オリヴェイラはこんな愛らしい作品も撮ってたのか。
子供たちが生み出す画面内運動の瑞々しさ。特に前半の躍動感は節操ないほど。彼らの姿から清水宏作品を思い出した。
女の子の人形の移動はそのまま贖罪のプロセ>>続きを読む
この監督の作品は初見だったが、映画内の虚構と現実があやふやになっていく語り口は面白い。夢現に生きるのもありじゃん、と思わせてくれる。影絵と共演するとこはアツイ。
麻生久美子が切り持つ居酒屋のシーン、古>>続きを読む
この監督本当はスパイ映画を撮りたかったんじゃないかと感じた。
ミッションインポッシブルのオマージュはさて置き、イージーライダー世代、JB世代、ライオネルリッチー世代にも訴求する音楽的射程の広さと、ホー>>続きを読む
こちらは上流階級の屋敷が舞台で、文学を重要なテーマとして据えており、ルノワール「ピクニック」まんまの引用が現れたりと、ヨーロッパ映画の雰囲気が充満。
新聞社長の夫を持つ、暇を持て余したマダムの外界に対>>続きを読む
何人かの方が指摘している通り、インド版成瀬映画といった雰囲気を感じる。50年前のインド映画と聞くと保守的かと思うが全くそんな事なく、非常に洗練されている。
ミシン訪問販売の営業員として地位を上げていく>>続きを読む
孫とはぐれた下痢のヒステリック婆さんと、認知症の祖父とはぐれたネトゲ少年。
二人は他に二つの喪失を抱え、それぞれ三重の孤独を味わうことになる。
途中ちょっとくどいが、敢えてそこから撮るのか、みたいなカ>>続きを読む
新訳のカフカ「訴訟」を丁度読んだので観てみた。
セットの作り込みようがまず目を引くし、その映し方も奥行き感じさせられる。団地バックに女性が荷物を引くシーンの長回しなど。超速な編集も際立ってて、警官が罰>>続きを読む
夏、バンド、ヨット、童貞…など青春映画らしい要素に埋め尽くされてるにも関わらず、何と無く空は曇天に見え、鬱々とした雰囲気が漂う。
1971年という、学生運動が衰退し行き場を無くした若者達の閉塞感の所為>>続きを読む
恵比寿のクストリッツァ特集にて。結構ウトついてしまったので正当な評価ではない。
フェリーニ+ジプシー音楽+ゴッドファーザー+マジックリアリズムな印象。昔観た「アンダーグラウンド」の微かな記憶からハッピ>>続きを読む
シネマヴェーラにて。
大傑作「(秘)色情めす市場」(2回目の鑑賞だったが更に魅力的に見えた)直後に観たというのもあるが、延々と映される若者3人組の性春模様に締まりが無くなかなか厳しいものがある。再開発>>続きを読む
まず、あんまり溝口っぽくない、成瀬っぽいと感じた。構図はやはり素晴らしいものの浮遊するカメラが見当たらない。
「祇園の姉妹」と同種のテーマだが(連続柏手シーンがここでも)、比較するとまだ救いようがある>>続きを読む
速い、速すぎる。そしてとにかく面白い。
嵐のような台詞の応酬は、ややもすれば退屈な会話劇に成り下がってしまいそうだが、煙草や切符、電話などの小道具を用いて画面的な情報も充実させたり、市長選や殺人事件、>>続きを読む
オリヴェイラ特集@ユーロスペース1本目。
様々な聖書や文学のモチーフを「精神を病んだ人達」に託し、あくまでCommediaとして再構成した変な作品。大部分は患者たちの「キリストごっこ」。
ドストエフス>>続きを読む
満員のイメフォで鑑賞。
「何これ…」という新感覚。
どこまでも長閑で異常。記録より記憶に残る、ドープ過ぎる映画。
「軟膏」というアイテムにここまで異常性を持たせるの凄いし、あのタイトルクレジット出る迄>>続きを読む
敗戦後のベルリンで貧困に喘ぐ一家の悲劇。生きるか死ぬか、盗るか盗られるかの世界で生きる少年の閉塞感、悲哀を見事にフィルムに刻んでいる。
他の子供達の輪にも入れず、エドムントは荒廃した街中を徘徊したり、>>続きを読む
芸妓姉妹が直面する女性の生き辛さ。
軽いノリで終わるかと思いきや、全くそんな事はなかった。山田五十鈴(19歳)の名演とラストの音楽で一気に突き放しにかかってくる。
やはりカメラが面白い。冒頭の室内横移>>続きを読む
念願のスクリーンでの鑑賞!UPLINKありがとう。
「フルスタリョフ、車を!」と同じく一人の主人公格が意味不明な言動をひたすら続けて行くという構造だが、やはりそれらの動機が殆ど分からず、完全に置いて>>続きを読む
倦怠期のブルジョワ夫婦が別荘を売りにイタリア旅行しに来て観光したり不倫し損ねたりする話。
バーグマンの視線を楽しむ作品。その対象は彫刻だったり遺跡だったり街頭の人々だったりだが、何を見ても夫の影を拭い>>続きを読む
人間と動物、肉体と幽霊、聖と俗、現実と虚構といった対立項が恐ろしくマイルドに融け合っている様に驚嘆。
果てには、今ここにいる、という実存の境界線さえ無効化されていく世界。
一家が精霊達と夕飯を囲む箇所>>続きを読む
「心臓が透けて見えるぜ、真っ青だ…」
最高にアングラしてる。
「殺しの烙印」の前衛ハードボイルド路線を踏襲しているようで、ダリっぽい荒野に置かれた時計やブニュエルぽい死体に群がる虫のイメージはシュルレ>>続きを読む
ある監督の4日間の滞在が永遠に反復されていきそうな、不思議な時間軸を持った作品。
男性が女性に出会い、別れるという普遍的なドラマのパターンを使って男女の関係を同じ状況で変奏していく。ドラマを真面目に語>>続きを読む
「兄弟愛」のような安易な言葉を超えた、遺伝子レベルでの愛着みたいなものを感じる。
必要以上に兄を恐れてコミュニケーションを拒絶する弟は、「村に女性が少ないので」独身を貫きつつも、羊達の生殖を嬉々として>>続きを読む
姦通容認論をのたまう山村聰に反発し、「恋人は武蔵野という土地です」みたいなキャラかと思われた森雅之が、アグレッシブに姦通を試みてる様に、笑ってしまうと共に不信感が募る。
田中絹代も旧来の土地と道徳に縛>>続きを読む
これまで観たサーク映画の中では最も陰鬱なトーン。
飛ぶ事に取り憑かれたパイロットとその妻、盟友である整備士、その様を取材しながら妻に惹かれていく新聞記者、といった登場人物達は皆心理的に孤独を抱えており>>続きを読む
声に出して読みたい邦題。
20年代米、復員兵達の栄枯盛衰。キャグニーとボギーなのにイマイチ乗れず。プリシラ・レーン演じるヒロインにときめけなかったからだろうか。彼女の歌うMy Melancholy B>>続きを読む
この映画の非常に長いカットの数々では、ウォーホルの実験映画かと思うほど何も起こらない。人物は館内中をウロウロしたりソワソワしたりするのみ。映画館で観られることを想定して、「今自分は映画館にいる」という>>続きを読む
ブルーフィルムの監督を演じるは岸田森。神代辰巳の想いを代弁するかのごとく、映画に対する持論を吐露しまくるのが結構泣ける。
「芸術作っとるんじゃ」と言いながら谷ナオミを手篭めにしてしまう自室のシークエン>>続きを読む
既婚男女の恋愛模様をコミカルに描く。
花、上着、帽子などの仕掛けが効いてる。人物の表情を映さずに逢引の場面で脚だけ映したり、仲睦まじさを表す場面で朝食だけ映す、みたいな画面外の演出が上品。
流石ルビッ>>続きを読む
ジョーン・フォンテイン(「断崖」でも同じ役割)の居心地の悪い表情や不吉なモチーフを頻繁に挟むことで、不安感を絶妙に盛り上げて行く上手さに尽きる。
プロポーズ時に二人が別の部屋にいる、という違和感をさり>>続きを読む
園子温作品は面白いけど、「映画」とは認めたくないみたいな節が少しあり、そういう眼を捨てて楽しもうという姿勢で観てる。
案の定脚本も演出も構図もへったくれもないが、ラップ×ミュージカルというジャンルの新>>続きを読む
フェリーニの極私的ローマ観、過去と現在。
猥雑で喧騒に満ちた過去のイメージの数々には、恐ろしく「生」が充満している。アパート、ショー、娼館などで登場する無数の登場人物たちは強烈なインパクトを残して1度>>続きを読む
同監督の「アメリカン・スリープオーバー」が傑作青春映画だったので気になって鑑賞。
冒頭のアメリカ郊外型住宅群とダサいシンセ効果音で、一気に「ハロウィン」的ホラー世界に吸い込まれる。
過渡期にある少年少>>続きを読む
一人の女=ローレン・バコールを巡ってかつての親友同士がバトる話。
他のサーク作品に比べて台詞回しにハリウッドっぽさを感じる。そして他より性的に露骨なのはドロシー・マローンの所為だろうか。鏡の多さも特筆>>続きを読む
コメディおいて爆発という現象は常に正しい。
狂言ミュージカル(楽曲らしきものはほぼ出てこないので、リズム活劇とでも呼ぶべきか)という前衛さと、職人芸的な編集・精緻さ、それら全てを飲み込む偉大なるエンタ>>続きを読む
サーク晩年作の崇高さは薄れるものの、安定した巧さとユーモアで軽く楽しめる。
「金より大切なものがある」みたいなよくある主題ではあるが、家族の物語に加えて、外に出ることさえ億劫だった富豪の老人が窓から飛>>続きを読む
高級娼館の盛衰とその中で生きる女性達の悲喜。「赤線玉ノ井 ぬけられます」のような力強さとは対極の、脆弱で退廃的な世界。
台詞やシーン自体の反復は、その耽美的な瞬間がいつまでも続くかのような錯覚を生む。>>続きを読む