田島屋君さんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

17歳のカルテ(1999年製作の映画)

3.9

ウィノナ・ライダーの魅力、アンジーの演技力、名言の数々。評価すべき要素は詰まっていましたが、微妙に薄味な印象でした。
正常者と異常者の集団がそれぞれいたとして、実際の所両者には大きな違いが見られないこ
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大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

3.8

内容ももちろん良かったのですが、この映画はとにかく記憶に残るカットが非常に多かったです。
子どもの頃にしか見えなかった世界、感じることの出来なかった感覚、それらが見事に映像化されていて、主人公の少年に
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汚れた血(1986年製作の映画)

4.1

フィクションとしての完成度の高さ。
色の美しさ。女性の強かさ。
愛に生き、愛に死ぬ人間。
ボウイのModern Loveをバックに疾走するシーンでアレックスが感情を解放させるシーンは間違いなく名シーン
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パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

3.8

しっかり面白い!
内容としては「ペルソナ」「ミザリー」あたりが混ざったような感じです。
この独特のキャラデザが物語のエグみをより深くしている気がします。
描かれているテーマも先見性に富んでいて素晴らし
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フォロウィング(1998年製作の映画)

3.8

ノーランは初めから観客を翻弄する監督であったことがよく分かるデビュー作です。
フィルムノワール風の映画をまず作る、ということからも彼の映画に対する愛が感じられます。
これからもトンデモナイ映画を作って
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ビフォア・ミッドナイト(2013年製作の映画)

4.0

ラブロマンスの先にある話。
1.2作目であれ程夢のような時間を見せておいて、最後に重いリアルを叩き付けてくる監督に嫌気が差した人も多いようですが、そんなのはスターウォーズシリーズでもう耐性がついていま
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ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)

4.2

2人とも良かったね、と終始思わせられる文字通り大人のラブロマンス。
飛行機の出発までの時間をそのまま上映時間にしているという素敵な演出。
やっぱりこの映画は会話が面白いです。良い意味で聞いていて疲れな
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ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

4.2

こんなことあったら良いな、が詰め込まれたラブロマンス。
キラッキラした主演2人が、ただひたすら会話を続けるだけ。それだけなのに、観ているこちらも幸せになります。恋愛を正面から描こうとした時に、派手な演
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アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

3.8

いつまでが子どもで、いつから大人になったんだっけなぁなんて想いながら。
青年期の記憶、青春の一コマ、時間の経過と共に薄れていく貴重な感覚が詰め込まれた映画でした。
日本には無い風習なので激しく共感する
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死霊のはらわた(1981年製作の映画)

3.5

チープだけど過激演出豊富なお化け屋敷、そんな感じです。
ストーリーはシンプルの極み。
スプラッター要素も満載で気分も爽快です(?)。
たまにはこういうのも良いですよね!
どういう流れでスパイダーマン撮
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メランコリア(2011年製作の映画)

4.2

鬱病を経験している監督にだからこそ見えてくる世界の二面性。
正常な世界における異常者が、異常な世界においては一番の正常者になる。
両極端の人々と、まだどちらにも傾倒していない無知な子どもたち。
全てが
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僕の村は戦場だった(1962年製作の映画)

3.7

タルコフスキー監督長編初作品。
『ストーカー』と同じくらい観やすく、尚且つメッセージ性も明確な作品でした。
キスシーンや回想シーンなど美しく記憶に残るシーンはあったのですが、どうしても退屈に感じてしま
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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

4.2

強烈な映画。
家族や他人との真の信頼関係の欠如から金や権力だけを欲し、最終的に男は自らの手で自らの身を滅ぼすことになります。
生きる理由。道具としての他人。自尊心の衝突と崩壊。エグみたっぷりで見応えバ
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スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐(2005年製作の映画)

4.3

何回観たか分からない。
殿堂入りの映画です。
シリーズの中で一番好きです。
一緒に観た人と話していたのですが、僕にとってヘイデン・クリステンセンはアナキンでしかないし、ナタリー・ポートマンもパドメでし
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ディス・イズ・イングランド(2006年製作の映画)

3.8

知らず知らずのうちにあたかも親であるかの様にショーンの一挙一動を見守っている自分がいました。
若さ故に何にでも染まる余地があることの恐ろしさ。
トレインスポッティングは少しベクトルが違う気もするので比
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震える舌(1980年製作の映画)

3.8

何回も途中で断念しようとしましたが、何とか最後まで耐え切りました。
次第に精神が擦り切れていく両親の演技も迫真でした。
破傷風、恐ろしや、、、、
もう絶対観ないですが一見の価値はありです。

自転車泥棒(1948年製作の映画)

4.0

ネオレアリズモ特有の絶望感と張り詰めた緊張感の演出が見事なバランスでした。
個人的には無防備都市よりも面白かったです!
インチキの極みみたいな占い師のシーンで笑いました。
他のネオレアリズモ作品ももっ
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ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)

4.0

相も変わらずジム・ジャームッシュ節炸裂してます。
ナイト・オン・ザ・プラネットとは違い、オムニバス形式で進みつつもそれぞれの物語が交差していく様も魅力的でした。
初期からも滲み出ている監督の人生観を感
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淵に立つ(2016年製作の映画)

4.0

浅野忠信の顔ってどこか人間味がない。
もちろん本作においては良い意味でです。
というよりこれも彼の演技力なのでしょう。素晴らしいです。
直接手を下すシーンが描かれていないのが気になります。
罪、罰、人
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ドッグヴィル(2003年製作の映画)

4.0

ラース・フォン・トリアーの作品は何作品か観てきましたが、作品ごとにいつも新しい何かを投げ掛けてくれる様な監督だと思っていました。
今回も予想の斜め遥か上の世界を見せてくれました。
集団において盲目にな
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HOUSE ハウス(1977年製作の映画)

3.8

前衛的過ぎるホラー映画。
とは言えそこまで怖いわけではないので、昔話や御伽話に近い感覚です。
オシャレやファンタの様に、人物の特徴を表す形容詞がそのまま名前になっているスタイルも日本では馴染み深い気が
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イット・フォローズ(2014年製作の映画)

3.7

ホラー映画等にありがちな設定や登場人物の行動のガバさはご愛嬌。
それでも性行為によって他人に移せるという仕組みはかなり秀逸に感じます。
恐怖を共有できないことへの恐怖。

殺人の追憶(2003年製作の映画)

3.9

ぶっちゃけ犯人に刑事達が振り回されるだけの話なのですが、それでも観ていて飽きない作りになっているのが流石ポン・ジュノ監督だと思います。
また真犯人が2019年に特定されたという事実が、本作をより恐ろし
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マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)

4.1

初見だったので観終わった後頭の中がハテナで一杯でしたが、考察を読んでから内容を思い返すと、それぞれのシーンの意味合いが鮮やかに浮かび上がってきました。
なので今は、《もしかしたら凄い作品なのかもしれな
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インディアン・ランナー(1991年製作の映画)

4.2

「赤ん坊の誕生は我々へのメッセージ 神は人間に失望していない」
希望に満ちたメッセージとは裏腹に、まるで遺伝子に予てから刷り込まれていたかの様に運命に逆らっていく、もう一つのメッセージとしてフランク。
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東京物語(1953年製作の映画)

3.9

登場人物を画面の中心に捉え、真正面から撮るカットが印象的で、それ故に独特のゆったりとしたテンポ感が生まれているように感じました。
原節子演じる紀子があまりに良い人過ぎますが、その献身的且つ愛に溢れた人
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エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)

4.5

好きなやつでした。演出も音楽も。
個人的にコメディのジム・キャリーよりも本作の方が刺さりました。
映画構成を把握した上で冒頭を思い返した時の切なさったらないです。
最近観た映画の中で一際映画として全体
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白いリボン(2009年製作の映画)

4.0

落馬事件を機に人々の生活に暗雲が立ち込め、人間関係に気付かない内に歪みが生じていく。怒りの種が生まれる。
モノクロだからこそ、その崩壊の様子をまざまざと突き付けられた様な気持ちになりました。
歯車が狂
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上意討ち 拝領妻始末(1967年製作の映画)

3.9

情の通用しない封建制の社会。
現代の会社でも同じ様なことは起きているでしょう。
自分がどちら側に立つことになるかも予想は付かないけれど、この映画を観る様に俯瞰的に状況を見てみれば、正しい選択は自ずと見
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エクソシスト/ディレクターズ・カット版(2000年製作の映画)

3.8

想像以上に汚い言葉が使われていて笑えました。
教育上は宜しくないかもしれません。
フリードキン監督によって指導された演者達の迫真の演技・演出も、数十年経った今となってはもはや安っぽささえ感じますが、そ
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タンポポ(1985年製作の映画)

4.4

面白い!ストーリーは至ってシンプルなのに飽きがこなかったですね。
食と生と性は切っても切り離せない関係にある。
当たり前ですが、人は誰しもが食に生かされているんだなと思いました。
演出が良いのに加え、
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鉄男 TETSUO(1989年製作の映画)

3.6

やりたい放題。
音楽とかは実験的で面白いです。
この映画を観るにあたってあんまり考え過ぎない方が良いのかもしれないですね。
AKIRAの影響は受けているらしいけど、鉄雄が機械と一体化する描写をパクった
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ノーカントリー(2007年製作の映画)

4.5

映像がまず素晴らしいです。
地面の砂の一粒一粒まで見えるかと思う程繊細で、乾いていて、且つ美しい荒野の世界に引き込まれます。
そして何よりアントン・シガーのキャラが最高。
ヴィジュアル、武器、人格の全
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仄暗い水の底から(2001年製作の映画)

3.7

自分のイメージしていたJホラーの要素が凝縮されていました。
湿っぽい、髪の毛、団地、女の子、じわじわと積み重なっていく恐怖。
まさにお手本のようなホラー映画でした。
そんなJホラーにはどこか苦手意識を
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