いずみたつやさんの映画レビュー・感想・評価

いずみたつや

いずみたつや

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

3.5

作品の壁を越えたあり得ないほど豪華絢爛な映画で、とんでもなく幅広い層のツボをガンガン押しまくってくる娯楽作。

ある展開には思わずうるっとしました。うるっとしたんですが……

すでに「完結」した作品の
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レイジング・ファイア(2021年製作の映画)

4.0

ドニー・イェン&ニコラス・ツェー、2人の激突だけでも一見の価値アリ。

防弾チョッキの意外な使い方、バイクvs車、思わず声が出てしまいそうなアクロバット救出……などなど、おもしろアクション満載の作品で
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キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

3.5

良くも悪くも“不謹慎アクション”の代名詞として名を馳せた『キングスマン』ですが、第一次大戦を舞台にするとあって、倫理的なところをどうクリアーしてくるのか(しないのか)が気になっていました。

これに関
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ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(2019年製作の映画)

4.0

この手の実話を題材にした映画は、「こんなにすごい人がいたのか」「そんなに酷いことがあったのか」という知識を与えてくれる一方で、結局そのまま消費して終わることがほとんどです。

何でもかんでも自分事とし
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ただ悪より救いたまえ(2019年製作の映画)

3.0

過剰なアクションで刺激的な作品ではあるものの、どこか突き抜けない印象でした。あまりに陰惨なドラマ部分が娯楽性と噛み合わせが悪かったのかなと感じています。

個人的には『96時間』に似ていると思ったんで
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

自分が好きなもの、憧れ、拠り所の裏にある闇を知ってしまう恐怖。見過ごすわけにもいかないという葛藤は映画好きの方たちにとっても身近なものだと思います。

監督は「過去を美化することの危険性についての映画
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マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

4.5

期待したものとはまったく違う予想外の作品で驚きました。“シリーズらしさ”に耽溺するループを良しとせず、「変化」を高らかと打ち出したことに最初は戸惑いながらも嬉しさがじわじわと込み上げてくる。

「偽り
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パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

4.0

行間を読ませる演技の応酬がめちゃくちゃスリリング。正直こんなに普通にサスペンスとしておもしろい作品とは思わなかったです。

男社会の加虐性をじっくりと描く前半部分の不快さ。学歴や趣味でマウントを取るベ
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ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償(2020年製作の映画)

4.0

シャカ・キング監督で「ユダ&メシア」ってとても厳かな雰囲気が漂っていますが、描かれるのは釈迦でもキリストでもなく、黒人青年フレッド・ハンプトン。

ブラックパンサー党といえば過激で暴力的な側面がフィー
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クライム・ゲーム(2021年製作の映画)

4.0

悪人だらけの血も涙もない殺伐とした雰囲気が良い。最初はケイパーものとして始まりますが、そのうちに思いがけず暗闇へと足を踏み入れてしまったような感覚はノワールの味わいがあります。

闇に目が慣れてくるよ
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楽園の夜(2019年製作の映画)

4.0

北野映画の「静」と韓国映画の「動」が化学反応を起こしたバイオレンス映画。

主演2人が少しずつ心を通わせていくあたりが「静」の部分ですが、その背後に漂う死の予感が一瞬一瞬の出来事の儚さを際立たせます。
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モスル~ある SWAT 部隊の戦い~(2019年製作の映画)

3.5

家族をISに殺害された人たちで構成された部隊。そんなものが実際あったことに驚きました。

激しい銃撃戦やドローンを用いた戦闘など緊張感の絶えない映画ですが、個性豊かなキャラクターの描き方が重い題材のな
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

5.0

アダム・マッケイはあまりにも皮肉たっぷりで胸焼けするので苦手だったんですが、今回は素晴らしい!

愚かであさましい人間への冷笑に終始せず、それでも私たちが大切にすべきものはなにか。手放さずにいるべきも
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ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ(2021年製作の映画)

3.5

テンポがとんでもなく軽快で上映時間も短く、長尺映画が量産される昨今において、それだけでもひとつの魅力に思えてしまいます。

ヴェノムが可愛らしくて楽しい作品だと思うのですが、カーネイジをこんな風に雑に
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悪なき殺人(2019年製作の映画)

4.0

インターネットのおかげで世界が身近になり、人の心も容易につながっているような錯覚を抱いてしまうことはしばしばあります。

人とのつながりが双方向に伸びた矢印ではなく、一方向の線かもしれないという不安は
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フォーリング 50年間の想い出(2020年製作の映画)

4.0

旧世代と現世代の価値観の平行線ぶりを嫌というほど徹底的に見せる。単純な「愛」や「赦し」はない。それがヴィゴ・モーテンセンの実体験に基づいた正直な思いなんだろうと思います。

ビショップ役でお馴染みのラ
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アンテベラム(2020年製作の映画)

4.5

“過去は決して死なない。過ぎ去りさえしないのだ”というウィリアム・ホークナーの引用がすべてを物語っています。「過去」を過去のものとして片づけさせない怒りの作品でした。できるだけ情報を入れずに観るのをお>>続きを読む

聖地X(2021年製作の映画)

4.5

単純にジャンル分けできない映画。奇妙な世界におそるおそる足を踏み入れ、得体の知れない何か不思議なものを覗き見ている。そういった好奇と背徳に満ちた感情に突き動かされるように心奪われてしまいました。

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1941 モスクワ攻防戦80年目の真実(2020年製作の映画)

4.0

砲兵が主人公というのがなかなか珍しい戦争映画。

砲車を隠す小屋の扉を開閉しながら、敵に居場所を知らせずに攻撃を仕掛ける様子がとても興味深かった。

連射ができないために発生する照準と砲撃のスリルは『
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アイス・ロード(2021年製作の映画)

2.5

アクションの演出にキレがなく、緊張感がないのがツラい。大変なことが起きているのに映して欲しいものが映らないもどかしさもフラストレーションがたまります。

『恐怖の報酬』(1977)と比べるのは気の毒か
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マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

4.2

スクリーン越しに「異形の何か」と対峙して、その得体の知れなさに思わず身体が硬直してしまうような感覚。恐怖と興味とがいっせいに押し寄せてきて毛穴がカッと開くような興奮!

「ジャッロ映画」を下敷きにジェ
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カオス・ウォーキング(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

何でもかんでも“思ったことが漏れてしまう”最低最悪の世界観がユニーク。しかも思春期の青年が主人公とあって、それはそれはハラハラするの気の毒になるので大変でした。

心の内が漏れてしまうのは男性のみとい
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エターナルズ(2021年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

人類の蚊帳の外ぶりがすごい…。地球人としては、勝手に他人ん家にあがりこんでおいて、人が作ってきたものや歴史をさも「私のおかげ(私のせい)」と振る舞うのはあまりに無礼な感じがしました。

広島の爆心地を
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イン・ザ・スープ(1992年製作の映画)

5.0

世にも珍妙な人々が織りなす行き当たりばったりのドラマ。奇人変人どんとこい。人生は苦い。でも楽しい。そう思わせる力がこの映画にはあります。「アレクサンダー・ロックウェルの映画には」と言ってもいいかもしれ>>続きを読む

モーリタニアン 黒塗りの記録(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

『クーリエ』に続いて、事実とエンターテインメントを絶妙なバランスで配した作品が公開されました。どちらもベネディクト・カンバーバッチが製作に関わっているのは、彼が慧眼の持ち主であることを感じさせます。>>続きを読む

MONOS 猿と呼ばれし者たち(2019年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

美しい自然と暴力の対比が鮮烈。しかし、本来自然と暴力は密接な関係にあるものであって、内戦のために人間らしさを剥ぎ取られた少年少女が”猿=MONOS”と呼ばれるのは象徴的でもあります。

モチーフになっ
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ハロウィン KILLS(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

前作があまりに痛快な作品だっただけに、今回も「やれ!やったれ!」というテンションを引きずって観に行ったわけですが、「正義」が暴力の免罪符として暴走していく光景を前に、思わず居住まいを正しました。

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スウィート・シング(2020年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

「喜び」「怒り」「悲しみ」といった言葉だけでは表現し得ない細やかな感情のグラデーションをていねいに描いた作品。

それは大人たちの理不尽さの裏にあるものであったり、子どもたちが世の中と対峙したときの素
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G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ(2021年製作の映画)

3.5

姫路城、五重塔、富士山など”THE 日本”なランドマークに、ギラギラのネオン街を疾風の如く駆けるニンジャ、という海外から見る「日本」をドカ盛りにしたような世界観がおもしろい。こうした「日本のイメージ」>>続きを読む

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)

3.7

ロメロによる「敬老教育映画」として作られるも、上映拒否となったこの作品。教育映画と聞いて想像するような当たり障りのないマナームービーではなく、老いに対する不寛容が渦巻く社会を痛烈に皮肉った異様な雰囲気>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

2.5

世界観の見せ方が説明的すぎて、それ故に冗長で退屈な場面が多い。膨大な物語の1作目なので説明が多くなるのは仕方ないかもしれませんが、それでもテンポが悪すぎます。

ハンス・ジマーの音楽が主張しすぎていて
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キャンディマン(2021年製作の映画)

4.3

「都合よく物語ることの罪」についての怒りと復讐の映画。

1992年版『キャンディマン』の内容が映画で描かれたのと別モノとして伝承されているのも、語り手がヘレン・ライルの身に起こった悲劇を「都市伝説」
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.3

「男らしさ」を守る役割に女性を押し込む下劣さ。その役割を内面化して自ら「男が望む女」を演じる女性達の姿も虚しい。存在そのものが否定されているかのような扱いのなかで、「私は絶対に沈黙しない」と示す主人公>>続きを読む

ビースト(2018年製作の映画)

4.0

出世主義が行き着く極地の殺伐とした景色に立ち込める血の匂い。底知れぬ疑心、止まらない裏切り。人間の嫌な面を煮詰めたような濃厚な作品で圧倒されました。

容疑者のアジトとなっているアパートでの警察・犯罪
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死霊館 エンフィールド事件(2016年製作の映画)

4.2

あの手この手を使った怖がらせ方が炸裂しており、数も派手さも前作以上。2回目の鑑賞でも椅子から飛び上がってしまいます。

また今作で登場した悪魔のシスター・ヴァラクは、今後ホラーアイコンになり得る名キャ
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007 スペクター(2015年製作の映画)

3.8

前作がとても美しい形で「新体制」を掲げるというかっこよすぎる幕引きをやってのけたことでハードルが上がり切ったところでの続編。

ダニエル・クレイグ版ボンドが背負ってきた重たく暗いものは前作で精算し切っ
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