katsuさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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アンダーカレント(2023年製作の映画)

3.8

いい意味で今までの今泉監督感がない作品だった。様々な人間の生活が交差して影響し合う群像劇、といういつもの感じに近いものも感じたが、その後のトーンが違った。

静かに漂う水流のように、人が生活し関わり去
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福田村事件(2023年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

人間の集団心理の恐ろしさ。
ただ、手放しで流言飛語に惑わされた当時の人は愚かだ、と言えるだろうか。もし自分がその時代その場所にいて、見えない何かに恐怖を感じた時、それを大勢で悪と決めつけ、攻撃すること
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スプリング、ハズ、カム(2015年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

昨今刺激的な内容やキャッチーな設定の映画が多い中、優しい娘と別れは寂しいが気丈に振る舞う父親の親子の物語は改めて人間の温かさを思い出させてくれる。

丁寧にお互いの思いを描いて積み重ねてきたからこそ、
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.5

好みがかなり別れると思う。女子同士のリアルな会話を脚本で書こうとしたのだろうがどうも笑いの部分が上滑りしていて所々きつかった。

しかし、主演2人のその場にいる感じやアクションはかなり良かった。

君は永遠にそいつらより若い(2021年製作の映画)

3.8

自分の問題に気づいていて、でもそれを見て見ぬフリして生きていた一人の人間が、様々な問題を抱えた人間に出会い、他者と向き合い、自分と向き合い、一歩踏み出す。そんなシンプルなストーリーが、今の自分にはとて>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

毎回のことだが今作もウェス・アンダーソン節全開。序盤の舞台セッティングだけ乗り越えれば、後はオフビートなユーモアとカラフルな画を楽しみながら進んでいける。

1950年代の一番活気があった頃のアメリカ
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[Focus](1996年製作の映画)

3.9

メディアの暴力性を標榜した傑作モキュメンタリー。日常を淡々と長回しで見せておいて突然事件が起き展開していく様が素晴らしい。まさに緊張と緩和であり、のめり込んでしまった。

そして浅野忠信の幅に驚かされ
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銀魂2 掟は破るためにこそある(2018年製作の映画)

3.7

1と比べてストーリーが圧倒的に良い。コメディとシリアスのバランスが丁度良かった。

ここでもやっぱり柳楽優弥は凄まじい。
でも中村勘九郎の男泣きにやられた。

銀魂(2017年製作の映画)

3.5

序盤結構滑ってて辛かったけど、再現度高い箇所はいくつかあった。

でもこれをエンターテイメントに昇華する俳優陣、制作陣はやっぱ凄いよなと。

さかなのこ(2022年製作の映画)

3.8

「それが好きだ」という気持ちが一番大事だということを思い出させてくれる作品。のん演じるミー坊の純新無垢さがとても可愛らしく、それでいて不意に核心を突いてくる。

とてもハッピーな空気感の映画だが、彼ら
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火口のふたり(2019年製作の映画)

3.7

この映画の原作は、著者が「生きることの意味を見つめ直して書き上げられた」らしい。結局のところ人間は欲には逆らえず、そこに従順に生きることが喜びであり、それ自体が生きる意味である、と解釈した。崇高な意義>>続きを読む

愚行録(2017年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

石川監督は本当に緻密で美しい画を撮る。そして入り組んだ群像劇を明確に観客に理解させる巧妙なカットと編集。素晴らしい。章の切り替わりも分かりやすく、どちらに転ぶか分からない脚本に全く飽きなかった。

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天国と地獄(1963年製作の映画)

3.8

1963年当時にこんなエンターテイメント作品が作られていたとは驚き。

身代金を狙った誘拐事件における警察の捜査を丁寧に描き、分かりやすく、そして緊迫感のあるシーンと刑事たちのユーモアのあるシーンが織
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

今年のベストムービーが決まったかもしれない。映画館で嗚咽が止まらなかった。

レオとレミの無垢故に傷つけ合ってしまう様に子供時代の自分を重ねて胸が苦しくなった。小学生の頃を思い出した。とても仲が良かっ
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回路(2000年製作の映画)

3.9

黒沢清監督のホラーは人間の根源的な恐怖の部分を刺してくる。

ディストピアな世界観と独特の演出。身の回りに恐ろしいことが起きても淡々と進んでいく。そこが逆に現実味があり、物語と自分の住む世界が近いよう
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愛をたむけるよ(2019年製作の映画)

3.3

カットや編集のセンスが良い箇所はあったが、全体的に演技が気になってしまった。そこにいる人間という感じがしなくて残念。

ゴッズ・オウン・カントリー(2017年製作の映画)

3.9

広大なイギリスの土地にある牧場で暮らす青年たちが傷つきながらも愛を模索するストーリー。

大自然の中で生と死と向き合い葛藤する青年を、主演の二人が瑞々しく演じている。お互いを見つめる眼差しに惹き込まれ
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荒野のストレンジャー(1972年製作の映画)

3.6

若かりし頃のクリント・イーストウッドがとにかくかっこいい。

一見当時の王道の西部劇のようにも見えるが、超自然的なエッセンスが効いており、イーストウッドの師であるセルジオ・レオーネの影響を感じるブラッ
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

宮崎駿監督の頭の中を覗き込んでいるかのような作品。アイデアノートをひっくり返して出来上がった世界に自分が迷い込んだような、そんな感覚。

内容を理解して楽しもうとすると難解でよく分からなかった、という
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台風クラブ(1985年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「思春期の危うさ」をここまで実感を持って表現している映画は初めて観た。中学生たちがあの年代特有の熱に浮かされていく様子を、台風が近づいてくる高揚感に重ね、センセーショナルに描いている。

印象的なシー
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映画 太陽の子(2021年製作の映画)

3.7

日本でも原子爆弾を開発しようとしていたという事実を知らなかった。

柳楽優弥演じる修の、科学への憧れと情熱で研究を続けるも、それが兵器転用の可能性に葛藤する様がとてもリアルだった。やはり柳楽優弥のどこ
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FRIED DRAGON FISH(1996年製作の映画)

3.7

岩井俊二監督が撮る22歳のキレッキレの浅野忠信が見れる。美しすぎる。

ドラマとして制作されたが、放送後に岩井監督の「PiCNiC」と同時上映されていたらしい。

エリ・エリ・レマ・サバクタニ(2005年製作の映画)

4.0

北海道の広大な大地で浅野忠信がエレキギターをかき鳴らす映画。もう最高。

近未来のディストピアで彼らの音楽だけがウイルスに対抗出来るというSFな設定。やはり監督と撮影のたむらまさきさんの相性が最高で全
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式日-SHIKI-JITSU-(2000年製作の映画)

4.2

庵野秀明監督、岩井俊二が俳優で出演という異例の作品。庵野秀明特有の映像やカットが散りばめられている。

アート性が非常に高く、ロケーション、衣装、演出のどこを取っても美しい。人間の孤独や愛をアバンギャ
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大いなる幻影 Barren Illusion(1999年製作の映画)

4.1

この空気感こそ黒沢清。独特のトーンでどこか冷たく客観的なディストピアのような世界だが、そこには確かに寄り添う二人がいる。

公園でボールを蹴り合う長回しがこんな効果的に作用するのは黒沢映画ぐらいだろう
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ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

カラックスの超大作。ポンヌフ橋や美しいパリの街並みに見とれるがそれらが全てセットだということに驚かされる。

パリの街で爆ぜる花火の中を抜けるシーンや地下鉄のポスターに火をつけるシーンなど美しい名シー
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汚れた血(1986年製作の映画)

3.8

カラックス初の長編カラー作品。まさかSFだとは思わなかった。しかし、思春期の葛藤や衝動を圧倒的なエネルギーで前衛的に描いている。

やはり印象的だったのはデヴィッド・ボウイの「Modern Love」
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怪物(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

一つの事象を多角的な視点で捉える「羅生門スタイル」が用いられ、映画を展開していく。途中、少しミスリードさせようとするあまりに不可解な演出が目立った(例えば保利先生が早織に校長室で謝罪するシーン)が、そ>>続きを読む

ボーイ・ミーツ・ガール(1983年製作の映画)

4.1

レオス・カラックスの長編初監督作品。

男と女が出会う。ただそれだけの出来事なのにこんな表現があるのか。カラックスのセンスをまざまざと見せつけられるデビュー作。人間の曖昧さとおかしみを作品として昇華し
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

前情報なしで観たけど全然楽しめた。
でも原作知ってる人からしたら熱いだろうなという演出がいくつもあった。

原作では宮城の話はあまり描かれていなかったというのが驚き。漫画を読んで再度観たい作品。

海街diary(2015年製作の映画)

4.0

大きな事件が起こるわけじゃない。ただみんなが生きて、葛藤を抱えて、目の前の出来事に怒って笑って泣いて。その中で徐々に育っていくのが家族という関係なのかも知れないなと思った。それぞれが相手を見つめるまな>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

この映画を観終わって、しばらくして感じたのは悔しさだった。

自分の心の中でどこか「カラムの苦悩はなんなんだろう」とか「娘が父の大きさに気づいて涙するのかな」とかそんな浅はかなことを考えてしまっていた
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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.2

構図や脚本、そしてケイト・ブランシェットを始めとする俳優陣の演技。どこを取っても一級品である。静謐な作りの中にふつふつと湧き上がる怒りや疑念、渇望、ズレを描き、ラストの噴出まで駆け上がる。

観客がタ
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地獄の警備員(1992年製作の映画)

3.8

黒沢清監督の過去の作品を観たいと思い鑑賞。全編に渡り漂う不気味さは流石の黒澤イズム。どうしたら人は恐怖を感じるのか、それを熟知している気がする。そして一見ただの日常における空間を、恐怖の空間として切り>>続きを読む

2/デュオ(1997年製作の映画)

4.0

全編即興芝居で構成された映画。若い頃の西島秀俊さんがどのように即興を演じるのか気になり鑑賞。

むき出しの人間2人がそこにいた。
曖昧で嘘つきで卑屈で愛されたくて人間くさかった。

映像の黒のぎりぎり
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鈍獣(2009年製作の映画)

3.5

宮藤官九郎脚本の舞台が原作ということで期待したが、舞台の方が良かったのだろうという印象。世界観に追いつく前に終わってしまった。