TaiRaさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ダーククリスタル(1982年製作の映画)

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造形と操演が凄すぎて典型ファンタジー過ぎる物語に目が行かない。主人公はちょいキモだがヒロインはかわいい。手繋いだだけで記憶共有して背景説明出来ちゃうの便利過ぎ。世界の命運を握るクリスタル探すミッション>>続きを読む

午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

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ミカエル・アースのテーマ毎回同じな気がする。別れと喪失から再生を繰り返すのが人生。他人と心通わせる一瞬こそが尊いのよ。人が深夜ラジオや映画に勝手に救われるのも前作のラストに通ずる。ただ前作の方が強度は>>続きを読む

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

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家事はヤバいという共通認識に訴え掛ける怖い怖い映画。萩原聖人が出て来ないだけの『CURE』。人は放っておくと狂う。ミニマルな日常がバグっていく様が怖い。3日目で新しいカメラ位置からのショット入れて来る>>続きを読む

素晴らしき放浪者(1932年製作の映画)

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『牝犬』姉妹編。ミシェル・シモンの身体性が素晴らしい。家の中の彼方此方でデタラメに動く身体の見事さよ。プチブル・インテリの中に紛れ込む野蛮な聖者。ルノワールのアナキズム喜劇。チャップリン起点でヒッピー>>続きを読む

フレンチ・カンカン(1954年製作の映画)

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ダンパでのナンパから芸道一直線の大映ドラマみたいになって最後はウルトラハッピーなザッツ・エンターテインメントしてる傑作。ルノワールのわちゃわちゃした集団演出はいつも楽しい。人としての幸福を捨てて芸能に>>続きを読む

フェノミナ(1985年製作の映画)

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要素が多過ぎて一本の映画観た気がしないのが凄い。テレパシー美少女が昆虫探偵になって連続殺人鬼を追うってだけでも味濃いのに、復讐に燃えるチンパンジーとか一体何なんだろうか。アルジェントとか大林宣彦とか頭>>続きを読む

ちひろさん(2023年製作の映画)

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有村架純の幽霊性が映画ヂカラを上げている。人生の教則として人を選べっていうのは真っ当。人付き合いにまつわるほのぼのした話ではない。『千と千尋の神隠し』で愚かな親のために奪われる名前を自分につけてやる。>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

5.0

スピルバーグが「映画」の生前葬してくれた。彼以外に喪主出来る人いないわ。映画が何たるかを1から10まで教えてくれる。映画は模倣で始まり模倣で終わる。この映画自体がメタ構造になっていてそういうギャグも入>>続きを読む

バニシング・ポイント(1971年製作の映画)

5.0

車で走り切って死ぬだけで人生を問うて来る99分の哲学。ニューシネマとか70年代とか、これ一本で説明つく。無意味に慌てふためく社会と、どんと構える無の荒野が対照的。太陽へ向かって走り抜いた白いチャレンジ>>続きを読む

アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

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歴史に記されない、忘れられた女たちに寄り添う物語の尊さ。ジョージ・ミラーがわざわざ物語論を語ってくれる有り難みを感じつつも、映画としての遅さに程よく退屈したりする。物語を介して絶望や孤独にアクセスし、>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

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やろうとしてる事は面白いけどやるべき事を精査し切れてない感じがした。もっと短くして一件目の事件だけで話作った方が良かったのでは。構成がアンバランスなのも気になる。観ていてどのくらい話が進んだのか分かり>>続きを読む

バビロン(2021年製作の映画)

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セルアウトしちゃったチャゼルの焦りが出ちゃってる感じ。頑張って奇才になろうとしてる凡才感が切ない。大作とか人間ドラマとか向いてないから面白ジャンル映画撮りに行けよ。ハリウッドの刹那的な祝祭感を撮るには>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

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ダニエルズのエモエモ作風は好きじゃないけど、今回は全部過剰だからまだマシに見えた。パロディとナンセンスギャグでデコった人情SF。『クレしん』映画とかに近い。多元宇宙というより内宇宙の話にしてて、その辺>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

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政治的スタンスは置いといて、やっぱ『ドラゴン怒りの鉄拳』フォーマットの強度は高いな。アメリカでウケたのみんな大英帝国嫌いだからじゃね。全体の流れがすれ違いラブロマンスとほぼ同じでワロタ。二人が仲良くな>>続きを読む

恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)

5.0

この後に大量に作られたループもののフォロワー作品より圧倒的に良く出来ているし、これで全部語られている。ループをギミックとしてでなく使えたのはこれぐらいじゃないか。『トワイライト・ゾーン』的なSF小噺で>>続きを読む

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

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子供の頃の親と友だちになれるだろうかって誰でも考えたことあるのではないか。親子間の叶わぬ理想としての親友像。その健気さが愛らしい。子供にとって祖父母の死を体験することは、必然的に親の死を考えるきっかけ>>続きを読む

スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

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寓話とわざわざ言うのも分かる。夢の中みたいな話で、実在のダイアナというより有名キャラクター「ダイアナ」の二次創作。ララインの過去作に比べればそんなにピンと来ない。クリステン・スチュワートのダイアナ演技>>続きを読む

マグノリア(1999年製作の映画)

5.0

一個一個のエピソードは大したことないのにもの凄い壮大なドラマに見える演出力というか力技が改めて凄い。怒涛の人物紹介や場面整理が普通に上手いし、それをやる上で適切なキャラクターの味付けがしてある。みすぼ>>続きを読む

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

5.0

頭ん中グチャグチャの男をそのまま映画が体現してる。映画の登場人物が日常の中に異物として混入している感覚を出すのが上手い。姉貴が仕事場に友だち連れてくる場面で恐喝電話と仕事仲間の事故が同時発生する混沌が>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

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スラダン知識絶無で観に行ったけど、ちゃんと説明してくれたから良かった。ミーム化されてる名シーンの出処を初めて知ったりするレベル。井上雄彦がめっちゃ映画うまい。空間と配置と運動の映画。山王戦がシンプルに>>続きを読む

かがみの孤城(2022年製作の映画)

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「孤独」は時代や場所を越えて共有出来るから大丈夫という優しさが泣ける。『カラフル』の時も早い段階で構造が分かっちゃったけど、今回もそうだった。もったいぶらなくても良いのに。アニメーションとしては凄く地>>続きを読む

ブギーナイツ(1997年製作の映画)

5.0

劇場で観賞。無修正版だからデカチン(作り物)を観て感動できたよ。

久々に観直すと20代のポール・トーマス・アンダーソンの才気走り方に感嘆する。今では適当さも身に着けて最強に近いがこの当時は全部マジっ
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

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映画というよりVRとかの方向性で面白い。物語の表現フォーマットとしての映画とは別枠。

前作から引き続き古臭さの踏襲が続いて、いきなり「インディアンの大列車強盗」場面から始めてる。相変わらず原住民と侵
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按摩と女(1938年製作の映画)

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清水宏の牧歌的な作風とドライな語り口でハードボイルド入ってるとこ好き。

温泉街での按摩と女と子供の出会い。流れ者たちの刹那的な共鳴が尊い。ハイキング学生=チャラい奴らという記号性が時代を感じつつ、コ
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スチームバス/女たちの夢(1985年製作の映画)

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遺作が100%女優だけの女性映画になるロージーの凄み。

劇作家のネル・ダンが脚本なので演劇的な映画ではある。サウナという限定空間から出ずに女たちそれぞれの生き様を会話から表出させる作劇。サウナ内で上
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EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

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20世紀最後の日本映画って感じ。役所広司の善悪曖昧な脆さを体現する芝居が上手過ぎる。

色んな国のニューシネマの集合っていう印象。こういう演出エドワード・ヤンとか侯孝賢の映画で観たな、とか後半からヴェ
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グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

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凄く真っ当な寓話。首チョンパ映画だけど子供に観せて良いくらい教育的。

原作『ガウェイン卿と緑の騎士』から結構脚色しているみたい。主人公ガウェインが生粋のボンクラ男でモラトリアムを謳歌してると、緑の騎
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マッドゴッド(2021年製作の映画)

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フィル・ティペット渾身の地獄絵図で目が楽しい。

公式の対談でティペットが「同じ卵から生まれた」と評した堀貴秀の『JUNK HEAD』と共鳴するとこが多くて驚く。ストップモーションアニメ作家が個人で映
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

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ボクシングの映画でも聾者の映画でもなく、ケイコという人間の生きっぷりを見せる映画で感動した。

三宅唱の映画で音楽がかからないのは意外だったけど、今までで一番音楽的とも言える。ジムで鳴る音の集積で奏で
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窓辺にて(2022年製作の映画)

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吾郎ちゃんに当て書きしてるだけあってハマりが良い。感情凪人間なので一定の共感も。

このタイトルにした上でちゃんと窓からの光が綺麗に見えるのは律儀で好き。基本的に天気が良い映画。公園の場面もそれだけで
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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

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チャドウィック=ティ・チャラが亡くなった事で映画としては難しくなったと思う。追悼に振り切ったのは良いけど、それにしては長い。

ワカンダ対タロカンのモヤモヤする同士討ち感で、全くカタルシスを得られない
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

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新海誠の価値観が濃くなると胃もたれする。

プロットだけ見るとミニシリーズとかにしたほうが納まりが良さそう。日本各地の被災地へ赴き、忘れられた記憶巡りして6話くらいで終わるやつ。そのくらいがちょうど良
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ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還(2003年製作の映画)

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3時間以上掛けて主人公が衰弱していく様を観る変な映画ではある。

三部作の最終作がちゃんと面白かった初めての例かもしれないと考えると、やっぱこのプロジェクトってよく出来てたんだなと思う。初見時はフロド
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たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

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社会や環境が汚染されている事を内面化して過剰に絶望しちゃう鬱映画。一周回ってZ世代っぽい。

スラッとした美青年たちが舗道をコツコツと歩いてる姿と音が単純にイケてるのがブレッソン的。政治集会や環境問題
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湖のランスロ(1974年製作の映画)

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ブレッソンによるスプラッター時代劇。森を駆け抜ける馬の疾走よ。

アーサー王伝説とか聖杯とかどうでも良くて、オタサーの姫に掻き乱される男集団の自滅と内ゲバを血みどろゴア描写で見せる異様な映画。この題材
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ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔(2002年製作の映画)

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「今度は戦争だ!」を地で行くので爆上がりした記憶がある。こっからファンタジー映画と一緒に戦記物も流行ったな。

途中で始まって途中で終わる映画を初めてみたのは『二つの塔』だった気がする。当時、SWにノ
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