ヒロさんの映画レビュー・感想・評価

ヒロ

ヒロ

EO イーオー(2022年製作の映画)

4.3

全秒眼福のカメラのせいで気抜いたら思考停止するが、お話は至ってシンプルで悪のための善 影のための光と人間の二面性をロバの視点から淡々と描写する。記号的に散りばめられてるシンメトリーな反射ショット、ロバ>>続きを読む

囚われの女(2000年製作の映画)

3.5

逆にフラグを華麗に回収する〝囚われた男〟視点で語られる物語が彼女の叔母の家で〝囚われの女〟にスイッチするタイミングとか、海見るシャンパン開ける海見るの行ってこい長回しとか、好きな瞬間はあるけどその過程>>続きを読む

一晩中(1982年製作の映画)

3.4

ドキュメンタリーチックにしたいが故の登場人物の多さなのだろうがさすがに平たく伸ばしすぎてて味薄い、ハグがブリッジのパート多すぎてレパートリーなくなってんの自覚してそうやけど。ただ推しカップルビュッフェ>>続きを読む

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

4.2

ひとつを救うとひとつならずふたつが堕ちる、この地獄のシステムが姿形を変えて蜘蛛の巣のように張り巡らされてるこの世界をどう救おうか?いや無理ゲーやろリセットしよ、という結論に至らざるを得ない120分。生>>続きを読む

故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)

3.5

芸大表象論の課題だろってぐらいの既視感でちょっとした懐かしさすら感じた、ヒステリックおかんの自営業の近況となけなしの20ドルがひたすら繰り返され、なかなか返事をよこさないアケルマンの如く駄々回しのニュ>>続きを読む

街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)

3.5

恐れ知らずの18歳な爽快感とポーランド系ユダヤの使命の融合、ある意味爆発している。ゴダール。

《シャンタル・アケルマン映画祭2023》

2023-S6

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.2

原作もこれ以降は見てないがやっぱりいい、絵だけで泣けるのに音まで付いたらそれは反則。成長過程すっ飛ばしでイベント全集中になってたけどしょうがない、沢辺のソロとラストのアンコールはだいぶ熱かった。続き読>>続きを読む

雑魚どもよ、大志を抱け!(2023年製作の映画)

2.0

冒頭の塾行く行かんのしつこさで嫌な予感はしたが尺で気付くべきだった、子供同士の会話から想像するノルマンディ上陸作戦とアル中親父のDVは雑な特殊メイクという質素な視覚での説明に置き換えられ、長回しを履き>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.5

1.Everything(なんでも)
2.Everywhere(どこでも)
3.All at Once(いっぺんに)
で繰り広げられる、亡霊に囚われ闇堕ちしかける浅野温子がジャッキーチェンの愛の告白に
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ある男(2022年製作の映画)

1.5

死の先に論点があるのは十分わかるけど余りにも都合よく死を利用するし、余りにも都合よく時が経ってるしで、脚本と向き合うことを放棄したそこらの芸大生かよとその時点で気持ちは若干離脱してたが、さらにそこへ畳>>続きを読む

二羽の鳩(1949年製作の映画)

4.2

これぞ元祖おしゃべりクソ野郎なギトリ作品。現妻、前妻、新たな女の三人でギトリを奪い合う長尺コント、もはや目で追える量のセリフではないので事細かに覚えてないがとりあえずずっと喋ってた。その喋りのリズムも>>続きを読む

毒薬/我慢ならない女(1951年製作の映画)

3.6

キャストとスタッフを監督自ら面と向かって褒め殺す変なオープニングに“満遍ない善意は周り回って寧ろ悪意”なそういう毒薬かと勘繰ってたら、憎み合った30年夫婦が互いに毒を盛り合うまんまな毒薬でまったく関係>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

4.3

男女の惚れた腫れたの表の視点で観てたときの不可解な感情が、裏のコメディ視点に気付いたときにお嗤いとして返ってくる気持ちよさ。冒頭からやりたい放題で、遠近感狂う特殊レンズでの奥行バグ、セオリーに反する意>>続きを読む

デヴィッド・アークエットは殺せない!(2020年製作の映画)

4.3

10年もオファーが来ない落ち目の役者が過去の汚点をしかと受け止め、リング上でヒールからの大逆転を演じる。オプションとして1.アークエット一家総出、2.心臓疾患と抗凝固薬、3.精神疾患とケタミン。海外ド>>続きを読む

おひとりさま族(2021年製作の映画)

3.6

言語化むず過ぎて放棄するが普通に好きだった、今度マッチでタバコ吸ってみようと思う。

2023-20

遠い声、静かな暮し(1988年製作の映画)

4.7

不在なる在とその先にある家庭の表象。
母姉妹弟の複数視点から亡き父をコラージュする“遠い声”と父の死後の家族を描く“静かな暮し”の二部構成。堅くて内向的などこまでも無感情な画面造りと、それを補完する表
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チェッカーで(毎回)勝つ方法(2015年製作の映画)

2.5

行動が全部作為的で事象優先な感じ、さらに焼身シーンや徴兵制度 反政府ゲリラなどの上っ面だけのタイ情勢がフィクションに拍車をかけてる。鳴りでナレベースの人物紹介とかラストの白飛びとか垣間見える初歩的ミス>>続きを読む

血観音(2017年製作の映画)

3.5

女フィクサーというか吉祥天女のゴッドファーザーパート2って感じ、女性性とノワールの相性の悪さや内容に反して瑞々しい演出との相殺が惜しい。母と女の2つの性を使い分けながらも殺し屋としてのさがに囚われるマ>>続きを読む

湖の見知らぬ男(2013年製作の映画)

4.1

昼は盛りのユートピア 夜は深淵のディストピア、観客の視点はハッテン場である湖に閉じ込められセックスと殺人/挿入と刺突の表裏一体なヒリつきを堪えず強要される、スイッチングされてからの陽の光を反射する引き>>続きを読む

ナイト・フィッシング(2011年製作の映画)

3.3

あの世とこの世を魚になって行き来するイタコの話、降霊儀式のクセが強すぎるが世界観は紛れもなくパクチャヌク。

2023-S5

オリ・マキの人生で最も幸せな日(2016年製作の映画)

4.2

ぐらつく踏み台の上から見下ろす景色があれば地に足つけて同じ目線で水切りする景色もある、フィンランド史上初の快挙という大事も好きな子とのニケツという取るに足らない小事に負けることもある、期待も失望もしな>>続きを読む

花を喰う蟲(1967年製作の映画)

3.5

中島丈博の純文学を山本直純のノワールで包み安藤庄平の舐めるようなエロいカメラが切り取っていく仕切りは『団地妻 昼下がりの情事』の西村昭五郎、後の日活ロマンポルノの助走としては満点。特にカメラがやばい、>>続きを読む

マタンゴ(1963年製作の映画)

3.7

札束は紙切れに肩書はガラクタに狩って喰って犯られる前に犯ったやつの勝ち、あらゆる手段で残されたリソースを奪い奪われのサバイバルゲームは完全にゾンビの世界、まさか日本でロメロより先に確立されていたとは。>>続きを読む

赤い影(1973年製作の映画)

3.5

あえて言うなら夢の中でうまく走れないあの類の恐怖の表象、やりすぎなシーンバックもやり過ぎれば不思議とハマってくる編集革命、罪と罰に対する夫婦間の差異、異国の地の見えない圧、赤に囚われた『ベニスに死す』>>続きを読む

美しき冒険旅行(1971年製作の映画)

5.0

文明人でも先住民でもないプレーンな弟を触媒とした都会っ子とアボリジニのボーイミーツガール、その表層を剥がした先には後期ヘルツォークな人類学からの視点、文明との攪拌が齎す作用反作用を文明人の木登りと先住>>続きを読む

理大囲城(2020年製作の映画)

4.3

抑えでとりあえず撮っておこうという画が一切ない、その場所のその瞬間を切り取った画の羅列。ニュースで流れるゴム弾と催涙弾を乱射し傘を構えた学生たちにハイドロポンプをかます見慣れた映像もあるが、外様向けの>>続きを読む

健康でさえあれば(1966年製作の映画)

-

〈不眠症〉リアルがフィクションに干渉するあの感じエテックスマジック
〈シネマトグラフ〉短編で一番好き、映画館でアイス食うな
〈健康でさえあれば〉寝落ちた
〈もう森へなんか行かない〉あの場所で何をハント
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絶好調(1965年製作の映画)

3.5

1965でこの閉塞感かよ、2023なめんなよ。

〈ピエール・エテックス レトロスペクティヴ〉

2023-S4

女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

4.0

中年ボンボンの引きこもり童貞が書を捨てて街に繰り出すドタバタ劇、経験不足ゆえに恋愛無敗の男の金に物を言わせるアタックは文字通り敵なし、虚実入り混じる深夜自室でのシュミレーションから始まり、尻軽女からの>>続きを読む

破局(1961年製作の映画)

3.3

邦画なら手紙を読んでる画にナレーションで朗読入ってきて、じわっと文字も浮かんできて、なぜか家を飛び出し走り出し、主題歌流れてきて回想入るとこまで観えた、怖くてちょっと震えた。

〈ピエール・エテックス
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オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

3.7

GPS埋め込んだん?倫理的にイケテル?ALFもびっくりなタコに恋したおっさんの通い愛。オチまで含めて構成うま過ぎて悪い意味でフィクションになってるけど映ってるものは結構すごいし、握手にハグと来てその先>>続きを読む

ルック・オブ・サイレンス(2014年製作の映画)

4.5

身内が収容所の檻を監視し、隣人が殺人の指揮をとる、加害者は罪の意識どころかそれを功績とし権力と財を成す、被害者に求められるのは沈黙と祈り。真実に斬り込みすぎてて監督と弟氏の安否が気になる。

惨すぎる
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アクト・オブ・キリング オリジナル全長版(2012年製作の映画)

3.4

作品のクオリティは置いといて素材としての強度は凄まじいものがある、自らが犯した殺戮をフィクションとして再現する、誇示された武勇伝のメッキはみるみる剥がれ露わになった罪に向き合ったとき過去の英雄が感じる>>続きを読む

ヨーヨー(1965年製作の映画)

3.7

世界恐慌から世界大戦へ、チャップリンはヒトラーに、時の流れをサイレントからトーキーへのシームレスな切り替えでしれっと表現しつつ、サーカスで場所を転々とするピエロのヨーヨーを通して見つめる移ろう世の中に>>続きを読む

大恋愛(1969年製作の映画)

3.6

モノローグ主導で画だけはめていく予告ライクな人物紹介のぶっ飛ばし方とか、メタとリアルを混在させつつも混乱させない省略の仕方とか冒頭からセンスが爆発しててウハウハした(そーいやアメリもこんな感じやった気>>続きを読む

幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

3.8

幸せなシーンバックが反復されその些細な差異にクスッと笑える、急がば回れもひっくり返るぐらいの渋滞に巻き込まれる他人の軽度な不幸の羅列=上質な笑いの連鎖。

〈ピエール・エテックス レトロスペクティヴ〉
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