Ganさんの映画レビュー・感想・評価

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羅生門(1950年製作の映画)

3.8

老婆は出てこない。ん、と思って調べたら、どうやら芥川の『羅生門』だけを下敷きにしたわけではなく、同氏作『藪の中』を融合した形で映画化したという。

冒頭の引き込み方から光の陰影を中心とした映像美、複雑
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デルス・ウザーラ(1975年製作の映画)

4.0

奇跡に近い映像美に、全振りした黒澤作品。

作品は嘘をつかない。
アンビエントで胸焼けするほど綺麗な光景に、当時の黒澤監督の胸中を計り知る。

春の河での解氷の移動、野生の虎、赤い太陽と青い月など、
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日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

4.5

日本の映画の完成形のひとつやろコレ。

幕末志士の如く、それぞれ主義は違えど、全員が日本のために命を賭して汗と血を流す映画。
おっちゃんから若い兵士まで、みんな死ぬほど葛藤し続けてた。
扇風機を戦闘機
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ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

4.3


エイダにとっての言葉はピアノであり、突き詰めればピアノ自体がエイダの分身。
最初は野蛮な動機ながらも、彼女の言葉≒ピアノを聴こうとし、自分に触れてほしいと迫るベインズは、ピアノ、即ちエイダと同値にな
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さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)

4.5

ただ瞠目し、素直に「観てよかった」と言える。

鑑賞中は力が入るも、観終われば途方もない脱力感に襲われる。これが心地良い。
本当にいい映画というものには、視聴者の姿勢を正し、時間を忘れさせ、雑念を全て
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アンソニーのハッピー・モーテル(1996年製作の映画)

3.8

初ウェス・アンダーソン作品。
俗に言う"ウェス・アンダーソンすぎる風景"とは何なのか、古い監督作から順に見ていって解きほぐそうという、独自の企画。
本作は監督、弱冠27歳にしての初監督作品。

所謂"
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シンドラーのリスト(1993年製作の映画)

4.3

ドイツでは、民放にてCMによる中断無しで流す、唯一の映画だという。

序盤から中盤にかけて、特にゲットー解体のシーン(病院での遺体損壊、親子の惨殺、隠れているユダヤ人への一斉射撃など、キリがない)は胸
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放浪の画家 ピロスマニ(1969年製作の映画)

4.0

孤高の画家、ピロスマニの半生を描く。

どこか斜に構え、世を拗ねたように生きる彼に対し、この映画をわざわざ選んで観る視聴者は、少なからずフィルムの中に自分を見出すと思う。
お話としては特段面白くはない
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罪と罰(1983年製作の映画)

2.9

おらゆる要素が、奇跡的な匙加減で重なり合って、絶妙な塩梅でめちゃくちゃおもんなくなっている。全て中途半端。

原作はラスコーリニコフが私怨関係なく殺人を犯したから意味があるのであって、私怨関係してもう
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ディア・ハンター(1978年製作の映画)

4.8

結婚式に始まり、葬式に終わる。

ロシアンルーレットよろしく、6人(6発)の友人のうち、1人が死ぬ額縁構造。
物語の緩急の鋭さは、銃弾によって一瞬で生から死へ転落するかの如く。
「冠婚葬祭」という不
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ブラッドシンプル ザ・スリラー(1999年製作の映画)

3.9

脚本に隙がない。自力で100%考察できる人おるんかコレ。さらに画的な面白さも両立しており、映画一作目にして、その異常なまでの計算高さ、完璧主義を垣間見る。自己満の域は、既に変態的なレベルに達している。>>続きを読む

アモーレス・ペロス(1999年製作の映画)

4.5

オクタビオも、バレリアも、エル・チーボも、本作の主人公格でありながら、一度も面識を持っていない(作中の事故で交錯するも、認識はせず)。
自分が作るとしたら、"トゥルーロマンス"よろしく、絶対にクライマ
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ランボー(1982年製作の映画)

4.0

ディールズ保安官を、当時のアメリカそのものとして見立てて鑑賞した。その強引さ、傲慢な態度は特に。
アクションシーンの爽快さと、ランボーの異常なまでの復讐心に時々吹き出してしまうも、最後の涙の長台詞には
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青い春(2001年製作の映画)

4.2

20歳前後くらいの人は、誰しもこんな映画を撮ってみたい野望があるんじゃなかろうか。まさにそれを具体化された感覚。
しかし豊田監督は、本作を34歳にして作り上げている。その事実に、言い得ぬ希望を抱いた。
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夜叉(1985年製作の映画)

4.0

高倉健の色気と、田中裕子の色気がぶつかる。
それは、近年のインターネットに溢れる美男子、美女とされる大半が霞む程。
美における品格について、その重要性を学ぶ。

人間の"情"が、敦賀の雪景色の中、粛々
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都会のアリス(1973年製作の映画)

4.3

音楽も台詞も登場人物も、動的なものは全てミニマムで、風景や写真などの静的なものに、ヴィム・ヴェンダースは多くのものを託している。ロードムービーの定義が、やっと自分の中で定まってきた気がする。あとアリス>>続きを読む

思い出のマーニー(2014年製作の映画)

3.3

アリエッティに続き、米林監督のこちらを鑑賞。またもや、病弱な主人公を中心に、サナトリウム的片田舎での物語が展開される。

あんまり面白くなかった、、

ここからの感想は、すべて「本作がジブリ作品である
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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

3.9

朝7時起き、通勤ラッシュに揉まれながら電車で京都へ向かい、出町座にて鑑賞。

孔子の教えが底にあり、若干の説教臭さを感じつつ、中盤までの情報量の多さ、脚本の緊密さに飲み込まれそうになるも、スラップステ
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コクリコ坂から(2011年製作の映画)

-

誰しもが新しい風を感じ、熱を帯びた古き良き時代。
宮崎吾朗に対し、若干の七光り的な捉え方をしていた過去の自分を恥じる。彼は当時について真剣に想いを馳せ、綿密に下調べし、生きた人間に向き合っている。創造
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海がきこえる(1993年製作の映画)

3.2

いやええ感じにしとるけども!!!松野くんやろが!!!!
これが大人になるということなら大人になりたくない!!聞いてるか杜崎!!!
変なとこリアルにせんでええねん!!

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.0

公開してからずっと観たかった映画。近場に劇場が無いため、レンタル開始してすぐに視聴。

旅における一過性という特質の、良い面と悪い面をたっぷり味わえる。オチは想像つくが、何よりもそこに至るプロセスが心
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四月物語(1998年製作の映画)

3.9

生まれ年に公開された邦画。
松たか子大好きなのでいくらでも観れる。ガチの家族(松本幸四郎を含む)が出演しててバビる。ええ関係性の家族やね。

何をするにも身の丈が合わず、何をするにも恥ずかしさが伴った
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.3

"拗らせ天才文化人"と巷では悪名高いダーレン・アロノフスキーの最新作。
"レスラー"に続いて、孤独な巨躯をじっくり観させられるのは2回目。

ほぼ完全無欠。舞台設定から登場人物、脚本から台詞回しまで、
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T-34 レジェンド・オブ・ウォー 最強ディレクターズ・カット版(2018年製作の映画)

3.9

アクション全振りのスカッと戦争映画。

戦争の残酷さやエグみは殆ど無いところが、同じく戦車の格好良さを描く"FURY"とは異なる点。時系列的には、本作の攻防の後、米軍が介入しドイツ軍に立ち向かう流れか
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地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

4.5

川を上るに連れ、段々と理性が崩壊し野生になっていく。その到達点にはカーツ大佐が待ち受ける。
終わりは派手に崩壊するのではなく、密やかにメソメソ続く。デニス・ホッパー演じる狂気の報道写真家の発言が、カー
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耳をすませば(1995年製作の映画)

-

全てがヤングで全てが輝く。
俺は心の奥に、光る原石を持つ。

この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年製作の映画)

4.3

8時間は観れる。
2016版と比べ、より物語の解像度が上がった。
白木リンという存在の位置付けが変わる。
戦争は居場所を奪う。当然、誰もが居場所を求める。そうして得られた居場所は、望む望まぬに関わらず
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この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.1

"火垂るの墓"と連続で鑑賞。荒んだ心が、少しだけ癒される。本作を後に観てよかった、、

"この世界の片隅に"と陰陽の関係にありながらも、ともに真実の匂いがする。
それは、両作が徹底的な取材と細やかな心
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火垂るの墓(1988年製作の映画)

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パワーで泣かされる感じ。
コレ見た後に飯モリモリ食えるような鋼メンタルになりたい。

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

3.8

バーバラ・ローデンが監督/脚本/主演を務めた、アンチハリウッドを掲げた作品。
所謂 "白痴美" を具体化したような、受動的で性に奔放な姥桜の女性、Wandaの放蕩を描く。
"as it actuall
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平成狸合戦ぽんぽこ(1994年製作の映画)

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試写会で、宮崎駿がアタマからずっと泣き続けていたという噂の大作。
小さい頃に実家にVHSがあったものの、何となく説教臭さ(ほぼナレーションの時点で仕方ない)と画的な怖さを感じ、途中でやめた記憶。やっと
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千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

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今見返すと、思ったよりCGを使っていてびっくりした(バレないようにしていない)。特に海。
最後には全ての登場人物(千尋の母は除く)が大好きになる。
終盤の沼の底駅からのくだり(銭婆に会いにいくところ)
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天空の城ラピュタ(1986年製作の映画)

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宮崎駿監督作品の中で、ずっと1番好きな作品。
シータの魅力は1日語っても足りない。
ジブリ作品第1回ということもあって気合は桁違い。純粋な創造力が、心を掻き立ててくれる。
久々に見返すと、ラピュタの作
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魔女の宅急便(1989年製作の映画)

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キキが大人になったから、ジジとはもう話せないのか。
名前が与えられていない、あの上品な「老婦人」。彼女がキキにケーキを渡すくだり、あそこは台詞回しも含め、単純でやや臭い演出なはずなのに、毎度うるっと来
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