老婆は出てこない。ん、と思って調べたら、どうやら芥川の『羅生門』だけを下敷きにしたわけではなく、同氏作『藪の中』を融合した形で映画化したという。
冒頭の引き込み方から光の陰影を中心とした映像美、複雑>>続きを読む
奇跡に近い映像美に、全振りした黒澤作品。
作品は嘘をつかない。
アンビエントで胸焼けするほど綺麗な光景に、当時の黒澤監督の胸中を計り知る。
春の河での解氷の移動、野生の虎、赤い太陽と青い月など、>>続きを読む
日本の映画の完成形のひとつやろコレ。
幕末志士の如く、それぞれ主義は違えど、全員が日本のために命を賭して汗と血を流す映画。
おっちゃんから若い兵士まで、みんな死ぬほど葛藤し続けてた。
扇風機を戦闘機>>続きを読む
エイダにとっての言葉はピアノであり、突き詰めればピアノ自体がエイダの分身。
最初は野蛮な動機ながらも、彼女の言葉≒ピアノを聴こうとし、自分に触れてほしいと迫るベインズは、ピアノ、即ちエイダと同値にな>>続きを読む
ただ瞠目し、素直に「観てよかった」と言える。
鑑賞中は力が入るも、観終われば途方もない脱力感に襲われる。これが心地良い。
本当にいい映画というものには、視聴者の姿勢を正し、時間を忘れさせ、雑念を全て>>続きを読む
初ウェス・アンダーソン作品。
俗に言う"ウェス・アンダーソンすぎる風景"とは何なのか、古い監督作から順に見ていって解きほぐそうという、独自の企画。
本作は監督、弱冠27歳にしての初監督作品。
所謂">>続きを読む
ドイツでは、民放にてCMによる中断無しで流す、唯一の映画だという。
序盤から中盤にかけて、特にゲットー解体のシーン(病院での遺体損壊、親子の惨殺、隠れているユダヤ人への一斉射撃など、キリがない)は胸>>続きを読む
孤高の画家、ピロスマニの半生を描く。
どこか斜に構え、世を拗ねたように生きる彼に対し、この映画をわざわざ選んで観る視聴者は、少なからずフィルムの中に自分を見出すと思う。
お話としては特段面白くはない>>続きを読む
おらゆる要素が、奇跡的な匙加減で重なり合って、絶妙な塩梅でめちゃくちゃおもんなくなっている。全て中途半端。
原作はラスコーリニコフが私怨関係なく殺人を犯したから意味があるのであって、私怨関係してもう>>続きを読む
結婚式に始まり、葬式に終わる。
ロシアンルーレットよろしく、6人(6発)の友人のうち、1人が死ぬ額縁構造。
物語の緩急の鋭さは、銃弾によって一瞬で生から死へ転落するかの如く。
「冠婚葬祭」という不>>続きを読む
脚本に隙がない。自力で100%考察できる人おるんかコレ。さらに画的な面白さも両立しており、映画一作目にして、その異常なまでの計算高さ、完璧主義を垣間見る。自己満の域は、既に変態的なレベルに達している。>>続きを読む
オクタビオも、バレリアも、エル・チーボも、本作の主人公格でありながら、一度も面識を持っていない(作中の事故で交錯するも、認識はせず)。
自分が作るとしたら、"トゥルーロマンス"よろしく、絶対にクライマ>>続きを読む
ディールズ保安官を、当時のアメリカそのものとして見立てて鑑賞した。その強引さ、傲慢な態度は特に。
アクションシーンの爽快さと、ランボーの異常なまでの復讐心に時々吹き出してしまうも、最後の涙の長台詞には>>続きを読む
20歳前後くらいの人は、誰しもこんな映画を撮ってみたい野望があるんじゃなかろうか。まさにそれを具体化された感覚。
しかし豊田監督は、本作を34歳にして作り上げている。その事実に、言い得ぬ希望を抱いた。>>続きを読む
高倉健の色気と、田中裕子の色気がぶつかる。
それは、近年のインターネットに溢れる美男子、美女とされる大半が霞む程。
美における品格について、その重要性を学ぶ。
人間の"情"が、敦賀の雪景色の中、粛々>>続きを読む
音楽も台詞も登場人物も、動的なものは全てミニマムで、風景や写真などの静的なものに、ヴィム・ヴェンダースは多くのものを託している。ロードムービーの定義が、やっと自分の中で定まってきた気がする。あとアリス>>続きを読む
アリエッティに続き、米林監督のこちらを鑑賞。またもや、病弱な主人公を中心に、サナトリウム的片田舎での物語が展開される。
あんまり面白くなかった、、
ここからの感想は、すべて「本作がジブリ作品である>>続きを読む
朝7時起き、通勤ラッシュに揉まれながら電車で京都へ向かい、出町座にて鑑賞。
孔子の教えが底にあり、若干の説教臭さを感じつつ、中盤までの情報量の多さ、脚本の緊密さに飲み込まれそうになるも、スラップステ>>続きを読む
誰しもが新しい風を感じ、熱を帯びた古き良き時代。
宮崎吾朗に対し、若干の七光り的な捉え方をしていた過去の自分を恥じる。彼は当時について真剣に想いを馳せ、綿密に下調べし、生きた人間に向き合っている。創造>>続きを読む
いやええ感じにしとるけども!!!松野くんやろが!!!!
これが大人になるということなら大人になりたくない!!聞いてるか杜崎!!!
変なとこリアルにせんでええねん!!
公開してからずっと観たかった映画。近場に劇場が無いため、レンタル開始してすぐに視聴。
旅における一過性という特質の、良い面と悪い面をたっぷり味わえる。オチは想像つくが、何よりもそこに至るプロセスが心>>続きを読む
生まれ年に公開された邦画。
松たか子大好きなのでいくらでも観れる。ガチの家族(松本幸四郎を含む)が出演しててバビる。ええ関係性の家族やね。
何をするにも身の丈が合わず、何をするにも恥ずかしさが伴った>>続きを読む
"拗らせ天才文化人"と巷では悪名高いダーレン・アロノフスキーの最新作。
"レスラー"に続いて、孤独な巨躯をじっくり観させられるのは2回目。
ほぼ完全無欠。舞台設定から登場人物、脚本から台詞回しまで、>>続きを読む
アクション全振りのスカッと戦争映画。
戦争の残酷さやエグみは殆ど無いところが、同じく戦車の格好良さを描く"FURY"とは異なる点。時系列的には、本作の攻防の後、米軍が介入しドイツ軍に立ち向かう流れか>>続きを読む
川を上るに連れ、段々と理性が崩壊し野生になっていく。その到達点にはカーツ大佐が待ち受ける。
終わりは派手に崩壊するのではなく、密やかにメソメソ続く。デニス・ホッパー演じる狂気の報道写真家の発言が、カー>>続きを読む
8時間は観れる。
2016版と比べ、より物語の解像度が上がった。
白木リンという存在の位置付けが変わる。
戦争は居場所を奪う。当然、誰もが居場所を求める。そうして得られた居場所は、望む望まぬに関わらず>>続きを読む
"火垂るの墓"と連続で鑑賞。荒んだ心が、少しだけ癒される。本作を後に観てよかった、、
"この世界の片隅に"と陰陽の関係にありながらも、ともに真実の匂いがする。
それは、両作が徹底的な取材と細やかな心>>続きを読む
パワーで泣かされる感じ。
コレ見た後に飯モリモリ食えるような鋼メンタルになりたい。
バーバラ・ローデンが監督/脚本/主演を務めた、アンチハリウッドを掲げた作品。
所謂 "白痴美" を具体化したような、受動的で性に奔放な姥桜の女性、Wandaの放蕩を描く。
"as it actuall>>続きを読む
試写会で、宮崎駿がアタマからずっと泣き続けていたという噂の大作。
小さい頃に実家にVHSがあったものの、何となく説教臭さ(ほぼナレーションの時点で仕方ない)と画的な怖さを感じ、途中でやめた記憶。やっと>>続きを読む
今見返すと、思ったよりCGを使っていてびっくりした(バレないようにしていない)。特に海。
最後には全ての登場人物(千尋の母は除く)が大好きになる。
終盤の沼の底駅からのくだり(銭婆に会いにいくところ)>>続きを読む
宮崎駿監督作品の中で、ずっと1番好きな作品。
シータの魅力は1日語っても足りない。
ジブリ作品第1回ということもあって気合は桁違い。純粋な創造力が、心を掻き立ててくれる。
久々に見返すと、ラピュタの作>>続きを読む
キキが大人になったから、ジジとはもう話せないのか。
名前が与えられていない、あの上品な「老婦人」。彼女がキキにケーキを渡すくだり、あそこは台詞回しも含め、単純でやや臭い演出なはずなのに、毎度うるっと来>>続きを読む