高井戸三郎さんの映画レビュー・感想・評価

高井戸三郎

高井戸三郎

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

誰が発見しても、世界は変わらない。そうであったものが、そうであるまま続いていく。
しかし、社会は、誰が、いつ、どこで、どのように、その世界の事実を明らかにしたかで、まったく異なる様を見せることになる。
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

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間違いを恐れずにいられるのであれば、SFの原風景は砂漠であると言いたい。
それは、本作を見たから。

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

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地面から掘り起こす=発掘すること。
発掘されたものは事実ではなく、虚構でもない。
物語を発掘する?

タイムマシーンとしての河。
だから、冒頭の貨物船とルーが乗るカヌーの動きは対向する。

カメラはあ
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

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「やったか!?」→「ギャオーン!」
脱出装置しかり、電報もしかり、とにかく観客を驚かせず、VFXに集中してもらうための配慮が行き届いている。

典子という存在は、敷島に戦後を迎えさせるための便利な道具
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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なんでも変わっていく。盆栽が伸びる緩慢さで、しかし、取り壊されて空き地が現れる唐突さで。

周遊という言葉が、平山の生活にはよく似合う。
それは、平山(周吉)という名を与えられたという以上のことだ。
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

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宮崎駿-の/という-悪夢

老齢を過ぎようとしている作家の作品に集大成を見ようとするのは、観客として当然のことだが、それにかまけ、今まで現れていなかったものを見逃すことがないようにしたい。

例えば、
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名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)(2023年製作の映画)

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この出来栄えで一年後の新作予告を本編末にぶっ込む態度のデカさに清々しさを感じる。

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

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視線は顔と分かち難く、顔は魂と分かち難い。
視線-顔-魂の三幅対は仮面によって結節され、その仮面を受け継ぎ、乗り継いでいくから仮面ライダーなのだろう。

前作を振り返れば、非人間的な単独者の物語で採用
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

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人によるのだろうけれど、なぜ映画を含むフィクションを人は求めるのか、その理解の順番が転倒していると、私には思われる。その限りで、本作に全く賛意を感じない。

本作では、エヴリンがマルチバースというさま
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

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人は、顔に興味がある。
顔を見ずにはいられない。
それが大スクリーンに映った巨大な人の顔ならば、なお良い。

激突・爆発・人死など、映画でなければ、あるいは、映画でこそ経験しうるものの擬装/再現と、ご
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

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いいもの見たわ

派手なセットを組んでも、ショッキングな映像を使おうと、文学性の高い脚本を書こうと、豪華スターを起用しようと、ふんだんな予算でCGを作り込もうと……心動かされるとは限らないが、的確な視
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バビロン(2021年製作の映画)

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2時間で十分だと思う。
トーキー撮影、要塞など、作品を薄めているシーンが1時間ほどあるように思える。どちらも当時の社会風俗についての豆知識程度の話であり、わざわざ映画館で見るような話ではなかった。
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

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おそらく、映画としては文学的にすぎるのではないだろうか。

ふたりの諍いというのが、対岸のアイルランド内戦と軌を一にしていることは容易に了解されるだろうが、しかし、例えばコルムが、まずは一本の指を落と
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ナイト&デイ(2010年製作の映画)

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自白剤打たれて以降のキャメロン・ディアス、キュートさに確変入ってません?

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

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世界を写すことに成功している、と言ったとしても、本作に対しては誉めすぎということはないだろう。

世界はこのようである。
ただし、ケイコ/あなた/私が、それにどのように感応しているかは別の話だし、その
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グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

5.0

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"Off with your head"

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

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冒頭の飛ぶ鳥のウソくささは大いに問題と思う。
最後の話のひっくり返し方も、お爺ちゃん弁護士が論破したあり得ないシナリオが真実だったということになり、単に雑なようにしか思えない。
これはミステリーとして
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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

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私が知らないだけで、最近の映画はそういうものなのかもしれないけれど、正しい映画以外作ってはいけないと製作者自身が思っているのではないでしょうか。
だとしたら、映画を見に行く理由なんてありませんよね。

天気の子(2019年製作の映画)

4.9

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破顔爆笑、満面の笑み
物語人物台詞背景すべてに新海誠が漲っており、新海誠が漲りながら作ったことが伝わってくる。
じっくりコトコト煮詰めた特濃無調整新海誠



実は「猫」の系譜を考える際に、本作を考慮
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「猫」の再来はまだ遠いようだ。

本作では「声」は重ならず、かわりに、幾度かの抱擁と、手を取り合う様が描かれる。
埋められない距離を無にする「声」から、近づき離れ触れ合うことが可能な身体への移行を、孤
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マスカレード・ナイト(2021年製作の映画)

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顔という仮面の見えざる奥行を求める物語なので「顔のショット」が多用されるのは、それがいかに浅はかで安易だとしても、百歩譲って筋道が立つとして、それらがすべて不適切であることはどうしようもない事実である>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

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暗い部屋で激しく点滅する画面を二時間以上眺めていたので、非常に疲れ、頭痛を感じる。
ブラッド・ピットと真田広之が出演しているにも関わらず、疲れと頭痛を感じたこと以外に本作について言うべきことがないので
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マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

画面にしばしば、いい顔、佇まいが写されていたと思う。
特に、タイトルバックのマリコの眼が真っ黒に塗りつぶされて見えるショットは、マリコという人物が、タイトル通り壊(さ)れていることを視覚的に示しつつ、
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

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73分でこの話、流石。

趣深いショット多数。
窓の外を眺める母と横桟にピッタリ収まったタイトル、運転する母の横顔と、後部座席からお菓子を食べさせパックジュースを飲ませ母の首に腕を回しハグをする、パド
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

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褒めているわけでなく細田守みたいな作品。

終始、踏み絵を迫られている気分でウンザリ。
「映画好きなんやろ自分?ならコレ(視線のギミック、手回しIMAX、CMOSセンサーみたいな見た目、AKIRA、馬
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紳士は金髪がお好き(1953年製作の映画)

5.0

みてる間エズモンドくんになってたから5点満点。

こういうことでもあるんだよな、映画って。

荒野の女たち(1965年製作の映画)

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圧巻。

ここにあるのはただの変化球であり、新境地などではない。

カートライトが「お通夜みたいじゃーん」と言いながらウイスキー片手に入室してくるのだが、彼女の言動によって本当にお通夜みたいになっちゃ
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メアリー・オブ・スコットランド(1936年製作の映画)

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見どころしかない。最初から最後まで見どころで殴られ続ける。

白眉はやはり、自身の即位を祝うために集い合唱する臣民を階上から見つめるヘプバーンの顔を、大写しにしたショット。

個人的には、狂信的説教者
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果てなき船路(1940年製作の映画)

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夜霧の中浮かび上がるボロ船に一目惚れ

コレヒドール戦記(1945年製作の映画)

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ウェインとリードが、蛍のよう、と呟きながら野戦の砲火を見つめるショットはthe shot

香も高きケンタッキー(1925年製作の映画)

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柵を乗り越える。

馬の話だとは思ってなかったので、思いがけず嬉しい。

ギリシャ劇のコロスのような背景の人々。

交差点は2シーンともすごくいい。

さかなのこ(2022年製作の映画)

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沖田修一に青春を撮らせたら間違いないのではないか。

はたしてさかなクンに演技指導は行われたのか?
これは、本作における想像力の核心に関わるという意味で、最大の疑問である。

ミー坊が上京したあと、母
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みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

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冒頭、フランス的としか言いようのない赤を地にしたタイトルロール→キタノブルーを思わせる蒼い宵のなかセーヌ河畔を歩くフェリックスを横から捉えたトラベリングショット→素晴らしい赤いタイトル→電球色の夜のな>>続きを読む

蒸気船ウィリー(1928年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

過剰な細部と野蛮に満ちた7分間