安堵霊タラコフスキーさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

安堵霊タラコフスキー

安堵霊タラコフスキー

プリンセス・ブライド・ストーリー(1987年製作の映画)

3.7

入れ子構造で80年代のポップ感が強いけれども初期のウディ・アレンやモンティ・パイソン的なものも感じられる、ちょっと変わった趣の中世風恋愛コメディ。

子供に読み聞かせている設定もあってか基本的に展開と
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天国への階段(1946年製作の映画)

4.0

通常のドラマパートは良くも悪くも手堅い印象を受けるが、モノクロで表現された臨死体験のパートは壮大さと荒唐無稽さが同居していてインパクトが中々凄かった。(天国なんてあったとしても絶対こんなんじゃないだろ>>続きを読む

監獄ロック(1957年製作の映画)

3.9

単なるエルヴィス・プレスリーを主演に据えたミュージカル映画かと思いきや、ジェームズ・ディーンの映画を思わせる作りだったりメタ的なシーンだったりが存外面白い作品となっており、加えて表題曲等の歌を美麗に披>>続きを読む

シュベカター(1958年製作の映画)

3.5

何が始まるだろうと待っていたら呪いのビデオと見紛うレベルで不気味さが漂うネガ的映像が流れたので流石に困惑した。

中央地帯(1971年製作の映画)

3.9

流石に長すぎるとは思うしこれを3時間眠らず(というか気絶しないで)見続けられる人間がいたら結構凄いと思うような退屈さもある作品だが、一つの地点で世界の下から上まで360度ねっとりと撮し切る実験を完遂し>>続きを読む

狂った一頁(1926年製作の映画)

4.5

ジガ・ヴェルトフが憑依したかのように衣笠貞之助が撮ったカルト的不気味映画。

作為的な狂気が強く感じられるシーンも多いけれども、粗い映像や大胆なジャンプカット等が齎す気味の悪さは後のジャパニーズホラー
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世界の六分の一(1926年製作の映画)

4.0

ざっくり言うとカメラを持った男のプロトタイプ的な映画。

名作と誉れ高い次作を先に経験していると映像表現が鈍的にも感じられるんで物足りなさも覚えるが、生々しさ(と不気味さ)も出ている点に良さがあるよう
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ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう(1972年製作の映画)

4.2

兎で始まり兎で終わるから兎年にちょうどいいということで選んだ、2023年初映画鑑賞作品。

リア王のパロとかB級パニック映画のパロとか実に下らないのに、この頃のウディ・アレンのセンスで料理されたらモン
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Bavure(2018年製作の映画)

4.0

ようわからんが色を塗る行為をグロテスクかつ壮大に表現した点は天晴れ。

大恋愛(1969年製作の映画)

4.8

2022年の映画納め作品。

ピエール・エテックスの盟友ジャン=クロード・カリエールの色が存分に出た、アラン・レネやブニュエル的でもある恋愛コメディ。

メタな描写を随所に挿入した皮肉的な内容は実に楽
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永遠のガビー(1934年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

簡単に言うと男を謎に魅力して破滅させる一人の女の生涯を描いた、遺作である歴史は女で作られるのプロトタイプ的作品になっており、その意味でマックス・オフュルスの原点とも言える内容は興味深かった。

そして
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メルビンとハワード(1980年製作の映画)

3.9

後にバックトゥザフューチャー3でドクと結婚する役を演じるメアリー・スティンバージェンがアカデミー賞を受賞した作品。

晩年のハワード・ヒューズに関する実際の問題を映画化したものながら、基本的には糾える
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女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

4.5

ピエール・エテックス自身が主演を務めた初長編監督作品。

サイレント時代の喜劇俳優を更に狂わせたような造形の主人公を中心としたドタバタコメディは、少し大人な笑いを多く含むという意味でも初期のウディ・ア
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破局(1961年製作の映画)

4.5

ピエール・エテックスがジャン=クロード・カリエールと共作した初監督の短編映画。

後にドリフの志村けんとかがやりそうな、間抜けな男のドタバタコントを音でも遊びながら作り抜けていて愉快だったのだけれど、
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ブリット(1968年製作の映画)

4.0

良くも悪くもアメリカンニューシネマのプロトタイプ的な刑事映画になっていて、ダーティーハリーやフレンチコネクションを先んじたような雰囲気やお洒落で迫力のある映像等に惹かれるものの多い作品。

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.8

意思疎通が何故かできる鯨みたいな都合の良すぎる存在で行う捕鯨(批判)描写があからさま過ぎたりクライマックスの展開がグダグダ極まりなかったりと、前作とはまた別の意味で問題点の多い作品ではあったものの架空>>続きを読む

ライアンの娘(1970年製作の映画)

4.4

デヴィッド・リーンの作品では失敗作と見做されているものではあるけど、人間の愚かさが文学的に描かれている一方で映像に詩的な美しさがあるから個人的にはかなり好き。

グレムリン(1984年製作の映画)

3.2

嫌いじゃないしメインとなるモグワイの造形や動かし方もかなり良いと思うんだけど、飼うときの注意守らねえ軽率な行為が多い等人間の愚かさが中々に際立った作品でもあるんで苦手。(特に主人公家族の能天気な感じは>>続きを読む

招かれざる客(1967年製作の映画)

4.0

人種間の問題を取り扱っていながら善性がフィーチャーされ過ぎてるきらいがあることは否めないものの、上質な演技合戦を目の当たりにすると(特にラストを飾るに相応しいのスペンサー・トレイシーの大演説)多大な満>>続きを読む

猫と金魚(1959年製作の映画)

4.3

海洋学者ジャック=イヴ・クストーがプロデュースし、アカデミー賞を受賞したというサイレント作品。

リュミエール兄弟のオマージュを挟みつつ記録映画的でスリリングな動物らの事件をメインに描いていたのが白眉
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エロイカ(1957年製作の映画)

4.3

かなり皮肉の込められたネオレアリズモ的戦争映画。

同時期に戦争を題材にした長編映画を撮ったアンジェイ・ワイダのアンチテーゼ的な緩さや冷笑的雰囲気と終末的な画面の味わいが中々に良い。

生きるのが軽く
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Mirror of Holland(英題)(1950年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

カンヌで短編パルムドールを受賞したらしい、ベルト・ハーンストラの代表作の一つ。

水面に映った虚像だとはわかっているのに、反転させると変なエフェクトのかかった映像として認識してしまうのが人間の面白いメ
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天使にラブ・ソングを2(1993年製作の映画)

3.9

前作以上に音楽要素が強くなっただけでなく人種のるつぼ的教室を舞台とした金八先生みたいな内容にもなっているので、前作とはまた違った楽しみ方が出来る(というかちょっと日本に馴染みのあるような作りの)作品に>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

良くも悪くも公開前からかなり話題となった令和の劇場版スラダン、しかし評判が中々に良かったので劇場に足を運び中身を確認し、なるほどあの漫画史に遺る山王戦をきっちりアニメとして動かしたなら高評価も当然だろ>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還(1983年製作の映画)

4.6

実は昔旧3部作で一番最初にこの作品から目を通してしまったのだけど、前作からの流れがわかっていなくても全編山場ばかりなのでずっと見入ってしまい、スターウォーズの魅力を肌で感じ取れたのを今でもよく覚えてい>>続きを読む

サイダーハウス・ルール(1999年製作の映画)

4.0

ガープの世界やホテルニューハンプシャーで知られる原作者ジョン・アーヴィングが自ら脚色を務めたこともあり、フォレスト・ガンプ以降多く作られたハートウォーミング系映画の中でも甘酸っぱさだとか闇の深さを随所>>続きを読む

グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

4.5

アーサー王の甥ガウェインを主人公とした不思議な作品。

所々でゼルダ的な印象を覚える描写と美麗な映像が琴線に触れて心地良い時間を堪能した。

かたつむり(1966年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

作った人間の狂いっぷりが一見してよくわかる類の、常人では考えつかない短編アニメ。

農夫の涙で作物が育つというツッコミ所しかない展開から進撃のカタツムリを経て、今度はウサギの侵略を予期する終幕に到るま
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レディ・マクベス(2016年製作の映画)

3.8

吐き気を催す男尊女卑な環境にキレるフローレンス・ピューの演技が凄まじい映画。

映像に関しては気に入る場面もあったり少し微妙に感じたりと不安定な印象だったものの、主に後半のフローレンス・ピューの強烈さ
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つばさ(1927年製作の映画)

4.3

記念すべき第1回アカデミー賞で作品賞を受賞したサイレント映画の秀作。

今から90年以上前、そしてトップガンから50年以上前の作品なのにトップガン並みの迫力で撮られたドッグファイトが圧巻でとにかく見入
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グリーンマイル(1999年製作の映画)

3.9

ショーシャンクの空にと同じ原作者と監督の組み合わせながら、中身はそのショーシャンクのアンチテーゼ的で皮肉めいたものとなっていたのがニヒリズムを刺激されて逆に好印象な作品。

でも聖なるものを殺してしま
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戦争と平和(1956年製作の映画)

3.8

いくらトルストイの長編小説の映画化と言っても200分超えは長いと思わずにいられないし、英語の作品ってことを度外視してもロシアやフランスを描いた感じがまるでしないところとか色々と問題点が多い映画ではある>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(1980年製作の映画)

4.5

ヨーダが初登場したりベイダー卿衝撃の設定が開示されたり、後々展開されるスターウォーズシリーズ全体としてもかなり重要なポジションに位置する作品。

描写としても成功した前作以上にSFな戦争シーンに力が入
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DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン(1983年製作の映画)

3.9

完全に庵野秀明なウルトラマンはさておき、そのウルトラマンが出てくるまでのドラマとか怪獣の設定、実相寺アングル、そしてバトルの展開とか予想以上にかなりウルトラマンなことやってる作品になっていて驚いた。

最後の誘惑(1988年製作の映画)

4.2

アカデミー賞において監督賞だけ候補になったという珍しい作品。

同じキリストを題材に名作を遺したパゾリーニにも近いタッチのカット割りを採用しつつ、80年代のアメリカ映画然とした少しオルタナティブな質感
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.5

最近の新海誠作品では一番好きなものに位置するけど、それはみみずの魔女っぽい設定だったり「かなめ」が重要だったり白い四足歩行キャラに翻弄されたりと魔法少女まどか☆マギカとの共通点がかなり多かったことにも>>続きを読む