安堵霊タラコフスキーさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

安堵霊タラコフスキー

安堵霊タラコフスキー

青の稲妻(2002年製作の映画)

4.5

デジタルビデオカメラで撮った映像を映写したものを更にフィルムで撮るという変わった試みが行われた作品。

オフィス北野が初めて製作に参加したジャ・ジャンクー作品ってこともあり、情けない若者二人の姿がキッ
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アワーミュージック(2004年製作の映画)

4.0

10ミニッツオールダーでの短編みたいな冒頭の地獄と80年代的な作風の煉獄、そして60年代後半みたいなタッチで撮ったラストの天国で構成された作品。

作品の大半を占める煉獄パートが会話中心の哲学的代物だ
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アポロ13(1995年製作の映画)

4.0

90年代のアカデミー賞の流れなら、作品賞を受賞しててもおかしくなかったと思える映画。

でもアポロ13号でのトラブルを現地と地上の管制局とから乗り越える様子は緊迫感があってかなり見応えがあるし、トイス
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ブレイブハート(1995年製作の映画)

3.9

13世紀に活躍したスコットランドの英雄の伝記という点だけでも独特な良さのある作品。

途中にある90年代の映画らしいメロドラマっぽい描写とかには苦笑させられたが、戦場での挑発の仕方や戦闘の泥臭さ等この
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地上より永遠に(1953年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

鮮烈な浜辺のシーンが有名だから意外だったってのもあってか、フランク・シナトラが死んでからモンゴメリー・クリフトが吹く泣きのトランペットとかそのモンゴメリー・クリフトも死ぬ人間はク○って展開の方が実は強>>続きを読む

戦場でワルツを(2008年製作の映画)

4.6

レバノン戦争について時折ドキュメンタリー映画風にアニメとして描くという、常人では考えつかないような手法で描いた異色な意欲作。(おそらくはフリーもこの映画があったからこそ出来上がった代物だろう)

発想
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五毒拳(1978年製作の映画)

3.4

謎拳法の魅せ方といいちょっと雑さのある展開といい、なんかタランティーノが好きそうな感じのする変な功夫映画。

真面目にやっているのはわかるけど、癖が強いから若干ふざけているようにも見える様子が不思議で
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たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

4.5

以前鑑賞したときはあまりピンと来なかった作品だけど、今回劇場で再鑑賞したら好印象に転じた。

内容というか展開に関しては相変わらずよくわからなかったけれども、淡々とした描写の中で時折効果的に挿入される
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ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

4.5

メメントやアレックスよりも先に時系列を逆にして描いた革新的なイ・チャンドンの出世作。

先に結末とかを知っているが故に過去のことを知っていくと遣瀬無さを覚える作りになっており、最後まで鑑賞した後でまた
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最後の戦い(1983年製作の映画)

3.8

全編台詞無しで荒廃したマッドマックス2的世界を描いた、挑戦的なリュック・ベッソンの長編デビュー作。

台詞を排したせいでやり取りに少し無理矢理感も出てしまったが、人物の服装含め荒廃世界に味が出ていたり
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ラスティ・メン/死のロデオ(1952年製作の映画)

4.7

ニコラス・レイ作品の中で特に評価の高いものの一つだけど、なるほど個人的にもかなり気に入った彼の劇映画となった。

記録映画的なロデオシーンや欲と刺激に惑わされる男の愚かさをテーマとする内容、三人のメイ
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

話に聞いていた以上にセブンっぽい内容だった作品。(リドラーのジョン・ドゥ的キャラクターしかりモーガン・フリーマン的なジェフリー・ライトのゴードンしかり標的が主人公自身になるところしかり主犯捕まって以降>>続きを読む

マペット・ムービー/マペットの夢みるハリウッド(1979年製作の映画)

3.8

今となっては結構見慣れている身でありながらも、やっぱマペットが生きているように見えるのが凄いって改めて思うし、こういう所業こそまさにアニメーション(生命体化)の真骨頂よなと痛感する。

クルーレス(1995年製作の映画)

3.4

良くも悪くもベイビートークの監督の作品って感じで、ちょっとジョン・ヒューズ作品っぽい質感だったりデヴィッド・ボウイのFashionとかスーパーグラスのAlrightとかサントラに使ってた点だったりは嫌>>続きを読む

裸足の1500マイル(2002年製作の映画)

3.7

絵面としては結構予想通りだったものの、家族と無理矢理隔絶させる無慈悲な政策がアボリジニに対し取られていたことにはドン引きだったし、実家に帰る為に荒野をひたすら歩く映像を実際に目の当たりにしてもかなり過>>続きを読む

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)

4.7

個人的にはパゾリーニの監督作品でもかなり好きな方に分類される映画。

カリスマ的存在の青年に魅了され、その存在が消えた後におかしくなる一家の話だけれど、魅了のされ方もおかしくなる描写も結構突飛というか
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光りの墓(2015年製作の映画)

4.6

メモリアの前身みたいな作品で、狐につままれたような印象を相変わらず受けるものの神秘性と映像の美しさが絶品なので非常に心地良くなれる映画。

旅芸人の記録(1975年製作の映画)

3.7

改めて挑戦してみたら、ソフト鑑賞で全体通さずに観たいシーンだけ抜粋して観て、共産主義的主張が強いところは省くって感じのクッソ邪道な方法だと映像の魅力だけに集中できて楽しめることに気づいてしまったが、こ>>続きを読む

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

4.3

確かにめちゃくちゃアピチャッポンしてた作品ながら、これまで以上に頭上に疑問符が出てきたこともあって後半気絶する箇所もチラホラあった。

でも音の哲学性とか画面の静謐さとかの要素に深みが感じられたので、
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ラ・ピラート(1984年製作の映画)

3.5

登場人物全員キてる感のある映画で苦笑してしまうけど、それ故に強烈ってのも認めざるを得ない。

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)

4.0

こういう強烈な奴隷映画って地獄の苦しみを追体験するようで二度と鑑賞したくないけれども、一回で記憶に刻まれるから凄い。

炎上(1958年製作の映画)

4.6

市川雷蔵にとって初めての昭和が舞台の作品だったらしいけど、個人的に彼の演じたもので一番好きかもしれない。

というか吃音のナイーブな人間というのに結構共感を覚えるってのもあるけど、彼が演じると神秘性す
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ユナイテッド93(2006年製作の映画)

3.5

911の混乱とかのリアルな表現を上手くやっていたりした点は賞賛に値すると思いはしたけれど、手持ちカメラを使ったリアリティが2000年代の娯楽映画然としていたせいで逆に実際の事件を取り扱ったって感じがせ>>続きを読む

ドリームプラン(2021年製作の映画)

4.0

テニスの歴史に燦然と輝くウィリアムズ姉妹の育てた父親を描く心温まるヒューマンドラマかと思いきや、その父親の性格や哲学に引くところも多くてその意外性が面白かった。(原題や内容を見るにアメリカ国内やテニス>>続きを読む

リッチーとの一日(2012年製作の映画)

4.2

テーマだったり表現だったりバッファロー66からめちゃ影響受けてそうな作品だったが、それが良い。

ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)

4.3

21世紀のウディ・アレンの作品で最も評価の高い作品。

でも懐古主義をテーマにした、荒唐無稽ながら深さも感じられる内容は全盛期の監督作を髣髴とさせるものだったし、ビジュアル的にも結構独特だったからその
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ツォツィ(2005年製作の映画)

4.0

根底で人間の善性を信じて依存している風な作りにはあまり共感できなかったけれど、アフリカの片隅で不良青年と赤ん坊を用いて綴ったドラマの独特さや強烈さが心に刻まれたことは悔しくも否定できない。

砂時計(1973年製作の映画)

4.5

サラゴラの写本とはまた違った意味で変な毳毳しい芸術映画だったけれど、それだけに強烈に記憶に刻まれているんだよなあ。

グッバイ、ドン・グリーズ!(2022年製作の映画)

4.1

よりもい(宇宙よりも遠い場所)苦手なのに何故か気になり足を運んでしまったこの映画、まさに良くも悪くもよりもい男版を映画用にまとめたとでも言える作品だったけど、伏線の消化等の良さもあって満足感は思った以>>続きを読む

サドのための絶叫(1952年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

これ程に良くも悪くも評価不能という言葉の似合う作品もそうないだろうって代物。

なんか白い画面で朗読流れてんなと思ったら音が止んで何も映し出されてないような状態となり、かと思ったらまた白くなって朗読が
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若い娘(1960年製作の映画)

4.2

ナボコフのロリータとアメリカにおける黒人差別に触発されて作られたと思しき映画。

タイトルの通り若い娘(エロティシズム)を中心に男の浅ましさを描く様子は実に壮年期のブニュエルらしいもので、人間に対する
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プロジェクトA2 史上最大の標的(1987年製作の映画)

4.1

一応プロジェクトAの続編ってことになってるけど、ジャッキーの設定を継承しているだけなんでこれ単体でも楽しめる。

しかしこの作品は特に色んな場所や装置を駆使してアクションを魅せるって趣があり、バスター
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ハーケンクロイツ/ネオナチの刻印(1993年製作の映画)

3.4

引くくらいの暴力描写で暴力批判をしてるってのがわかる作品で、実際その暴力描写の衝撃はかなりのものだが、やっぱ主人公らに感情移入が難しいとのめり込むのも無理だし芸術性も薄いと感動もできない。(その点が影>>続きを読む

再会の時(1983年製作の映画)

3.3

何だろう、旧友を演じる俳優らのアンサンブルとかは良かったものの、映像的面白味や美しさに欠けるからかちょっと煮え切らないというかインパクトが弱いところも否めないし、申し訳ないが死ぬまでに見たい映画の一つ>>続きを読む

チャーリーとチョコレート工場(2005年製作の映画)

4.0

色んな意味でティム・バートンによるチョコレート工場ならこうなるだろうっていう毳毳しい出来。

でも鬼滅の後で吹き替えのこれ見ると、宮野真守の声のせいで童磨の顔がチラついて困る。

ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.2

個人的に60年以上前の映画化作品よりも、こちらの再映画の方が気に入った。

でもその気に入った点の中には以前の映画に対するリスペクト的要素(デジタルリマスター的な映像の質感やリタ・モレノの起用等)も含
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