里伽子のキャラクター造形がスクリューボール然としてるけどそれ以上何も起こらない辛気臭さがどうも合わない。
カーペンターとかを意識してるのかそれっぽいシチュエーションは出てくるけど、いかんせんミステリーだから空間が全く生かされてないので退屈。状況を説明するための装置でしかない。佐藤二朗の顔や、ロングショット>>続きを読む
不動産屋の宇野祥平と萩原利久の会話を捉えた場面での、1度目は距離を置いた長回しで済ませておいて、2度目以降はしっかり寄った切り返しで会話を収めている手際の良さが良かった(2度目の訪問で幽霊への恐怖を訴>>続きを読む
ラストに亡くなった二人の荷物を担ぎ旅に出てしまう片岡千恵蔵から、背中に背負うことの反復を感じて妙にぐっと来る。
ありふれた日常の労働を描いていそうでありながら恐ろしさすら覚える違和を挿入してくる感覚はアケルマン的ではあるけれど、こちらの方が内側からの切り返しの力を信じている節が感じられて好感。管理部門らしき人物>>続きを読む
大友柳太朗が遂に気をおかしくして幽霊まで画面に登場する怪談映画的展開に驚く。依田義賢に進藤英太郎に物語の展開といいどことなく『近松物語』の変奏にも思える。物語の展開がとても速く、ラストにやくざ者たちが>>続きを読む
ホテルのパーティーで起こる停電と客たちの騒ぎ声や食器の割れる音、ラストの発砲と山下洵一郎が車に轢かれる音など、活劇をギリギリのところで拒否しているような画面がそこら中で楽しめる。
舞台上でのパフォーマンスに周囲が圧倒されるという古典的な演出が何とも普通に撮られていて退屈。
言語に支配されている云々以前に各キャラクターの造形が取ってつけたようにしか思えないほど浅く、家庭で起こっている問題にもケリを付けているのかわからない状況で大会も始まりよくわからない。試合相手がどのよう>>続きを読む
音を軸に過去と現在を行き来する感覚がレナート・ベルタの撮影によって魔術的な魅力を醸し出している。理由もわからず歴史を背負って行動させられるラストシークエンスでの脅威の視線劇も忘れ難い。
サミー・フレイが外に隠されている鍵を探し出し廃ホテルに入るところから「記憶」のイメージが強烈に刻み込まれている。作中終盤に大人たちの逢瀬を文字通り覗くところからそこに至るまでの階段での尾行のやり取りも>>続きを読む
使用人が鍵穴越しにロイス・ウェバーを覗き込むショットから既にサスペンスが展開され、鍵穴の形を模したかのような画面分割で3つの地点の様子も描いてしまう。使用人が部屋にいる場面から窓が開けられているのかカ>>続きを読む
今までショット内にひしめいていた人々が徐々に消えていき、最終的に犬だけが画面内に残るところからくる何とも言えない終結性が素晴らしい。ユロ氏との別れのシークエンスでの義弟と息子による口笛ギャグの反復から>>続きを読む
マキノの音を使った演出が冴えている。大河内傳次郎と水戸光子が姿を隠す廃屋の周囲を太鼓を叩きながら行進する音が、震える手に持たれた刀のよりのショットからすっと消え、大河内が刀を投げ捨てる瞬間にまた鳴り響>>続きを読む
ひたすら鈍重な法廷劇に揚げ足の取り合いが辛い。録音された夫婦喧嘩の音声が流れた後に挿入される傍聴席の人々のショットや、徐々に役者の顔へ近付いていくショットなどが下品。何かしら意味を表現するために一々顔>>続きを読む
ダール・サリムの行動から彼のキレ者感を演出してしまう手際の良さ、家にタリバンが迫ってくるシークエンスでしっかり長回しを選択する時間感覚などが堪らなく良い。引き剥がされること、ドアを開けることで巻き起こ>>続きを読む
冒頭の巨大なタコが船を襲ってくる場面からしてアクションが決まらないから、ガイラと呼ばれることになる海から突然現れる怪物と陸上自衛隊との交戦や彼らの労働の姿が何ともあっさり流れていくように思える。
二度ほど回想が挟まれるが特に市川雷蔵出生の秘密が語られる場面での、小暮実千代のもとを赤い着物を頭に被りながら逃げる男を追いかける流れるようなショット、その後に繰り広げられる柳永二郎と大矢市次郎の会話を>>続きを読む
アンナ・マニャーニがのべつ幕なしに喋り倒す中盤以降の展開は圧巻だが、スクリューボール的には弾まない。
戦闘機内に鳴り響く飛行音と無言で操縦席に座る兵士のショットの連鎖とか、ラストのマッシモ・ジロッティの脱出劇などが相当サスペンスフルで面白い。ミケラ・ベルモンテが脚を切断した兵士に寄り添う場面での360>>続きを読む
ティルダ・スウィントンが一人二役で徹底した同一ショットの排除がそもそも奇妙で面白いが、例えば犬が外に出てしまったシークエンスでティルダが捜索する数ショットや、ホテル内で水道を探すところなどショットが決>>続きを読む
一つのアクションを演出するために過剰なくらいカットを割り(ダブルアクションだろうがお構いなし)、観客の感情へ訴えかけられる理論に基づいた力技が凄い。階段での活劇はこう撮れと言わんばかりのカメラの横移動>>続きを読む
この映画自体どこに重きを置いているのかイマイチわかりづらい淡白な印象を受けるし、たファスビンダーがテーブルで食事をするショットのようにたまに混ざってくるものが良かったりはするけど、それでも全編に渡って>>続きを読む
基本的に役者が背筋を伸ばして明後日の方向を見つめながらボソボソ台詞を口にするというミステリーで一向に映画が始まらない。シュトロハイムが一瞬映っていた。
1ショット目から強烈な縦の構図と横への緩やかなパンから始まる。全編通して水谷浩の美術と杉山公平の撮影が冴えている。森雅之と京マチ子が王宮を抜け出して祭りを楽しむ場面で、何度かカットを割りながら画面左側>>続きを読む
冒頭の夏川静江の奥に浮かび上がる影や、溝口的男性像のような振る舞いを酒の席で見せる高木永二のあり方がどことなく表現主義っぽさを感じさせる。
根岸東一郎が恩師に対して無神経な話をしに行った帰りに、月田一郎に対して自らが受けた仕打ちを真似するという件で、まずは月田一郎と火鉢を囲った自宅のような場面で会話が発生し、次のショットでレストランに移行>>続きを読む
柳英二郎が小暮実千代を強引に抱こうとし簾を下ろし部屋を閉め切ったところに久我美子が水を持って戻ってくる場面や、何度か加藤春哉が覗きを試みる場面、山村聡にそそのかされて階段を登り洋間へ小暮実千代が入って>>続きを読む
最後の最後まで見ることを強いてくる作家であった。唐突に挿入される『アワーミュージック』は反則でしょう。
ワンシチュエーションものとしては善戦してると思うが、どうしても北村龍平『ダウンレンジ』と比較してしまう。トランシーバーによる会話から犯人が誰なのかという点がチラついてしまってるのがノイズに感じる。ただ>>続きを読む
捜査をしていく中で立ちはだかる壁(主に鍵がかかった扉等)を怪力で破壊していくところなどは楽しめるものの、だからといって荒唐無稽さがあるかと言うとうまくまとまりすぎてる印象がある。
決してGHQ占領下だから云々で済まされるべき映画ではない。三浦光子が田中絹代宅の勝手口から余った肉を売りにやってくる場面で「ごめんください」とか弱い声が画面オフから聞こえてくるところや、高橋とよが「朝>>続きを読む