ド派手さとケレンで押し切る戦闘シーンが終わると必ず一息ついたり、逃走もフェードですっ飛ばしたりするのが非常にしんどい。映画のアクションってこんなものなのだろうか。
ほとんどアクションでグイグイと映画を進行しているのが感動的。ヨシヒコさんが個展にやってきた客に小さい焼き物を手渡す際の、客側のちょっとした戸惑い加減が凄まじくサスペンスフル。
一軒家を舞台にしている映画なのでオフのおとの使い方が面白い。母と娘で食事をしていると二階から父親の三味線が聞こえてきたり。あの後ろ姿しか映らない姉の部屋の扉が磨りガラスなのも良い。
ポツンと建つサイードの墓とオリーブの木が忘れがたい。
『阿賀に生きる』と連続して観ると手法の差と技術の洗練に驚く。ホームでの会話中に迫ってくる電車、画面の奥に時たま映る自動車など、10年前にはあまり映っていなかった対象によっても過ぎゆく時間が感じられる。
長谷川さん夫婦宅を横に流れる大きな川と共に捉えた俯瞰のショット、窓から射し込む光、画面奥から耕運機がやってくるショット、森の木々の緑、船大工の遠藤さんのクローズアップなど、映画を構成するあらゆるショッ>>続きを読む
一旦逃げ出した場所に不本意ながら戻らなくちゃならないって展開が『闇動画』にありそうだと思いながら、それでも逃走劇とか見つかってしまうのではないかというサスペンスに全く興味がなさそうな映画なので退屈する>>続きを読む
この映画の主題になっているのは「映像における支配性」であることは承知のうえで、映画自体を単なる情報として扱ってるのはどうなのかと思ったり、わざわざ事実を指摘してるだけとエクスキューズしてる割には『マン>>続きを読む
全てあっち側/こっち側という型に上手くはめ込もうとしてるのが退屈。KKK的な敵の夜襲にあうシークエンスも敵に挟まれる橋の場面も全く活劇になっていない。
落下によって物語を展開させながら、階段や扉も的確に利用するとてもリッチな映画に思える。ヘディ・ラマーがジーン・ロックハートを始めに誘惑する場面での、普通なら誘惑してからリアクションを見せそうなところを>>続きを読む
ティム・マッコイが実は頭がおかしかった的な展開になるのかと思ったら意外とそれっぽいオチに落ち着いた。
ジョン・ウェインとジョージ・ギャビー・ヘイズがいつの間にか出会ってたり、途中で襲われるエレノア・ハント一行の登場の仕方などが良い意味でも悪い意味でも説明不足。
序盤こそセリフのおかしさでそこそこ楽しめるけど、付き合ってるフリをさせられるっていうシチュエーション自体がバレるバレないのサスペンスもスクリューボール的なドタバタも引き起こす余地がないので退屈。
チャップリンが酒屋で一人佇むショットや、ジョージア・ヘイルとのやり取りなど悉く良い。序盤で強風を使ったギャグなど馬鹿馬鹿しくて笑えるけどメロドラマとしての良さに満ちている。
冒頭の登場の仕方からキャグニーのほのぼのとしたコメディを想像してると(それ自体居心地が悪い組み合わせだが)、所々彼の気色の悪さが全開になる演説による民衆への先導だったりが挟まり異様な感覚にさせられる。
この尺で主演の二人の魅力を全開にして、物語的には上手く収斂させながら、所々に荒唐無稽さが炸裂しているのが凄い。ジョーン・ベネットが屋外で拳銃をぶっ放すくだりに、ケイリー・グラントがホテルの窓枠に隠れて>>続きを読む
スパイを扱った微妙にミステリー要素も孕む作劇だけど、説明描写をとことん排除してアクションアクションで繋いでいく感覚が堪らない。
暴力というかアクションの速度が物凄い。火事現場での消火活動そっちのけの殴り合いや、橋から飛び降りる賭けのシークエンスなど倫理観の欠如したバカバカしさが素晴らしい。ウォルシュは時々ソヴィエト派みたいなモ>>続きを読む
いくつか脚本上のイメージはあるので読ませる作品にはなってるけど、基本スタティックな会話で雰囲気が悪くなり一方が外へ捌けていくだけなのでこれは映画なんだからという気分にさせられる。
さすがユニバーサルだからか他のBに比べると照明が格段にしっかりしていたりはするけれど、ホームズの推理が長いから机の上に置かれている拳銃を使ったサスペンスが全く機能していない。
白人とインディアンの対立が冒頭に描かれるものの、インディアンは終盤まで鳴りを潜め辛気臭いメロドラマが展開される。最終的にインディアンとの銃撃戦が繰り広げられキャロル・マシューズが撃たれるところから、敵>>続きを読む
冒頭の劇中劇からサスペンスフルな画面が連続して面白い。リュプチャンスキーとシャンプティエの撮影と照明は流石。
駅で始まり駅で終わる古典的なアメリカ映画然としたルックに、省略を多用したコメディ演出など最後まで楽しめる。ただし土曜日の課外活動を抜け出し敵校のマーチングを偵察に行く所と、本番まで何も映さずに省略する>>続きを読む
メーベル・ノーマンドだろうが誰だろうが気に食わないやつは引っ叩く悪漢をチャップリンが演じているが本筋のドタバタはそこそこ。マック・セネットの映画に頻出する物を投げ合う場面で、ニ者間の切り返しで進行する>>続きを読む
シームレスに夢と現実が行き来しサスペンスが巻き起こる。夜中に磔にされてるキリスト像の釘を抜くとキリストが動き出しその場から去っていく肉感的なショットが素晴らしい。エドガルドが粗相をするシークエンスでの>>続きを読む
2つの団地を挟む道路、ラジオのリクエストを募る黄色いポスト、ベランダに干された洗濯物、音楽を楽しむ人々の顔などことごとくショットが良い。部屋での会話の場面でもうっすら画面外で別の会話がされている様子が>>続きを読む
ボクシングへ至るまでの町の喧嘩の時点で相当暴れているけれど、アーバックルが試合相手に拳銃をぶっ放してからの展開の野蛮さが常軌を逸している。警官が署内ですら拳銃をぶっ放す無茶苦茶っぷり。アーバックルが着>>続きを読む
コング側(地底)とゴジラ側(地上)の暴れっぷりが平行して描かれるが所々ぶつ切りで一体何がなんだかわからず、急にゴジラが寝返る場面も設定上セリフが無いから切り返しが入ろうが意味がわからない。勢いでどうこ>>続きを読む
開幕早々空を撮り、丹念に長めのカットで運動を積み重ねていく感覚は流石だし、序盤に主要人物たちが家に集まり会話をする場面の「らしさ」も堂に入ってて面白いけれど、どうも素晴らしいショット群が意味に回収され>>続きを読む
ラストの証拠品を燃やす燃やさないのくだりのあっさりとしたサスペンスなどはそこそこだけど、最後の最後にキャグニーが敵と取っ組み合いの喧嘩をする場面での殴り合いが演技の範疇を越えてるのではないかと心配にな>>続きを読む
元々編集を使って「映画」を意識させてくる作り手なので始めのシークエンスから切り返しなどを入れて楽しませてくれるけれど、今作はバンに乗り込む被写体がカメラを招き入れ、被写体が夜道や団地でカメラを意識して>>続きを読む
過去にああしてたら今はどうなってただろうかだとか、未来はどうなっているかとかをウジウジ考えてて、実際に今現在起こっていることは廣木隆一とかがやりがちな雰囲気長回しで「切り取る」ことだけってのは流石に退>>続きを読む