TenKasSさんの映画レビュー・感想・評価 - 16ページ目

ガルヴェストン(2018年製作の映画)

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死を悟った男が最後にいいことをしようとする映画。
普通に銃撃戦の時の画面外の使い方とか奥行きの使い方とか上手くてびっくりしてしまった。切り返しで唐突に小さな女の子が現れるシーンや終盤の長回しでも画面外
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泳ぐひと(1968年製作の映画)

4.5

ある意味スーパー入水映画。
映画における水、水中をここでないどこかだとすれば、主人公はここじゃないところでしか生きられない何かだという文脈が現れて、一気に物悲しくなる。実際、プールサイドでは彼の正体、
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アバンチュールはパリで(2007年製作の映画)

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韓国のロメールと言われるけど、パリで撮ったからといってロメールには全然ならない。むしろホン・サンスの映画を観ているという感覚だけが強まっていく。有名なズームの使い方、画面の中と外の使い方という形式的な>>続きを読む

アーミー・オブ・ザ・デッド(2021年製作の映画)

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超テキトーに今更観た。
ジャンル映画のお約束は盛りだくさん、ザックスナイダーの好きなジョーゼフ・キャンベルで締める。とはいえ別に面白くもないのだが…。ただこういう火事場泥棒みたいな話は嫌いではなくむし
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恐怖のセンセイ(2019年製作の映画)

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強盗に襲われた30代の経理の男が、自己防衛術として空手を習い始めるが…。
という『ベストキッド』みたいなビルドゥングスロマンになりそうな題材。とはいえそんなはずもなく、どちらかといえばニュー『ファイト
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獅子座(1959年製作の映画)

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作曲家が一文無しになって、街を彷徨く映画なので、「何故こんな辛いものを観ているのか…」となる。

今までバカンス映画は素晴らしいものが多いなぁと思っていたのだが、これは裏バカンス映画、「バカンスに行け
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モンフォーコンの農婦(1968年製作の映画)

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標識で地名を示し、だんだん建物に寄っていって、そこでの生活が映される。という始まり方が、本作はナレーションはあるにせよ、ワイズマンっぽすぎて身体が勝手に長尺に身構えた。しかし14分で終わる。
果物ばっ
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私の血に流れる血(2015年製作の映画)

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構成の意味も、宗教的モチーフもさっぱりピンとは来てないのだが、単純にこんなに美しく、神聖な映画はほとんど観たことがない。見惚れた。

オスロ、8月31日(2011年製作の映画)

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薬物依存してないのに、こういう人生なんだが…??

カフェで周囲の会話ばかり聞いて気持ちを落としてしまうとか、自分を常に場違いなものに感じてしまうとか、こういう世の中に対する負の感覚をもとにちゃんと映
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アルプス(2011年製作の映画)

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パフォーマンス、恐らく俳優についての映画で、それは執拗に聞かれる「好きな俳優誰?」という質問でも多分示されている。

アルプスという集団は演じることで他人の喪失や穴を埋める役割を果たすが、主人公の女性
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オールド・ガード(2020年製作の映画)

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今更観る。とりあえず音楽の使い方ダサ…、アクションつまんな…、ロケーション味気な…、設定活かせてな…。

妙に長ーく生きてきたことに対する説得力だけはあって、不死だと「こんなことが辛いです、こんなこと
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ケイト(2021年製作の映画)

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何故か猛烈に『JM』が観たくなったので100点です。

プティ・カンカン2:/クワンクワンと人間でないモノたち(2018年製作の映画)

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ゆるゆるさは変わらず、しかし詰まっているものは、SF的、ジャンル映画的なモチーフに変わった。
外からやってくるもの(エイリアン→宇宙人、外国人、移民)あたらしくやってくるものと殺し合うのでなく、上手く
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プティ・カンカン(2014年製作の映画)

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ゆるく笑える入れ物でしかないミステリーに爆竹、手榴弾、トーチカ、行進、軍隊、発砲、乱射事件と、戦争の記憶を思い起こさせるものが詰められているような印象。土地はそれを覚えていると言わんばかりに人の不純さ>>続きを読む

モンタナの目撃者(2021年製作の映画)

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誰かの死をみてしまったひと二人がバディになる話なので、邦題はわりといい線なのでは…?

殺し屋(ニコラス・ホルトともう一人は誰かと思えばベイリッシュ)がいちいち派手なことをしては裏目に出ているので、ど
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

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面白かった。ヘミングウェイとキルケゴールを引用して為される人生讃歌。
飲酒実験が思いつきながらも向学心に裏打ちされていて楽しそうで、ちょっとやってみたいとさえ思った。
しかし言わんこっちゃないとベロベ
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フリー・ガイ(2021年製作の映画)

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人生の背景でいいのかー!って安っぽい自己啓発かなんかかよと捻くれましたが、
映画とゲームの違いはプレイヤーという主体がいるか否かで映画は映っているものへの敬意が…とかかったるいことを何度か考えたので、
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シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021年製作の映画)

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俺は王家衛の『グランドマスター』が大好きなので、PCの壁紙が5年くらいトニー・レオンの画像だ。(グランドマスターのフィルマークスでの評価は頗る低い!なぜだ!)
だから?マーベルミーツトニー・レオンポイ
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ベケット(2021年製作の映画)

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どいつもこいつも怪しいと思ったら怪しいんだからボイド・ホルブルックなんか尚更。出てきた瞬間から怪しい。

ジャンルにハマらないロケーションとリズムが面白いし、音楽が坂本龍一だし、さっぱり全体像の見えて
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オールド(2021年製作の映画)

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とても不真面目でよかった。

不真面目なのはそれこそ映画の構造や設定部分で、もはやほとんどゲームのそれ。
しかし面白いのはゲームと違い、時間経過による人それぞれの現象への反応が描かれるダイナミズムで、
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クラッシュ(1996年製作の映画)

5.0

再見、最高。
タイツを履いた女の足の光沢は車の光沢と何の差異もなく、男の着た革ジャンもまた同じ。身体の傷も車の傷も、事故も関係を超えたセックスも、そこに差異はない。カメラがそれをそう捉えてしまうから。
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子供はわかってあげない(2020年製作の映画)

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漫画を読まないのに珍しく原作を読んだことがあり、楽しみにしていたらいつの間にか始まっていた。公開規模減りすぎでは。

原作読んだ時のイメージが「夏だ…、絵が白い!」だったので、ロングショット、空間広く
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カルメンという名の女(1983年製作の映画)

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ゴダールを観ると様々な「当然だと認識している何か」から距離を取ることができるような気がする。
ある種のとっつき易さとそれなりに追える筋があっても理解し難さが平然とそこにある感じ。畢竟、わかんないけど面
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スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする(2002年製作の映画)

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5.6年ぶりに。唐突に。
青色、ガスの匂い、列車の音、ガスタンクの音、壊れた配管の音、不愉快な笑い声。
五感から手繰り寄せられる記憶。その壊れた人の記憶を紡ぐ蜘蛛の糸、同時に割れたガラスが似たような形
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すべてが変わった日(2020年製作の映画)

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残してきた(取りこぼしたこと)が映るサイドミラー。ちょっと清水宏のバスの映画思い出してしまった。
ジョージでありジェームズでもあるピーターは先住民。Let him goのhimは誰?
ジョージ?ジミー
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

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原作未読なので、読んでからもう一回観たい。

[メモ]

「見えてない」ことが見えてなかったと判明する緑内障。
→片方の目がもう一方の目を補完して気づかない。
不倫を鏡越しに目撃する。
見えてないこと
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ゴダールのマリア(1984年製作の映画)

4.0

快楽で出来ている。
全く毛色の違う二作品が一作品として出来ている形式、肉体や動作、光といった部分の面白さと美しさ。音と映像の同期、断絶、ズレが生む独特の(あるいはいつもの)リズムというか波長に、耽溺す
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東京干潟(2019年製作の映画)

4.5

猫いっぱい出てくるだけでジャン・ヴィゴとか思い出しちゃう私の浅はかさはさておき、凄い良かった。
ホームレスのじいちゃんを通じて社会の構造を見せてくる巧さは言わずもがな、社会に対する視点を変えられるよう
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蟹の惑星(2019年製作の映画)

4.5

凄い。半端ではない。
夏休みに図書館で図鑑をめくる小学生のように、食い入るように観てしまった。
蟹の話面白すぎるし、蟹がどいつもこいつもかわいい。

吉田さんの観察眼をカメラで再現せんとばかりの蟹とい
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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

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印象として、ジェームズ・ガンの映画(監督しているという意味でなく)。
命令に背くと即座に抹殺(キャンセル)されてしまうスーサイドスクワッドたちが、海の中から血みどろの道を上へ上へと這い上がる。ジェーム
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ワイルド・スピード/ジェットブレイク(2020年製作の映画)

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毎回アクションのタガが外れすぎているからか、「いままで俺たちが生き残ってきたのは運が良かっただけ」みたいな謎の哀愁というかエクスキューズを突っ込んできた。
んなこと知ってますよ…??
その一方で死んだ
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胸騒ぎのシチリア(2015年製作の映画)

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決定的な事件の後、ダコタ・ジョンソンがひとり超然的なポジションにいることの示し方に参った。彼女だけはコミュニケーションも出来て、傷痕も持たない。
その後に説明的に降ってくる雨に対する最後のひっくり返し
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ラスト・オブ・モヒカン(1992年製作の映画)

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ヒューロン族が降伏した英国軍を襲撃するところのスローモーション(ゆっくりと殺戮が広がっていく)とか、それに至るまでの緊張感を高めるカッティングとか、チンガチェックがマグアと決着をつけようとするその瞬間>>続きを読む

最後にして最初の人類(2020年製作の映画)

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20億年後の「第18期人類」が「第1期人類」である観客の過去にアクセスし、憑依して発話によるメッセージを送り、受け取った側はそのメッセージが、あたかも本当であるように振る舞うということで、過去から未来>>続きを読む

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

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邦題がダメとか映画として云々とかいう御託はもう置いておいて、始まって15分くらいで、とりあえず嫌だと思えるシーンが来ても、絶対目を逸らさないぞとそれだけを誓って観た。観終わっても、こんな世界で申し訳な>>続きを読む