ティムロビンスに激似さんの映画レビュー・感想・評価

ティムロビンスに激似

ティムロビンスに激似

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葛城事件(2016年製作の映画)

3.0

(1)不作為という罪

「不作為」を辞書で引くと以下の通りになります。

法律で問題になる行為の一種。あえて(特定の)積極的な行為をしないこと。(岩波『国語辞典』)

「不作為」は裁判等でよく目にする
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

4.0

<家族という地獄>

家族は一種の地獄です。
親も子供も兄弟も、決して自分で選ぶことはできません。しかも、家族は相互に強い依存関係があります。一旦、家族という結びつきができたら最後、それを解きほぐすこ
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ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

「失せろ、人間もどき野郎」
落書きされたドアを開き、Kは自宅のアパートに戻る。
明かりをつけると、朗らかな音楽が鳴り、奥から女性の声が聞こえる。
「今日はどんな日だった?」
Kは食事の準備をしながら微
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わたしを離さないで(2010年製作の映画)

4.0

ご存知、ノーベル文学賞を受賞した英国の作家カズオ・イシグロ原作。
物語の舞台となる寄宿学校ヘールシャムで、主人公キャシーをはじめとする生徒達は、個性を殺し、身の程を弁え、全体に同化するような教育を施さ
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

5.0

主人公トラヴィスは、「浄化作戦」決行前に自分に関係する人々に宛てて手紙を認める。
一つは両親に、一つはアイリスに。
その中で私が注目したのは、劇中で宛先をはっきり示さずにトラヴィスが書いた、もう一つの
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オールド・ボーイ(2003年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

同窓会の場で、少年時代に何気なく行ったことについて同窓生から指摘される。
それが相手を不快にさせていたことだったり、相手のその後の人生に負の影響を与えていたとすれば罪深い。
ましてや、やった本人は全く
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お嬢さん(2016年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

圧倒的なものを観てしまった…

和洋折衷の荘厳な上月の屋敷には、膨大な蔵書を蓄える蔵がある。
蔵の入り口にはコブラを模した像が鎮座し、その両脇を巨大な本棚で固めた廊下が、奥の広場まで貫いている。

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マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

5.0

彼、リー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)は逃げ続ける。

故郷であるマンチェスター・バイ・ザ・シーに遺した過去から逃げ続け、活き活きとすることからも逃げ続け、目の前の雑務に没頭する。
黙々とアパ
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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

5.0

少年少女による殺人事件がニュースで流れる度に思うことがある。
彼(彼女)が人殺しをせざるを得なかったのは何故なのか。
しかし、彼らが殺人に至った具体的な経緯を知ったところで、彼らの心情は何も分からない
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ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

4.4

セバスチャン(ライアン・ゴズリング)は古き良きJAZZを愛し、JAZZバーを開店することを夢見ている。
JAZZは今、死につつある。だから俺はJAZZを守るのだ!
セバスチャンは自己陶酔しつつ、ヒロイ
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ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)

3.5

見えているようで見えていない。
でもやっぱりこちらを見ている。
そんな盲目の殺人マシーンの目が怖い。
ベッドルームのシーンには、思わず悲鳴を上げてしまいそうになる。

冒頭の荒廃したデトロイトの鳥瞰か
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三匹の侍(1964年製作の映画)

4.0

テレビ局出身の五社英雄の初映画監督作。
今でこそテレビ局が劇場映画を作成することは珍しくないが、当時は画期的な試みだったという。
人が斬られた時のズバッという効果音や、刀と刀がかち合うキュイーンという
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沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

4.0

「ほんの形式だけではないか。」
歴史の教科書で踏み絵を目にするたびに思っていた。
踏み絵を踏めばお咎めなしならば、この場で踏んでしまって信仰はこっそり続ければ良いのではないか。

「形式だけだ。なんの
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人生フルーツ(2016年製作の映画)

5.0

ヒトが生活するとは、なんと愛おしいのだろう。
兎に角、ご出演の老夫婦の生活ぶりが可愛らしい。

ご主人の顔が良い。奥様からも「晩年の方が良い顔してる」と評されるとおり、なんとも言えない良い顔をしている
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エヴォリューション(2015年製作の映画)

2.5

保護者らしき大人の女性たちが、年端のいかない少年たちに投薬しながら「何か」を育てている。

終始不穏な雰囲気の中で、延々と注射・血・手術・ヒトデ・水中・水槽・ヒトデ…そして出産のイメージが連続する。
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この世界の片隅に(2016年製作の映画)

5.0

幼少期の記憶は夢と現実がない交ぜで、実は危険だったり、悲惨なことでも、思い起こせば童話の世界の様になる。
前半で綴られる、すずさんの幼少期のエピソードは、すずさんの想像世界と地続きでピースフルな「思い
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湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

(すみません、批判記事なので悪しからず・・・)

「逃げない」という信念は使いどころを間違えると、取り返しのつかないことになる。
それは「いじめ」という場面である。

娘の安澄はクラスでいじめられてい
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SCOOP!(2016年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

羽根の生えたキューピーのように天衣無縫な都城静は、今や時代に取り残された「中年パパラッチ」。
時折見せる寂し気な表情を隠すように、下卑た下ネタを吐き続ける。
一方で、若さ溢れる「ルーキー」行川野火は、
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ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

あの日あの時、自分が下した「判断」は、果たして正しかったのか・・・。
そんな思いを誰しもが感じたことがあるのではないか。

乗客全員が無事だった。この結果が正しいことは否定しようがない。
しかし、それ
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不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)

4.0

我が心すでに《クー》なり。《クー》なるが故に無。

本作をレビューする皆さんが軒並み《クー》だの《キュー》だの連呼しているので何事かと思ったが、本作を観れば我が心すでに《クー》なり。

広大な砂漠にポ
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アイアムアヒーロー(2015年製作の映画)

4.2

私は原作や、原作者の花沢健吾氏の大ファンなので、本作を原作との対比で語ることをご容赦いただきたい。

原作は主人公や他のキャラクター達の内省的世界を、作者自身のコンプレックスやイデオロギーとともに描き
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岸辺のふたり(2000年製作の映画)

5.0

「レッドタートル」鑑賞後に観劇。もう感激。

影絵のような世界で、娘が自転車で岸辺に向かう繰り返しが素晴らしい。

大風の日の向かい風では一生懸命自転車を押し、帰りは追い風でピューンとひと下り。
雨の
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怒り(2016年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

※原作未読なうえに、批判記事です。不快に思われたらごめんなさい。※

本作のように複数の視点を並行し、群像劇として一つのテーマを描く手法は、ここ数年の日本映画によく見られる手法だ。
例えば、「恋人たち
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レッドタートル ある島の物語(2016年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

レッドタートル「赤いウミガメ」は、「神」である。
神と言っても創造主としての神ではなく、日本のアニミズム的な、妖怪的な位置づけとしての「カミ」だ。

物語の冒頭で島に漂流してきた男がイカダを作って島か
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日本で一番悪い奴ら(2016年製作の映画)

4.0

「ん?なんだよ。何ともねぇじゃ・・・ンギモヂイイイイイイッ!」

本作最大のハイライトはやはりここだろう。
ゾクゾクゾク〜っと、クスリが時間差でキマるこの感じ。
綾野剛の渾身の顔芸が堪能できる。
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GONIN(1995年製作の映画)

4.0

まずオープニングクレジットが痺れる。
主人公の万代(佐藤浩市)が白昼夢から覚めてカーテンを開けると、突如画面がホワイトアウト。
そこから東京湾から新宿に至るまでの空撮と共に、不穏な響きのテーマ曲が流れ
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ハート・ロッカー(2008年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ネタバレはないが、ほとんど映画評と関係ない内容なのでネタバレ設定とした。

ライムスターの宇多丸氏がTBSラジオのコーナーで披露した本作に関する評論に対して、映画評論家の町山智浩氏がTwitterで反
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ロスト・ハイウェイ(1997年製作の映画)

4.0

奈落に落ちていくように、暗闇のハイウェイを進む。
ヘッドライトに照らされた地面とセンターラインが後方に流れていくが、進行方向は真っ暗闇で何も見えない。
「俺は狂ってしまった。狂ってしまったんだ。」
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シャッター アイランド(2009年製作の映画)

3.5

とっても…ドグラ・マグラでした…
ジョンケージの音楽とレオ様の演技が良い感じ。

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

5.0

ゴジラ映画は幼い頃から観ているが、私の興味はゴジラそのものよりも、ゴジラに対抗する兵器であった。
そして、その兵器を運用するのは我らが自衛隊という「組織」だ、という所まではあまり意識してこなかった。
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ガンヘッド(1989年製作の映画)

3.0

小学校1年生の夏休み。父が突然「面白そうな映画がやるから観に行こう」と私を誘った。
その映画が本作「ガンヘッド」であった。
巨大メカを背景に、屈強な色黒の男(高嶋政宏)がポーズを決めてこちらを見ている
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その夜の侍(2012年製作の映画)

3.2

「侍」の語源は主君に「付き従う」を意味する「さぶらう」という説がある。本作の登場人物はこの語源の意味での「さぶらう」侍たちではなかろうか。
荒ぶる主君に「さぶらい」、守ろうとする対象は自分たちの拠り所
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ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)

3.0

本作で印象的だったのは、主人公のドノヴァン弁護士と、CIAのホフマン捜査官の対話だ。

ソ連のスパイ、アベルの秘密を探ろうと、ホフマン捜査官は、アベルの弁護を務めるドノヴァン弁護士に対し、国家のために
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スター・ウォーズ/フォースの覚醒(2015年製作の映画)

3.5

デデーン!と同じみのテーマが流れ、あらすじがスクロールした瞬間に、もう大満足。
個人的には幼い頃に繰り返し観たスターウォーズへの思いは強いので、賛否両論ある旧3部作(EP4〜6)へのオマージュに関して
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アンジェリカの微笑み(2010年製作の映画)

4.0

主人公のイザクの寄宿舎における朝食シーンで、同じ寄宿生の老紳士2人がブラジルから招聘した技師を囲み、粒子から成る物質、そして反物質との対消滅によるエネルギーの発現等の量子力学について語るシーンがある。>>続きを読む

恋人たち(2015年製作の映画)

4.0

本作の登場人物に共通することは「口下手」であることだ。
では、饒舌ではないかというと、そうではない。
彼や彼女らはとても饒舌に、一生懸命、誰かへのメッセージとして、自分の気持ちを「語る」。しかし、その
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