安堵霊タラコフスキーさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

安堵霊タラコフスキー

安堵霊タラコフスキー

故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)

4.5

少しストローブ=ユイレやマルグリット・デュラス的な趣のある実験性の強い作品。

風景と手紙の朗読だけで構成されているので80分程度でも長さを感じるが、電車の中とか同じようなシーンを繰り返す試みがされて
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一晩中(1982年製作の映画)

4.2

70年代から80年代にかけての所謂アート系?映画でしか摂取できない栄養がしっかり含まれているという点で良質な作品。

どんな話だったかはあまり記憶に残らないけれども、タイトルの通り夜の場面が多いことも
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.5

これまでに無い斬新で変わったアプローチによって家族愛を描いた映画として歴史に名を刻むこととなった作品。

描き方や描写がかなり独創的なので好き嫌いが分かれるのは仕方のないところだが、自分は積極的に肯定
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プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第3章(2023年製作の映画)

4.5

相変わらず良い出来の中編アニメ映画となっていて、シリーズの転換点らしい波乱の展開で締めともなっていたが、ここで何の予告も無しに終わるのは生殺しが過ぎるってところで待たされるのはちょっとキツい。

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

4.5

存外面白いという噂を耳にしていたので気になり鑑賞したら、なるほどモンティパイソン的なお間抜け要素を随所に味付けされたロードオブザリングといった様相を呈しながらもメインキャラ全員に格好良い見せ場のある小>>続きを読む

グリッドマン ユニバース(2023年製作の映画)

4.2

世界観設定や後半の説明台詞がTVシリーズ以上によくわからない感じではあったけれど、そういうのは二の次と割り切ってキャラ描写なり掛け合いなりを第一として楽しめる(自分のような)人間にとってはかなり良い劇>>続きを読む

ファントム・オブ・パラダイス(1974年製作の映画)

4.2

オペラ座の怪人をロックでアメリカンニューシネマ的にアレンジした強烈な作品。

元ネタを更に過激にした内容だったりロックナンバーの良さだったりも気に入った点ではあるものの、この時代のデ・パルマらしいヒッ
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デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

4.0

芸術家としてのデヴィッド・ボウイをフィーチャーしたような芸術的映画。

デヴィッド・ボウイに関する映像や曲の引用を中心として作られていて、壮大な名曲の多いミュージシャンだけに音楽によりクライマックス的
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

4.0

変身してからの台詞がめちゃくちゃ聞き取りにくかったりそもそも台詞自体に理解困難な箇所も多かったりノリがちょっと変な部分も多数だったりと問題点もかなり目立ちはしたが、それでも諸星大二郎成分を配合しつつエ>>続きを読む

仮面ライダー対ショッカー(1972年製作の映画)

3.6

井上敏樹の父親らしい雑ながらも大胆な脚本や、えも言えぬ魅力と格好良さのある初代ライダーらのアクションシーンとかには、昭和の特撮ならではの味が感じられてならんのよな。

My Best Friend's Wedding/My Best Friend's Sweating(原題)(2011年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

やっぱこれ、結婚式とかでめっちゃ泣いたときに「これで身体の水分全部流れたら死ぬよな」って考えたことから着想得たのかな?

長ぐつをはいたネコと9つの命(2022年製作の映画)

4.5

本当にそんな上映時間も長くないからってのもあるんだろうけど、画面の迫力が凄くて良い具合にキャラの魅力も迸っていたから最近でも特に体感時間が短く思えた作品だった。

役者(1948年製作の映画)

4.5

サッシャ・ギトリが自身の父親で名優と謳われたリュシアン・ギトリを演じて人生の数場面を映画にした作品。

楽屋でのいざこざ等をサッシャ・ギトリらしい演劇的質感で見事に描いており、純粋に面白いだけでなく父
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群盗、第七章(1996年製作の映画)

4.5

内容としてはゴッドファーザーやワンスアポンアタイムインアメリカとかに近い部分もあったのに、どれだけ悲壮だったり残酷だったりしても描写が淡々として日常性すら感じられるところにイオセリアーニらしさがあって>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

ちょっと長いとは思ったけれど、スピルバーグの有名な最初の映画のエピソードをしっかり映像にした点(地上最大のショウからのインスパイア含め)やいじめっ子を映画で感動させてしまった描写、そしてジョン・フォー>>続きを読む

蝶採り(1992年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

いつもの調子で女性や老人の逞しさや哀愁を描いていた点にイオセリアーニ作品としての独特さが感じられたが、霊魂の不滅をオマージュしたようなシーンで程良い感傷を生み出していた点もまた見事で特に印象的だった。

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

4.5

人間の関係性を皮肉った描写の数々がブニュエルやパゾリーニを想起させるという意味でもパルムドールに相応しかったように思う作品で、この監督の映画としては特に気に入った。

随所で神経を逆撫でするような音響
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そして光ありき(1989年製作の映画)

4.0

イオセリアーニが撮ったモアナ的な趣のある、アフリカを舞台とした言葉を発するサイレント映画みたいな作品。

魔術的な描写と皮肉的な展開にイオセリアーニらしさが感じられて面白かったが、この時代に作られたウ
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トスカーナの小さな修道院(1988年製作の映画)

3.9

人々の営みだけで良質な映画を作り上げる点でイオセリアーニは見事ということを思い知る作品だったが50分くらいが限界ということもまた思い知った。

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.1

撮り方とか作風とかはそこまで好みの映画ではなかったけど、第一印象最悪だった男と主人公が段々と良好な関係になっていく様子が小気味良さが絶妙で好みとか抜きに気に入ってしまったから作品の勝利を認めざるを得な>>続きを読む

月の寵児たち(1985年製作の映画)

4.3

ルイス・ブニュエルとジャン=クロード・カリエールが合作したときのような皮肉的群像劇。

人間の滑稽さと演出の巧みさにより、切り取られた日常が芸術として昇華される様子は見事と言わざるを得ない。

台詞が
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別れる決心(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

話が若干時を跨ぐ二部構成になってるんで途中長さを感じずにはいられなかったけど、女に狂わされる男の話ってことでめまいを始めとしたヒッチコック作品テイストの映画になっていた点には好印象だったし映像センスや>>続きを読む

ランドスケープ・スーサイド(1986年製作の映画)

3.8

謎の固定カメラや延々と続くインタビュー映像に彼岸的な哲学模様を感じ取りついつい希死念慮が湧いてしまうのも果たして自然なことと言ってしまえるのだろうか。

モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

4.5

使われた映画の映像と合わせて流れる音楽を聴いただけで感動に泣き濡れ、やはりモリコーネの音楽が好きだということを改めて思い知らされる懐古ドキュメンタリー映画。

監督がトルナトーレだけあってモリコーネの
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タンゴ(1998年製作の映画)

4.5

チョロっとドラマ要素は追加されているが、基本的には80年代以降カルロス・サウラが得意としたダンス映画。

でもやっぱり要のダンスシーンがとにかく芸術的なこととヴィットリオ・ストラーロの撮影の美麗さが秀
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わが命つきるとも(1966年製作の映画)

4.1

アカデミー賞等を多数受賞した映画にしては結構地味な印象を覚える、トマス・モアを主人公とした珍しい中世舞台の作品。

基本会話が中心の演技的映画ながら、要となっているポール・スコフィールドの毅然とした佇
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「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ(2023年製作の映画)

4.7

遊郭編クライマックスの戦闘シーンでも思ったけど、無限城もめっちゃ作画カロリー消費して異次元空間作ってて最早引いてしまう。(ゆくゆくはここで戦うことになるけれども一体どんなクオリティになっちゃうの?)

ダウト 〜あるカトリック学校で〜(2008年製作の映画)

3.8

ヴィオラ・デイヴィスの出世作にもなった、俳優陣のインパクトがかなり強い映画。

なのでその俳優らの演技合戦を眺めているだけで多幸感にも包まれるが、それだけに内容があんまり頭に入らない。(少なくとも自分
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.5

俯瞰してみると馬鹿らしくも思える行き違いが取り返しのつかない仲違いに発展していく様子に、途中から閉口しつつも一種爽快感も覚える結末に唸った作品。

良質な演劇を鑑賞しているような演技合戦や島のロケーシ
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Haulout(原題)(2022年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

あの大量のセイウチをリアルに撮れただけでもこの映画の勝利と言えるし、凄いことが起こるという前情報のみだけで鑑賞して良かったと思える衝撃を味わえた。

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

4.3

レマルクの代表作を現代の技術で映画として蘇らせた作品。

開幕から終幕までの殆どのシーンで地獄よりも悲惨な戦場を見事と言わざるを得ないクオリティで映像にしており(特にさっきまで動いたり喋ったりしていた
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健康でさえあれば(1966年製作の映画)

4.0

短編映画を4つ合わせた中編映画。

一番映像表現として面白かったのが最初に流れたサイレントホラーオマージュとメタ描写が目立った不眠症という作品だったからか、他も近代的な生活を皮肉った表題作とか面白かっ
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絶好調(1965年製作の映画)

3.9

健康でさえあればから独立したという短編。

サイレント喜劇的なキャンプ風景とかは実にこの監督らしい間抜けさだったのだけれど、何かを風刺しているだろう居住区の存在が途中から気になってギャグがあまり頭に入
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Electra,My Love(英題)(1974年製作の映画)

4.5

ミッドサマーを作る上でウィッカーマンと並び監督が参考にしたとも言われているハンガリー映画。

ストーリー性は薄いものの長回しの不思議な映像の数々が齎す奇妙さが心地良く、独特な芸術を味わった満足感を強く
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北国の帝王(1973年製作の映画)

3.5

ちょっと60年代っぽさを残すロバート・アルドリッチ流アメリカンニューシネマ。

肝となる列車の撮り方とかは中々良かったけれどもリー・マーヴィンらとアーネスト・ボーグナインの対立とか話に関してはあまり乗
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偽れる装い(1945年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

友人の婚約者を寝取った挙句に破滅する自業自得なファッションデザイナーの話。

最初に結末が提示される系の映画だけど、主人公が誑しの屑で誰にいつ殺されてもおかしくない展開となっていて、そこにサスペンス感
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