touchさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

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モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

3.8

"演説より対話が必要だ"
* * *
「1987、ある闘いの記録」や「工作」を思わせるハードな政治ドラマの緊迫感。
オール海外ロケ、大規模セット&エキストラによる豪勢な画づくりに予算の潤沢さがうかがえ
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三姉妹(2020年製作の映画)

3.7

"本当の母親の役割がわからない"
* * *
自罰意識が強い長女、完璧主義の次女、エゴイスティックな三女。
各々が悩みを抱え、激しくぶつかり合いながらも互いを気遣うが…。
.
家父長制の呪いに苦しむ女
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私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

3.9

第二次性徴期の不安、自尊心の傷つき、シスターフッドの奮起をメインテーマに据えたピクサーアニメの新機軸。
諦めを強いられてきた先代の女性たちと対峙させ、自由の獲得を描く。ナード的ガールズトークのリアリテ
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キャメラを止めるな!(2022年製作の映画)

3.3

"グローバリズムと資本主義"
* * *
監督:ミシェル・アザナビシウス、音楽:アレクサンドル・デスプラ。贅沢なB級映画だった。
舞台はフランスだが原作に忠実なリメイクに徹することで、ある種パロディム
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メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

3.8

"人ってのは思ってもいなかった風に変わるものだからね"
* * *
二人の掛け合いに心和む。
同好の士と巡り会う喜びを多幸感いっぱいに見せつつ、オタクが抱きがちな負の感情面にもきちんと目を向ける。
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ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

3.9

"頭の中がゴチャゴチャだ"
* * *
試写にて
高級レストランのある一夜を90分ワンカットで見せる。スリリングなライブ感、次から次へと巻き起こるトラブルの嵐に釘付け。
.
長年トップシェフを務めた監
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X エックス(2022年製作の映画)

3.6

"私は受け入れない"
* * *
今年のベストアバズレバウト映画!
「悪魔のいけにえ」ほか過去の名作ホラーを熱烈オマージュしながら単純なクリシェには陥らない。
新時代の名作として、またB級ホラープリン
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わたし達はおとな(2022年製作の映画)

3.9

"いや、どうだろ、どうだろってかそれは無理かも"
* * *
酒とげろとトーストの匂いが立ち上るような生々しさ。
暴力性に無自覚で身勝手な彼、気づけば搾取される側にいる彼女。
彼らの軽薄な関係では支え
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.8

"僕はショーマン 天職だよ"
* * *
気になる異性?ビジネスパートナー?
付かず離れずの関係で互いを意識しつつ、対抗心を燃やして背伸びする二人がいじらしい。
.
レトロな衣装美術、ローファイな映像
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.1

"これは私じゃない"
* * *
自己矛盾の苦悩、人生のほろ苦さを等身大の女性目線で描ききった傑作!
.
愛してるけど愛してない。理解されたいけど理解されたくない。後悔するけど離れたい。
主演レナーテ
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夜を走る(2021年製作の映画)

3.9

"受け入れます。いってらっしゃい!"
* * *
廃材工場であくせく働く男たちの閉塞感漂うホモソーシャル。
ストレスを湛えたある男のタガが外れた瞬間、日常が音を立てて形相を変えていく…。
.
リアルな
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ザ・ロストシティ(2022年製作の映画)

3.2

"困難は甘味に通ず"
* * *
試写にて
豪華キャストによる超B級ロマコメアドベンチャー。
サンドラ・ブロック×チャニング・テイタムのズレた掛け合いがシュールな笑いに。
友情出演のブラッド・ピット、
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劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [前編] 君の列車は生存戦略(2022年製作の映画)

3.9

"きっと何者かになれるお前たちに告げる"
* * *
舞台挨拶付き上映で観た。
漠然とした将来への不安や焦燥、閉塞感に苦しんでいたあの頃、絶望と希望をセットで突きつけてきた「輪るピングドラム」という怪
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.7

"生まれてきてくれて ありがとう"
* * *
最速試写にて
是枝裕和監督 待望の最新作。
赤ちゃんポストと人身売買が「子を産み育てること・親になること」の責任、本質の所在を炙り出す。
いびつな関係の
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イン・ザ・スープ(1992年製作の映画)

4.0

"僕は映画屋だ"
* * *
35mmフィルム上映にて
ニューヨークの片隅で巻き起こる酔狂でハートフルな奇跡。
映画づくりにのめり込む青年アルドルフォと、そんな彼を面白がりパトロンになることを申し出る
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

4.0

"俺が与えた善意を返せって言ってんだよ!"
* * *
完成披露試写にて
吉田恵輔監督の「人間のみっともなさ・意地汚さ」に対する観察眼に改めて感服。
モラルに欠けたYouTuberの低俗な振る舞い、テ
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PLAN 75(2022年製作の映画)

3.6

"もう少し頑張れるんじゃないかと思って"
* * *
カンヌ凱旋プレミア試写にて
75歳以上は自ら生死を選択できるようになった近未来の日本。
選択とは名ばかりで、高齢者を邪険にしたさながら現代の「楢山
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

4.0

"これが僕の物語の始まりだ"
* * *
祖国を追われ自分を偽りながら生きることを強いられる苦しみ。
マイノリティに対する偏見、人種差別、難民受け入れ問題…国際社会に横たわる共通課題をまざまざと突きつ
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息子の面影(2020年製作の映画)

3.7

"私が見つけ出す"
* * *
越境して出稼ぎする道中、消息を絶った息子。彼の足取りを追う母親が長い旅路の果てにたどり着く真実は…。
.
メキシコ・アメリカ国境周辺地域の治安の悪さに絶句。
.
温情に
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犬王(2021年製作の映画)

3.7

"新しい物語をはじめます"
* * *
痛怪作!
「創作和食の暖簾をくぐって出てきた料理はワイルドキャンプ飯でした」みたいなギャップに度肝を抜かれる。
.
湯浅監督の演出、松本大洋キャラ原案の個性も相
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

3.5

"地獄へようこそ"
* * *
試写にて
第77回ヴェネツィア国際映画祭 審査員大賞を受賞
メキシコの気鋭ミシェル・フランコ監督が描き出す暗澹たる地獄絵図。
.
経済格差、民衆の暴徒化、軍権力の腐敗…
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.6

"描くことの壁は描くことでしか越えられない"
* * *
過重労働にハラスメント地獄…「作品のため」と大義名分を振りかざし、やりがい搾取が横行するアニメ製作の舞台裏。
業界の暗部が軽口に描かれることで
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チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ(2022年製作の映画)

3.9

"こりゃあやっぱりリブートだな!"
* * *
ロジャー・ラビットさながらトゥーンと実写が融合した異色の映画。
権利の壁を超えたメタネタをふんだんに盛り込んだお祭り感がチップ&デールの持ち味とマッチし
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劇場版 おいしい給食 卒業(2022年製作の映画)

3.8

"なんだか…うまそげじゃないか…"
* * *
学校給食に対する偏愛をギャグ演出満載に描いた学園グルメコメディ。
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「給食は栄養を最重視すべきか?」給食のあるべき姿、本質論に執念を燃やす姿が滑稽に。
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.0

"この石も クルドの石も 何も変わらない"
* * *
クルド人一家に立ちはだかる難民認定の壁。厳しい行動制限に働くことすらままならず入管収容に怯えて暮らす現実。
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高校生少女の等身大の目線から、外
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.6

"為せば成る 為さねば成らぬ何事も"
* * *
「公式が最大手」みたいな二次創作的な手触りの映画だった。
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ウルトラマンという原典と科学技術に対する敬意はひしひしと伝わってくるが、女性を軽んじるス
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.3

"Don't think. Just do."
* * *
トップガンファンによるトップガンファンのための理想的な続編映画だった。大満足!
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「とにかく戦闘機をカッコよく撮る」と「トム・クルーズを誰
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雄獅少年/ライオン少年(2021年製作の映画)

4.2

"人生こそ獅子舞のようなもの"
* * *
東京都写真美術館にて。傑作!
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路地裏の野良猫から雄獅(ライオン)になれ!
「競技獅子舞」に魅せられたはぐれ者の少年たち。大会出場を目指して達人に弟子入り
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

4.2

"私の宇宙から出ていけ!"
* * *
正しく狂ってた。世紀の大怪作。つまり今年暫定ベスト。
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邪道も極めれば王道。
「超大衆向けエンタメシリーズのブロックバスター映画」という制約の中、これだけ作家
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ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022年製作の映画)

3.3

"僕らは完璧じゃない だが正す努力はできる"
* * *
ダンブルドアとグリンデルバルド、世界を巻き込んだ壮大な痴話ゲンカ…。
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致命的なキャラ崩壊&解釈違いが多重に発生している。
登場人物の感情を
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ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

3.6

"普通のフィンランド人の幸せな家庭をお見せします"
* * *
第二次性徴期の苦悩を落とし込んだ秀逸なB級ボディホラー!
「育児」という愛情的な振る舞いに潜む醜いエゴ、映えに囚われた仮面家族の欺瞞、理
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

3.7

"そんなつまらないことする訳ないじゃないか"
* * *
深淵を覗けば、深淵もまたこちらを覗く…戦慄のサイコサスペンス!
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温厚さと凶暴さの二面性、人の弱みにつけ込む陰湿な人心掌握術。
阿部サダヲ演
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流浪の月(2022年製作の映画)

4.0

"更紗は、更紗だけのものだ"
* * *
実に李相日監督らしい映画だった。
『悪人』や『怒り』にも通ずる人間の弱さや醜さ、目を背けたくなるこの世界の後ろ暗さを真っ直ぐに見つめる。
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暴力の恐怖、孤独
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恋は光(2022年製作の映画)

4.2

"恋というものを知りたいのです"
* * *
快作!
恋とは何か?乙女の発光現象から定義を導き出そうと理屈をこね回す変則SF青春ラブコメ。
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岡山の風情あるロケーション、爽やかなルックが心地良い。
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エル プラネタ(2021年製作の映画)

3.5

"まだカードは使えるから"
* * *
監督・脚本・プロデュース・主演・衣装デザインを自ら手がけたアマリア・ウルマン長編デビュー作
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嘘を生きる縁にするしかない親娘、行く先々で待ち受ける強権的な男性
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インフル病みのペトロフ家(2021年製作の映画)

3.6

"宗教エクスタシーで脳卒中になるぞ"
* * *
ソヴィエト崩壊後のロシアをふらふらと彷徨う男。彼とその家族は奇天烈な世界に蝕まれていく…。
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脈絡から解脱して長回し風にシークエンス接続する編集が幻
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