本作は少し濱口テイストが強すぎたのと、メタ発言が多用されていたので、若干食傷気味ではありました。
構成は本当に上手く、欲しい台詞が欲しいところにあるのは『寝て
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クナシリ(2019年製作の映画)

3.0

近くて遠い国といえば北朝鮮ですが、近くて遠い地域の代表格といえば、北方領土かもしれません。本作は国後島に暮らす人々の生活に着目したドキュメンタリーです。

国後島のことはほとんど知りませんでしたが、こ
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GUNDA/グンダ(2020年製作の映画)

4.1

この映画を作った全ての人に、そしてこの映画を商業ベースにのせた全ての人に敬意と感謝を述べたい、そんな作品です。

以下、この作品のスゴさを書きますが、本当のスゴさは体感した方にしか伝わらないと思います
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ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(2019年製作の映画)

3.9

一般的に悪い企業と勇気ある弁護士の闘いになりそうな映画ですが、そこを構造的な残酷さや弁護士自身の揺らぎなどを取り込んだ形で描いているところに面白さと怖さがあります。

化学訴訟は専門用語や身体的リスク
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雨とあなたの物語(2021年製作の映画)

2.8

王道の恋愛映画としては、安心してみられる作品でした。逆に言うと、大きな裏切りや感心する展開もないので、名作というには足りない作品でもありました。

よかった点としては、撮り方が上手かったことです。過去
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ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド(2021年製作の映画)

2.5

ザ・スミスへの思い入れがそんなに深くない自分にとっては、あまり刺さらない映画でした。しかし、80年代の地方都市(デンバー)の若者の鬱屈した感じを描いていたので、そこそこ楽しめました。

ドラッグ、酒、
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ザ・レッド・チャペル(2009年製作の映画)

3.0

全体主義国家の不気味さだけでなく、その中でのデンマーク人(「デンマーク系"朝鮮人"」)の変容が描かれており、不思議な映画でした。
監督(兼出役)の解釈が強めに出ているので、微妙な感覚になってしまう部分
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ずっと独身でいるつもり?(2021年製作の映画)

2.9

ラスト10分がなければ名作だったなぁというのが第一印象です。日常生活の他愛もない場面が、女性たちの不安や不満を増大させる、ジェンダーの問題の一番重要な部分を描くチャレンジは、素直に称賛されるべきでしょ>>続きを読む

ダ・ヴィンチは誰に微笑む(2021年製作の映画)

3.1

ドキュメンタリー映画としては驚きが多いわけではなく、普通の作品と言えます。ただ、現代のアート・ワールドがまさに狂乱の磁場に絡めとられている感じが、最高の喜劇でした。

『サルザドール・ムンディ』、救世
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パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

3.4

ダークヒロイン系の映画は、とかく悪いけどカッコいいとか、実はいいやつみたいな作品が多いですが、この作品は基本的に共感できない、普通に悪いやつだったので、とても良かったです。

法律の知識、人当たりの良
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皮膚を売った男(2020年製作の映画)

4.0

まず目の付け所が秀逸です。難民が「難民」として人格を持つ限り、移動の自由はありません。しかしアート作品として売買の対象となった瞬間に、圧倒的な移動の自由を得ます。この皮肉な状況に目を向け、難民の人権、>>続きを読む

ミュジコフィリア(2021年製作の映画)

2.5

現代音楽をマイルドにして、大衆映画にしようという試みは面白かったですが、「未(視)聴感」をコンセプトとするのであれば、テンプレート過ぎる二つの点が気になってしまいました。

一つは「音」です。自然音と
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モスル~ある SWAT 部隊の戦い~(2019年製作の映画)

3.1

ラストはちょっと残念でしたが、そんなに期待していなかった割には面白かったです。

イラク第二の都市にして、ISISの拠点となったモスルにおけるSWAT部隊の活躍を描いたアクション映画なのですが、見終わ
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そして、バトンは渡された(2021年製作の映画)

2.0

劇場内は感動の涙に溢れていましたが、果たしてこの作品で涙を流してしまっていいのでしょうか。正直、かなり疑問に感じるストーリーでした。

先によかった点を挙げると、ストーリーが展開するタイミングや各キャ
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TOVE/トーベ(2020年製作の映画)

3.3

ムーミンという作品のもつ軽い暗さがよくわかる映画でした。トーベ・ヤンソンという天才漫画家の闇は深く、それがゆえに作品に陰の成分が宿ったのでしょう。

まず彼女はある種のワガママ(不倫など)を貫いてでも
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フォレスト・ジャイアント(2020年製作の映画)

2.5

普通の作品という感じでした。グローバリズムと市場原理主義への批判、その中で苦悩する人々を描いた作品で、結構既視感がありました。ただ、フィンランドが舞台で、整理担当者が主人公という点が少し面白く、とりわ>>続きを読む

名付けようのない踊り(2022年製作の映画)

4.2

東京国際映画祭にて鑑賞。エグいほど豊かな時間が流れていた。田中泯という躍り手の躍りを犬童一心という監督が撮っている、ある意味それだけの映画なのだが、それだけで十分だった。躍り手と観客との間にこそ躍りが>>続きを読む

世界、北半球(2021年製作の映画)

3.0

東京国際映画祭にて鑑賞。前提知識がかなり要求される作品だった。たぶんイラン・イラク戦争の傷跡と疲弊した官僚制、封建的な結婚など、「北半球」に位置するイランの旧態依然とした負の側面が全面に出ています。た>>続きを読む

ビルド・ア・ガール(2019年製作の映画)

3.0

『ブックスマート』のビニー・フェルドスタインが好きだったので、本作も観に行きました。彼女の自分勝手さと底抜けの明るさを嫌味なく演じきれる才能は本当に素晴らしいと思います。本作でもその才能が遺憾なく発揮>>続きを読む

ザ・ドーター(2021年製作の映画)

3.5

東京国際映画祭にて視聴。緩やかな狂気の積み重なりが、容易にポイントオブノーリターンを超え、残虐な世界を現出させることを上手く描き出しています。小さな家で起こる物語は、美しい景色を伴って観客の気持ちに気>>続きを読む

モーリタニアン 黒塗りの記録(2021年製作の映画)

3.3

「自由」の国アメリカ最大の暗部の一つグアンタナモ収容所。日本にも入管施設の問題などが山積しており他人事ではありませんが、グアンタナモの酷さは筆舌に尽くしがたいものがあります。
最近は裁判が終結したり、
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.5

映画体験としては凄いものがありました。「聞こえない」のバリエーションがしっかりと描かれており、本当に自分の心に刺さる「聞こえない」体験をすることができました。

誰もがなりうる「聞こえない」(deaf
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

3.9

マット・デイモン、アダム・ドライバー、ジョディ・カマーの三人がはまり役でした。作品としても素晴らしい出来で、2時間半があっという間に終わりました。

まずは速い展開ながら観客を置いていかないストーリー
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人と仕事(2021年製作の映画)

1.9

有村架純と志尊淳が緊急事態宣言下で様々な「仕事」に従事する人々の話を聞くというコンセプトは興味深いが、いかんせん話が浅い。例えば児童相談所やホストの話など、掘ればもっと面白くなりそうなものが散りばめら>>続きを読む