olnさんの映画レビュー・感想・評価

oln

oln

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.0

帰結:素晴らしいが、驚きに欠ける
ジャンル:ミクロとマクロのメタ認知

なんだか偉そうな言い回しになってしまいますが、本作は鑑賞時点で、鑑賞者がどういったステージに立っているのかによって、評価が変わる
>>続きを読む

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

【Goodポイント】
◾️フジさんとハルちゃんのツーショットシーンでの電車使い
高架下で聞こえる普通電車の通過音。
フジさんの鼓動に寄り添うように、快速電車が通過していく。
そして、電車の扉が閉まるシ
>>続きを読む

歩いても 歩いても(2007年製作の映画)

4.0

【歩いても歩いても小舟のようにわたしはゆれて】
ジャンル:家族ホラー

家族とは、一番近くにいる他者なのです。ずっと一緒にいるから理解しているつもりになりますが、他者はあくまでも他者ですから、全てを理
>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.3

【ヘイルポーーーーール!】
ジャンル:SFで学ぶ思想設計

とんでもない映像を見せられ、とんでもない音声表現を喰らわされたという第一印象。没入しすぎて途中から気にも留めていませんでしたが、全編IMAX
>>続きを読む

14歳の栞(2021年製作の映画)

3.5

【春にはじまり、春にまたねを繰り返す】
ジャンル:中2の私の備忘録

どこにでもありそうで、2つとない、ありふれた中学2年生の1つのクラスを切り取ったドキュメンタリー作品です。
35人の中学生、14歳
>>続きを読む

コットンテール(2022年製作の映画)

3.5

【ありがとうと、ごめんと、これからのこと】
ジャンル:家族に成るということ

なくしたものが大きければ大きいほど、心は空虚になって、自分が自分ではないように思えます。
懐古する兼三郎は、決して言葉数が
>>続きを読む

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

【独りではないのだから一緒に生きよう】
ジャンル:御涙頂戴

杉咲花は、とても上手にキナコちゃんを体現していました。時に空虚な雰囲気を纏い、時に悲壮感に溢れ、時に満たされていて、立ち居振る舞いだけで彼
>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.5

【真実とは誰かを信じると決めること】
ジャンル:法廷もの

先にお断りしておきますと、個人的に法廷ものは苦手です。予告編の雰囲気から、主軸はミステリーなのだろうと勝手な想定をしていたのですが、早々と近
>>続きを読む

ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

3.2

【幸せめがけてキックオフ!】
ジャンル:スポコンぽんこつ成長譚

この題材でタイカ・ワイティティが監督をするならばと、コメディ要素マシマシのコッテコテ二郎系映画を期待したのですが、設定のわりには大人し
>>続きを読む

犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.8

【ラブリーマブリーアングリー】
ジャンル:マ・ドンソク劇場

マブリーが人を殴る映画です。
以上。

さて、もはやレビューの90%を書いてしまいました。
劇中、そんな狭い空間で長物を使うなよというツッ
>>続きを読む

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.7

【真実は闇の中】
ジャンル:ナメてたアイツが実は・・・

トリックが分かった瞬間、いびきや、音に反応したのだと理解していたシーンがフラッシュバックし、成程と膝をうちます。そこからあれよあれよと、手に汗
>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.5

【全人生で一番、展開を予想することが無駄な映画だったよ】
ジャンル:アリ・アスターの、コント『こんな人生は嫌だ』

何故、展開を予想することが無駄かって?誰も想像できないくらい変な映画だからさ。HA
>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.5

【無理なく、怪我なく、安全に】
ジャンル:義務教育推奨案件

きっと、義務教育でも教わったのだと思う。男女の身体は違うのだと。そこまでは覚えている。それによって何が起きて、どういった対応が必要なのかも
>>続きを読む

彼方のうた(2023年製作の映画)

3.0

【ごめんなさい、むずかしかったので日記を書きます】
ジャンル:シネマ教、悟りへの道

エンドロールが流れ始め、私は首を傾げた。時を同じくして、目の前にジッと鎮座していたアッシュグレーの頭髪が、私と同じ
>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

3.8

【人生は選択の連続】
ジャンル:墓穴を掘る毒親

今から振り返れば、両親には感謝していますが、子供の頃は不平不満を胸の内に秘めていたものです。本作では、そういった誰しも多かれ少なかれ感じたことがあるよ
>>続きを読む

ヴィーガンズ・ハム(2021年製作の映画)

3.8

【食らえ人間】
ジャンル:SDGsのススメ

食肉店を営んでいると、ヴィーガンに襲撃されることは日常茶飯事ですから、相容れない思想がぶつかったとき、それはもう戦争しかありません。しかし、戦争により生じ
>>続きを読む

劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス(2014年製作の映画)

3.0

【ムーミン is ゾミア】
ジャンル:ゾミア伝説

簡単なストーリーを紹介しましょう。
難破船から必要物資を巻き上げたムーミン一家は、憧れの地へ渡航、豪遊し、その地の生態系を破壊し帰郷するのでした。
>>続きを読む

緑の夜(2023年製作の映画)

2.8

【同じ痛みを抱えた者は共鳴する】
ジャンル:痛みの共感・痛みの共有

予告編から大好きな作品であろうと確信し、鑑賞前にパンフレットをゲットし、準備万端テンションアゲの状態で臨んだところ、やりたいことは
>>続きを読む

ミツバチと私(2023年製作の映画)

4.2

【名のない不安は心の負担】
ジャンル:ジェンダーアイデンティティ

悩みのレイヤーや重大性は異なりますが、私も「母の胎内に居るときに何か起きたのだろうか」と不安になり、私のような感覚の人にも名称がある
>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.8

【人とは何か、何を以て其の人か】
ジャンル:真理の探求

とんでもない角度の設定から出発する物語なので、どこへ行き着くことやら終始翻弄されます。幼児の知能に大人の身体を持たせたとき、確かにそのように至
>>続きを読む

アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

3.0

【さらばDCEU、さらばモモアマン】
ジャンル:家族愛の物語

DCEU作品もこれで見納め。良き思い出は少ないシリーズでしたが、”ジャスティスリーグ:ザック・スナイダーカット”にはぶちのめされ、似たよ
>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

2.5

【愛は与えるもの、鮭の皮のように】
ジャンル:バックレメガネ戦記

歌唱の上手い下手を超え、声に個人の感情が宿ることでバイブス爆発が起こり、決して美しいとは言えない歌声に心が震えることがあります。本作
>>続きを読む

エクスペンダブルズ ニューブラッド(2023年製作の映画)

3.8

【社長退任に伴う事業継承や如何に】
ジャンル:組織論のメタ認知その4

1作目では事業説明会、2作目では新卒採用、3作目ではマネジメントについて描かれてきた本シリーズが遂に完結。4作目の公開を目前に、
>>続きを読む

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

3.5

【成功は視野を狭める】
ジャンル:引籠りが俺tueeeした話

人は成功体験をすると、その成功をソースに同じパターンで次の課題に取り組みます。本作では、利己的な合理判断と、ある種の無謀さで成功体験を得
>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

3.5

【記憶は曖昧で都合がいい】
ジャンル:倦怠夫婦モノ with 認知症

地元を離れ、両親二人の生活をさせている私にとって、とても心に来るものがある作品でした。本作の夫は、おそらく誰しも心当たりがありそ
>>続きを読む

エクスペンダブルズ3 ワールドミッション(2014年製作の映画)

3.0

【組織には若手もベテランも必要】
ジャンル:組織論のメタ認知

エクスペンダブルズ2以降、本シリーズを鑑賞するとビジネスの話に見えてしまいますので、今回もそのような切り口で『適当なこと』を書いていきま
>>続きを読む

サンクスギビング(2023年製作の映画)

3.0

【マッドアメリカ 怒りの半額セール】
ジャンル:予告編詐欺

予告編から受けていた期待値を満たす冒頭数分間、私は「こんなクソ映画を待っていたぜ」と歓喜しましたが、なんと糠床のゆるいこと。that's
>>続きを読む

ジャッジ 裁かれる判事(2014年製作の映画)

3.8

【身勝手な思いは素知らぬ顔をしてすれ違う】
ジャンル:法廷アンジャッシュ

絶対に自らチョイスしないタイプの作品ですが、いつもお世話になっている美容師さんからの激推しで観てみました。

『世界』とは、
>>続きを読む

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

4.2

【この手を握って、ずっと離さないで】
ジャンル:おててつないで Fallin’ HELL

『ちゃんと怖い』これに尽きる作品でした。
近年、怖いと評された作品を鑑賞しても、どうやって撮ったのだろうだと
>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

【続く日々、音楽は寄り添う】
ジャンル:日常系ループモノ

当たり前だと思っている日々は、毎日ほんの少しずつ違っていて、同じ日なんて一度だってない。同じ時間に起きて、同じルーティーンで、同じ職場へ向か
>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.8

【夏、それは淡く弾けたソーダ、大人への寄り道、赤く火照った日々】
ジャンル:多くを語らない古き良き回顧録

最近も”市子”の鑑賞中に思ったのですが、公開時期と季節が正反対になる現象について、本当に勘弁
>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.1

【現実とフィクションは交錯する】
ジャンル:ウェス・アンダーソン

「経営者ほどフィクションを読むべきだ」という話を聞いた記憶があります。一般的な感覚からすると、「いやいや、現実を理解していないと、ま
>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

3.5

【ここにいない君がいない】
ジャンル:え、おまえ誰やねーん

学生時代に普通に居たのに、社会人になるとパッタリ連絡を取らなくなって、気づいたら今どこで何をしているのかさえ誰も知らない人っていますよね。
>>続きを読む

ポエトリー アグネスの詩(うた)(2010年製作の映画)

3.0

【忘れたくない感情は言葉になる】
ジャンル:病気の老人と犯罪

実際に起こった強姦事件から着想を得た作品とのことで、現実世界でこんなことがあったのかと思うと胸が痛みます。
私は九割五分アセクシャル・九
>>続きを読む

シークレット・サンシャイン 4K レストア(2007年製作の映画)

3.0

【神とはコミュニティのルールを効率的にコンテクスト化したもの】
ジャンル:信じるかどうかは貴方次第です

配信に無い作品のため、やっと鑑賞できて感無量なのですが、どうしたって気になることがあったので、
>>続きを読む

TIME/タイム(2011年製作の映画)

3.2

【Time is Moneyの鼠小僧に候う】
ジャンル:ハリウッド版KABUKI

在る処に、大層貧しき若者在りにけり。父を早くに亡くし、身寄りは母のみ。宵越しの富も無く、日銭稼ぎのその日暮らし。最愛
>>続きを読む

>|