ヒロさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ズームアップ 暴行現場(1979年製作の映画)

3.4

家庭教師と不倫妻、首絞めセックスしてたらうっかり女を殺しちゃったスーパーの主任、女性ばかりを狙う猟奇快楽殺人犯、3つの関係が付きつ離れつ絡まり廃墟に死体が1つ2つと積み上がっていく展開は読めるがうまい>>続きを読む

バックが大好き(1981年製作の映画)

3.6

100枚のチン拓収集に命を賭ける結婚間近のヒロイン朝比奈順子、レイプ魔へのトラウマが反転し男の穴を開通することに快感を覚えてしまった剃刀とバイブの二刀流 早川由美、遊び回るお姉さんたちに放置され持て余>>続きを読む

恋のクレイジーロード(2018年製作の映画)

4.2

矛盾や引っ掛かりは力技で捩じ伏せていく短編ゆえの疾走感、恋する平成の根津甚八こと宇野祥平の夕陽に照らされた横顔は何よりも美しかった。バスジャックに祭囃子、映像に置いて最も大事なのは音だということを証明>>続きを読む

北斎(1955年製作の映画)

3.0

北斎を知るならもっと他のコンテンツの方がいいとは思うが、今作にはワークによる視点の誘導、言うなれば勅使河原流の北斎の見方が映ってる。経年劣化によるフィルムの雨振りが絵の中の雨とリンクする際に勅使河原な>>続きを読む

ベスト・キッド(1984年製作の映画)

3.5

少年の好奇心を逆手に雑務を無償で手伝わせるインチキじじいの新手の詐欺映画のフリをした王道青春スポ根映画。出るとこ出て退くとこ退いてる緩急自在なビルコンティの音にだいぶ助けられてるが、モンタージュでトレ>>続きを読む

あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.3

士農工商えたひにんとそんな明確な身分制度はざっと150年ぐらい前に廃止されたが、慶應幼稚舎とそこらの保育所ではさすがに環境が違う、環境は心を育み心は行動を変え行動は習慣を生む習慣は人格を形成し人格は運>>続きを読む

関の彌太ッぺ(1963年製作の映画)

4.6

正しい行いを繰り返してきた漢の正しくない人生を正しくないまま終わらせるという憎いが巧いストーリーライン、ロングから寄り→寄りからロングとステディカム導入前の人力のトラックアップ&バックの連続で繋げる痺>>続きを読む

闇に浮かぶ白い肌(1972年製作の映画)

4.2

金と時間を持て余した貴族の禁忌的ラブゲーム、実相寺やパクチャヌク路線のサスペンスホラーポルノ ジャッロ仕立て。兄夫婦が交わり響き渡る嬌声を聞いた盲目の妹がモーツァルトの幻想曲ニ短調K397をピアノで掻>>続きを読む

ある日どこかで(1980年製作の映画)

3.0

タイムトラベルの仕方が元気があればなんでもできるな究極の根性論で笑う。
普通に違うこと考えてたぐらい平坦で、なんで観たのかよくわからない。
ラフマニノフが仕事しすぎてる。

2021-12

ソルジャーブルー(1970年製作の映画)

4.1

世間知らずのとっつぁん坊やが女を知る前にどぎつい人類の歴史をまざまざと見せつけられる恋愛ロードムービーのフリした戦争映画。サンドクリークの虐殺からソンミ村虐殺事件見据える先は『アメリカン・スナイパー』>>続きを読む

天使とデート(1987年製作の映画)

3.7

この映画を観てエマニュエルベアール可愛い以外の感想は出てこない。期間延長カードを使おうがダビングカードを使おうが幸福のエンジェルカードはいつしか手元を離れていくわけで、生まれて最初に見た生物に懐く雛鳥>>続きを読む

エイリアン(1979年製作の映画)

4.0

いまさら何も言うことはないが、僅かな光源で浮かび上がる一部から全貌を想像させる見せ方しかり、その一部だけできっちり完成度を示してくるギーガーの美学しかり、宇宙船のディティールしかり、今見ても余裕で見劣>>続きを読む

狼は天使の匂い(1972年製作の映画)

4.8

この映画から精製されたであろうジョニートー、ジョンウー、タランティーノと色んな傑作たちの匂いがプンプンするマスターネガ的な一本。大人になりきれなかった孤独な漢たちが愛を確かめ合うように一つ屋根の下身を>>続きを読む

クリミナル・ラヴァーズ(1999年製作の映画)

3.7

魔女は森の変態おじさんに、月夜に照らされる石は死体を引きずった轍へと変奏されたオゾン版「ヘンゼルとグレーテル」、潜在的なホモセクシャリティが森の変態おじさんとの交接により覚醒を余儀なくされたリュック少>>続きを読む

禁断の惑星(1956年製作の映画)

3.5

先住民族クレル人が築いた超高度文明の滅亡の鍵は潜在意識と自我の対立、技術の限界を哲学的なプロットでカバーするだけでなくSFとの相性の良さをこの時代で既に証明している教科書的な一本。流れるSEはすべてが>>続きを読む

パリは霧にぬれて(1971年製作の映画)

4.0

妻フェイダナウェイの美しさもさることながら、記憶障害というギミックを存分に引き立てる文法を無視した無作為な事象の羅列、それに科学者である夫の産業スパイ絡みの安っぽいサスペンスが組み合わさり、ジルベール>>続きを読む

秘密と嘘(1996年製作の映画)

3.9

こちらが優しく接すると相手は生理で機嫌が悪く、気まずい時に限ってドアは軋むし、客がある時に必ず便座は上がっている、そんななんでもない描写にとんでもないリアリズムを宿すマイクリーの切り口はロメールやバー>>続きを読む

渇き(1957年製作の映画)

4.5

グルダッドによる婉曲的『モダンタイムス』、“渇いている”のはどちらか?と言うのがこの映画の肝でラストカットからファーストシーンの踏み潰される蜜蜂のカットに収束していく造りが超映画的、人間から人間性を奪>>続きを読む

サイボーグでも大丈夫(2006年製作の映画)

5.0

神様たすけてやばめやばめやばめやばめこの映画何なんw案件筆頭、奇才パクチャヌク御大による『アメリ』の新解釈並びに『空気人形』のその遥か彼方へ、人間ではない存在の三部作の第1作目。語彙力を放棄せざるを得>>続きを読む

ガチ星(2018年製作の映画)

3.2

トップアスリートがメディアから垂れ流す夢の安売りに対するアンチテーゼ、負け犬の美学なんぞクソ喰らえこちとら地べた這いずり回りながらゴキブリ根性でやってますねん映画。のフリしたヤンキー更生物語、努力は嘘>>続きを読む

咲 Saki(2016年製作の映画)

3.0

とりあえずあのちゃんのステルス特性についてしっかり納得するまで説明して欲しいが、一線を超えない絶妙な百合描写や短めのスカートから覗く太腿をしっかり抑えてくるあたりやはりセンスを感じる。ラスボスに敢えて>>続きを読む

映画 賭ケグルイ(2019年製作の映画)

3.7

これぞテレビ映画の極地。
若手俳優陣の拙い芝居を編集でカバーするためのあらゆる回線でのマスター撮り、パイレーツオブカリビアン引いてはハンスジマー御大の変調丸パクリ劇盤、『あさひなぐ』で手に入れたある一
>>続きを読む

Dillinger è morto(原題)(1969年製作の映画)

3.6

冒頭、一方が投げ続けるがもう一方からは決して返ってこない会話の壁当てと言葉としての存在を放棄した論文の朗読によりこの映画から速やかに言語は消滅する。そこから始まる俳優ミシェルピコリによる無言無表情の薄>>続きを読む

ベルリン特急(1948年製作の映画)

3.6

米英仏露からなる即席連合軍によるナチス残党から独要人を守るんだ大作戦。見所は廃墟と化した戦後間もないドイツの世紀末的風景と、ほぼほぼフライシャーな鉄道シーンなのだが、物語の起点となる死んだ鳩を埋葬しよ>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

4.8

足が退化しているため高速で羽ばたき空中で静止するようにホバリング飛翔を続けるハチドリはまさに主人公ユニそのものである、下に着地したくてもできずかといって上に上昇しようものなら鳥籠の柵が待ち受ける。そん>>続きを読む

愛と哀しみのエリザベス(1975年製作の映画)

3.9

売れっ子小説家兼映画脚本家の夫の稼いだ金で高そうな靴や服を買い揃え、勿論しばらく公共交通機関は使ってない、家事全般をやってくれる住み込みの女中もいて特にやることのない単調な生活に飽き飽きしている専業主>>続きを読む

殺しのダンディー(1968年製作の映画)

3.3

ミアファローかわいい以外に特に感想はないのだが、言いたいのは〝二兎追うものは一兎をも得ず〟であり説明台詞なしに二重スパイものを語っていく演出はいいがなんせ地味で陰惨。糸が絡まるマリオネットっていうあま>>続きを読む

女っ気なし(2011年製作の映画)

4.2

短編より毛量減ってないか?と思ったらあれから2年経ってたやはりハゲは始まると早いのかとぼんやり眺めていたら深夜に上裸でWiiスポーツかましてて爆笑した、ヴァカンスでやってきた母娘を前に下心をひた隠して>>続きを読む

遭難者(2009年製作の映画)

3.6

M字にせり上がった頭皮、若干黄ばんでる歯、たぶん臭いTシャツ、いい奴なんだけどあんまりこっちに来て欲しくないやつに捕まる遭難者。他人の善意はその先の悪意が怖くてなかなか受け取りづらいのはよくわかるし大>>続きを読む

芙蓉鎮(1987年製作の映画)

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「豚になっても生きろ、牛馬になっても生きろ」という圧倒的理不尽の下、人間としての尊厳を失いながらもその負の時代を生き抜いた女の一生。ステレオタイプな悪役と絵に描いたような悲劇はちとテレビ的で安っぽいが>>続きを読む

パンと植木鉢(1996年製作の映画)

4.5

フィクションの裏側であるノンフィクションをフィクションとして撮るというキアロスタミの『クローズ・アップ』的手法を用いて撮られた今作は虚実を行ったり来たりなそのシームレスな感じが心地良く、オマージュとは>>続きを読む

爛(ただれ)(1962年製作の映画)

4.3

人間上っ面はいくら替えがきいても奥底はなかなか変わらないし、メンヘラは先天性でなく男が生産するものだということにそろそろ気付くべき、藤原礼子の生霊が取り憑いてからのあややはこの世の何よりも怖かったが、>>続きを読む

UNloved(2002年製作の映画)

4.1

ゆえに他人である。。。
とゆう結論に至らせるための計算され尽くした付け入る隙のない動線と視線、襖の直線、天井の格子、アパートの外観、フレーム内のありとあらゆる直線がまるですべてこの映画のために存在する
>>続きを読む

太陽の少年(1994年製作の映画)

4.5

文化大革命を孕む時代の闇と確かにそこにあった輝かしい青春との相性の良さ、望遠鏡でやっとその姿を捉えるほどに高嶺の花な年上のお姉さんに少ない手札でなんとか擦り寄ろうとする少年の純な可愛らしさ、部屋に忍び>>続きを読む

雨のなかの女(1969年製作の映画)

3.7

冒頭2〜3分の雨の撮り方で当たりを確信できるゴッドファーザー・シリーズ以前の初期コッポラのロードムービー。こちらが掴みに行くとそれそのものが消えてなくなってしまいそうに繊細で儚い情景の切り取り方と、観>>続きを読む

妻二人(1967年製作の映画)

3.5

右手に文子左手に茉莉子という両手に華どころの騒ぎではない贅沢な悩み、言うなれば動物園で人間に愛想振り撒き見返りとして朝昼晩の餌で飼育されるか、常に天敵の脅威に晒されながらも自由に駆け回り弱者に喰らいつ>>続きを読む