tdswordsworksさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.6

『ドライブ・マイ・カー』『英雄の証明』『アネット』との激戦を制してパルムドールに輝いた本作。まずあらすじや宣伝文句を読んで頭に疑問符がいくつも浮かび、「理解不能」というレビューも多数目にして「いったい>>続きを読む

アネット(2021年製作の映画)

2.8

正直言っておもしろくない。古典のようにセオリーどおりにフラグっぽいものをすぐに回収する展開が続くのですぐに飽きてしまう。様式美的なものを追いつつ守破離の離を波状攻撃のように打ってくるが、それらが絶妙に>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.4

巷にありふれているハートフルコメディじゃないかと当たり前のようにスルーした『エール』。米国でリメイクされても「アメリカンは家族の絆めっちゃ大事にするもんな」とまったく食指動かずでしたが、作品賞のオスカ>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

4.0

ベルファストの街角とその周辺のみで展開するミニマルでプライベートな物語。

過激派の襲撃に巻き込まれる場面のBGMに『真昼の決闘』をチョイスするケネス・ブラナー監督の映画へのスタンスが好き。パパとママ
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MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

4.4

画面の中で何が起きているかは把握できるもののその意味がさっぱり理解できない。かと言って退屈だったわけではなくむしろ静止や無言は雄弁に何かを物語っていた。その何かを理解したくて映画館に二度足を運んでみた>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.0

「世界を救ってやる」ヒーローのうすら寒さを実写で見せられるのが苦手でマーベルから距離を置いてきたが、「親愛なる隣人」たるスパイダーマンだけは好きだった。ファン感涙のキャラクター勢揃いは個人的にどうでも>>続きを読む

スターフィッシュ(2018年製作の映画)

4.6

高校生くらいのときに僕が妄想していたことがこの映画には再現されていた。
友人の親族から「あなたのことはよく聞いていたわ」と言われてみたい人生だったし、正体不明の男からトランシーバー越しに指示されてピン
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森のムラブリ(2019年製作の映画)

3.8

森の道を分け行ってムラブリの野営地へ向かう様子を捉えた映像が魅力的。
当たり前だが彼らが今もメインビジュアルのように半裸の暮らしをしているわけではない。けれど彼らの生活様式(小さなコミュニティを形成す
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スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019年製作の映画)

3.8

Homecomingに続けて再生。てっきり続編かと思って見始めたら「え?トニー・スタークどこいった?」「5年前に人類の半数が死滅って何の話?」となった。ググって理解。MARVEL映画観てないです…。>>続きを読む

ファーゴ(1996年製作の映画)

4.2

警察署長役のフランシス・マクドーマンドがとても愛らしい。田舎娘×キレ者×妊婦というクセの強い設定のキャラを役者魂で演じきっている。ひさしぶりに『スリー・ビルボード』を観たくなった。

諸悪の根元である
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.2

秀作だった『自分の事ばかりで情けなくなるよ』以来の、松居大悟監督×池松壮亮主演×クリープハイプ音楽のタッグ。それぞれがしっかり円熟味を見せてくれている。ジム・ジャームッシュの映画の要素を換骨奪胎するこ>>続きを読む

さがす(2022年製作の映画)

4.0

これめちゃくちゃおもしろくないすか!
どの登場人物にも裏表があって、それが小技として繰り出されたりクスクス笑わせたり、物語のドライバーになったり!
清水尋也を捉えたカットはすべて見逃せない緊張感があり
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.4

好きな人は大好きであろうウェス・アンダーソン監督作品を何に例えればいいだろうか。
要素はすべて言葉で説明可能で、画面の外に余白を残さない。クリストファー・ノーラン監督がやっていることはこれに近いかもし
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.8

まん防!

ごめんなさい、言いたかっただけです…

リメイクというのは、今リメイクする意義を必ず問われるもの。確かにいろいろ考慮されたアップデートではあったけれど、人種間のいがみ合いも移民がその帰属意
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スパイダーマン:ホームカミング(2017年製作の映画)

3.4

『バードマン』のマイケル・キートンが鳥人間!笑 しかも『ファウンダー』っぽい狡猾さを見せてくれたのよかった

前半のティーンエイジャー的なグダグダで早送りしようと思ったけど、フェリーが割れるあたりから
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名付けようのない踊り(2022年製作の映画)

2.8

田中泯の踊りは、と書き出すと「僕の踊りじゃない!踊りは所有できない!」と諭されそうだけど、敢えて言うならば、言葉で解釈したり説明したりする気の失せるところがおもしろいと思ってきました。文学的なピナ・バ>>続きを読む

MONSOON/モンスーン(2020年製作の映画)

4.0

脚本と撮影、台詞と動作の一般的な主従関係が見事に逆転した映画。特徴的なカメラワークによって、市井の様子を映しつつも落ち着かない異邦感が強烈に引き起こされるし、会話がよもやま話の域を出ない代わりに表情や>>続きを読む

真夜中乙女戦争(2021年製作の映画)

4.4

二宮健監督の卒業制作『SLUM-POLIS』の前日譚かもしれないと思いながら観ていました。そんな世界の終末をキングスマンのように美しく描くラストが好き。

大学の授業料は1コマあたり約3,000円とい
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シカゴ(2002年製作の映画)

3.4

不謹慎が闊歩する禁酒法時代のコメディ。数えてみたら計13人死んでる。父親を殺された5人の子どもたちが不憫でならないが、虚構の中ではいくら人を殺しても構わない。エンターテインメントの自由さをラストのショ>>続きを読む

台風クラブ(1985年製作の映画)

4.6

相米慎二監督作品の鑑賞は「お引越し」に次いで2本目。評価の高い「お引越し」は終盤の精神的な展開に着いていけなくなっちゃったけど、本作はおおむねわかりやすく、しかし細かいところを見始めると解釈の余地が雨>>続きを読む

キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

3.6

踊る諜報機関の原点ここにあり!
あのラスプーチンも踊る!

前2作とテイストの異なるこのエピソード・ゼロに賛否は分かれそうだが、戦争の否定の先にこそエンタメはあるのだと高らかに宣言しているようで俺は好
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天使にラブ・ソングを…(1992年製作の映画)

3.4

キャラがステレオタイプな行動で押しきるゴキゲンなドタバタコメディ。

花筐/HANAGATAMI(2017年製作の映画)

4.0

映像作品に、滑らかで自然な台詞と間合いの優れた演技、高いCGのクオリティを当然のものとして求め、それに慣れきっている僕らは、この怪作の序盤、ひたすら耐え難きを耐え忍び難きを忍ぶしかないのだが、その先に>>続きを読む

悪なき殺人(2019年製作の映画)

4.6

盲目的に誰かを欲する5人が邂逅する、快感パズル!爆発的におもしろい!

センターに「MARION」と写ったとき、思わずお前誰だよと思ったけど、そんなの序章に過ぎんかった…なんなのこの変態的な脚本。ラス
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殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.0

誰かの行き場のない怒りが発露するのを、冷静に見守っている誰かがいつだっているものだ。と、ドロップキック野郎のときは思ったけど、トンネルの場面は俺だって冷静に観ていられなかった。

偶然と想像(2021年製作の映画)

4.4

人と人の関係を変質させるほどの大きな「偶然」がドラマチックに描かれているように見えて、実は切望しているかしていないかだけの差によって、つまり起きたことに対する態度や受容によってその偶然が大きなものに見>>続きを読む

天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

4.4

本作をどう咀嚼すればよいか結論が出ないままレビューを投稿し忘れていた。けれどその後観てきた『親密さ』『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』を読み解くうえで欠かせない要素のまさに原点があったのではないか>>続きを読む

日日是好日(2018年製作の映画)

3.8

37歳になった今だからこそ感じる暮らしの機微が描かれていた。物語の中では24年の歳月が流れるが、思えば僕にも、24年前には理解できなかったものがたくさんある。季節の移ろいの眩しさと儚さ、風や水の音の心>>続きを読む

皮膚を売った男(2020年製作の映画)

4.4

シリア難民問題をフックにした現代アートへのアンチテーゼかと思っていたら、鮮やかに裏切られた!人間を商品として扱おうという現代アーティストの傲慢さに中盤までモヤモヤしていたが、一杯食わされたという感覚だ>>続きを読む

オライの決断(2019年製作の映画)

3.0

イスラムが自分を解放してくれたというオライの説教は、その大きな効能をもって意義深いものである宗教について考えを巡らせるだけの説得力のあるものだったけど、女性が蚊帳の外に置かれ続けるこの物語に真理などあ>>続きを読む

tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!(2021年製作の映画)

4.4

ジョナサン・ラーソンの自伝的戯曲を原作として、というとそんなものがミュージカルプレイとして成立するのかと半信半疑だったけど、なるほどこれはすばらしい…。初めての海外旅行でブロードウェイで観て以来『RE>>続きを読む

悪は存在せず(2020年製作の映画)

4.4

死刑執行を巡る4つのエピソード。
第一部のラストはカンヌ脚本賞の「ある終焉」にも似た衝撃をもたらし、第二部では死刑執行の任務を受け入れられない若き兵士の抵抗がそのスピード感で視聴者の解放感を煽る。政治
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ベルリン・アレクサンダープラッツ(2020年製作の映画)

3.8

天使と悪魔。そのどちらにも惹かれてしまう人間の性。
100年近く前の小説をバッチリ現在の物語として翻案。手垢のついた主題だが見ごたえがあった。

未来は私たちのもの(2020年製作の映画)

3.6

27歳の監督の現代的な感性による引き算が見事にハマっている。個人的には複雑な事柄を複雑なまま描く映画が好みではあるけれど、この映画は残酷な絶望さえも観客の予想の範囲内。話を決して横道に反らさずに、小綺>>続きを読む

ボストン市庁舎(2020年製作の映画)

4.0

大満足。書きたいことは皆さんが全部書いてくれてるし、もうこの映画に274分も費やしたのだから、レビュー書く時間くらい端折らせて(笑)

でも少しだけ鑑賞メモ。
・市長の活動が構成の軸になっているので彷
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