会社のジャンパー着て、太陽に照らされながら自転車漕いで同僚の忘れ物届けに行くことが、世界で一番美しい瞬間に成り得ると信じているから感動する。『ケイコ』に続いて真当な「東京」映画。エンドロールは『耳をす>>続きを読む
ジャースキン・フェンドリックスの劇伴が良い。過去10年の映画音楽で一番くらい。衣裳と美術もナイス。役者の大仕事を笑いに繋げるのがヨルゴスのふざけた良い所。『フリークス』踏襲したサディスティックなオチは>>続きを読む
メディアが人格を侵食し、デバイスが身体の一部になり、現実は誰にも定義されず人の知覚しか存在しなくなった現在において『ビデオドローム』はもう難解ではなくなった事実が一番面白い。思想を持たない人間そのもの>>続きを読む
超能力者が頑張ると鼻血出ちゃう演出の元祖だと思うので、その点だけでも偉い。目に見えない超能力バトルを彩るディック・スミス先生の特殊メイクも凄い。頭が爆発する映画の中で一番面白い。寒々しい景色とショット>>続きを読む
結婚控えた若い家政婦が仕事先で目撃する家庭という地獄。ファルハディの中でミステリー要素が出始めた作品。真偽の揺さぶり方が巧いし、真相の明かし方も「下衆い!」と掛け声したくなる感じで流石。人間のイヤさを>>続きを読む
脚本家としてのファルハディの強さが出始めた作品。登場人物に与える葛藤の作り方がスゲえ巧い。倫理的にどの選択肢も選べない状況をよく考えるなと。話の展開で追い込む前提に人物描写の豊かさがあって、その辺は役>>続きを読む
ファルハディはデビュー作から愛に纏わるハードモード試練を描いてる。割れたガラスの反復が丁寧。荒野で男二人という状況もシュトロハイムはじめ、映画の古典であり王道。蛇との対決とか宗教的象徴も織り込みながら>>続きを読む
「監督」ビヨンセとしても「DIVA」ビヨンセとしても座長力が強過ぎて優勝。てか命が強い。完璧に作り込んだステージ上では神、その舞台裏では悩める創作者、ビーはもう半神半人ってことで。
世界中で戦争してて、生活の不安ばかり抱えなきゃならん陰鬱な「現代」への処方箋として有難く頂戴。何度すれ違っても出逢え続ける愛しい人と優しさと、一匙のチャップリン。
青い夜に爆走する黄色い車、闖入するピンクの暴力、サークは色彩表現だけで満足度カンストしてくる。中盤における死とダンスの暴力的なクロスカッティングは映画史上一番イケてる編集の一つ。それにしてもあの富豪一>>続きを読む
親の務める美大で事務職やってる中年アーティストっていう人物造形に痺れた。壊れた給湯器、羽の折れた鳩、我儘な猫、狂った弟、友人への嫉妬、主人公の満たされなさを表現する術が豊富。その解放の呆気なさに見る清>>続きを読む
フィンチャーが今後もすっとぼけた映画作り続けるならそれは支持したい。殺し屋コントの羅列を大VFX映画にする点は書割世界ハリウッド、ひいてはヒッチコックイズムの真当な継承と思う。
役者が役者の芝居を撮った映画って感じ。キャリー・マリガンの登場場面が何だかとても良かった。
海軍善玉論をよすがに旧陸軍と米軍を雑に排除した「俺たちの戦争」で不能感とサバイバーズ・ギルトを解消しようとする物語に、戦後日本や反戦やゴジラが描けているのかは甚だ疑問だが、永田町から立ち上がるキノコ雲>>続きを読む
戦後日本の戯画として非常にまとも。鬼太郎のエピソードゼロを『犬神家の一族』と『儀式』掛け合わせてノワールにしようと思った企画力で勝ってる。『総員玉砕せよ!』の引用で水木しげる論にもなってるのが周到。大>>続きを読む
回転数遅くなったいつものスコセッシ映画に前妻デ・ニーロと今妻ディカプリオ集合って感じ。加害の歴史を扱う上で省略を避ける誠意は感じるが流石に鈍重。
狂人主観をやり切っていてスゴい。映画という表現形態は狂気を描くのにすこぶる便利。今作は混沌を全うしてたけど、同じ表現方式で普通に感動させた『ファーザー』って改めて良い映画だったな。
結局これが最高。映画100本観るよりこれ100回観た方がQOL上がる。休む間もなく奇人が登場し続ける映画は面白いに決まっている。終始フザけたことやりながら、最後は堪らなく寂しい。猫に振り回されるような>>続きを読む
プロットが狂ってる傑作。どういう話か知らずに観たからジャンルの飛躍にブチのめされた。コヴァックスの撮影もヤヴァい。画面に狂気を映せているアルトマンの演出力バリ高。
もはや何をやってるかさっぱり分からない。今まで撮影監督バフ掛かってたのもバレちゃった感がある。取って付けたようなデ・パルマの真似も何だかな。
元祖メガミックス映画。サイレントでありながら音楽的な映画としか言えん。モンタージュが生み出すグルーヴが厳ちぃ。マジでカッコいい映画である。
チェス狂を中心に人々がどんどんチェス狂いになっていくSF短編集的パンデミックコメディ。一緒に狂った方が楽しかった、というオチは真理。服から次々と出て来る子猫が可愛い。
時勢に対して何が云いたいかは分かる。意味性が強くてSNLコントの豪華版という感じにしか観えなかった。クライマックスはビリーの歌に乗っかり過ぎだが、あれは良曲です。
でかマフラー女子萌えという概念と遊戯する素敵なラブコメ。モーションの豊かさと胸キュンアイディアの集積がエンディングへ突き進む感じが最高である。
少年編終わってキューバ・グッディング・Jr.出て来た瞬間、老け顔過ぎて全然ティーンエイジャーに見えんくてビビった。20代監督の撮ったフッド物としてエポックな作品だとは思う。
良くも悪くも大変マジメな少年成長物語。相棒にイノセント象徴させ系プロットを真っ当にやってる。チャステインがトランプの姉貴を嬉々として演るという出オチギャグがある。
既に幽閉された純粋悪から外界へ悪意だけが感染するという90年代サイコホラー的世界の原点。前作を超える完璧な発狂オチ。
余りにもラノベな展開に打ちのめされる。大林映画にも通ずるし、新海汁の源泉と云っても過言ではない。いつの世も時空超えロマンスはボンクラの心躍らせる。
面白えけど流石に長い。特に第一部。混沌主義なマブゼ的悪役という雛型を作った功績は素晴らしい。あと発狂エンドってイイよね。
子供パートの輝きに対して大人パートがそこまで。良くも悪くも俳優部の能力に乗っかってる。あからさまで仄めかしになっていない愚かさの根源も結局は定型に留まってる感じ。大人たちと違って同じ世界を見れている子>>続きを読む
とにかく画面上の表現力が過剰で満足。いくらなんでもスパイダーマンの自己言及的な話が長すぎる。今スーパーヒーロー映画はそれしかやることないからだけど。それでも美術とデザインの圧倒的勝利。ホービーがずっと>>続きを読む
相米なりのハワード・ホークス感なのかと思う。海面下にモノホンのマグロが見える瞬間の凄味は流石。急なスプラッターも過剰で好き。元妻と豪雨の中、無言で追いかけっこ始まる瞬間が最高。『幻の湖』かよと。花火を>>続きを読む
撮影バッキバキ映画史に残る画面の格好良さ。光と影のコントラスト見てるだけでご飯3杯食える。闇の中に白く浮かぶイネスの顔の良さもスゲえ。ライティング神。横移動、トラックアップ/バックなんかもイケてる。要>>続きを読む
「風が強過ぎて気ぃ狂うぞ!」って脅されたリリアン・ギッシュが言われた通り狂って行く凄まじい風映画。暴風の演出がエクストリームでヤバ過ぎる。リリアンも「撮影マジしんどかった」と回顧しているがそらそうだろ>>続きを読む
「男女と犯罪」のモチーフで改めて映画を作るゴダールの自己更新。銀行強盗の銃撃戦がほんと映画的。黒沢清がいつもやりたがる銃撃戦のそれ。クタールの光のとらえ方にも感動するしゴダールのビジュアルデザインはや>>続きを読む
ロッセリーニ原作の戦争寓話だが如何にもゴダールな瞬間も。初めての映画体験の見せ方には本腰入れてるのが彼らしい。無知の者による子供のいたずらのような暴虐が結構怖い。