TOTさんの映画レビュー・感想・評価 - 22ページ目

TOT

TOT

映画(1584)
ドラマ(179)
アニメ(0)

ナチュラルウーマン(2017年製作の映画)

3.7

マジックリアリズム的映像が綴るトランスジェンダー女性マリーナの喪失と再生。
マリーナの夢や恋人との日常をありふれたように見せて、やがて訪れる喪失には、彼女が彼女である由縁と、恋人の家族の関係性を強く描
>>続きを読む

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ(2017年製作の映画)

2.9

南北戦争下のお屋敷で、砲撃は遠くにあり、血は流れても浸み込まず、でもコリン・ファレルは魅力を振りまいている。
印象的なロングショットと、そうでもない室内ショットのアンバランス。
一定の乱調、汚れないル
>>続きを読む

ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ(2017年製作の映画)

3.2

‪パキスタン人移民二世の信仰や結婚の悲喜こもごも、彼女とその家族の関係とか良いなと思いつつ、実話ベースだからか甘い演出に馴染めなかったのか、あらかじめ善良さや面白さが担保されてる感じがした‬。
ただ、
>>続きを読む

長江 愛の詩(2016年製作の映画)

3.7

河口から上流へ、一冊の詩集と共に遡る愛と生の謎めいた起源。
轟音と光の工業地帯、山水画のような景色を作る川と船、三峡ダムと消える町。
時に弱り、時に快活に、現れるたび違う表情を見せる女性に託されたイメ
>>続きを読む

私を忘れないで(2014年製作の映画)

3.2

チョン・ウソンをひたすら美しく撮ろうとしただけの映画と思いきや、時制の見せ方や伏線もちょっと複雑にして、奥行きのある作品にしようと試みている。
なかなか悲しく切ないお話ではあるが、ウソンさんの容姿と声
>>続きを読む

トム・オブ・フィンランド(2017年製作の映画)

3.9

ひとりのゲイ男性が描いた絵が、仲間を繋ぐ旗印になっていく。
第二次世界大戦で国の名の下に戦うも、戦後は法律の下にセクシャリティを抑圧され、アートに活路を見い出した男。
やがて彼の作品は、国の名を冠した
>>続きを読む

悪女/AKUJO(2017年製作の映画)

3.8

被害者から悪女へ。
復讐を宿命づけられた女性の悲しみと怒りのアクションムービー。
主観と客観が鮮やかに切り替わり360度目まぐるしく動くカメラ、混沌と語られる現在と過去、たまにメロウなドラマパート。
>>続きを読む

アウトサイダーズ(2016年製作の映画)

3.5

イングランド南西部でトレイラーに暮らしつつ犯罪を重ねる父子と仲間。
タイトルと危なげな冒頭の印象に反し、父子の軋轢と彼らを取りまく環境、識字率の低さや社会の反応、未来への変化を丁寧に描いて優しい。
>>続きを読む

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)

3.9

ストップモーションアニメが子供たちの過酷な環境を優しく提示し、大きな目が作りだす繊細な表情に見入る。
動きもさることながら、子供の心と視点をなんとか紡ごうとするセリーヌ・シアマの脚本、台詞が秀逸だった
>>続きを読む

ロープ/戦場の生命線(2015年製作の映画)

3.8

お仕事人ベ二チオ・デル・トロの良さ(not殺し)。
ティム・ロビンスとの掛け合いもとても楽しい。
紛争地地帯で命をかけた活動が徒労に終わる虚しさの連続、UNに向かってUnited Nothingと憤る
>>続きを読む

修羅:黒衣の反逆(2017年製作の映画)

3.3

前作に続きチャン・チェンがすこぶる美しい!
似合いすぎて怖い衣装と見応えある殺陣、丁師匠とかサイドキャラも魅力的で、一作目未見でも楽しめそう。でも恋愛パートは凡庸。あと、猫かわいい。
総じて一作目より
>>続きを読む

マンハント(2018年製作の映画)

2.9

話が飛びすぎて絵が強い。
福山雅治の美しさ、チャン・ハンユーとの大盛りアクション。
國村さんは悪すぎて角が見えそうだし、池内くんは「クソ!」て悪態がよく似合う。
あと、矢鱈な日本若手俳優の豪華さと鳩鳩
>>続きを読む

ミスター・ピッグ(2016年製作の映画)

3.3

余命幾ばくも無い父、彼が愛情こめて育てた豚、そんな父に複雑な思いを抱く娘、二人と一匹の最期の旅。
友人が経営する養豚場はじめ、彼らが立ち寄るメキシコ各地に、ただ風景や人々が美しいだけでない、淡々と固有
>>続きを読む

ブレイド・マスター(2014年製作の映画)

3.1

陰謀に巻きこまれる義兄弟3人とそれぞれの秘めたる願い。
とりたててチャームが無い展開ながら、アクションは見やすく、雰囲気はよく、何よりチャン・チェンが美しい。
週末公開する続編の予習鑑賞。

道士下山(2015年製作の映画)

3.0

豪華セットでラフな筋立て、見応えないアクション設計、宮史郎にしか見えないユン・ワー……おいこらチェン・カイコー!!
それでもワン・バオチェンはじめキャストは魅力的で、チャン・チェンが素敵だったので、ま
>>続きを読む

バスケット・ケース3(1992年製作の映画)

2.5

切り離されたシャム双生児のロードムービー最終章。
新しい生命の誕生を祝えや祝え。
笑って殺してお祭り騒ぎ。
人はなぜホラーを三部作にするのか。
なぜ、最後は決まってコメディになるのか。
なぜ、私は月末
>>続きを読む

バスケット・ケース2(1990年製作の映画)

3.0

お兄ちゃんに仲間ができる二作目。
一作目で終わらせときゃ良かったのに…という言葉が脳裏をよぎる二作目。
監督のフリークス愛と悲劇愛が結合した結果ホラーコメディ街道まっしぐら。

バスケット・ケース(1982年製作の映画)

3.5

シャム双生児とフリークスを題材にしたホラーカルト。
弟の腹から切り離された奇形の兄、兄を守ろうとする弟、恋愛と性と自我が絡み合う兄弟の確執。
低予算が伺えつつ野心的なモーションアニメのぎこちなさ、ラス
>>続きを読む

欲望の翼(1990年製作の映画)

4.1

傑作。やはり傑作。
ひとところに留まることができない者たちの交錯。
知っていた名前も、忘れてはいない時間も、再び口にすることがなければ消えてしまう。
恋情と倦怠をくるむ湿度と速度が苦しく切なく、ナルシ
>>続きを読む

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

3.7

肉欲への目覚め(文字通り)
姉が在籍する獣医学校へ入学したベジタリアンの妹。
一滴の血を引き金に、血が血を呼ぶ連鎖が始まるフレンチホラー。
痛いわ痒いわで座席から腰が浮きつつ、終盤はあまりの事態に笑っ
>>続きを読む

ローズの秘密の頁(ページ)(2016年製作の映画)

3.2

第二次世界大戦時、イギリスからアイルランド北西部に移住してきたひとりの若く美しい女性ローズ。
IRA、反英感情、カトリックとプロテスタント、村社会の慣習、妊娠した未婚女性を取り巻く環境、20世紀アイル
>>続きを読む

ナショナル・シアター・ライヴ 2018 「エンジェルス・イン・アメリカ 第一部 至福千年紀が近づく」(2017年製作の映画)

3.8

面白かった。
レーガン政権、AIDS、若者の苦悩、差別意識と憎悪、ロイ・コーン、血を流して肉感的な世紀末の黙示録。ゲイファンタジア。
優美なアンドリュー・ガーフィールドはじめ贅沢な演者と、何より戯曲の
>>続きを読む

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.4

町を揺るがす突発的で悲しい出来事、それでもそこで生きる人たち。
善は悪になり、怒りも憎しみも持続できない。笑い、情けなく、許そうと許されようとして、斑らに揺れ動く人たち。
砕かれてバラバラのピースが強
>>続きを読む

殺人者の記憶法(2017年製作の映画)

3.3

アルツハイマーの連続殺人鬼、信頼できない語り手のおしゃべりにより二転三転するサスペンス。
愛娘に目を細め、記憶を無くして呆然とし、殺意を燃やして鬼の形相をするソル・ギョング。うまいな〜〜ソル・ギョング
>>続きを読む

ダークタワー(2017年製作の映画)

3.3

マシュー・マコノヒーとイドリス・エルバが思いの丈を魔法と弾にこめるよ。
モブには冷たくイドリスには熱視線を送るマコノヒーと、華麗なるリロードをするイドリスの戦いを見てるうちに終わりを迎える忙しい皆様に
>>続きを読む

デヴィッド・リンチ:アートライフ(2016年製作の映画)

3.4

リンチを紐解く3つの原体験。
まず母、そして父への賛辞、純粋な家族との思い出。
幼少期の突然の暴力的な美しさのインパクト、消えない記憶。
青年期に出会ったアートを支える、父から教わった手仕事への親しみ
>>続きを読む

サファリ(2016年製作の映画)

3.7

‪人間と動物、白人と黒人、繰り返す対称と非対称。
滅ぶべきは人間という言葉の陳腐と、露悪とも思える屠殺の長回し。
語り捌く者すら壁にかかるトロフィーのようなスタイリッシュな演出が、作品のメタ的な構造も
>>続きを読む

デトロイト(2017年製作の映画)

3.7

50年前の悪夢のような夜に引きずり込む息つまるリアリズム。
幼顔の下で常軌を逸脱して暴走するウィル・ポールターの怪演。
不正義の夜を生き抜いた人たちの言葉をもとに問いかける“It Ain’t Fair
>>続きを読む

ライオンは今夜死ぬ(2017年製作の映画)

3.7

“死”の演技に悩む老俳優と子供たちの出会い。
明るい南仏と密やかな廃墟、老人と幼き者、即興とマジックリアリズム。
演じることと演じないことの間の美。
老俳優演じるジャン=ピエール・レオーの顔に『大人は
>>続きを読む

ベロニカとの記憶(2017年製作の映画)

3.7

若気の至り、過ぎたこと、絶対に取り返しのつかないこと。
忘れた過去が思い出せと追いかけてくる。
お前が身勝手に塗り替えた記憶を忘れさせないぞ。
そう、言わんばかりに、ジム・ブロードベントを見るシャーロ
>>続きを読む

ルイの9番目の人生(2015年製作の映画)

3.5

予告だけで観に行き、ああ、そういう話か…と先は読めつつ、ファンタジー?ホラー?ミステリー?とどんどん印象が転がり、ルイ役エイダン・ロングワースやサラ・ガドン、ジェイミー・ドーナンの美しさに気を取られて>>続きを読む

パディントン 2(2017年製作の映画)

4.3

子ぐまと人々のユーモラスな交流に、悪役いきいきヒュー・グラント、シェイクスピアにチャップリンやピクサー、数々の映画オマージュ。
帽子を取ってハローと挨拶されたら自分も襟を正して挨拶する。
君はよそ者じ
>>続きを読む

ジオストーム(2017年製作の映画)

3.0

あまりよく知らないで観に行ったので、え?ジェラルド・バトラーとジム・スタージェスが兄弟?アビー・コーニッシュとアレクサンドラ・マリア・ララ美しいわ……あ、猫かわいい……あ、たまご焼けた……ダ、ダ、ダ、>>続きを読む

目撃者 闇の中の瞳(2017年製作の映画)

2.9

小さな器のダークなスープでひしめく具。時に分かりづらく味わいを変える伏線に、知った味?知ってそな味?と進めれば、シメの一口までスッキリ纒まってサクッと美味しい台湾サスペンスホラー。
よそ見運転多発の恐
>>続きを読む

早春(1970年製作の映画)

4.0

赤、白、緑、黄。狂うような色彩を写すカメラの運動とCANの音楽が作る衝動の暴走。
ポルノ映画の暗闇でキスをして、空のプールを満たしても、彼女の中に放たれなかった思いと叫び。
なんでこんなことになってし
>>続きを読む

レディ・ガイ(2016年製作の映画)

2.9

シガニー・ウィーバーが、男性ミッシェル・ロドリゲスを手術して女性に?!っていう強め設定を、『ストリート・オブ・ファイヤー』のヒル監督が存外お上品に味付けして拍子抜け。
でもミッシェルの男性と女性のヌー
>>続きを読む