上Kさんの映画レビュー・感想・評価

上K

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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

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時間に対する並々ならぬ意識をかなり煮詰めて70分にまとめたようだった。

現実の時間は連続的で直線的だけど、人間の中を流れる(人間が意識する)時間は断片的で、記憶は印象の強さとかでも平気で前後が入れ替
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

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映像の綺麗さによって空虚さを際立たせ、上映時間のコンパクトさによってだらだら続く日々の退屈さを際立たせるような、なんというか、映画を見る人が映画に対して抱く期待を鮮やかに弄んだような作品だと思った。>>続きを読む

愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)

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見てる時はただ展開を追っていた気がするのに、今となっては解釈が広がり続けている。解釈が完了する気配もない。

人生の残酷さに言及することから始まった映画だけど、圧巻のラストから逆算するようにそれぞれの
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.3

映画を超える現実や現実を超える映画に立ち会った経験は多くの人にあるものだと思うけど、それは現実が思っている以上にフィクションに支えられているからだろうか。「記憶」や「名前」は当たり前に現実世界で語られ>>続きを読む

ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

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社会との闘い、権力との闘い、時代との闘い、運命との闘いなどなど。濃縮された人生の闘いをじっくり見せつけられて苦しかった。誰が誰と闘ってるのかはもはや定かでは無いんだけど、ざわめきながら闘う姿が心苦しく>>続きを読む

幻の光(1995年製作の映画)

4.2

自分にとっての「良い映画」のど真ん中だったな。喪失と向き合う姿は映画のテーマになりがちだけど、特に深い部分に触れていたと思う。喪失を抱えた人間と空間が響き合って美しさを作っているんだと思えたから。>>続きを読む

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

4.4

映る全てに共感して全てに突き放されたような感覚というか、説明しようとすると説明できない部分の方にむしろ目がいく
なんだったんだろう、あの時間は

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.8

見終わった直後は価値を測りかねていたのが正直なところ。(最近エル・スールを見たのもあって、余計なこと考えたのがまずかったかもしれない)

でも改めて振り返ると、お父さんの言動はあくまでソフィの想像で補
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エル・スール(1982年製作の映画)

4.5

最後に食事をして、部屋を出ながら振り返ってお父さんを見るときのシーン。あの一枚絵が脳にバーンと衝撃が走ったように焼きついていて、思い出すだけで心がざわついて、ややもすれば泣きそうになってしまう。

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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

主人公と周りとのストーリーに夢中にさせておきながら、ラストにかけて、ね。あー全部壊しちゃった、と思った。まあ、そうある方がマシだと思うけど。ハッピーエンドでバッドエンドのような。

やはり「力」を適切
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枯れ葉(2023年製作の映画)

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家でご飯食べる約束してからホラッパが帰ってしまうまでの一連の流れがありえないくらい綺麗に感じた。
この映画を見るときの感動は庭園を眺めているときに通ずる。感動している自分がちょっと好きになるような感覚
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

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もちろんこの家族は極端だけど、程度はさて置き、似たような状況は驚くほど色々な場で起こっていると思われる。締め付けられて反動が酷くなっちゃったような人は何人も浮かぶ。別に悪い人でもない。

人はただ支配
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ラジオ・デイズ(1987年製作の映画)

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いいな、作るの楽しかったろうな。でも作りながらちょっと泣いたりもしたのかな

サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

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やっぱり好き。
特に夢のシーンはふざけて作ってると思うけど、劇中にあった実生活の夫婦問題はそこまで深刻ではないってことの現れだとしたら強か。あと、風景に溶け込ませると個人個人の問題が小さくなるって感覚
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お茶漬の味(1952年製作の映画)

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1人で通った部屋を2人で戻ってくる時のなんとも言えない情緒がやたらと印象に残っている。
素朴への憧れってどこからくるんだろうか。おつゆっていいよね

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.9

綺麗に撮ってしまえば何だって「パーフェクトデイズ」だろうけど、そうではなかった。映ったものを最大限にリスペクトしようという姿勢は最高だった。

パーフェクトな日常を描いた映画というより、この日常を「パ
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デュエリスト/決闘者(1977年製作の映画)

4.0

学びが多い。見た時は一応シリアスな心持ちで臨んだけど、振り返るたびにちょっと笑っちゃう。

「1人の男と命懸けで何度も闘った」という聞こえの良い事実と、あの冷め具合。たまたま再開したし、闘っとく?みた
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ナポレオン(2023年製作の映画)

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ナポレオンのとんでもない実績に対しても、結局は切り取り方一つで、功績と人間性に必然的な結びつきはないのだ、という視座を(やはり)感じた。むしろ出来事の無根拠さを強調するような。最後に死者数だけ強調して>>続きを読む

軽蔑 60周年4Kレストア版(1963年製作の映画)

4.3

素晴らしかったと思う。上映直後のトイレで鏡見たら自分の顔がこわばり過ぎてて驚いた。

会話の全てが嘘で、全てが真実のようだった。場面場面で「こうすべきだった」というのは挙げたらキリがないけど、そんな細
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暗殺の森(1970年製作の映画)

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存在意義を求めすぎたせいで存在意義を失うって…。何とかならないもんかね。過去や異国の地が見ての通り美しすぎるのも酷な話で、それでも間違いを自認しながら突き進むしかなかったという。

散々自分を縛ったせ
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8 1/2(1963年製作の映画)

4.9

繰り返し服用するように見てしまうので、自分がこの映画を好きなことには宿命を感じる。最初はよく分からん映画だと思ったのに…。

どうやってラストに至ったか、グイド本人も分からないんだろうけど、切実さを積
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アンダーグラウンド 4K デジタルリマスター版(1995年製作の映画)

4.2

放心状態

戦争があれど、みんな確かに生きていた。でもその力強さはどこに向かうのか。この行き場のなさはやはり戦争のせいなのかもしれず、やるせなさを感じた。

ただ、行き場が分かって生きてる人ってどれほ
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愛、アムール(2012年製作の映画)

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散々悩んだ挙句、この映画は愛のひとつの形だと思った。そう思う事に決めた。

劇中の言動を正しいと判断したのではなく、リアリティとは別次元の、自分の中の美学の問題として。

うなぎ(1997年製作の映画)

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何しても無自覚に他人を傷つけたり、本人にとっての苦悩でさえ他人からは贅沢に見えてしまう。柄本明さんが数珠で殴ってるシーンは象徴的だと思った。

そんな抜き差しならない傷つけ合いの悪循環の中で、傷つけて
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君は行く先を知らない(2021年製作の映画)

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人間の情緒って面白いよね。名も知らぬ男性と泣きながら映画館を出た。

やっぱりイラン行ってみたい。あんな綺麗なところあるのか。

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