ダーティーさを極めるためか、差し歯までして臨んだ最新作「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」のディカプリオ。その怪演ぶりがいまなお脳裏から離れてくれない。もはや手垢がついたとも云える“人間の弱さ”なる>>続きを読む
フィンチャーの新作「ザ・キラー」には、すでに評価されている側面が数多くあるが、なかでも、緊張感の持続を要する物語展開に対し、大いに貢献したのが撮影技術だろう。ソリッドに切り取られた都市の遠景や、ファス>>続きを読む
今年公開された「告白、あるいは完璧な弁護」も素晴らしかったソ・ジソブ。鑑賞から随分経って、「ある会社員」でも主役を演じていたことに気づく。もう10年も経過していたのか。
表向きは普通の貿易商社、実態>>続きを読む
行くも地獄、戻るも地獄、という点では、本作もまた「インファナル・アフェア」の影響下にあるのだろうか。たたき上げ刑事(ファン・ジョンミン)vsエリート検事(リュ・スンボム)vs会社社長(ユ・ヘジン)の対>>続きを読む
20代の頃、一番下っ端で参加した職場の飲み会があって、中堅ぐらいの先輩と二人きりになった帰り道、「お前あのとき、一緒になって笑(わろ)てたけど、意味わかってたんか?(関西弁)」と極めて真剣な眼差しで問>>続きを読む
今回の再映で一番驚いたのは劇伴の高音質。2000年初頭でここまで確保していたとは。そして大画面の至福、世界一セクシーなトニレオ様の笑い皺(with 脂汗)。屋上に開ける青い空が、これほど不吉に映る映画>>続きを読む
ドロップ・キックのシーンがある韓国映画に駄作なし。どなたかがそんな方程式を吹聴し始めてから幾許か。本作にも、麻薬課刑事(二人共イイ顔)のひとりが、タイミング、飛翔距離、ともに見事なドロップ・キックをキ>>続きを読む
2013年の映画「新しき世界」で異彩を放っていた、延辺朝鮮族自治州から呼び寄せられた殺し屋たち。その一挙手一投足が今なお忘れられない。物乞いとも呼称される身なりと日焼けした肌。皆一様に微笑を浮かべ、生>>続きを読む
イ・ジョンジェ監督の「ハント」公開からわずかで、今度はドラマ・シリーズ「最悪の悪」がDisney+で配信された。制作はどちらも名作を連発しているサナイピクチャーズである。大きくは「ゴッドファーザー」の>>続きを読む
30年代ハリウッドの映画ジャンル、スクリューボール・コメディのスタイルに、#MeTooやシスターフッドといった、現時代的記号を軽妙に取り入れた一作。ウィット濃厚な脚本と、舞台美術や衣装、メイクに至るま>>続きを読む
襲撃事件に関しては、事後のみが描かれるため、その真実の所在が、主人公側にあるのか、権力側にあるのか、われわれ観客側も翻弄され続ける。その演出と、イザベル・ユペールの演技が本当に秀逸で、史実であることも>>続きを読む
過去とともに捨て去る最新ガジェット。神経症的なまでの脈拍チェック。そんな殺し屋の奇異な特性を、計算し尽くされた配置カメラが丁寧に撮らえる。そう、これは所作を味わう映画だ。
「イコライザー」との類似性>>続きを読む
おもしろうてやがて悲しき承認欲求クイーンの決意と末路。
個人的に最も苦手な感想が"主人公に全く共感できなかった" なのだが、そんな風に映画を"共感"で観ている人に本作はどう響くのか。
これほど明快>>続きを読む
切れた指を見つめながら焼酎一杯飲む夜
ガタガタ機械の音が耳元で鳴っている
空を眺めてみたよ
切れた指を埋めてくる日
冷めた涙を流した夜
血のついた作業服に過ぎ去った僕の青春
こんなにも悲しいんだな
一>>続きを読む
三色の字幕。白(ルーマニア語)、黄(ハンガリー語)、そしてピンク(ドイツ語、英語、フランス語)。色分けの理由を理解するまでにはそれほど時間は要さない。
舞台となるルーマニアはトランシルヴァニア。鉱山>>続きを読む
「傑作は一度見ても分からない。何度か見ないと本質までは理解できない」
スコセッシ監督1990年の「グッド・フェローズ」に向け、そう賛辞を贈るのはリチャード・リンクレイターである。その文句に触発されたわ>>続きを読む
最近観たスコセッシ監督の新作「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」で、コヨーテという動物の存在が、先住民族を搾取してきた白人側のメタファーとして語られるシーンがある。実際、コヨーテには、同じ肉食動物の>>続きを読む
史実を基として、全編に非常な緊迫感が満ち満ちている本作ではあるが、劇作としてのユーモアと、カーチェイスなど、エンタメ要素も絶妙にブレンドされ、最後まで全く飽きさせない。しかし、実事件を描いた関連書籍を>>続きを読む
2021年の韓国映画「モガディシュ 脱出までの14日間」に、韓国大使館に助けを求めた北朝鮮の大使館員たちが、それぞれの子供たちに、韓国文化が垣間見えるような小物を見せないよう、目をふさぐシーンがあった>>続きを読む
"稲妻が空を切り裂く/関西で雨雲が急発達 (tenki.jp)"
公開初日の関西はそんな空模様だった。
誰でもハンディに動画撮影が出来るカメラだらけのこの世界に、今一度問う映像論のような作品であった>>続きを読む
先日、娘と他愛のない話をしていて、“KY”(空気が読めない)というスラングが、若者の間ではすでに死語とされている事実を知る。
主人公ジョンドゥは前科三犯、人の話に耳を貸さぬ、それこそ“KY”の青年だ>>続きを読む
続編『Joker: Folie à Deux』まであと一年。。。
フランク・シナトラに「夜のストレンジャー」という楽曲がある。ドゥビドゥビドゥー♪のキャッチーなスキャット部分は、TV番組「マツコ会議>>続きを読む
個人的には次作『オアシス』と共に生涯忘れ難い作品。4Kで再会出来たのも嬉しかった。
逆再生される列車の映像。下車する駅は、もう取り返しのつかぬ人生の節目だ。
主人公ヨンホが兵役しているパート(19>>続きを読む
「デモするために大学入ったのか」
タクシー業務に支障をきたす学生デモに、マンソプ(ソン・ガンホ)が毒づくソウルでの前半部と、光州事件に対峙する後半部とのコントラストが凄まじい。いわゆるベタな前フリを、>>続きを読む
先日「ハント」を鑑賞して以来、朝鮮半島の70‘s~80’sを描いた映画が俄然気になりだした。
そこで本作、史実に基づくフィクションとされてはいるが、パンフレット等でもお馴染み、秋月教授の素晴らしいブロ>>続きを読む
すでに解散してしまったが、「キングオブコメディ」というお笑いコンビは改名の際、本作からコンビ名を拝借しており、その改名を促したのが、アンタッチャブル柴田であったというのが面白い。「アンタッチャブル」と>>続きを読む
成る程、イギリス人であるギャレス・エドワーズならではのストーリー・テリングであったと振り返る。アメリカ(西側諸国)×ニュー・エイジア、という対立舞台は、未来世界にトレースしたベトナム戦争、と受け取れな>>続きを読む
圧巻の206分。これぞ映画中の映画とひれ伏すしかない横綱相撲だった!
あっという間、というと嘘になるが、少なくとも「アイリッシュマン」よりは短く感じた。
原作を読み終えてから鑑賞する予定も、我慢なら>>続きを読む
主題やキャスト、ストーリーよりも、ロケーションを堪能するだけでオールライトな作品が私には時々存在する。
予告編からビビビと電波を受け取った本作はまさにそれで、唯一無二のムック"ワンダーJAPON"を>>続きを読む
予め2回観る予定でない限り、韓国近現代史の予習は必須の本作。所謂“スパイもの”にありがちな“敵か味方か”プロット、それに加え多数の登場人物がハイテンポで導入されるため、観る側の混乱は必死だ。
とはい>>続きを読む
実人生で絶対に関わり合いたくない最恐キャラは、ブレイキング・バッドのトゥコ(レイモンド・クルス)と、本作トミー(ジョー・ペシ)の二人だ。
いよいよスコセッシ最新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン>>続きを読む
雑誌 “BRUTUS” 1997年399号の日本映画特集(私のイチオシの日本映画です)で、アートディレクター信藤三雄氏が、本作を選出しているのが如何にもという感じがする。
90年代前半、ゴダールなどヌ>>続きを読む
タタタンタンタンタンタタタン‼
こんなにダサいのにこんなに愛おしいのはなぜだ?
許されるならずっとこのふたりを眺めていたい。
このたび「ヒッチコックの映画術」を監督したマーク・カズンズと、日本を代表するドキュメンタリー映画の巨匠、原一男との対談が公開された。一番興味深く感じたのは、「Holy Shit!(こりゃすげえ!)」の>>続きを読む
名著「定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー」(晶文社)をバイブルに後追いした90年代のヒッチ・ファンには堪らない一作だった。ヒッチコック自身(笑)が作品毎ではなく、「逃避」「欲望」「孤独」「時間」>>続きを読む
「イコライザーTHE FINAL」劇場鑑賞時、空席2つ挟んで座る年輩男女が早々に気になりだした。予告編からよく喋る、よく笑う、よく飲み食いする、とにかく騒がしいである。本編に入ってからも、女がグロシー>>続きを読む