TOTさんの映画レビュー・感想・評価 - 28ページ目

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ナショナル・シアター・ライヴ 2017 「三文オペラ」(2016年製作の映画)

3.8

面白かった〜。
Brexit時のイギリスの風刺の苦味と、それを笑い飛ばす猥雑なパワー。
ローリー・キニアはじめ素晴らしい声のキャストが、オペラを誇張して軽快に美しく歌いあげる楽しさ。
どの歌も楽しかっ
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百年恋歌(2005年製作の映画)

4.5

ファーストショットから呆気にとられる。
一部のきらめき、二部の艶、三部の渇き。
男が女を追い、女が男を待ち、ついに交わるも刹那的な。
一部が好きですが、恐らく真骨頂は三部でしょう。
うっとりとまばたき
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Daydreaming(2016年製作の映画)

4.0

レディオヘッド meets PTA。
扉を開けて彷徨い続ける男トムヨ。
長回しの白昼夢。
去年のサマソニでも聴いて、アルバムでもとても好きな曲&好きなMVですが、レディオヘッドのベストMVはやっぱり「
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JUNUN(2015年製作の映画)

4.0

レディオヘッドのギタリスト、ジョニーとインド、イスラエルのミュージシャンとのオープンなレコーディングを追ったドキュメンタリー。
ドローン撮影も使って、普段のPTA作品より更にフリーでピースフルな雰囲気
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アイスドラゴン(2012年製作の映画)

3.1

ほんわかメタルなスウェーデン少年の冒険と成長もの。
父と兄だけを大事に暮らしていた、でも行き場を無くしかけていた少年が、寒い寒い田舎町で温かい繋がりを見つける。
メタル、ブラック、アジア風な劇伴、それ
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フィーバー・ルーム(2016年製作の映画)

4.8

マルチスクリーンによる映像と音と光プラスαの空間インタレーション。
起きながら眠ってるような彼の映像作品の身体感覚を舞台にすると、こうなるのか。
東京都写真美術館の亡霊展の延長線上でもある夢の世界に参
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この光、より多くの光(2003年製作の映画)

3.0

これも映像と別の音声を重ねた試みだった気がする。
てか、1分間しかなかったからよく覚えてないぞ!!

東京都写真美術館
「アピチャッポン本人が選ぶ短編集」Dプログラムにて

マレーと少年(1999年製作の映画)

3.5

ストリートの路上販売的なシーンをクローズアップで映しながら、別音声を重ねたり、映像と物語の二重性。
映画の中の亡霊。
だった気がする。

東京都写真美術館
「アピチャッポン本人が選ぶ短編集」Dプログラ
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セールスマン(2016年製作の映画)

3.8

父権社会の男性の自尊心と恥の文化、女性の抑圧がじわり苦しいサスペンス。
アーサー・ミラーの戯曲『セールスマンの死』が重い通奏低音。
じっくりと丁寧なカットや、冒頭のマンションの亀裂やタクシーのエピソー
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アイム・ノット・シリアルキラー(2016年製作の映画)

3.8

どうしよう、嫌いじゃないなんて。
ソシオパスの高校生ジョンがシリアルキラーを追ううちにミイラ取りがミイラ取りになる話かと思いきや、まさかの後半のツイスト。
終盤は驚きというかベタというか、アハハと呆れ
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ローマ法王になる日まで(2015年製作の映画)

3.6

アルゼンチン軍事政権下での葛藤と苦しみの後、真に祈りを欲し涙するドイツの教会のシーン「結び目を解くマリア」がハイライト。
アルゼンチン時代がメインで少し平板な印象を受けた。
省略された時代の話があると
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残像(2016年製作の映画)

3.8

キャンバスを赤く染める全体主義と、白い花を青く染める個の対比。
党員によって絵画が切り裂かれる瞬間、感傷や収集の対象ではない、表現の自由と芸術の独立性が奪われる瞬間に涙がでた。
劇中「残像はものを見た
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怪物はささやく(2016年製作の映画)

3.9

壊したい、終わらせたい、罰してほしい、どうにもならない怒り。
割れる大地のように引き裂かれる自己。
思春期の痛みと夢想の壮大さ。
喪失に怯え、繰り返し見る悪夢から少年を救う、矛盾あることの美しさ、物語
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ウォー・マシーン:戦争は話術だ!(2017年製作の映画)

3.7

反省しないウォーマシーン、アメリカの内外への詭弁な戦争話術をシニカルにユーモラスに。
アクションより会話劇の面白さで、戦争版『マネー・ショート』な趣き。
かしこまらない、ゆるい毒。
アフガニスタンを守
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ブエノスアイレス 摂氏零度(1999年製作の映画)

3.5

『ブエノスアイレス』見返しついでにDVDを引っ張りだしてみました。
息子ファイ(トニー・レオン)が、父親の死をきっかけに父が愛人と暮らしたアルゼンチンを訪れたら愛人ウィン(レスリー・チャン)は男だった
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ブラッド・ファーザー(2016年製作の映画)

3.0

メルギブがおでこの深〜〜い皺に風を受けてハーレーに跨り、片手でショットガンを打ち、ダクトテープも歯で噛み千切り、どこまでもウィリアム・H・メイシーが心配してくれ、バカなんだか賢いんだかわからない娘のエ>>続きを読む

武曲 MUKOKU(2017年製作の映画)

2.6

何に怒っていいかわからないまま腹からリリックを吐き出す村上虹郎。
柄本明が小僧呼ばわりする村上虹郎。
道場で、海辺で素振りする村上虹郎。
暗い目をした大人、油のこびりついた演技、既視感ある、うんざりす
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マリー・クロヤー 愛と芸術に生きて(2012年製作の映画)

3.8

名声を得た画家エヴェリン・クロヤーの影で、自らも画家を志しながら才能を否定され、ただ美しく笑顔であれと言われる妻マリー。
狂気に囚われていく夫と相対する妻にもやはり相応の秘めたるタフネスと愛がある。
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ブエノスアイレス(1997年製作の映画)

5.0

香港の裏側、ブエノスアイレスのアパートの個室の七転八倒。
狭い空間の中で磁石のようにひかれては反発し、どんなに愛しても終わりは来て、呆れるほどの痛みの果てに、ひとりの自分が残る。
公開当時10代の私は
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花様年華(2000年製作の映画)

5.0

恍惚のマギー・チャンと、陶酔のトニー・レオン。
ヘアスプレーとポマードが香りそうな距離で近づいては離れる反復のうちに既に始まっていた愛。
アンコール・ワットに閉じ込めて完成した愛。
物語を開いてはまた
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20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

3.8

本に書かれることはない、20世紀を生きた3人の女性。
パンクとフェニミズム、カサブランカ。
うねうね道をゆっくり越える年齢の少年が、ほんの一瞬わかった気はして、すぐわからなくなる彼女たち。
共に過ごし
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ザ・ダンサー(2016年製作の映画)

3.6

虚実織り交ぜて描き出される19世紀末パリで活躍した伝説のダンサー、ロイ・フラーの半生。
輝きたいと願いながら、自分の身体に価値を見いだせなかった女性が、ダンスによって自分の身体性を発見し、解放し、ダン
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LOGAN ローガン(2017年製作の映画)

3.6

追いかけてくる過去、怒りで血に染まる手、父性の継承、自由なき管理社会の国境、現世を写すようなディストピアな世界。
ローガンとチャールズの関係がとても良く、2人を演じるヒュー・ジャックマン、パトリック・
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ウルヴァリン: SAMURAI(2013年製作の映画)

2.9

思ってたより楽しい。
福島リラ演じるユキオがナイスキャラ。
ソードアクションは楽しいし、岡本多緒演じるマリコとの百合香る関係も良い。
あと、真田広之のヴィランっぷりも。
でもロケーションとセットに目を
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ウルヴァリン:X-MEN ZERO(2009年製作の映画)

3.0

私の中のウルヴァリンが限界突破して飽和状態です。
ガンビットちゃんはかわいい。
エグいぐらいチートなスペックのデップーちゃんがウルヴァリンに負ける意味がわからない。

オペレーション・メコン(2016年製作の映画)

4.0

お・も・し・ろ・い!!!
熱いのにドライな人間ドラマに、多彩なアクション、空撮にステディカム等ゴージャスなカメラワークに、シャープな編集。
ショッピングモール、森林の銃撃戦、爆破、カーチェイス、ボー
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おじいちゃんはデブゴン(2016年製作の映画)

3.5

どんなに記憶がなくなっても自然と体が動いてしまう、関節技をキメまくってしまう。
最初から巻いてる展開に笑いつつ、強すぎるのに常に所在なさげなサモ・ハンの目が辛くて泣いてしまった。
切ないおとぎ話。
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X-MEN:ファイナル ディシジョン(2006年製作の映画)

3.2

キャラが増えてアクションが多彩になったのは楽しいところ。
ストームはかっこいいい&ハル・ベリーは美しい。
ニューカマーのベン・フォスターとエレン・ペイジはかわいい。
しかしジーンのキャラ変がしんどく、
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X-MEN2(2003年製作の映画)

3.0

ヴィランが割とどうでもよいのと、人物描写の薄さから話にのめりこめず。の割に、長い。
ちょっとプロフェッサー&マグニートーのキャラに頼りすぎ。
やっぱりファムケ・ヤンセン全くもってミスキャスト。

X-メン(2000年製作の映画)

3.2

コンパクトに纏まってわかりやすいX-MEN始まりの物語。
ヒュー・ジャックマンのフレッシュな魅力とハル・ベリーの美しさ。
原作考えるとパトリック・スチュアートとイアン・マッケランの配役ちょっと年上すぎ
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天使の涙(1995年製作の映画)

4.5

運動の中で静止する一瞬の、甘美な喜びと別れ、ダンディズムとセンチメンタル。
『恋する惑星』のベターハーフ。
‪超広角カメラで写し取られた、網タイツとガーターベルトを纏ってうねるミシェル・リーの脚の、ス
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恋する惑星(1994年製作の映画)

4.3

都市の中で出会っては離れ、また交わる人々がスクリーンの上でつくる鮮やかで美しい運動の軌跡。
ウォン・カーウァイブームの始まりであり、アジア映画にとどまらず90年代映画を象徴するような作品。
これを公開
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ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)

3.5

寡黙だけど背中で語る親父ブライアン・コックスと孝行息子エミール・ハーシュ。
解剖パーツ毎に進む謎解きミステリーに、きっちり刻んで、きっちり見せる、ちゃんと驚かすグロとホラーが丁寧。
画は拍子抜けなくら
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皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(2015年製作の映画)

3.8

良かった。
正統派なヒーロー誕生ものに、都市経済の閉塞感、イタリアマフィア、不器用な恋、派手さは無いけど重さはあるアクション。
死んだように生きていた中年男性が、パワーと愛を知りヒーローとして生まれ直
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メッセージ(2016年製作の映画)

3.8

ドキュメンタリーのように緊張感溢れるパートと神秘的な回想パートの二軸に導かれる、はじまりも終わりもない、右も左もない、時間を超えて繰り返される記憶、生命の円環。
バベルの塔から分かたれた人間を束ねるも
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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

4.1

石井監督が見る東京の今に言葉と詩を乗せ、周回遅れな愚直さとユーモア、遊びある映像で画面に定着させようとするチャーミングな作品。
詩集の映画化とは無茶なことをと思ってたけど、これはいい試み。嬉しい誤算。
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