ヒロさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

腹に指(1988年製作の映画)

3.0

過食嘔吐の中肉中背メンヘラ、死体家族でハイチーズな圧倒的サイコパスの二層構造。この少年少女の闇を突き詰めていけば同じ所に辿り着くだろう。

2020-S1

兎のダンス(2007年製作の映画)

4.2

離婚した母、その新しい彼氏、無邪気な幼い妹との摩擦により孤独を深める多感な中学生が祖父の死をきっかけに様々なものに対して折り合いをつけていくお話。オフの音の使い方、フレーム内フレームや陰影の付け方、メ>>続きを読む

Every Day(2016年製作の映画)

3.9

明日やろうは馬鹿野郎だし気づいた時には遅かった、おはよう いただきます 行ってきます ただいま おやすみ、ありがとう、ごめんね、さよなら、、、またいつか。 

最期に君が教えてくれたこと。

2020
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髪結いの亭主(1990年製作の映画)

3.6

これは映画的にも変態的にも偏差値高めの新手のヒモムービーとでもいいましょうか、家の近所の愛人持ちで赤毛の豊満な女性理髪師のワキガの匂いに興奮を覚えた幼少時代ってフェチズムが斜め上すぎて、ジャンロシュフ>>続きを読む

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

4.5

かつての愛の結晶である子供を我がものにするために相手の粗を探し自分を少しでも優位な立場に押し上げる離婚裁判という不毛な戦い、自らを護るために雇ったはずの弁護士の口から止めどなく溢れる言葉の暴力は相手の>>続きを読む

仕立て屋の恋(1989年製作の映画)

4.1

この映画の感想を端的に言い表すにはゴーゴリ「外套」のアカーキイ・アカーキエヴィッチに抱いた憐憫の情と85%シンクロする感情と言えば一番伝わるかも知れない。“笑われるかも知れないが君を少しも恨んでいない>>続きを読む

男たちの挽歌(1986年製作の映画)

3.5

チョウユンファが時折劇団ひとりに見える、というか劇団ひとりが時折チョウユンファに見えると言ったほうが正しいぐらいに大仰な猿芝居をぶちかましてくるので、一体どの女にキスをするのかとひたすら詮索してしまう>>続きを読む

あなた、そこにいてくれますか(2016年製作の映画)

3.4

敵の急所目掛けて牛骨ぶん回してたユンソクおじさんが大いに反省し、牛骨をメスに持ち替え人助けに勤しんでるという事実を受け入れるのに少し時間がかかる。見えるものより見えないものの方が大事なんじゃとただなら>>続きを読む

ラヴソング(1996年製作の映画)

4.0

僕の中で「グッド・バイ・マイ・ラブ」は桑名正博に汚され女刑務所のボスのような風格を携える前の、プールサイドを闊歩するあの美しき天使アンルイスのものであったのだが、今日からはねずみが怖くて仕方ない強かな>>続きを読む

名もなき野良犬の輪舞(2016年製作の映画)

3.7

喪失に次ぐ喪失を経て転がり込んできた偽りの友情、その先に待つ更なる喪失を知りながらもそれを獲得しにいく不器用な男たちの話ってすげぇ擦られてるし、伏線の回収早すぎるし、途中からオチまで見えてくるけど、こ>>続きを読む

赫い髪の女(1979年製作の映画)

3.9

“女の髪は緋色でも金髪でもなかった。その髪は色艶が悪く髪そのものが人工のものに見えた。その赤みがかった黄色の髪は肌理の荒い女によく似合った。”
まさにそんな赫い髪の女を演じた宮下順子はどハマりで、素性
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一条さゆり 濡れた欲情(1972年製作の映画)

4.0

“映画における回転式ベッドと鏡貼りのラブホの一室が孕む無限のアングルとその回転運動がもたらす感情の増幅について”は余裕で1時間語れるし、淀屋橋のホームの階段を駆け上がり放尿するくだりがまさかあんな形で>>続きを読む

赤線玉の井 ぬけられます(1974年製作の映画)

4.2

野球拳を歌いながら階段を上下する丘奈保美はひたすらに火鉢で股を温め、久しぶりに舞い戻った赤線でパンツ脱ぎながら濡れちゃったと笑いかける芹明香はクソほど可愛い、ヤクザなダメ男を演らせれば右に出るものはい>>続きを読む

濡れた欲情 特出し21人(1974年製作の映画)

4.0

荒唐無稽で出鱈目な成立しているのかしていないのか不可解な、でもそれでいて100人乗っても大丈夫なイナバ物置ぐらい安定してる気もしなくもない、そんな映画。演歌、民謡、歌謡曲と流すジャンルと選ぶセンスがド>>続きを読む

やくざ観音・情女仁義(1973年製作の映画)

5.0

聖と俗の間に生きる坊主がチン棒の先から俗に濡らした相手(異母妹)への歪んだ純愛と曰く付きの過去に対する並々ならぬ復讐心を貫き俗世を超えて畜生道を通り越し修羅の地獄へと邁進するハードボイルド・ロマンポル>>続きを読む

オリオンの殺意より 情事の方程式(1978年製作の映画)

3.0

離婚した父親が突然連れてきたエロい姐ちゃんがママになりました、連立方程式は解けても学校では教えてくれない情事の方程式 X=Yと解く SEX身が凍る梅毒、乳房の周りに連なる3つのホクロを結べば冬に輝くオ>>続きを読む

女教師 汚れた放課後(1981年製作の映画)

4.2

見た目はゴージャス脱いだら貧相メンタルヘビー級な銀縁女教師を楽しむのか?見た目はウブ身体は完熟耳に残る秋田弁を駆使しナンパ男をクリティカルで葬る言葉の重み女子高生を楽しむのか?あなたの答えはさぁどっち>>続きを読む

激しい季節(1959年製作の映画)

3.1

得てして籠の中の鳥ほど外に出ると暴れ回るし、父親が厳しければ金髪ギャルに母親が厳しければ清楚系ビッチになる。ということを言いたかった映画なんだと思う、いやたぶん違う。

2020-5

愛の新世界(1994年製作の映画)

3.3

ムチを片手にオリジナルストーリーで珍客を痛めつける嬢王様と、裸一貫おじさんのど変態プレイに付き合わされるマグロのドM嬢の青い青い春の話。ツッコミどころしかないし色々ごちゃ混ぜにし過ぎてる感じは愛の“新>>続きを読む

愛に濡れたわたし(1973年製作の映画)

4.0

『ゴーン・ガール』と『マルホランド・ドライブ』を足して2で割ったような映画、という言葉で説明がつくように正直ラスト10分までなにがなんだかな圧倒的不条理劇。観てる者は宮下順子によって劇中の男と共に右に>>続きを読む

博奕打ち いのち札(1971年製作の映画)

4.7

女が立ち入ることを許さない男と男の任侠道を女が軸のメロドラマに置き換えてしまえるその手腕と確かな脚本、それを書いたのが“仁義なきシリーズ”の笠原和夫というのが最強のアンチテーゼになってる。鶴田浩二は言>>続きを読む

家族の庭(2010年製作の映画)

4.1

“黄色と黒は勇気の印 24時間戦えますか?”とリゲインを注入して企業戦士だか社畜奴隷だかに変身する時代は収束に向かっているが、働いて腹が減る腹が減るから働いて働かなきゃ腹減らない訳じゃなく腹減り続ける>>続きを読む

天使のはらわた 赤い教室(1979年製作の映画)

4.0

“三年間ずっと探していたんだあの頃の気持ちは今も変わらない”に対する“私があなたを待ったのはあの時の三時間だけよ”と強烈なパンチラインを吐き捨て、“こんな所にいちゃダメだ一緒に行こう”の問いかけに“じ>>続きを読む

魔性の香り(1985年製作の映画)

4.6

ファンキーでもモンキーでもない優しさ溢れるジョニー大倉の安心感にズブズブ嵌っていくメンヘラなベイビー天地真理、もはや行き着く先は冒頭の屋上からのズームインと地上からのズームアウトのいかしたディゾルブで>>続きを読む

劇場版 BiSキャノンボール2014(2014年製作の映画)

3.5

キャノンボールの一番の見所はビーバップみのるの恥も外聞もかなぐり捨てたSEX交渉術に他ならないが、そんな彼が選んだ今回のテーマは“破壊と創造”みのるの手にかかればホドロフスキーも新井英樹も終着点である>>続きを読む

紅夢(1991年製作の映画)

4.2

才色兼備なバチェラーからの赤いローズを巡る女の闘いではなく、主人からの寵愛権力の象徴である赤い提灯を巡る壮大な姉妹喧嘩、純白の白を纏った箱入り娘が真紅の紅に染まるまでのお話。悪口陰口なんて生温い茶番劇>>続きを読む

天国の日々(1978年製作の映画)

4.5

沈みゆく太陽から仄かに溢れた光が風景や人物を優しく包み込み劇的に美しく飾り立てるマジックアワーの妙、こちらが深みに入り込もうとするとするりするりと交わされるまったく掴み所のない不思議なカッティング、も>>続きを読む

殺しのドレス(1980年製作の映画)

3.5

デパルマのヒッチコック愛全開な童貞と娼婦の対極バディムービーエロティックサスペンス仕立て。スプリットスクリーンの2画面相互作用や撮影段階から計算済みのオシャンな回想の挿入、美術館から殺しのシーンまで台>>続きを読む

カリートの道(1993年製作の映画)

3.8

足を引っ張り続ける相棒、冗長すぎるモノローグ、気の遠くなるような長尺、と三拍子揃った激烈なスコセッシ臭にすぐさま鑑賞をやめかけたのだが、“人は変わらない”というA面に隠れがちな“ゲイルの喪失”というB>>続きを読む

秋のマラソン(1979年製作の映画)

3.7

二兎も三兎も追うものは一兎をも得ずでは済まず衣も食も住も全部失ってまうぞ、どうしようもないやつのところに集まるのは結局どうしょうもない奴らやぞっていう類友ムービー。もはや分かりきってる古くからの言い伝>>続きを読む

モスクワは涙を信じない(1979年製作の映画)

3.0

たぶんにやりたかったのは女もつらいよであり木下恵介の『香華』なんだろうが、色々と雑だしなんせ長くてかったるい。並木道のシーンバックやトラックアップの無言カットバックはよかったのだが、技にストーリーがつ>>続きを読む

私はモスクワを歩く(1964年製作の映画)

4.1

印象としてソ連映画はいつ如何なる時も激おこプンプン丸ベースで話が進んでいくのだが、なんだこの映画の瑞々しさは愛らしさはまるでヌーヴェルヴァーグではないかとソ連の雪解け脱スターリンへの新しい波。『私はモ>>続きを読む

オクジャ okja(2017年製作の映画)

3.4

世界の食糧危機を救う大発見と表向きクリーンなイメージで遺伝子組み換えにより生まれたスーパーピッグを売り込み億万長者な大企業、ちょっと待ったと非暴力を掲げるが裏切る仲間に躊躇なく右ストレートをかます矛盾>>続きを読む

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)

3.5

増え続ける失業者と減り続ける就業者数字だけを見れば成長を続ける韓国社会が孕む雇用惨事と貧富の差の拡大、国家と民衆の間に系統だった相互作用が存在しないことにより頻繁に組織される大規模なデモ、それを煽り続>>続きを読む

ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)

4.5

清楚系ビッチの対義語みたいなタイトルに反して見事なまでにオフビートなブラックコメディ。何箇所か見当たるジャームッシュリスペクトがいつのまにか三木聡に収束するストーリーラインは俺得でしかないし、ごく平凡>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.1

唐突にして的確な圧倒的にエモーショナルなハイスピード、腐乱死体からの生肉焼肉な肉肉モンタージュ、流れるような犯行シーンの数々、それら魅せる技が低俗で下卑た陳腐なストーリーラインに不意に挟み込まれること>>続きを読む