いろどりさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

WOOD JOB!(ウッジョブ)神去なあなあ日常(2014年製作の映画)

3.8

溜まった下書き消化。
面白かった。自然とのつきあい方をときに真摯に、ときにコミカルに描いていて何度も笑った。
マッチョな伊藤英明はたくましく、なよなよした染谷将太には共感してしまったり。ただのコメディ
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ソング・オブ・ラホール(2015年製作の映画)

4.1

パキスタンのシタールやタブラなどの伝統音楽家たちが、伝統を残すためにジャズに挑戦すべくサッチャル・ジャズ・アンサンブルを結成。ニューヨークでジャズバンドとのセッションが決まるも、まったくまとまらないリ>>続きを読む

サウルの息子(2015年製作の映画)

3.5

溜まった下書き消化。
残虐行為を直接映さず、サウルの見ている世界を一緒に見るような手法だったのでなんとか最後まで観られた。この独特な演出やメッセージ性が名だたる賞をもたらしたのか。緊迫した臨場感に息が
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ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

3.0

溜まった下書き消化。
小さい頃からシェルターの中だけで生活していても愛に満たされていると、外の世界でも周りに振り回されずに愛を振りまくことができる。
期待値を高くしてしまったこともありそこまで感動はで
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白い豹の影(1984年製作の映画)

4.7

キルギスの雪山に暮らす白豹族の自然スペクタクルドラマ。これは本当に見ごたえのある骨太作品で面白かった!久しぶりに壮大な映画を観たなという思いでいっぱい。

見ごたえは何といってもCGなしの雪山の撮影。
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右肩の天使(2002年製作の映画)

3.8

右肩には善行の天使が、左肩には悪行の天使がついていて、死ぬときに秤にかけられて天国に行くか、地獄に行くか決まるらしい。これってなんだかエジプト神話の死者の書に似ていて、大陸の関連性を感じる。(死者の書>>続きを読む

百年の夢 デジタル・リマスター版(1972年製作の映画)

3.9

スロバキアの山間に住む老人の世界。

「人生で一番大切なものは?」
無駄を省いたたった1つの質問の答えからは老人たちの生きざまを感じてしまう。
健康、愛、陽気、働くこと、悲しみ、ゆっくり考えないとわか
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モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

4.5

フィルマークスの試写会にて鑑賞。
嬉しいクリスマスプレゼント🎄 

生涯500本の映画音楽を手がけているのに、すぐにアイデアが出てくる、と言えることが天才すぎて。
 
「ニュー・シネマ・パラダイス」は
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エレニの帰郷(2008年製作の映画)

3.8

20世紀3部作の2作目ということだけど「エレニの旅」とのつながりはなく、名前だけ同じの独立した話だった。
主人公の名前はA。
「ユリシーズの瞳」でハーヴェイ・カイテル演じる映画監督の名前もAだった。
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パプリカ(2006年製作の映画)

4.0

これは面白い。
大人がスッと入り込めるイラスト、難しすぎないSF、観客の幅を狭めない脚本。最初から最後まで引き込まれた。これは本当にクオリティーの高いアニメだと思う。
 
色彩豊かな幻惑の夢、狂気をは
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赤目四十八瀧心中未遂(2003年製作の映画)

3.7

大森南朋、新井浩文、内田裕也、麿赤兒、内田春菊、沖山秀子というキャストから作品の雰囲気はおおよそ予想がつく。閉鎖的で陰鬱、犯罪と色気の香り。


荒戸源次郎監督は「ツィゴイネルワイゼン」の製作を手がけ
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ペレ(1987年製作の映画)

3.7

父親の弱さや老いを受け入れ、少年ペレが次第にたくましい顔つきになっていく姿が沁みる。

19世紀末のデンマークの、スウェーデン移民の貧困や階級社会を過酷に描写していてなかなか重たい。淡々としていること
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江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間(1969年製作の映画)

3.7

ザ・カルト映画!
江戸川乱歩の人気小説を寄せ集めてエログロに焦点を当てた作品。石井輝男らしさ、土方巽らしさが大爆発している。

当時は公開10日で打ちきりになり黙殺されたというのは笑っちゃうけど納得し
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盲獣(1969年製作の映画)

3.9

江戸川乱歩原作の映画では破格の高評価なこの作品。それも大いにうなずける出来で、江戸川乱歩好きとしては満足度の高い好みの世界観だった。

ポルノに寄らず、カルト過ぎず、B級にならずに文芸の香りを残した変
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犬王(2021年製作の映画)

3.8

琵琶ロックカッコ良かった!!
Queenの曲を思わせるイントロや新体操のようなコンテンポラリーダンスなど、歴史を飛び越えジャンルの垣根も越えた思いきりの良さ。少し困惑もしたけどその思いきりの良さに、こ
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HOUSE ハウス(1977年製作の映画)

3.5

ひとり大林宣彦監督映画祭。
これはまたとんでもない怪作😂

まだ技術の乏しい時代に遊びに遊んだ映像表現。乙女たちのたわむれ。そして幽霊。

これは大林宣彦監督の原点と言っても良いのでは。

懐かしい人
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この空の花 長岡花火物語(2012年製作の映画)

3.8

ひとり大林宣彦監督映画祭。
長岡の花火大会は商業イベントではなく長岡空襲で亡くなった人の鎮魂のために行われる。
これに感動した監督がメガホンを撮った一作。

生と死の輪廻転生、子へと引き継がれる歴史と
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異人たちとの夏(1988年製作の映画)

3.7

ひとり大林宣彦映画祭を開催中。
大林宣彦監督の晩年のハイテンションな作品を観て、少し昔のゆったりしたものを観たくなった。

親に会いたい子の気持ち、子を想う親の気持ちがかたちとなる奇跡。

ご先祖様を
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海辺の映画館―キネマの玉手箱(2019年製作の映画)

3.6

ひとり大林宣彦映画祭を開催中。
映画を愛し平和への願いを込めた大林宣彦監督の遺作。ガン宣告を受けて撮った「花筐」の次の作品ということで、前作以上に死を意識していたことでしょう。それが影響しているのかわ
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花筐/HANAGATAMI(2017年製作の映画)

4.3

ひとり大林宣彦映画祭を開催中。
若者の熱量が戦争の波に飲まれて血と死の彼方へ散っていく戦争青春映画。戦争の悲しみ、生への渇望を幻想的かつ芸術的に描いていて楽しかった。鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼ
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ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(1999年製作の映画)

3.9

今作はテキーラを飲みながら観ようとずっと前から決めていたけど用意できないままアマプラの配信が終了してしまい、今回はU-NEXTでの配信が14日で終了してしまう。テキーラは調達できなかったけどもう観よう>>続きを読む

DESTINY 鎌倉ものがたり(2017年製作の映画)

3.6

原作は未読だけどすっと入れる世界観で楽しめた。妖怪や魔物のCG/VFXも子供だましではなくしっかり作られていたと思う。田中泯や安藤サクラのような個性派俳優が人ならざるものを好演していたことが作品のクオ>>続きを読む

永遠と一日(1998年製作の映画)

4.5

いつも渋いブルーノ・ガンツがこんなに優しく笑っている映画は初めてだった。

「旅芸人の記録」は過去と現在の繰り返す過ちを円環構成にしていた。
今作では死期迫る老人と少年による繰り返す生と死の円環を感じ
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イップ・マン 完結(2019年製作の映画)

3.9

イップ・マンお疲れ様ぁぁあ!!
イップ・マンシリーズは飛び飛びでしか観ていないけどラストは感動の嵐!
後半の死闘は激熱!
私は太極拳を5年ほどやっていたことがあり、派手な動きの八卦掌(はっけしょう)や
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ヴァンダの部屋(2000年製作の映画)

3.5

あまりに美しい映像だったのでドキュメンタリーではなくモキュメンタリーなのではと途中までずっと疑ってしまった。フェルメールの絵画のような美しい光と影の映像美。

こんなに美しい映像が映し出すのはスラム街
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コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

3.8

飄々とした演技が求められるカウリスマキ映画にジャン=ピエール・レオってバッチリ合ってる。友達も恋人もいなくて仕事も解雇されて人生に喜びのない死にたい人にしか見えなかった。

マフィアから人生の素晴らし
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小さなアコーディオン弾き(1994年製作の映画)

3.8

カザフスタンの小さな村の戦後の混乱を少年の視点で描く。カザフ人、ロシア人、ユダヤ人、日本人捕虜と、思想も宗教も立場もさまざまな人たちの共存を、ニュートラルに描いているのでとても見やすかった。

カザフ
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.0

これは泣いた。
聴こえない家族の中で一人だけ聴こえる主人公という、どちらの気持ちも理解できる立場にしたことで、共感性の高い映画になったと思う。

アメリカの学校の合唱部は選曲のセンスが良くて楽しそう!
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永い言い訳(2016年製作の映画)

3.6

本木雅弘と深津絵里の映画だと思って観たけどこれは本木雅弘の映画だった。深津絵里はほとんど出てこなかった。自分大好きでエゴサーチが最重要事項の不倫男という序盤で観客から一気に嫌われる役を本木雅弘が人間く>>続きを読む

ユナイテッド93(2006年製作の映画)

3.7

ユナイテッド93については、昔テレビの「ザ世界行天ニュース」だったと思うけど、ドキュメンタリー仕立ての再現VTRを観たことがある。それがかなり衝撃だったこともあり、今作はなかなか観る勇気が出なかった。>>続きを読む

永遠の語らい(2003年製作の映画)

3.5

これは映画なのかっ?!戸惑いの95分。
西洋文明の発祥から発展の歴史をポルトガルからインドへの船旅でたどる。歴史学者の母が6歳くらいの娘に難しい歴史の説明を延々としているだけでストーリーはほぼ無し。歴
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子供はわかってあげない(2020年製作の映画)

3.5

沖田作品3作目。
今まで観た「横道世之介」「キツツキと雨」よりもだいぶコミカルで少し困惑。原作未読だとついていけない作品かなと不安を覚えながらの鑑賞になった。
キャラ立ちしすぎな千葉雄大が出てきたとき
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幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

3.7

色彩感覚が豊かで美しい。
ポップ過ぎず上品な色合いが絵画のよう。
でもこれって・・・
もしかしてホラー?!と思うような展開に。

現実にもこういった価値観の人はいる。
決してホラーなんかではないのかも
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チェチェンへ アレクサンドラの旅(2007年製作の映画)

3.8

戦車の群れの中を歩くおばあちゃんという画だけで、反戦映画として成功しているといえるような作品。第二次チェチェン紛争中、ロシアから職業軍人の孫デニスのいるチェチェンのロシア駐屯地に旅をするアレクサンドラ>>続きを読む

ドリームチャイルド(1985年製作の映画)

3.2

不思議の国のアリスのモデルとなった女性の映画。80歳のアリスがルイス・キャロルと交流のあった少女時代を回想すると、80歳のアリスの世界にもウサギたちが現れ、ハッとしているうちに不思議の国の世界へ。>>続きを読む

第三世代(1979年製作の映画)

4.0

かなりの難解映画。宗教や体制批判をメタファーで描く映画は数多ある。本作は体制批判とともに、大きな渦の中でしか生きられない(無意識に安堵する)人間をアイロニカルに描いているように感じた。

ショーペンハ
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