324さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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ママボーイ(2022年製作の映画)

3.8

水槽に飼われた金魚、大海を知らず。されど空の青さを知ると云った感じ。素直というには危うい幼稚さ。ベースに何かあるのを疑う。ディズニープラスでギリギリ放映していいくらいにはポップで優しい。父の不在や街角>>続きを読む

ソウルに帰る(2022年製作の映画)

4.2

身体に触れない・触れる、拒否・受容による関係性の変化。他者を迎え入れる手酌、人生と対人の初見試奏による即興性。本当に欲しいものは手に入らず。類型的なものを嫌いそうだが逆にそういう印象を受ける。いかにも>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.8

見つめる微笑み。白雪、夜光の暖かみ、曖昧な焦点。ミドルエイジの喪失と再生。果たせぬ目的の過程で得たもの。

あしたの少女(2022年製作の映画)

4.5

競争の螺旋迷宮、Excelのセルひとつひとつに宿る魂と犠牲。隙間から入射し、足部に伸びる午後の光線。ローコントラストのトワイライト、粉雪。ありふれた風景の一瞬に映る残酷さと救済。変わったのは風景ではな>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.6

過去を埋める航跡波の追憶、夜の船室の暗さ。確信による救済。笑うことも許されぬ緩やかな自死、後悔なき自棄。最高にフィジカルで最高にメンタル。まさに暴れるような食事。沈み運べぬ身体、行住坐臥すべてサスペン>>続きを読む

ふたりの女、ひとつの宿命(1980年製作の映画)

3.7

情愛、代替。当然の帰結。頭と心で考えること、体で感じることの乖離。人種、貧富、複合的な立場の弱さ。白雪の中、離散するカラスの群れよ。

マリとユリ(1977年製作の映画)

3.8

陽光。背負う女としがない男。寒空の下、ポケットを手に突っ込んで歩くショットがことごとく良い。

ナイン・マンス(1976年製作の映画)

4.0

社会的な男、その何も無さ。生物的・個としての女の強さ。愛や恋より強い生きる力動。最強のフェミニズム。『極私的エロス 恋歌1974』をゆうに越える出産。超越。

アダプション/ある母と娘の記録(1975年製作の映画)

4.0

役割ではなく内から溢れる母性の方向性。前に進むための協働帯という意味でのパートナーシップ。ラストシークエンスが婚礼なのは『ドント・クライ プリティ・ガールズ!』と同じだが、その後味はまるで異なる。

福田村事件(2023年製作の映画)

4.4

時代ではなく本質的な弱さ、ヘイト。意思なき流言飛語と集団。防衛機制。複合する差別。不安や恐怖、葛藤を溜め込み、全て解放する構成よ。間男の東出昌大たるや。コムアイもいい。

せかいのおきく(2023年製作の映画)

4.2

あらゆる円環とその外側。魚眼レンズのラストショットも地球が丸いことの確かな証。シンプル恋心に悶える黒木華よ。

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.5

変容する身体。痛覚が欠落した身体性は空虚で、その創造性も軽薄。パフォーマンスアートとしての解剖は秀逸だが、それ以上のものはない。

苦い涙(2022年製作の映画)

3.6

分かった気になっても振り回される。重い愛が遠心力で。

アシスタント(2019年製作の映画)

4.5

理不尽、疲労、虚無を湛えた静けさ。すごく共感。心の底から松任谷由美の『守ってあげたい』状態になる。

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)

4.0

直情的な無秩序。どうでもいい会話の不快感、耳障りでハードな1カット長回しの没入。息苦しさを越え、深呼吸で終えるドンピシャ感。ヘイトフルレイシズム。

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

4.0

サスペンスフルな狂信の浄化。いい脚本。なんかどこかヒッチコック。信仰ファーストの過剰な姦淫ヘイト。息子、フォロワーの後味。

ジュリア(s)(2022年製作の映画)

3.8

今以外の消えゆく全て。シームレスに重合する分岐の幻影。『メリンダとメリンダ』より一歩進んだ表現。

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)

3.7

シンプル再生。受容。繰り返す間違い、進む先が上か下か分からない螺旋。希望のダイナーがらしさ溢れていて良い。

LOVE LIFE(2022年製作の映画)

4.3

否応なく進む現在の喪失、過ぎ去った思い出。良し悪し、善悪、幸不幸、生死、表と裏の間で無限に広がる人生のグレーゾーン。息が詰まる普通らしさの中で、非現実的な木村文乃の美しさと空飛ぶ風船が鎮魂や讃歌として>>続きを読む

茶飲友達(2022年製作の映画)

4.2

孤独と嘘に囲い囲われ。日陽、手持ちカメラの不穏さ。清々しい離散。邦画を観たぞという満足感。

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

3.8

マイノリティの辛苦。甘い旅情。味わいのダメージすぎるジーンズ、血まみれ口元にタバコくわえるシャラメ。結える罪。

窓辺にて(2022年製作の映画)

4.0

言葉の呪い。密閉された関係を晒す窓辺の光線、正負の感情を湛えた空気を吹き流す窓辺の風。パフェ。

生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.0

抑制。生きる死。危うい若さへの接近。細かいカメラワークとライティングがいい。改めて黒澤明すごいな。

ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.8

瞳に映る愛と憎しみ。祈り忍ぶよりもその瞳に宿した積極的な歪んだ奇跡。ウンチや母乳の絶妙に品の無いところがヴァーホーヴェン。

夜明けまでバス停で(2022年製作の映画)

4.2

躙り寄るどん詰まり。あまりにも的確なそのハッピーセット。

小説家の映画(2022年製作の映画)

3.6

力を入れないのではなくて、入れられないのでは。おそらくは人生の大半は普通である会話や時間の虚ろさ。

セールス・ガールの考現学/セールス・ガール(2021年製作の映画)

3.8

シンプルメンター。主体性と自己実現。劇版歌うバンドやボーカルをそのまま登場させたり、バス車内で赤青ライティングやったり狙い過ぎな感じもそのまま牧歌的で微笑ましい。

トリとロキタ(2022年製作の映画)

4.3

気性や環境により絡みつく袋小路の悲しみやどん詰まり感。それが今作は兄弟愛によるものというのが得も言えない。分かりやす過ぎるくらい文字通りさらなる悪事に足を踏み入れるのを差し引いても。新作撮ってくれるだ>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.0

シニカルさ、リリカルさ、イデオロギー、バカバカしさ、全てのバランスが良い。

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.8

完璧に構築されたウェス・アンダーソン映画の世界そのものを包括した物語の力動は、その造られた世界ではなく二重構造の外側である演劇パートの方へ向き、乗っかる船が無いまま大気圏で摩耗して消沈する。

世界の始まりへの旅(1997年製作の映画)

3.7

サウダージ。究極の老い映画。霞む老年期の視界。後ろへ流れる風景、記憶そのもののような廃墟。柱を支える彫像。

階段通りの人々(1994年製作の映画)

3.7

マエストロ然とした磊落さ。中心に箱と老人と娘夫婦、周辺にクセ住民、環境に階段通り。機能的・演劇的な配置。茶目っけと衒いと照れ隠しのバレエ。安定のバストショットにカットバック。「公認の物乞い」というパワ>>続きを読む

アブラハム渓谷(1993年製作の映画)

4.5

求心性の孤独・欲望・支配欲、遠心性の奉仕。肥大した自己を引きずるような重たい歩行から、解放されたような軽やかなオレンジ畑での浮遊感歩行ドリー。聾唖と歩行障害と美と聡明さ、他者と違うものを抱えた共感性。>>続きを読む

日本の悲劇(1946年製作の映画)

4.5

映画の、制作者の矜持。資本家、糾弾。天皇にまで言及。