てつじさんの映画レビュー・感想・評価

てつじ

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蜂の巣の子供たち(1948年製作の映画)

4.1

清水宏監督が自宅で面倒を見ていた戦災孤児たちと起こした蜂の巣プロの傑作。戦後の荒廃した風景の中に孤児たちを溶け込ませ、戦禍の後の生々しい町、引揚者と浮浪児でごった返す駅舎の、時代を切り取ったオールロケ>>続きを読む

君よ憤怒の河を渉れ(1976年製作の映画)

3.4

公開時、あまりにもブッ飛んだ衝撃の展開においてけぼりを喰らった作品でしたが、あれからン10年、様々な不条理な映画を観てきましたので再挑戦。高倉健の破天荒な逃避行の行方、原田芳雄と中野良子の行動は今観て>>続きを読む

オリエント急行殺人事件(1974年製作の映画)

4.1

豪華絢爛オールスターキャストの百花繚乱咲き乱れる華やかさ、アクの強いポワロを怪演したアルバート・フィニーのケバケバしさ。クセ者揃いの芸達者達から存分に演技を引き出したシドニー・ルメット監督の辣腕振り。>>続きを読む

OK牧場の決斗(1957年製作の映画)

3.4

スタージェス監督"決斗3部作"の1本。アープ兄弟とクラントン一家の私怨、OK牧場の決闘をダイナミックなガンファイトで描く。ドク・ホリデーを演じたカーク・ダグラスの肺病病みの絶望が物語に深みを増し、ジョ>>続きを読む

風の向こうへ(2018年製作の映画)

3.0

映画製作の舞台裏を手持ちカメラで追う、意図なきカットの羅列と見紛うばかりの混沌とした撮影現場。怪童オーソン・ウェルズの未完の遺作は、枯渇した才能に苦悩する映画監督の孤立を描いていて、オーソン・ウェルズ>>続きを読む

2001年宇宙の旅 新世紀特別版(1968年製作の映画)

5.0

宇宙空間に身を委ね、無音と永遠の闇に五感を研ぎ澄まし漂う。タイムワープの光を浴び、全身で体感する宇宙生命の誕生。無機質に機械化した人間と人間化したコンピュータの人間臭さが猿から進化した2つの人類の姿を>>続きを読む

ゴジラ ミニラ ガバラ オール怪獣大進撃(1969年製作の映画)

3.0

怪獣がいない現実世界を描く異色怪獣映画。ゴジラやミニラは救世主あるいは友だちとして一郎少年の夢物語の中に存在する。現実世界では、一郎少年の目線を通した子ども社会の生き辛さを語るが、鍵っ子問題等大人の都>>続きを読む

ポーラー 狙われた暗殺者​(2019年製作の映画)

3.5

定年(?)を迎える殺し屋の企業年金(?)システムを巡り、雇用先の組織と血で血を洗う殺し合いという荒唐無稽な発想の面白さ。孤高の殺し屋"ブラック・カイザー"を楽しそうに演じたマッツ・ミケルセンに尽きます>>続きを読む

アムステルダム(2022年製作の映画)

3.3

お伽話のようなファンタジーかと思いきや、ロバート・デ・ニーロの演説のリアルな実話性を孕んだ現実と絵空事のような空想が混在する不思議な作品だった。デヴィッド・O・ラッセル監督の人徳か豪華オールスターキャ>>続きを読む

燃えよドラゴン ディレクターズ・カット版(1973年製作の映画)

4.0

空前のドラゴンブームを牽引した不滅の金字塔。ブルース・リーの鍛えられた身体から繰り出されるアクションのキレ味の鋭さは、この作品に凝縮されている。怪鳥音を発し、目にも止まらぬ速さで振り回すヌンチャクに歓>>続きを読む

クライング・ゲーム(1992年製作の映画)

5.0

LGBTなんて言葉がなかった時代に、セクシャルマイノリティにスポットをあてて、新しい映画のミューズを誕生させた快作でした。この作品の鍵を握るディルを演じたジェイ・デヴィッドソンの内面から滲み出る妖艶な>>続きを読む

野良猫ロック セックス・ハンター(1970年製作の映画)

3.6

シリーズ第3弾、梶芽衣子の堂々たるヒロイン振りと、若き日の安岡力也に目を奪われた。ホタテマンからは想像出来ない、スリムな体躯から放たれるアクションのキレの鋭さには目を見張った。敵役の藤竜也も良い、コン>>続きを読む

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)

3.6

コロナ禍、養老介護、リストラ、社会的弱者差別。守られるべき社会ルールに裏切られ続ける不条理の現代、世に蔓延る理不尽さを一身に背負い、怒りの矛先に困惑し、追い詰められた表情を見せる尾野真千子の怪演に尽き>>続きを読む

プリティ・ベビー(1978年製作の映画)

3.7

無邪気な少女のあどけない笑顔と、ゾクッとする程妖艶な大人の顔が交差する。美少女ブルック・シールズの素顔の変化を捉え、禁断の少女娼婦に仕上げたルイ・マル監督の危うげな野心。引き離された幼き夫婦を悲劇と見>>続きを読む

大巨獣ガッパ(1967年製作の映画)

2.8

ガッパの親子愛の絆の深さの前では、エゴ丸出しの日本人はもう完全に悪役だ。身勝手な人間の粗暴さが、動物虐待レベルの残酷さで描かれている。チープな程擬人化されたガッパの涙の抱擁、何故か巨大ダコを咥えて登場>>続きを読む

ワーロック(1959年製作の映画)

3.2

ワーロックの町を無法者から救った保安官の銃の力による正義。その銃の脅威に怯える住民達の正義が変化し、住民のズレていく視点が救世主ヘンリー・フォンダを悪として邪魔者のように追い詰めていく。少々解りづらい>>続きを読む

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

3.0

ナイル河の雄大で美しい景色、豪華クルーズ客船の水面下で繰り広げられる弱肉強食の残酷性の対比が、密かに潜む陰謀の不穏な影を予見する。アガサ・クリスティの代表作だが、希薄な人間描写が、登場人物たちの事件の>>続きを読む

百円の恋(2014年製作の映画)

4.2

一子の本気度を鮮やかに体現した安藤サクラの本気。「勝ちたかった」と泣きじゃくる一子の可愛さったらない!公開当時大絶賛していた『百円の恋』。『アンダードッグ』を観てからの、この作品との再会は必然だった。>>続きを読む

アンダードッグ 後編(2020年製作の映画)

4.3

森山未來と北村匠海、アキラとリュータのラストマッチの壮絶などつきあい。前編から続いていた耐えに耐えたチロチロと燃えていた導火線が一気に加速し爆発する様な壮絶な殴りあいだった。まさに激闘、凄まじく強烈な>>続きを読む

アンダードッグ 前編(2020年製作の映画)

3.9

峠を越えたボクサー森山未來の惨めな負け犬っぷり。二世タレント勝地涼の真剣な意地が交差した執念の戦いの歓喜と失望。戦いに臨む両者のバックボーンの描き方が秀逸で、リングの攻防に両者を応援する不思議な感覚を>>続きを読む

令嬢ジュリー(1951年製作の映画)

3.0

オーバーラップを多用し、幻影的且つ舞台劇のような語り口で過去と現在を巧みに繋ぐ戯曲。白夜の夏至祭一夜の過ち、世間知らずのジュリーと、口先だけのジャンとの噛み合わない不毛の会話に辟易し、どちらにも肩入れ>>続きを読む

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

4.1

人間の悪意を見抜く物の怪の森、霧が覆い隠す蜘蛛巣城の不気味な妖気の不穏さを見事なまでに描写した黒澤明監督の快作。贅を尽くした蜘蛛巣城のオープンセットの高低差を活かしたアングルの鮮やかさ。裏切りの運命に>>続きを読む

彼女は夢で踊る(2019年製作の映画)

4.5

消えゆく昭和、閉館を迎える実在のストリップ劇場である広島第一劇場を舞台に、夢の場所に集う人々の想いを物哀しくも暖かく描いた人間讃歌の傑作!楽屋からステージに続く階段壁にある無数の踊り子たちのキスマーク>>続きを読む

スプリング・フィーバー(2009年製作の映画)

3.5

作品全体に漂うふわふわとした気怠い浮遊感を、手持ちのデジカメが気まずい不安定な空気ごと映し撮る。バイセクシャルな愛に翻弄される5人の登場人物達のどこか暗くスネたような表情が、新時代の愛の形よりも、世紀>>続きを読む

関東流れ者(1971年製作の映画)

3.0

ヤクザの縄張り争いを、日活らしく颯爽とした渡哲也のニューアクションの一編として仕上げている。僅かなシーンではあるが、やはり渡哲也と原田芳雄の絡みに目を奪われた。拳銃よりもドスという図式が仁俠道を感じさ>>続きを読む

リスの食糧難(1949年製作の映画)

3.5

チップとデールの木の実を横取りしたドナルドが作るナッツバターの美味しそうな事。これもよく観たなー。

リスの冬支度(1949年製作の映画)

3.5

子ども達が幼かった頃、ビデオに録画して夢中でみていたチップとデールの短編集の中の一編。正月に家族が集合して動画配信に入っていたのを偶然見つけ、揃って懐かしく再鑑賞。「我が家では何故かミッキーやドナルド>>続きを読む

言の葉の庭(2013年製作の映画)

4.2

雨の飛沫に濡れる若葉の優しさ、反射する水溜りの鮮やかな映像美。教師と生徒の淡い心の寄り添う距離感の青々しさ、近寄り離れる心の揺らめきを繊細に掬い取る新海誠監督の抒情性が際立つ傑作。都会の喧騒を遮る新宿>>続きを読む

そして誰もいなくなった(1945年製作の映画)

3.2

法の裁きを免れた10人の男女が、閉ざされた孤島に集められ殺されていく。1人減り2人減り、犯人は生き残っている客人の中にいるというミステリー最高のシチュエーション。疑心暗鬼の不穏な空気と、ルネ・クレール>>続きを読む

東京2020オリンピック SIDE:B(2022年製作の映画)

3.4

SIDE:Bはコロナで混乱したオリンピックの舞台裏だった。性差別問題にまで発展し辞任に追い込まれた森喜朗会長の一言へのバッシングなど、許容範囲を超えた想定外の出来事が積載された舞台裏のグチャグチャな様>>続きを読む

ラビリンス/魔王の迷宮(1986年製作の映画)

3.6

ジム・ヘンソン監督が構築したマペットの世界観、ゴブリンシティーの両極にいる魔王デヴィッド・ボウイと可憐なジェニファー・コネリーが極めて魅力的。摩訶不思議な世界観と鮮やかに同化していた。ヘンソン流"オズ>>続きを読む

明日に向って撃て!(1969年製作の映画)

5.0

綿毛舞う逆光線のハレーション。自転車の2人乗り、暖かな光線を自在に操る撮影の美しさ。セピア色に焼けた時代遅れのアウトローの孤独を、哀愁を漂わせた若者の生き様として描いた大傑作。アウトローの最期、ストッ>>続きを読む

東京2020オリンピック SIDE:A(2022年製作の映画)

3.2

一年延期、無観客開催という異様なオリンピックの記録。河瀬直美監督の描くアスリートのバックボーンというテーマがコロナによって焦点が曖昧になり深掘りされていないのが惜しい。削ぎ落とし焦点を絞り込んだ市川崑>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.2

聾唖のケイコは目で相手の唇の動きを読むのだが、コロナ禍マスク姿ではそれもままならない。ケイコの研ぎ澄まされた観察眼、岸井ゆきのの鋭い目の演技が素晴らしい。ボクシングに拘り、試合に拘るケイコの目。ハンデ>>続きを読む

夢は夜ひらく(1967年製作の映画)

3.5

齢を重ね、情念の名曲"夢は夜ひらく"の魅力に気がつき、今更ながら骨身に沁みました。園まりの女心を切々と歌いあげるステージの艶やかさと快調なテンポ、原色衣装の華やかさ。若い日活の勢いを感じる作品でした。>>続きを読む

ホテルローヤル(2020年製作の映画)

2.9

清純派・波瑠をラブホテルの経営者に据えるというイメージの落差の面白味に期待したのだが、生活臭ゼロの透明感そのままにあえなく凡退。ホテルローヤルに集う客と従業員の人間模様を描くが、どのエピソードも暗くて>>続きを読む

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