茶一郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

漁港の肉子ちゃん(2021年製作の映画)

3.8

STUDIO 4℃の新作にして、『海獣の子供』の渡辺歩監督×キャラデザ小西賢一さんの新作!評判通り素晴らしかった!
最高の「肉」OPからヌメリヌメリと動く肉子ちゃんを筆頭に生き物の「生の美しさ」を気持
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Arc アーク(2021年製作の映画)

3.9

 SF作家の現行トップランナー、ケン・リュウの同名原作を、邦画化するという驚きの企画。そしてそれを成功させている驚き。
 石川慶監督、ドゥニ・ヴィルヌーヴの『灼熱の魂』を下敷きに長編デビュー作『愚行郎
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クリシャ(2015年製作の映画)

4.4

 パンデミック映画で家族地獄(『イット・カムズ・アット・ナイト』)、青春映画で家族地獄(『WAVES/ウェイブス』)を撮っている家族地獄映画の新騎手トレイ・エドワード・シュルツ監督の「原点にして頂点」>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

4.2

 普通の恋愛映画ではカットされる不器用な恋愛模様が、ずっと愛おしい。今泉力哉監督が傑作『サッドティー』に華麗に原点回帰した恋愛群像劇でした。
 ウディ・アレンにニューヨークがあったように、今泉監督には
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モンスターハンター(2019年製作の映画)

3.6

 「モンハン」の実写版かと思って観たら、とても景気の良いモンスター映画福袋で大変満足しました。
 人間がディアブロス亜種(ポスターのモンスター)の角にグサッと刺される冒頭で、観客に「これは人間が狩られ
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KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

4.0

 「独裁者の親友を暗殺するまで」を描くポリティカルサスペンスであり、『甘い人生』のイ・ビョンホンが15年に蘇ったかのような「組織という地獄」映画。モチーフはKCIA(KoreanのCIA)〜政府ですが>>続きを読む

ヒッチャー ニューマスター版(1986年製作の映画)

3.9

 大雨の日に「話し相手に」と偶然拾ったヒッチハイカーに殺人ストーキング、地獄のドライブを仕掛けられるスリラー。
 背景も心情も描かれない謎の殺人鬼を演じるルトガー・ハウアーの怪しい魅力。「お前ワープし
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Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

4.3

 「家父長制というホラー」系映画。画鋲を飲み込んだ時の痛みと、ハグと、背中に触れる手は感覚があるが、愛には感覚がないというこの地獄。

 主人公の視点=リビングにいると家の前の川のせいで家が孤立してい
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新感染半島 ファイナル・ステージ(2020年製作の映画)

3.8

 ゾンビだったらどれだけ車で轢いてもOK。悪い軍人ならどれだけ煽ってもOK。非常に景気良く『新感染』を午後のロードショーの傑作に昇華させてくれて、観ながらニッコニコでした。
 1作目の『ソウル・ステー
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罪の声(2020年製作の映画)

3.9

 現代版『砂の器』として、原作小説を映画にした翻訳が素晴らしすぎる。グリコ・森永事件をフィクション・ノンフィクション二方向から解き明かす、驚くべき同名原作の「ノンフィクション」の部分を完全に切り捨てて>>続きを読む

真・鮫島事件(2020年製作の映画)

3.6

「コロナウイルス≒鮫島事件」という理論にブッ飛んでしまった。
 Jホラーが熱かった2020年、まさかの隠し玉。ジェットコースタームービーとしても見事+「コロナ禍」を物語に上手く盛り込んだ作品として記録
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ノクターン(2020年製作の映画)

3.8

 『セッション』×『ローズマリーの赤ちゃん』という「(姉より)有名にならねば」という悪魔に呪われる家族地獄映画。ブラムハウスのアンソロジー作品「Welcome to the Blumhouse」前半の>>続きを読む

朝が来る(2020年製作の映画)

3.9

 特別養子縁組で子を迎える側と、子を送る側、2つの時点で描く『朝が来る』。
 『あん』以来の原作ありの河瀬作品で固い物語があるのですが、ビックリするほど「自然的なもの」の挿入があって、海に行った時より
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ディック・ロングはなぜ死んだのか?(2019年製作の映画)

3.5

【記録】不謹慎版『ハリーの災難』というか、死体で遊んでばっかりいるダニエルズの片割れが単独で監督を務めた映画。本作も一見、「死体が何故、生まれたか」についてのブラックな映画なのですが、根っこには、田舎>>続きを読む

ポゼッサー(2020年製作の映画)

3.7

 【記録】低予算『インセプション』で良いのに、お父さんの跡を追うように、それに『スキャナーズ』をかけちゃった。ただお父さんの「人間の体を信用していない感じ」とは全く違って、人体破壊が理性的でちょっと冷>>続きを読む

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

4.3

 ダサい・ダサくないとか、イケメンのために綺麗なドレスを着るだとか、本来彼女たちにとってはどうでも良かったお決まりを吹き飛ばす青春映画のエポックな一本に思いました。
 少なくとも青春の最後の輝きを描く
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アングスト/不安(1983年製作の映画)

4.1

 耳元で殺人鬼から理解不能な感情を囁かれながら、殺害の過程を見させられる気持ちの悪い映画。
 娯楽性0な過程のシーンも気持ち悪さMAXですが、殺人鬼から超自我が観客の耳元まで抜け飛んだような奇妙な俯瞰
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スパイの妻(2020年製作の映画)

4.0

 「結婚」というホラー。「夫婦」という戦争前夜。端正でスマートな一本で、職業監督としての黒沢清監督を思い出しながら「廃墟」や「フィルム」に熱くなる、黒沢清監督の足跡がしっかり残っている間口の広い黒沢清>>続きを読む

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ(2019年製作の映画)

4.1

 アメリカ版『パラサイト 半地下の家族』と雑にまとめてしまって良いのか。かつて住んでいた土地・建物を中産階級に奪われたアフリカ系の静かな復讐劇。
 「楽しく学べるジェントリフィケーション」とも言える、
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鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

4.4

 中国の北野武こと(勝手に呼んでいる)ディアオ・イーナンが、ウォン・カーウァイ、鈴木清順と悪魔合体した!これ誰が収集つけるんだ。

 実験的な編集、唐突な暴力、ウォン・カーウァイのネオンをベースに繰り
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悪魔はいつもそこに(2020年製作の映画)

3.8

 架空の田舎町を舞台にした、2世代にわたる地獄の「南部ゴシック」ベスト盤。腐敗した公権力…神父による性暴力…カルト信仰、後、悪魔崇拝が揃えば役満という地獄に無垢なトム・ホランドを放り出さないであげて。>>続きを読む

窮鼠はチーズの夢を見る(2020年製作の映画)

3.8

 小悪魔成田凌さんの『愛がなんだ』被害者バージョンというか、他人を愛せない男を中心にしたグルグル「地獄の恋愛」ベイブレード。
 行定勲監督、描くのは異性愛ばかりで、『リバーズ・エッジ』等々あくまで背景
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ドミノ 復讐の咆哮(2019年製作の映画)

3.3

80近くになってもデ・パルマはデ・パルマで安心しました。
『リダクテッド』に続くポスト9.11をデ・パルマが描くという事ですが、ISISを描くにしても清々しいほどの雑さで逆に爽快さを感じます。映画内
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アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

4.0

 GReeeeNの♪キセキが聞こえない、キラキラ青春の影に生きる若者を描く「キラキラ青春映画」という。『桐島、部活やめるってよ』的に言えば、ドラフトを待つ資格すらないすみっコたちを、とっても瑞々しく美>>続きを読む

劇場(2020年製作の映画)

4.0

 演技怪物、松岡茉優さんの存在感に色々な涙が溢れる作品で、原作の恋愛地獄味が濃縮されていて最高でした。
 演劇という人生、「演劇」は何でもできたはずだったのに…という、どうしようもなかった過去の恋愛の
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ランボー ラスト・ブラッド(2019年製作の映画)

4.1

 自宅でお手軽に「ベトナム戦争」を再現するランボーの暴力地獄めぐり。祖国という家を失ったベトナム帰還兵のランボー、ようやく家に帰れて良かったね!な『~最後の戦場』だった訳ですが、そんなランボーも本作で>>続きを読む

カメラを止めるな!リモート大作戦!(2020年製作の映画)

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 絶賛「映画館離れ」中の自分にとって非常に尊い作品。『ハリウッド大作戦』のような『カメラを止めるな!』の単なるファンムービーに終わらず、「モノ作り=映画の面白さ」になっているTHE 上田慎一郎作品に感>>続きを読む

ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)

3.6

 普通のスプラッターで真っ先に殺されそうなチャラ女性だって成長できるという、その過程を見せつけられる不良女性更生メタスプラッター映画『ハッピー・デス・デイ』。
 「時をかけるビッチ」という2019年ベ
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スケアリーストーリーズ 怖い本(2019年製作の映画)

3.9

 超絶キモバケモノ版『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』といった具合で最高。密かに推していた『トロール・ハンター』のアンドレ・ウーヴレダル監督が、ギレルモ・デル・トロ監督とが悪魔合体し『パン>>続きを読む

アサシネーション・ネーション(2018年製作の映画)

4.1

 セイラム魔女裁判をSNS・学校に置き換え、女性集団アクションのフィルターを通したバッドガールズモノの快作。『バーズ・オブ・プレイ』より個人的にはコッチ!
 新時代のダーレン・アロノフスキーことサム・
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犬鳴村(2020年製作の映画)

3.8

 『呪怨』清水崇監督と都市伝説大ネタ「犬鳴村」の衝突。「バケモンにはバケモンをぶつけるんだよ」理論で非常に景気が良い『犬鳴村』。特に中盤までは最近のJホラーの中ではピカ一に思える、バリエーション豊富な>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.0

 撮影・編集、頑張ったで大賞で見ても歴史上TOP10には入る頑張りっぷり(そんな賞はない)。
 『突撃』の塹壕歩行シーンをなぞったと思ったら、美しすぎるドリーショット風池渡りで度肝を抜き、窓からカメラ
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.3

 カイロ・レンは結局壊したマスクを直されたけど、この『ナイブズ・アウト』では壊したままHOUSEを手に入れるから素敵。
 世界の『スター・ウォーズ』ファン半分に嫌われたライアン・ジョンソン監督の新作は
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リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

4.0

 イーストウッドの「『普通に』タスク処理をした人=ヒーロー」シリーズ最新作の『リチャード・ジュエル』は、まさかの「普通の」英雄的行為をしたらヴィランに仕立て上げられてしまう型サスペンスです。
 
 昨
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.2

 たとえ正しくないファンタジーでもそれを大人が守ってあげる。何と優しい映画なのか『ジョジョ・ラビット』。
 加害者版『ライフ・イズ・ビューティフル』として、人生は絶望が最後ではないと教えてくれる、やっ
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ハスラーズ(2019年製作の映画)

4.1

 女性ストリッパーがイケ好かないウォール街の男共から金をブン獲る。
 タフでラフな『オーシャンズ8』が本作であり、主犯のモノローグで語られる爽快スピーディーなルックは被害者逆転版『ウルフ・オブ・ウォー
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