松瀬研祐さんの映画レビュー・感想・評価

松瀬研祐

松瀬研祐

映画(25)
ドラマ(0)

(1997年製作の映画)

4.2

ツァイ・ミンリャンの作品を観ることは、ほぼ、リー・カンションの顔を観に行くことだと思っている。

リー・カンションはほとんど喋らない。その佇まいや、つぶらな瞳、煙草を吸う仕草を観たくて、映画を観る。つ
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夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)

4.1

『淡々と』という言葉よりも、もっと平たい、本当に普段の会話を切り取ったような会話劇なのに、それが映画として成立しているように思える。

俳優たちのそこに生きる、ありのままの感じがとても心地いいし、苦し
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世界にひとつのプレイブック(2012年製作の映画)

4.0

主役を演じる2人の演技が、まともと精神的に病んでる境目のギリギリのところを見事に体現していて、息をのむ。

脚本も素晴らしいと思うけど、その脚本をきちんと立体化する俳優・スタッフワーク。セリフに頼らな
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あの頃エッフェル塔の下で(2015年製作の映画)

3.6

普段、あまり前情報をいれずに映画を観るので、これが20年ほど前の作品『そして僕は恋をする』という作品と少し関係があることは後から気づいた。

そもそも最初は何かサスペンス映画のようにも思えて、そういう
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海よりもまだ深く(2016年製作の映画)

4.0

関係が終わってしまった家族。未練を引きずりつつ、小説家としてもうまくいかない主人公。養育費を払いつつ、一か月に一度の息子との時間を楽しみにしている。なりたかった大人になれずに今を生きる主人公。「いつか>>続きを読む

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

3.9

映画の序盤に、かなり痩せて細いウエストのダニエル・デイ=ルイスがズボンを履くシーンがあるけれど、そんなガリガリの主人公でありながら、その主人公は驚くほど旺盛な食欲を見せる。一目惚れ(と言うしかない)し>>続きを読む

愚行録(2017年製作の映画)

3.8

原作を先に読んでから映画を観た。原作に関しては、とても後味の悪い作品だという印象だった。映画は、冒頭のバスのシーンの画からとても引き込まれた。バスの中でのわずかなやりとりで主人公の心性を表現しているよ>>続きを読む

希望のかなた(2017年製作の映画)

3.8

美術の色使いや照明は相変わらず色鮮やかで目に楽しい。

ただ、難民三部作の二作目として作られた作品の、物語そのものは息苦しさが感じられる現代の作品。

紛争地域からフィンランドに逃れた青年役の語る逃亡
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

4.0

登場人物たちが揃いも揃って利己的でありながら、自分の中の譲れないものをとことん追求しようとする行動の果てに物語が進んでいく。

半魚人のような生き物と主人公の女性が身体を重ねる描写はあるけれど、そうい
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.0

架空の田舎町を舞台にした物語。娘をレイプされたうえ殺された母親が、古ぼけた立て看板に抗議の広告を載せたことがきっかけで展開される「赦し」の物語。

3人の主要人物を中心に物語が進むが、三者それぞれの抱
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聖なるもの(2017年製作の映画)

3.5

監督志望の映研の学生役(これを実際に岩切監督自身がやられている)がカメラをまわす擬似ドキュメンタリー形式で映画は進み、途中から、撮影された映画のシーンが挿入される。基本軸となるドキュメンタリー風のPO>>続きを読む

ニーチェの馬(2011年製作の映画)

4.0

猛烈としか言いようがない風はどのように起こしているのだろう。ぼんやりと観ながら、だんだん風の音に感覚が麻痺していくような気になりつつ、ようやく風の吹く外から家に戻ってきたと思ったら、熱々に蒸かしたジャ>>続きを読む

牯嶺街少年殺人事件(1991年製作の映画)

4.1

淡々と進んでいるようにみえるけど、キャラクターが個性的で、一人一人を見てるだけでも面白い。主要キャラクターは年齢ではなく個性でキャスティングされてるのではなかろうかと思うほど、年齢がわからない。主要キ>>続きを読む

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

3.9

ケーシー・アフレックの危うさがとてもハラハラとする。やがてその理由がわかり、彼が怒りをぶつけること、立ち直ることができずに苦しむ姿が、その出来事の重さを際立たせる。

亡くなった兄の子供であるパトリッ
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パターソン(2016年製作の映画)

3.8

繰り返される毎日の中で、映画を観るこちら側は、何か大きな物語が起きるのではないかとドラマを求める目で見てしまうが、それを軽やかに裏切り、主人公は、朝目覚め、飄々とバスを走らせ、愛犬を散歩に連れてバーで>>続きを読む

心と体と(2017年製作の映画)

3.8

夢の中に出現する鹿と雪の風景の静謐さ。現実の屠畜場で捌かれる牛の姿。夢の中で繋がる二人の間にどこか漂う性的なもの。重くなりすぎず、淡々と描写されることで、観るこちら側に自由度があり、それが良かった。

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)

4.1

アルフォンソ・キュアロン監督の作品。個人的に、監督の長回しの画がとても好き。
玄関先を水を流して掃除をしている冒頭のゆっくりとした始まり。遠い空を移動していく飛行機が映りこむ。何かが始まる予感をさせつ
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ハッピーエンド(2017年製作の映画)

3.6

久しぶりに観たハネケの作品。不穏な始まり方。スマートフォンやチャットなど、扱われる題材は現在。

昏い事情をそれぞれが抱えながらも、身近な家族にはその想いを伝えられず、SNSなどの不特定な誰かに発信す
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夢と狂気の王国(2013年製作の映画)

3.8

どれほどの時間、カメラを持ってスタジオにいたのか。

砂田監督のこの作品はドキュメンタリーとしての面白さもあるけれど、画の切り取り方が本当に素敵で、つくづくこの作品は『映画』なのだなぁと思いながら観る
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僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)

3.8

スタンダードサイズで撮影された作品。基本はワンシーンワンカット。画作りの一つ一つがとてもきれい。予告でも使われている学校の階段のシーン、窓の向こうの校庭の子供達の配置までも考えて作られた画。

主人公
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ひかりの歌(2017年製作の映画)

3.9

踏み込んでしまうと壊れてしまうかもしれない関係がある。それでも踏み込む人もいれば、ただじっと動かない人もいる。戸惑って涙を流す人もいる。4話のオムニバス形式。とくに1話2話の恋の話は、結末がどうであろ>>続きを読む

楽日(2003年製作の映画)

4.5

映画館で観たとき、劇中で上映されている映画の音と、雨の音が印象に残った。台詞はポツポツとしかなく、そこに明確な物語はないように感じるが、そこに存在する人たちの佇まいが強く印象に残った。言葉が多くなくて>>続きを読む

ジョニーは行方不明/台北暮色(2017年製作の映画)

4.0

3人の登場人物を中心に切り取った都市に住む人々の姿を描いた映画。

車中生活を送る男性や、台湾に子供を置いて1人で暮らす女性、記憶力がどうやらあまり無い青年、それぞれがなんとなく関わりつつ、物語が進ん
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浮雲(1955年製作の映画)

4.0

久しぶりに録画していたものを観る。森雅之演じる男のろくでもなさは清々しいくらい。惚れっぽいのに、ぐずくずしてる。が、どこか不思議と下品さがない。

劇中、2人が今でいうデートにでかける場面があり、信濃
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イロイロ ぬくもりの記憶(2013年製作の映画)

3.8

劇中で出てくるVHSビデオやたまごっちなど、時代設定はやや過去。インドネシア(他国)からお金のためにお手伝いさんがやってくる。そのようなお手伝いさんを雇うことが当たり前の文化的な背景など、舞台であるシ>>続きを読む