つのつのさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

つのつの

つのつの

映画(993)
ドラマ(23)
アニメ(0)

風と共に散る(1956年製作の映画)

4.2

これは確かにメロドラマ。
ダグラス・サークは、性的隠喩の底意地が悪い。

翼に賭ける命(1957年製作の映画)

4.1

異性間で思いが通じ合ったかと必ず非対称な繋ぎで亀裂を暗示し、それは必ず後の展開で回収される。表面上はメロドラマを展開しながら、その根底に断絶や孤独を描く(そもそもサークやミネリのメロドラマがそういうも>>続きを読む

シナのルーレット(1976年製作の映画)

3.8

アンナ・カリーナ出てるからだとも思うけど、序盤はゴダールとか当時のフランス映画みたいな感じ。
言われてるほど鏡や視線の交錯はピンと来なかった。
面白いかと言われればそんなことはない。

悪魔のやから(1976年製作の映画)

3.7

なんだこれ。
終盤で主人公を罵倒して蹴りを入れる女の人が、ずっと敬称「Sie」を使ってるのが面白かった。
ファスビンダーの映画では「豚」「Schwein」が罵倒語で頻出する。

不安が不安(1975年製作の映画)

3.9

オープニングがめっちゃ『ジャンヌ・ディエルマン』。
行動を監視してる人間がやたら出てくるのが怖い。

秋津温泉(1962年製作の映画)

4.1

日本家屋、日本の風景で純然たるメロドラマをやる時の一つの正解のような。
反復される音楽がドラマを語り、登場人物達は家屋に抑圧されて生きている。
隣に座ったお爺さんが、登壇した岡田茉莉子の似顔絵を熱心に
>>続きを読む

悪の神々(1970年製作の映画)

4.1

ファスビンダーの白黒時代では一番面白いと思う。
様式的演出がほぐれてカメラワークや照明に意匠が凝らされているが、カラー時代のキャンプな要素はまだそこまで展開されていない。
オープニングクレジットとか普
>>続きを読む

アンナの出会い(1978年製作の映画)

4.5

シャンタル・アケルマンは、粘土をこねるみたいに次々と空間を変形させる。
単に左右対称な画面の中央に扉が配置されているのではなくて、そこから「手前から奥へと」伸びる空間が生まれている。
と思ったら今度は
>>続きを読む

女優霊(1995年製作の映画)

4.0

映ってしまったものは、映したものである。かつて撮られたであろう謎のフィルム画面が最高に気持ち悪い。
序盤の「女優」のカメラテストの場面からして、フィルムカメラで人を映す行為そのものが持つ不気味さを感じ
>>続きを読む

音楽狂(1903年製作の映画)

-

ドクター・ストレンジMoMのクライマックスの元ネタってこれ?
しかも、サム・ライミって、『死霊のはらわた』から『ダークマン』までは特に、身体をバラバラにしたりくっつけたりするぞ。

最後まで行く(2014年製作の映画)

4.0

変な映画!でも面白い!
韓国映画久しぶりに見た。韓国行きたくなる。
コーエン兄弟をもう少し荒くコミカルにしたみたい。
クライマックスの家の格闘とか『ブラッド・シンプル』みたいだったし。

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.9

過去から現在、未来までのすべての出来事を一直線に繋ぐことを拒否するかのようなぶつ切りの編集と溶けるようなフラッシュバックは、目的や意図を持つ確固たる主体であるはずのリディア・ターの中にある「ほつれ」を>>続きを読む

スパイダーマン2(2004年製作の映画)

4.2

面白すぎて特に言うことなし!
広告のMJに始まり、実在のMJに終わる。

スパイダーマン(2002年製作の映画)

4.0

多分小学生の時に見て以来。
星条旗は、冒頭の大学やプロレス会場とかにも出てくる。(プロレス会場の受付がオクタビア・スペンサーだったのにびっくりしたけど、ここからゼロ年代のハリウッドの雇用状況が浮かび上
>>続きを読む

13回の新月のある年に(1978年製作の映画)

5.0

再鑑賞
視線の演出は勿論、映画としての演出は今作が一番見応えがあった。
ただ、トランス女性を巡る表象については、時代の限界を感じる。
レプリゼントしたこと自体の意義と、激しく傷つき、連帯する人を失うと
>>続きを読む

ベロニカ・フォスのあこがれ(1982年製作の映画)

5.0

再鑑賞
改めて映像も物語も素晴らしい。
どうやって手をつけようかまだ悩むけれど、ファスビンダーは間違いなく面白い。




モノクロ撮影の強度が半端じゃない。
『サンセット大通り』×探偵モノを織り交ぜ
>>続きを読む

キートンの探偵学入門/忍術キートン(1924年製作の映画)

4.0

「狂った機械」こと無人オートバイで爆走するクライマックスがやっぱり最高。機関車が間近に迫るところは、キートンと同じように叫んじゃった。
序盤の尾行シーンで、泥棒とキートンの動きが完全にシンクロするのが
>>続きを読む

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

5.0

一回目でも凄い映画だと思ったけど、二回目見たら、発見があまりにも多くて退屈しなかった。
本当に素晴らしいと思う。








日常の細かな所作の反復と差異が、パターソンにとっては愛おしくて堪らない
>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.6

再鑑賞。
いけすかない親戚の連中が、ペタンクに興じるのがめっちゃ面白い。
一回目よりは楽しめたけど、やっぱりノレない要素の方が多いな。
正直言って、この作り手は、人文学も創作も政治的活動も、ナメてね?
>>続きを読む

フランケンシュタイン(1931年製作の映画)

4.0

撮影格好良すぎ!
序盤の雷鳴と、結婚式の場面の鐘の音が不気味。
最悪な展開が上乗せされていく恐怖も最高だった。

緋色の街/スカーレット・ストリート(1945年製作の映画)

3.9

レコードがループしたり、ラジオの音声がノイズで途切れ途切れになったり、音で遊ぶ演出が面白い。1940年にして、フリッツ・ラングは、ヒップホップ的感性あったんじゃないか?
照明や音がループし、愚昧な主人
>>続きを読む

散り行く花(1919年製作の映画)

4.1

救いがない。
斧の場面よりも、錯乱した人間の表情の怖さを撮る点にキューブリックは最も影響を受けたんじゃないかな。
絶望と恐怖に満ちた顔を、ゆっくり笑顔に「する」場面の気味悪さ。顔映画だ。

ノー・マンズ・ランド(2001年製作の映画)

4.0

戦争とドキュメントの関係を一番考えてしまった。
使用言語の違いによるコミュニケーション不全とか、のっぺりした空気が不気味に笑えてきて、面白いと言っていいのか何なのか。
『アワー・ミュージック』と合わせ
>>続きを読む

セルラー(2004年製作の映画)

4.5

こういう映画だけ見ていたい。
状況が極限すぎて、当事者達があまりにも真剣に無茶なことをやり始め、それを側から見ているとハラハラしながらも笑えてくるという、スリラーとギャグの混ざり具合が最高。
アボカド
>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.0

理論や専門用語よりも「自分の」言葉で感想を綴れという主張自体には大して納得できないけど、それを唱えるチャーリーの愚直さが、オルタナティブを見つけられず何も信じることのないエリー(『エブエブ』のジョイに>>続きを読む

聖なるパン助に注意(1970年製作の映画)

3.8

『皆殺しの天使』みたいな展開を想像していたので、共同体の崩壊はそれほど感じられなかった。
本作の元になった『ホワイティ』は、ファスビンダーなりの西部劇らしいので、是非見たい。

輪舞(1950年製作の映画)

4.0

ウォーめっちゃおもろいやんけ!って最初の40分は大興奮。
建物の4階に行くと別世界にたどり着くというファンタジーが最高!
『デスプルーフ』の遥か前にフィルムの消失を映像化している。
途中から話が追えな
>>続きを読む

忘れられた皇軍(1963年製作の映画)

-

この人達のことをカメラで撮りドキュメンタリーにするという自らの立場から一歩も逃げていない作り手による作品。
「衝撃」という言葉は、結局自分の無知を見えなくするからあまり使わないようにしよう。

ガール・ピクチャー(2022年製作の映画)

-

ちょっと前半ふらっとしてしまったので要再見。
2人が画面に映って、1人だけ取り残される構図が多いから、ラストの3人が新鮮に映る。タイトルもそこで出るし。
一対一カップルという関係性からの脱却に見えたか
>>続きを読む

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

4.2

シャマラン支持します!
色々変な所やダメな所もあるとは思うけど、『オールド』と同じく、複数の事態を、複数の要素(照明、カメラワーク、俳優の動線、音楽)で描くことで、密室の緊張感を加速度的に盛り上げるの
>>続きを読む

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

4.2

先行上映で見た。
「若者が共に過ごせば(異性間の)恋愛が生じることは必然であり、皆それを経て大人になる」みたいな表現や主張に触れる度、なんか違うなと思っていた身としては、こういう作品に出会えて本当に嬉
>>続きを読む