安堵霊タラコフスキーさんの映画レビュー・感想・評価 - 16ページ目

Dream Work(原題)(2001年製作の映画)

3.9

本編に臨む前から絶対DreamっつうよりNightmareだよなと思っていたら案の定って具合のモノクロ短編だったけれど、不安になるような悪夢的映像加工には美しいとすら思えてしまうから困る。

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)

4.0

イーストウッドの作品ではかなり後味の悪い映画。

サスペンスや演技合戦として非常に見応えのある出来栄えだしクライマックスも非常にハラハラしたのだけれど、結末知ってると私刑野郎の先走り具合にイライラ&ム
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清作の妻(1965年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

増村保造の作品としては馬鹿らしさとは無縁の重い内容となっているので、すんなり構図や演出の良さを堪能できるという点で好印象ではあるのだけれど、夫を戦場に行かせまいと眼を潰す若尾文子とかが重過ぎて逆に堪え>>続きを読む

自由を我等に(1931年製作の映画)

3.9

第一回のヴェネツィア国際映画祭で楽しい映画賞なるものに観客の投票で選ばれたらしい作品。

序盤の脱獄辺りがコメディとしてのピークだったように思えたものの、その後もチャップリンのモダンタイムズに影響を与
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ノー・マンズ・ランド(2001年製作の映画)

3.9

あまり好みの類の作品ではなかったものの、ボスニア・ヘルツェゴビナでの紛争における特殊な一場面を軽妙かつ緊張感のあるタッチで皮肉的に描いていたところは見事と言わざるを得ないし、終幕の遣る瀬なさも忘れ難い>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

5.0

寝ても覚めてもだとか脚本に関わったスパイの妻だとかを鑑賞したときも相性悪いなと感じていた濱口竜介という監督の作品で、まさかここまで感嘆して軽く放心状態になるなんて思わなかった。

というか今まで所々で
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巨人と玩具(1958年製作の映画)

3.5

序盤で言うなら導入部分の謎分割カットだったりライターの謎オーバーラップだったりの意図がわかりにくいけど(解説とか見て理解はしたもののあんまり腑には落ちなかった)強烈なシーンや川口浩が登場する箇所の長回>>続きを読む

42丁目のワーニャ(1994年製作の映画)

4.4

ルイ・マルの遺作となった実験的映画。

チェーホフのワーニャ伯父さんをボロいセットで私服の俳優らが演じているのが主となった作品なのだけれど、そんな謂わば傾向の風景みたいな映画でも俳優の演技力が凄いこと
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フリー・ガイ(2021年製作の映画)

4.3

本来劇場で鑑賞する予定ではなかったけれども評判がかなり良かったので確認として足を運んだこの作品、なるほど脚本や設定が存外しっかりしていたので(特に主人公のガイだけイレギュラーな行動を取るに至ったかとい>>続きを読む

「女の小箱」より 夫が見た(1964年製作の映画)

3.4

増村保造の作品における痴情のもつれってバラエティ番組よりも下らないものに思えてしまい、演出や構図は良いのだけど行われている物事にのめり込めず眺めていて白けるってパターンが多くて我ながらふと不思議に思っ>>続きを読む

シーズ・ソー・ラヴリー(1997年製作の映画)

4.0

父親が遺した脚本を映画化しただけあって、ニック・カサヴェテスの監督作品で最もジョン・カサヴェテスに近い映画になっていた。

ショーン・ペンのイカれっぷりやロビン・ライトを中心とした面倒臭い関係性には笑
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リング(1998年製作の映画)

4.0

あまりに有名な世紀末ジャパニーズホラーの金字塔。

呪いのビデオとかいう荒唐無稽なアイテムを使っていても、貞子という存在でしっかり強烈な恐怖を演出していた点は評価せざるを得ないし、悔しいことに例のシー
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ビッグ・パレード(1925年製作の映画)

4.1

戦争映画としては緩い描写が目立つけれども、その緩さにも記録映画性がいくらかあったので見応えはあったし、その緩くも迫真性のあるまま後半戦闘場面へと突入するものだから生活の延長線上にある戦闘描写として恐ろ>>続きを読む

草原の輝き(1961年製作の映画)

3.9

若干ヌーヴェルヴァーグの影響も感じないでもないハリウッド製青春映画。

映画初主演のウォーレン・ベイティとナタリー・ウッドが、メソッド演技然とした迫真の演技でイチャイチャしたりドロドロしたりしたもんで
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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

4.6

GotGのジェームズ・ガンが監督した新生スーサイドスクワッドということで期待感を抱いての初日鑑賞となったけれど、まさにあのダーティなノリを過激にしつつ違うキャラクター達と地球舞台で描き切った快作となっ>>続きを読む

イングリッシュ・ペイシェント(1996年製作の映画)

3.5

尺が長い割に物語に関しては戦場で乳繰り合ってたら多数の人間が身を滅ぼした程度の印象しか覚えなかったけど、アラビアのロレンスやシェルタリングスカイばりに砂漠の情景は印象深かったし、何よりアカデミー賞をこ>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

4.0

ドライブマイカーを鑑賞するまでに濱口竜介作品を見直そうのコーナーその1。

相変わらずこの監督の作品の台詞や演出には違和感というか変な心地を覚えて、そういう点における苦手意識は未だ消えないものの、クラ
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路(みち)(1982年製作の映画)

3.5

何度挑戦しても顔が似た服役囚の仮釈放の日々をオムニバス形式に展開しているせいで誰が誰で何処にいるのか途中わからなくなる映画。

でも服役経験のある監督の作品だけあって刑務所内の描写は迫真的だったし(ど
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BROTHER(2000年製作の映画)

4.1

ファッ○ンジャップくらいわかる場面で知られる、アメリカにおける武のヤクザ映画。

やってることは90年代のあの調子ではあるので相変わらずではあるのだけれど、アメリカが舞台ってこともあり若干ジャームッシ
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ミラノ、愛に生きる(2009年製作の映画)

4.0

ルカ・グァダニーノが世界的に名前を知られるようになった作品。

展開としてはあまり惹かれるものがなかったけれども、映像表現の耽美さは後に代表作となる君の名前で僕を呼んでに匹敵するものがあり、その点だけ
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仮面ライダーリバイス(2021年製作の映画)

3.8

アラジンのジーニー(山寺宏一)ばりにウザいバイス(木村昴)の言動には初見時かなり辟易としてしまったが、終わってしばらくするとあのノリが恋しくなってきたし、この調子で進んでいけば過去のバディものライダー>>続きを読む

劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲(1998年製作の映画)

4.3

めちゃ懐かしいこの映画が某所で上映されたということで。

90年代的セル画作画とか最初のレイモンドとか市村正親の声のミュウツーとか(思えば劇場アニメでの大物俳優の起用ってここから定番化したような気がす
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街のあかり(2006年製作の映画)

4.2

やっぱ間隔を空けてカウリスマキの映画を摂取すると心が穏やかになるな。

少年と自転車(1965年製作の映画)

4.8

本当にリドリー・スコットの映画か疑うレベルで映像表現に特化した(というか映像の質感的には主演のトニー・スコットの方が近い)珠玉の短編。

暗い部屋を眺め回す冒頭から実験性が強く引き込まれたが、その後の
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映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園(2021年製作の映画)

4.1

ここを含めた映画サイトでのスコアの高さや評判の良さ等で興味を惹かれ、実に20年近くぶりに(アッパレ!戦国大合戦以来)映画クレヨンしんちゃんを劇場で拝むこととしたが、なるほど細田守もこの力を借りるべきで>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(2017年製作の映画)

4.5

案の定というか一作目同様最初見たときより面白く、というか結構色んな視点で描かれるのに上手く着地したなと感心する。

そしてこれまた最初見たときはわからなかったが、フリートウッド・マックやキャット・ステ
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さすらいの女神(ディーバ)たち(2010年製作の映画)

4.5

マチュー・アマルリックが俳優としてだけでなく監督としても腕があることを知らしめた快作。

フェリーニとカサヴェテスを混ぜたような演出と表現は見事と言わざるを得ず、まさに演技も監督も出来るフランスのカサ
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アリスのレストラン(1969年製作の映画)

3.8

ウディ・ガスリーの息子アーロが出したアルバムを基に作った謎めいたコメディ映画。

無軌道な話故に進行するにつれよくわからないことになっていくけど、そこも含めサイケやヒッピームーブメントが台頭した60年
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息子の部屋(2001年製作の映画)

3.4

DVDのパッケージや予告を見て抱いた印象以上のものはあまりないとは思ったけど、普通の人々みたいなしんみりした最後は悪いものではなかった。(でもやっぱナンニ・モレッティの姿を劇中で頻繁に見るとなんだかイ>>続きを読む

ワイルド・スピード ICE BREAK(2017年製作の映画)

4.3

昔はこういう娯楽映画を見ても全然心が動かなかったけど、ド派手なカーアクションやハイテクな技術をフルに使ってるってこともあってかかなり見応えのある内容になってて、やり過ぎて引くくらいの描写もあったのには>>続きを読む

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

3.7

ジャック・ニコルソンの息子みたいな容姿した不良青年と中肉中背の子持ち女が緩くもピリピリとした逃避行を行う、アメリカンニューシネマのリバイバル感漂う映画。

デビュー作らしい拙さや粗も目立つけど(特に途
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014年製作の映画)

4.0

スーサイドスクワッドの新作が公開されるってんで改めて見たけど、昔より印象良くなってるのは洋楽に甘くなってるからってのが大きいんだろうな。

でも純粋に脚本やキャラも良いってところもかなり大きくて楽しか
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最後にして最初の人類(2020年製作の映画)

5.0

作曲家として多数の映画に貢献してきたヨハン・ヨハンソンによる、映像と音楽の融合物としてのコンセプチュアルアート。

旧ユーゴスラビアに存在する、ウルトラマンの怪獣やエヴァの使徒等を髣髴とさせる謎めいた
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カクタス・リバー(2012年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

意味はともかくとして、日常風景のモノクロ映像を早送りと雑な録音を駆使してここまで暴力的に仕上げるってのも芸術的に思えて驚嘆してしまう。

後半のスローモーションもホセ・ルイス・ゲリン風で良いし、最後の
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パッション・ダモーレ(1980年製作の映画)

3.9

文学的な始まり方なのに途中よくわからない方向に進んで困惑もしたが、19世紀のイタリアの軍隊を主体とした流麗かつ耽美な描写の数々には中々惹かれるものがあり、エットーレ・スコラの力量の程がよくわかる。>>続きを読む

酔画仙(2002年製作の映画)

3.9

少年時代から青年としていきなりチェ・ミンシクになるのはちょっと無理があるんじゃないかとか2時間で張承業の人生丸ごと描こうとして展開が駆け足すぎたりとか色々と首を傾げたところもあったものの、絵を描くシー>>続きを読む