yusukepacinoさんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

愛欲(1966年製作の映画)

2.9

いつも大味な佐藤純弥監督が撮る意外に薄味なメロドラマ。三國連太郎と佐久間良子、三田佳子のキスシーンは多用されるがそこまで濃密な描写がある訳ではない。
出演者は豪華。それにしても何故そこまで惹かれている
>>続きを読む

死の十字路(1956年製作の映画)

3.6

江戸川乱歩原作。日活がおくる骨太ノワール。三國連太郎や新珠三千代ら演技巧者が揃っていて飽きさせない。また井上梅次監督の確かな演出も冴えている。
不倫の代償。1つの過ちが取り返しのつかないことになり、重
>>続きを読む

私は殺される(1948年製作の映画)

3.5

心臓の病気でベッドから動けない女性が遭遇する恐怖。サスペンスとしてはスマートフォンが普及した現代では最早あり得ないひと昔前の手法となっているが顔アップ多めなバーバラ・スタンウィックの恐怖に慄く熱演もあ>>続きを読む

結婚相談(1965年製作の映画)

3.7

タイトルからこんな話だと想像出来た人はいないと思う。
芦川いづみの汚れ役が新鮮な作品でそういった役にもかかわらず彼女の美しさが際立っていて惹かれる。
30歳の結婚したい女が訪れた結婚相談所の先生がとん
>>続きを読む

人間に賭けるな(1964年製作の映画)

3.7

破滅への道。
ヒリヒリする人間模様。
レース、選手、人間。
人生狂わす賭け事の行方。
魅せ方の上手い撮り方だった。
そして賭けの対象の違いが面白い。
川地民夫は競輪選手役で地味ながらも印象に残る。しか
>>続きを読む

痴人の愛(1934年製作の映画)

3.5

サマーセット・モームの原作なのに谷崎潤一郎の有名小説と何故か同タイトルという不思議。
すごくツンツンした態度のベティ・デイヴィス。こんな女に惚れても振り回されるというのがわかっていてものめり込む男の性
>>続きを読む

ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)

3.5

男と女を横顔から重なるように撮るショットのインパクト。ヌーヴェルバーグの先駆的な作品とされるアニエス・ヴァルダのデビュー作。何気ない日常を切り取ったような描写ながらいちいち構図がキマっていて侮れない。>>続きを読む

天下の快男児 万年太郎(1960年製作の映画)

3.2

爽やかで柔和な表情の健さん。任侠映画前はこんな感じだったのかと驚く。曲がったことが嫌いで実直なキャラクターは彼のイメージそのものだが女性に対する破天荒さを併せ持っているのはちょっと違う。内容は同じく源>>続きを読む

プリテンダーズ(2021年製作の映画)

3.3

プリテンダーズとしての活動。
ジャケットからキラキラした青春が描かれていると想像したが中身は全く違って重い。きっついシーンもあって抉られる。
ゲリラ撮影?あり。役者も台詞を噛むし色々な面でリアリティ感
>>続きを読む

リンク(1986年製作の映画)

3.3

猿の逆襲。
軽めのアニマルパニックムービー。ホラー映画ながらシュールな場面もあったりして怖さは全然なかった。
エリザベス・シューが若くて可愛い。彼女といったら個人的には昔観た『リービング・ラスベガス』
>>続きを読む

泥だらけの純情(1977年製作の映画)

3.1

お嬢様とヤクザという両極端にあって決して交わらなさそうな男女。その2人の違いが生む格差というか分不相応な恋愛の果て。彼女は厳しい家庭に育ち恋愛慣れしていないが故に突如として目の前に現れ自身を救ってくれ>>続きを読む

春琴抄(1976年製作の映画)

3.1

先日鑑賞した『讃歌』とはまた違ったアプローチの『春琴抄』。あちらは鴫沢てるのインタビューで語られ明らかになる物語だったがこちらはそういったものを排除して少しのナレーションを交えたシンプルに物語だけを見>>続きを読む

絶唱(1975年製作の映画)

3.0

山口百恵文芸作品第三弾。
相手は三浦友和で監督が西河克己というのは変わらず。1、2作目同様困難な恋愛を描き続けるが今回は戦争という外的要因により阻まれる辛さを映す。出征し命をかけて戦い帰還した先に待っ
>>続きを読む

ゴーストバスターズ(1984年製作の映画)

3.3

10年以上ぶりに再鑑賞。こちらを学生の時に観た当時はビル・マーレイやダン・エイクロイド、エディ・マーフィ、トム・ハンクスら『サタデー・ナイト・ライブ』に出演していた俳優の映画を色々観ていてその流れで観>>続きを読む

潮騒(1975年製作の映画)

3.1

三島由紀夫の『潮騒』も昔よく映画化されていて新人の登竜門のような作品だった。本作は山口百恵と三浦友和の共演とあってアイドル映画に仕上げられており非常に分かりやすく見やすくなっている。
その割には原作を
>>続きを読む

曽根崎心中(1978年製作の映画)

3.7

悲しい。原作は有名な近松門左衛門による浄瑠璃。お初、徳兵衛の話。大阪梅田に地名を残す曽根崎が舞台。
梶芽衣子と宇崎竜童がオーバーなほどやたらと演劇チックな演技で慣れなかったが見事にラストに結実していて
>>続きを読む

讃歌(1972年製作の映画)

3.5

谷崎潤一郎の『春琴抄』の4度目の映画化。原作は谷崎の小説の中でも個人的にかなり好きで本作は師匠と弟子の怪しい関係をマゾヒスティックに描いていてなかなか良い。直截的な描写は限られているがエロティックで映>>続きを読む

竹取物語(1987年製作の映画)

3.0

沢口靖子のかぐや姫。
話自体は竹取物語のまんまのため面白いとか面白くないとかでは表現しようがないが古典劇をやっている中での宇宙船の現代チックな造形のアンバランスさはすごい。
『未知との遭遇』のあれと酷
>>続きを読む

音楽(1972年製作の映画)

3.0

今まで観たことがない鋏で裁断されるかのようなオープニングが強烈。
音楽が聞こえないという女が受ける精神分析。連想を続けた先には。
昔に三島由紀夫の原作は読んだ記憶があるがそれほど内容を覚えていなかった
>>続きを読む

あ・うん(1989年製作の映画)

3.7

まさか東宝で高倉健と藤純子(本作で映画出演再開後は富司純子に改名)という東映の名コンビを見られるとは。恐らく当時の人もそういう感情で劇場に足を運んだんだろうな。しかも監督が降旗康男と。
両親は自由に恋
>>続きを読む

チャーリー(1992年製作の映画)

3.3

チャーリー・チャップリン、スターへの道。彼のかなりな女性遍歴や後年の出来事もきっちり描かれている。
伝記映画のような作りだが映画としてはあまり面白さはなかったかな。
ただ、チャップリン役のロバート・ダ
>>続きを読む

伊豆の踊子(1974年製作の映画)

3.0

何度も映画化されている川端康成の超有名小説が原作。
哀しくも華々しいラスト。
初々しい山口百恵と若く爽やかな三浦友和のフレッシュなコンビによる初共演作。
このひと時の思い出と別れ。踊子はこれからも踊り
>>続きを読む

不連続殺人事件(1977年製作の映画)

2.7

言わずと知れた坂口安吾の小説が原作。
有名作家達が集まった邸宅。
そこで不連続に起こる殺人事件。
オープニング音楽が無駄に格好良かった。
締まりがなかったのとどこか演劇チックな演出や演技が目につく。何
>>続きを読む

乾いた花(1964年製作の映画)

3.7

オープニングナレーションが冴えてる。
池部良の色気、加賀まりこの長い睫毛に大きな目、瞳。篠田正浩監督によるキリッとしたモノクロの映像に味があって素晴らしい。松竹製作のヤクザ映画は東宝と同じくらいパッと
>>続きを読む

前科者(2022年製作の映画)

3.6

寄り添うこと。
ドラマ版をより深掘りした内容で阿川佳代の過去が明かされたり、担当する相手の境遇など今までに増して重かった。
作りは少しドラマティックになってはいるが地続きな感じなので同様に楽しめる。
>>続きを読む

ポルノ時代劇 忘八武士道(1973年製作の映画)

3.5

当時の石井輝男というと異常性愛路線の一連の映画を撮り終えてやや落ち着いていた頃だろうか。
本作はポルノ時代劇とあってベースは時代劇ながらバンバン女性の裸が出てくる作品で今では作れないであろう内容だった
>>続きを読む

君は裸足の神を見たか(1986年製作の映画)

3.7

今村昌平プロデュースによる静かな佳作。
対照的な芸術家志向の高校生と朴訥な高校生の親友2人の青春というひと言では片付けられない味わい深い作品でもある。
雪国の田舎の閉塞感。将来への焦り。愛に気づかれず
>>続きを読む

浪花侠客 度胸七人斬り(1967年製作の映画)

3.2

何ヶ月も前からfilmarksに追加リクエストを出していてようやくこの日に至る。
任侠映画の流れを汲む作品。
鈴木則文と鳥居元宏による脚本のためかちょっとしたコミカルさもあり。
大阪が舞台というのもあ
>>続きを読む

吶喊(とっかん)(1975年製作の映画)

3.4

岡本喜八監督らしい作品。
低予算映画ながらこの勢い。
戊辰戦争と性、死んでいく若者たち。
抗うようなパワフルな生命力を感じさせる。
主演する岡田裕介のプロデューサーデビュー作でもある。

ミスター・ジャイアンツ 勝利の旗(1964年製作の映画)

3.0

当時の長嶋人気にあやかって製作されたであろうセミドキュメンタリー。長嶋が演技しているが特に違和感はなかった。
地味に出演者が豪華。特別出演多数。
こんなところにも天津敏が。ワンシーンだけの刑事役で表情
>>続きを読む

真夜中乙女戦争(2021年製作の映画)

3.5

酔う。危険な内容に二宮健監督の刺激的な映像が絡む。意図してクリスマス前の公開を避けた感じか。クローズアップされた池田エライザのPVも兼ねたような作り。
無価値な世の中におさらば。原作を読んでいない私と
>>続きを読む

フタリノセカイ(2021年製作の映画)

3.4

恋に落ちた男性が実はトランスジェンダーだったという話。
多様性というか。個性とみられるか。
自分が容易く語れることでもないのは重々承知の上で。昔とは違い周囲の目はそれほどキツくはないのかもしれないがセ
>>続きを読む

スティルウォーター(2021年製作の映画)

3.4

スティルウォーター。
恋人を殺害した罪で捕まった娘を救うために面会を兼ねてマルセイユにやってきたビル。英語とフランス語の言葉の違いに苦労しながらも知り合ったフランス人の親子に助けられ独自に捜査し真相に
>>続きを読む

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

グッチ家の崩壊を描く。内幕モノ。
このキャストに監督がリドリー・スコットとあって公開前から期待していた映画だったが個人的にはその期待を上回ってはこなかった。
何だか場面転換の悪さを感じたこともあってか
>>続きを読む

残侠あばれ肌(1967年製作の映画)

2.8

完全に任侠映画なのだがこれじゃない感がすごい。真面目なキリッとした顔で粋な台詞を吐く梅宮辰夫が何故か滑稽に映る。鶴田浩二がやりそうな役を代理。
またしても弱って咳をする池部良。この設定は必須なのかとい
>>続きを読む

自分の穴の中で(1955年製作の映画)

3.4

昼ドラみたい。個人的に東映でのスケールの大きな作品のイメージが強い内田吐夢監督のフィルモグラフィーの中では異色作。そんな彼が日活で映画を撮るのはおよそ15年ぶりとのこと。
石川達三原作。激しく荒々しい
>>続きを読む