茶一郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ(2021年製作の映画)

3.6

 弊動画に「pixivの映画化だった」というコメントを頂き笑ってしまいました。カーネイジの無駄使いを恐れずに、1作目でウケた主人公と相棒のイチャイチャの方を深堀するという、ある意味正しい続編だったのか>>続きを読む

真実の穴(2021年製作の映画)

2.8

 母親が交通事故から意識不明の重体に。主人公と弟を迎えに来たのは初めて出会う祖父・祖母を名乗る人物。彼らの実家(らしい)に行き……という『ヴィジット』的展開から開幕し、その実家の壁に空いた「穴」をめぐ>>続きを読む

パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

3.8

 イケてた「ゴーン・ガール」が極悪非道の後見人に悪魔進化して、身寄りのないお年寄りから財産をむさぼり食う(最低)。最低最悪な後見人VS凶悪なロシアンマフィアの「介護施設抗争」を描く『パーフェクト・ケア>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.0

 オードリー・ヘプバーンから始まり、ヒッチコック、アルジェント、ジャッロ映画を経由してどこに行くのか摩訶不思議な映画の旅。
 安心して「見て」いる観客を許さないスリラーであり、「見る」ことについての映
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ほんとうのピノッキオ(2019年製作の映画)

3.8

 ディズニーさんが精一杯かけてくれた魔法を解く悪夢版『ピノキオ』。本作は星に願えない。働いて貧困から抜け出せ!ピノキオ!
 マッテオ・ガローネによる「現実よりも現実」な、お伽話第二弾の本作は原作にあっ
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ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)

3.9

 カピバラが激かわ!ここまで「家の内側」にフォーカスしたファンタジーも珍しいのでは?「家の中」にも未知の世界と、まだ語られるべき物語がある。シンデレラが家の外のお城ではなく、義理の姉の心の中にこそ「魔>>続きを読む

ダーク・アンド・ウィケッド(2020年製作の映画)

4.1

 今年最も不気味な家族ホラー。とにかく暗い!ダーク!監督のブライアン・ベルティノは『ザ・モンスター』でも、モノクロに近い美しい闇使いをマスターしていましたがその発展版。スクリーンを支配する闇が何だか分>>続きを読む

THE GUILTY/ギルティ(2021年製作の映画)

3.6

 緊急通報指令室のオペレーター=主人公が受けた、ある通報が異常事態を巻き起こす全編「通報」オンリーの先の読めない会話劇。
 元のデンマーク版をほぼ完コピした結果、全編ジェイク・ギレンホールの顔面が映り
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マイルストーン(2020年製作の映画)

3.5

 トラックドライバーの貧困を70%ケン・ローチタッチで描く踊らないインド映画。踊れない腰痛と、自分の職を奪おうとする新人との関係性が映画を支配します。
 2020年東京フィルメックスのコンペ作がNet
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呪われた老人の館(2021年製作の映画)

3.4

 『バルカン超特急』×老化ホラーからジャンルの彼岸へ。主人公が不本意ながら入所した介護施設で不可解な死亡事故が起こり、自身は現実か夢か分からない悪夢に襲われる。
 ブラムハウスとAmazonのコラボシ
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MONOS 猿と呼ばれし者たち(2019年製作の映画)

4.3

 何て素晴らしいロケーションと美しい映像だ!と終始感嘆!8人の少年兵「猿」(モノス)を描く戦争サバイバル映画、間違いなく今年一番美しい戦争映画でした。
 『ジョニー・マッド・ドッグ』×『地獄の黙示録』
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

3.9

 真実を重ねるごとに着ている鎧がポロポロ落ちていく脱・騎士道物語に対し、真実の#metooすらも「英雄譚の始まり」に吸収されていく地獄。決闘シーンに心動かされる観客の声援すらも、家父長制・女性蔑視のブ>>続きを読む

キャンディマン(2021年製作の映画)

4.1

 リブートと言いながら、1作目を「現代」という鏡に写したアンサー的続編。異常なまでに1作目に対する鏡像関係を強調する映像と人種の設定にリブートを作る覚悟を感じます。
 中身はホラーというフィルターをほ
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ロン 僕のポンコツ・ボット(2021年製作の映画)

3.6

 ベイマックスの孫ロボットが主役の映画かと思ったら全然違った!友達の数がフォロワー数として可視化され、日常の光景はミーム化、炎上も当然ある。キッズ・ムービー版『her/世界でひとつの彼女』であり、SN>>続きを読む

ハロウィン KILLS(2021年製作の映画)

3.7

 伝説のスプラッタホラー『ハロウィン』(1978)へのアンサー作品、被害者/加害者逆転版としてリブートした『ハロウィン』(2018)の続編である本作『ハロウィン KILLS』は、発明的な切り口でシリー>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.6

 幸福なSF体験。モノリス3個分。『メッセージ』のばかうけ7年分。
 黒と白の絵具だけで描かれた宗教画のようなルックから始まり、一方で砂漠のスペクタクル映像が映ると、IMAXフルサイズの映像が観客を襲
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かそけきサンカヨウ(2021年製作の映画)

4.0

 少し早く大人にならないといけない子供の、大人/子供の真ん中の瞬間。友情/恋の丁度真ん中の瞬間。2つの曖昧だけど美しい瞬間を切り取る青春/恋愛/友情映画。
 「恋愛の曖昧な瞬間を切り取る」という意味で
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死霊館 悪魔のせいなら、無罪。(2021年製作の映画)

3.7

 毎作「エクソシスト」モノと特定の映画ジャンルを掛け合わせ、その世界観を広げる死霊館ユニバース7作目。
 本作のエクソシスト大喜利は『セブン』×「死霊館」(法廷劇じゃない!?) 的ウォーレン夫妻の大捜
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レミニセンス(2021年製作の映画)

3.4

 「もしもノーランが胸キュン恋愛映画を撮ったら」のような『フォロウィング』の頃のノーランを思わせるSF×フィルムノワール。
 したがって記憶潜入版『インセプション』でも、回想版『TENET テネット』
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スパイラル:ソウ オールリセット(2021年製作の映画)

3.2

 「ソウ」シリーズをタイトルの通りリセットしようという意欲作!本作からでもご参入問題ございません。(私も全作見ていますが、細かい記憶が曖昧なまま鑑賞)
 本作のマッチアップは、『セブン』風、刑事コンビ
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シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021年製作の映画)

4.1

 MCU史上最も役者の身体をリスペクトし、美しく描いた作品。そういった意味でも、香港アクション、武侠映画、ジャッキー・チェンリスペクトな一本。
 出自と世界を拒絶していた男がゆっくりと拳を開いて、それ
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

4.2

 アルコール依存の恐怖を描くアルコール地獄映画は数あれど、『アナザーラウンド』(大将!もう一杯)はアルコールの良し悪し、アルコールを軸とした人生の美しさを描く「アルコール天国と地獄」、週末を失わない。>>続きを読む

モンタナの目撃者(2021年製作の映画)

3.8

 アメリカの「土地」を主役に現代版西部劇を作り上げてきたテイラー・シェリダン監督のNEW主役はモンタナの「山林」!
 山火事+殺し屋2人 vs アンジェリーナ・ジョリーという間違い設定で、最高の銃撃戦
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鳩の撃退法(2021年製作の映画)

3.6

 1,000ページの小説版『8 1/2』的原作からエッセンスを抜き取り、お見事なエンタメ作にしていて今年一番驚いた脚色de賞。
 ある小説家の書く小説(虚構)と、それの基になったらしい実際の事件(現実
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オールド(2021年製作の映画)

3.7

 子供目線で「老化」の怖さを描いた『ヴィジット』の次のステップとして、そこに親目線での子供の老化=「成長」への怖さと戸惑いを加えたホラー版『トイ・ストーリー4』。子供という怪物「お前、もうこんなに大き>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.8

 左目から流れる目薬の涙と、右目から流れる演技の涙。死者(心霊)の声により演劇的空間になる車内。他者というモンスター、分からなさ。諦観からの「人は生きて死ぬだけ」。可愛いワンちゃん。自分好みの要素が詰>>続きを読む

ドント・ブリーズ2(2021年製作の映画)

3.5

 逆転版「ホーム・インベージョン」として画期的だった前作から、本作は普通のジャンルモノ。『暗くなるまで待って』オードリー最恐版という感じに仕上がっていました。
 ケレン味たっぷりのワンカット長回しで見
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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

4.2

 このご時世に「東映ヤクザ映画」「暴力映画」という狼を追い続けてくれる孤高のシリーズ。本作はオリジナルストーリーで、監督お気に入り『仁義なき戦い 広島死闘篇』×『仁義の墓場』を『悪魔を見た』で割ったよ>>続きを読む

レリック ー遺物ー(2020年製作の映画)

4.1

 (祖)母の失踪から始まる家族ホラーで、『ファーザー』の客観視点ホラー版として素晴らしい一本でした。
 クローネンバーグ的老化による人格・肉体変容の恐怖 × お屋敷ゴシックホラー × 清水崇監督的Jホ
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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

4.3

 悪趣味!不謹慎!お下品!アメリカというアンチ・ヒーロー物語から、まさかの真っ当なヒーロー譚に号泣しました。
 ディズニーから解放されたジェームズ・ガン監督が、治外法権から2億ドルの製作費でもってトロ
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フリー・ガイ(2021年製作の映画)

4.0

 「どうせ『トゥルーマン・ショー』×『レディ・プレイヤー1』だろう」とあぐらをかいて観ていたら、ライアン・レイノルズが狂気の男を演じ、メタギャグの連発に「これはライアン・レイノルズのコスプレをした『デ>>続きを読む

返校 言葉が消えた日(2019年製作の映画)

3.7

 台湾・白色時代下での相互監視社会の恐怖をホラー的に描く『非情城市』×『パンズ・ラビリンス』的一本。
 原作の傑作ゲームへのアンサーとしてストーリーを組み立てたNetflixドラマ版とは異なり、本作は
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サイダーのように言葉が湧き上がる(2020年製作の映画)

4.2

 最初に拝見させて頂いたのはコロナでこんなことになってしまう前の春で、そこから1回目の夏、2回目の夏(今年)ともう夏になる度に観たくなっている(実際観た)映画。毎年の「夏映画」ラインナップ入り必至。>>続きを読む

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.6

 号泣しながら困惑するという映画体験。号泣5回、困惑3回なのでベルの歌声に軍配。
 『ぼくらのウォーゲーム』と見せかけて実質『時をかける少女』のネット版『美女と野獣』割という具合に、かなり真っ当な少女
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ライトハウス(2019年製作の映画)

4.4

 スクリーンから漏れ出してるパワーが恐ろしい、凄まじい。
 孤島・灯台版『シャイニング』×2 とベルイマン『狼の時刻』『仮面/ペルソナ』とが悪魔合体した狂気の塊を、クトゥルフ、ギリシャ神話で割った映画
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空白(2021年製作の映画)

4.1

 ある交通事故と万引き疑惑を巡り、「正しさ」と「正しくなさ」の境の空白にて、もがく人を映す悲喜劇『空白』。

 吉田恵輔監督が突き詰めてきた人間関係のその間の曖昧さ、空白が本作で最高度に成熟し『スリー
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