いずみたつやさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

いずみたつや

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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.2

性暴力への激しい怒り。性差別的な物言いや態度も被害者にとっては同様に「性暴力」だ。

本作に登場する男たちの胸糞悪さといったら、筆舌に尽くし難いものがあります。女性を卑下した輩に対して、レンチを片手に
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RUN/ラン(2020年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

好みの問題ではありますが年齢制限回避のためか、ショッキングな描写がまるでなく、暴力的なシーンも直接的には見せなかったり、マイルドにしたりで突き抜けきれない。

銃をチラつかせてついに血が流れるか…と思
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クワイエット・プレイス 破られた沈黙(2021年製作の映画)

4.2

映画的としか言いようがないセリフなしの緊迫シーンからの”伏線回収”。あれは痺れました。キリアン・マーフィー、かっこよすぎた。

ミリセント・シモンズを主役に置いたことで、映画的な見せ場がグッと増えてい
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コンティニュー(2021年製作の映画)

4.0

最近やたらと目にする死のループを描いた「死に映画」。主人公の死にっぷりがひとつの売りですが、本作も御多分に洩れず楽しい死に様が盛りだくさんです。

息をもつかせぬ展開と、過剰で過激なバイオレンス。バカ
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JUNK HEAD(2017年製作の映画)

3.5

地下世界に広がる無限のイマジネーション。グロテスクで汚穢にまみれた空間がどこか愛おしく見えるのは、そこにかけられた手間と苦労と情熱がビシバシ伝わってくるからでしょうか。

脚本、編集、撮影、演出、照明
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少年の君(2019年製作の映画)

3.7

ここではないどこかへと逃れるための”切符”が試験という点がとても興味深い。

「高考」は日本のセンター試験と違い、人生で1回しか受けられないそうです。それ故、教師や生徒はさながら決勝戦に臨むチームとい
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リーサル・ウェポン4(1998年製作の映画)

4.0

自殺寸前だったリッグスが父になり、マータフには孫ができる。シリーズを追いかけてきたファンにとって、これほどアツい展開はないのでは。

歳を重ねたことでしか語れないドラマがある、と言うのは大げさかもしれ
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Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

4.3

『96時間』以降、量産されることとなった演技派役者によるアクション映画。その新作がまたやってきました!こんなんなんぼあってもいいですからね!

奇想天外な設定もあり、コメディータッチに振り切っていると
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レッド・スネイク(2019年製作の映画)

3.8

ISISと戦ったクルド人女性部隊についてはもちろん、イスラム教の宗派のひとつであるヤジディ教など複雑な対立が絡んだ状況をざっくりと理解できるように上手く仕上げていると感じました。

要素が多いだけに後
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アオラレ(2020年製作の映画)

4.0

あおり運転にとどまらず、度を超えた狂気で迫るでっぷりと太った大男が怖い……。

きっかけはたったひとつのクラクション。自分に非がないとしても、恐ろしい事態を招く可能性はそこら中に転がっている。

さら
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オキシジェン(2021年製作の映画)

4.5

監督がアレクサンドル・アジャってことぐらいしか情報を入れてなかったんですが正解でした!

ここから話が続けられる??という状況からの展開力は見事で、まったく飽きさせません。

なぜこんなポッドに閉じ込
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グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告(2020年製作の映画)

2.5

デニーロは元妻の浪費癖のせいで仕事を選ばない生活を強いられているらしいのですが、本当だったらこれは悲しい。

それ故に本作のような杜撰な脚本を受け入れなければならないのだとしたら……。

話は児童文学
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マ・レイニーのブラックボトム(2020年製作の映画)

3.2

脈々と続く差別が人々の意識にどのように影響し、人生を狂わせていくのか。その一端を目の当たりにして、なんともやるせなくなりました。

チャドウィック・ボーズマンの迫真の演技も見事ですが、ヴィオラ・デイヴ
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

4.0

人生は常に不可逆。かつての幸せを取り戻そうとして、仮に表面上は手にできたように見えたとしても、それは結局別の何かでしかない。

非常に厳しい映画だと思います。思い描く理想の道が絶たれるつらさと同時に、
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21ブリッジ(2019年製作の映画)

4.0

タイムリミット、限定的な空間、疑惑の逃走者…。王道の設定を存分に活かしたサスペンスでまっすぐ面白い。

マンハッタンの橋を全封鎖するという大胆さもハリウッド映画らしくてワクワクします。

想定よりも大
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ファーザー(2020年製作の映画)

4.9

サー・アンソニー・ホプキンスの演技は見事としか言いようがありません。

自身のありのままの姿と「アンソニー」という役柄の境界線が溶けたところに滲む、彼にしか表現できない悲哀。

目の前の状況を飲み込め
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ウィズアウト・リモース(2021年製作の映画)

3.2

マイケル・B・ジョーダンのアクションは見応えがあるんですが、いかんせんストーリーが…。

米露の対立構造というのは、現代の脅威とはかけ離れた題材で時代錯誤に思えます。「米ソ冷戦映画」というジャンルをト
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オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

4.5

タコの姿を通して人生について考える日がくるとは、夢にも思いませんでした…。

愛嬌があり、知的で機知に富む「彼女」の姿に瞬く間に心を奪われました。タコが愛らしさと逞しさを備えた、まるでディズニープリン
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ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

まず、話のわかりやすさに感動します…。終始頭に「?」が浮かぶオリジナルに比べたらこれだけで驚きです。

そりゃあ4時間もかければ無理もないですが、各キャラクターが非常に魅力的に掘り下げられたおかげでチ
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ザ・スイッチ(2020年製作の映画)

3.6

ヴィンス・ヴォーンの可愛らしい演技を見てキュンキュンする、そんな映画です。

前時代的なヒエラルキーを感じさせない主人公の友人の描き方も心地良く、時にヴィンス・ヴォーンを交えながらのアンサンブルが本当
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ロード・オブ・カオス(2018年製作の映画)

4.2

無軌道で狂気に満ち、恐怖や怒り、羞恥がどこまでもつきまとう。光を嫌い、真っ暗な闇のさらに暗がりからの手招きに身を預ける……。

そんな感覚を今懐かしく眺めることができて本当によかったなと思います。これ
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アウトポスト(2020年製作の映画)

4.2

周囲から丸見えの恐ろしい環境で、昼も夜もなく繰り返される戦闘。敵の襲撃はこちらがシャワーを浴びていようが寝ていようがお構いなし。

まったく生きた心地のしない状況であっても、冗談を言い合ったり、家族を
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ミナリ(2020年製作の映画)

4.0

「生きていれば、なんとかなる」とは、『藁にもすがる獣たち』の中でユン・ヨジョンが口にする台詞ですが、それがまさかこの作品と響き合うとは。

ジェイコブ(ヤコブ)が聖書をなぞらえるように数々の試練を課さ
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ドリームランド(2019年製作の映画)

4.3

「ここではないどこか」という蜃気楼。

その見果てぬ虚構と現実との狭間を生きる者たちの悲哀が胸に刺さります。

アウトローを描く物語が常にそうであるように死のムードが全体を貫いており、もの寂しさと危険
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ビバリウム(2019年製作の映画)

4.1

迷路のように敷き詰められた同じ形の家、パッキングされた食料、蠢く模様の映像を流し続けるテレビなど、世界観の不気味さに引き込まれます。

特に精神を追い詰めるのは、奇声をあげ、こちらの言葉をそのまま繰り
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

エヴァという身勝手で自意識過剰で子どもじみたシリーズ(それに一喜一憂するのが楽しかった)が、こんなにも大人な最後を迎えるとは思ってもみませんでした。

人とのつながりを求めては拒絶され、それでも少しず
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この茫漠たる荒野で(2020年製作の映画)

3.7

人や物を運ぶ話は西部劇の定番のひとつですが、本作が一風変わっているのは主人公(トム・ハンクス)が新聞の読み聞かせを生業とする男という設定にあると思います。原題は『News of the World』。>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

4.2

使い古された椅子や作業道具が、手作りのミトンが、誰かの手に渡ってまた人の生活を支える。そこに生まれる人と人との交流が温かい。

主人公がAmazonの倉庫で働いているのは示唆的です。人を満足させるため
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星の王子ニューヨークへ行く2(2021年製作の映画)

2.5

家父長制、王位継承、拝金主義、男尊女卑…。前作は今見ると非常に不快な表現があるものの、それは時代性として見るべきで、新作ではそうしたモラルを現代的にアップデートしようと試みるのは当然の流れだと思います>>続きを読む

星の王子ニューヨークへ行く(1988年製作の映画)

3.2

30年ぶりに続編が公開されたので、おそらく1999年の金曜ロードショー以来ですが観返してみました!

架空の国ザムンダの王子(エディ・マーフィー)は、トイレのお尻拭きも靴の紐結びも、身の回りのことはす
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ラーヤと龍の王国(2020年製作の映画)

3.8

『風の谷のナウシカ』『千と千尋の神隠し』『もののけ姫』さまざまなジブリ作品を連想させますが、アクションシーンはマーシャルアーツを用いた本格派で、アジア舞台の魅力を存分に発揮しています。

他者への不信
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スカイライン −逆襲−(2020年製作の映画)

4.2

シリーズを通して描かれる、人の心を失わずにいようとする戦いが本当に心に響きます。「人間らしさ」は見た目で確立されるものではないと宣言してみせる立派な作品です!

低予算ながら、ゴージャスなエイリアンに
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ガンズ・アキンボ(2019年製作の映画)

4.4

その場の悪ノリのような荒唐無稽なプロットながら、最後まで息切れせず見せ切ったことだけでも偉い!出し惜しみをしていない感じがめちゃくちゃ好感をもてます。

“ネットの荒らし”なんて主人公に…ましてやヒー
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カポネ(2020年製作の映画)

4.0

悲しさと可笑しさを含んだトム・ハーディの演技の凄まじさ!ニンジンをくわえたあの惨めな姿よ。

カポネの晩年を描く「伝記」ですが、史実に基づく映画というよりは、彼の血塗られた内面世界が現実を侵食していく
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リーサル・ストーム(2020年製作の映画)

3.8

ちゃんとテンコ盛りで面白かった!

大盛りを装っただけの作品と違って「強盗」「嵐」「ナチ」「差別問題」「猛獣」「メル・ギブソン」という凄まじい詰め込みで、濃密でエクストリームな作品に仕上がっています。
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藁にもすがる獣たち(2018年製作の映画)

4.2

金に目が眩むとはこのこと。悪い企みがことごとく思い通りにいかない可笑しさが、やがて真っ赤な血の惨劇に行き着くゾクゾクとした感覚はコーエン兄弟っぽさを感じます。

テンポの良い語り口で飽きさせないし、ラ
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