うめまつさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

うめまつ

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TOVE/トーベ(2020年製作の映画)

3.4

ムーミンファンは全員トゥーリッキが出てくるシーンで腰抜かしたと思うけど、もれなく私も抜かした。何となくムーミン要素少なめなんだろうな〜とは思ってたので構成に不満はないし、トーベをやたら持ち上げたりする>>続きを読む

ストリート・オブ・クロコダイル(1986年製作の映画)

4.2

想像通り不気味でダーク。そして一等寂しい。この世の終焉にさえ取り残された深い深い地下室で繰り広げられてる物語みたい。乾き切った灰色の空間に突如現れる臓物、を包んで湿る薄紙。懐中時計の中に閉じ込められた>>続きを読む

ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋(1984年製作の映画)

4.4

想像の10倍ファンシーでポップ!不穏カワイイという新ジャンル。これならEテレでも放送できるしぜひクエイ兄弟には『みんなのうた』のMVを撮って欲しい。怖いと美しいが共存する事を幼少期に学べたら芸術教育に>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

4.4

ねぇお母さん、私今日『はちどり』ってゆう映画を観たんだよ。主人公の14歳のウニちゃんはね、親友も彼氏も慕われてる後輩も大好きな塾の先生も居るんだけど、学校にはあんまり馴染めなくて、お父さんは厳しくて、>>続きを読む

川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

4.0

ノー白米ノーライフ。松ケンはいつも私を安心させてくれる。この演技は嘘じゃないんだと信じさせてくれる。もっと上手い人も存在感のある人も居るだろうけど、まるで炊き立てのごはんのように素直でピカピカであった>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.8

こんなに精巧丹念に作られた《俺の美意識100満点》の画面に、よく無粋極まりない字幕が入ることを許しましたねダーソン監督。。字幕なしで見れないことをこれほど申し訳なく思ったことはない。もう情報量が多すぎ>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.4

とにかく終始こっぱずかしくて空いてる穴をさらに掘って3年は冬眠してムーミンになって目覚めたい気分だった。では面白くなかったか、というとそうでもないのが複雑なところ。でも時間が経つにつれ嫌なところばかり>>続きを読む

デヴィッド・ボウイ 最初の5年間(2019年製作の映画)

3.4

律儀なミーハーの為ムーンエイジの復習②
初恋のバレリーナ曰く出会った頃のボウイは「21歳なのに8歳に見えた」らしいんだけど、あのお顔立ちでそれは流石に可愛過ぎるし罪深過ぎるので即保護した。初期の頃凡ゆ
>>続きを読む

デヴィッド・ボウイ 最後の5年間(2017年製作の映画)

3.4

真面目なミーハーの為ムーンエイジの復習①
『最初の5年間』とセットでとても親切なTHEドキュメンタリーで、ムーンエイジのガイドとして観るのに最適だった。関係者が「私たちの大好きなボウイ」を嬉しそうに語
>>続きを読む

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

4.4

愛に飢え居場所を探す寂しそうな子供の顔と、神の遣いとして地球に舞い降りた天使の顔と、アートに取り憑かれた妖艶な悪魔の顔が行き来する。周りにはいつも音楽が鳴り華やかな色彩にも囲まれているのに、彼自身は常>>続きを読む

なぜ君は総理大臣になれないのか(2020年製作の映画)

3.8

『エルピス』があまりに面白くて、でも現実の日本はドラマ以上に地獄である事を悉く実感して、かと言って今すぐ自分がどうにか出来る訳でもないので藁を掴むような気持ちで観た。

その期待通り小川氏は実直を絵に
>>続きを読む

君も出世ができる(1964年製作の映画)

4.4

開始1分で目が釘付け。ずんぐりむっくり体型(失礼)のフランキー堺が、謎のキレ味と奇妙な愛嬌で歌い踊りながら出世を目指す、底抜けに明るいミュージカル。高度経済成長期の日本の有り余るエネルギーがこれでもか>>続きを読む

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

4.0

愛すべき無駄話とチーズハンバーガーと変な友情とミルクシェイクとツイストと日本刀と血飛沫とブルーベリーパンケーキと脳の残骸で出来ている、世にも無用な物語。何の栄養も摂れないけどついつい食べちゃう魅惑のジ>>続きを読む

三月のライオン デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

3.8

90年代のひんやりとざらついた空気がそのまま真空パックされていて、始まった瞬間タイムスリップしたような気持ちになった。レンタルビデオ屋さんでタイトルとジャケットだけを頼りに借りた映画を毎週見ていた10>>続きを読む

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)

4.6

見始めてしまったことを数分で後悔したくらい、ずっとずっとずっと辛いシーンが続くのに、どうしても目を逸らす事はできなかった。人間をこれほどまでに残酷な生き物に出来る戦争って何なんだ。「神の采配だ」とあの>>続きを読む

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.8

魂というものがあるとするなら、その誰にも触れられてない柔肌を撫でられているような感覚だった。映画としてもとても好きだけれど、インスタレーションアートを鑑賞しているような心地でもあった。お茶の葉も朝露も>>続きを読む

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

3.4

マーベルだと思ってたのに、いつのまにかゴシックゾンビホラーになったので私も途中で時空移動しちゃったかな?って不安になった。鑑賞後に監督を知って納得したけど、そういう大事な事はタイトル末尾に〜サムライミ>>続きを読む

ドクター・ストレンジ(2016年製作の映画)

3.4

アベンジャーズもマルチバース(はまだか)も門外漢だけどカンバーバッチ目当てなので割と楽しめた。これも天才だけど性格が複雑骨折してる役なのね。大体高慢で嫌な奴か精神を病んでるか酷い目に遭うかそうでなけれ>>続きを読む

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

4.8

この映画は鑑賞者の力を信じている。誰の目線でもない視点、言語化されない心象風景、本心が何重にも包まれた台詞、深層心理を見せない登場人物達。演技で撮影で音楽で全てを物語ろうとしている。あぁそうだ。これが>>続きを読む

ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ(2021年製作の映画)

4.0

猫×カンバーバッチ×画家だなんて「私この作品オーダーメイドしたかしら?」と勘違いするくらい観る前から好きだったけど、2時間かけて一番思い知らされるのは『版権(著作権)は大事』ということ。描いても描いて>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.0

飢えた狼と不機嫌な猫と寂しそうな子犬の間を行ったり来たりしている、岸井ゆきのちゃんのお顔があまりにも雄弁なので、ケイコが発声していない事が全然気にならない。そもそも台詞が少なく劇伴もなかったけど、寧ろ>>続きを読む

青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)

4.6

扉という概念はないのかな?というくらい開放的で、日差しと風を養分にして呼吸しているようなベトナムの邸宅。もはや内と外の境目すら曖昧で、庭の緑やそこに集う生き物達とごく自然に共生している。光も風も命もそ>>続きを読む

ダニエル(2019年製作の映画)

2.0

たまには守備範囲外のものを行き当たりばったりで観てみるか、と思いまんまと撃沈。シュワちゃんの息子さんが《妖しくも美しい僕だけの親友》という、設定だけで二次創作が捗りそうなイマジナリーフレンドの役なのだ>>続きを読む

キングスマン:ゴールデン・サークル(2017年製作の映画)

3.4

ご都合主義でいいから、JBよ瓦礫の下から出て来ておくれ。。と祈ったが、本作においてそんな甘い願いは叶うはずもなく虚しく雨に流された。別にずっと英国舞台でもいいのに、アメリカンとかウエスタンとかエルトン>>続きを読む

キングスマン(2015年製作の映画)

3.8

英国紳士大好きなのにグロ耐性が無さ過ぎて回避してたけど、こんなマイフェアレディinトンチキバイオレンススパイコメディ(長い)だったとは。身体が真っ二つに割れたり首がぼんぼん飛んだりしてたけど、ギャグっ>>続きを読む

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

3.6

冒頭から終幕までピンと張りつめた弦が通っているような緊張感があった。目も耳も存分に満たされたし、とても美しく完成度の高い映画だと思う。ただその『作品』としての額縁が最初から決まっていて、そこに物語を合>>続きを読む

5つ数えれば君の夢(2014年製作の映画)

3.0

主要登場人物全員が代わる代わるに胸焼けしそうなくらいポエジーな台詞を吐き続けるのに「ちょっとごめん何言ってるかわかんない」と誰も会話の途中で水を差さないことに鬱憤が溜まり続ける。そのくどくて甘ったるい>>続きを読む

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

3.6

小川洋子の小説を読んでいるみたい。物語が似ているというよりは流れている空気が近いように感じる。ひんやりと乾いていて其処彼処に哀しみが隠れている。その哀しみの在処に気付いた時、あまりにも苦しくて息が詰ま>>続きを読む

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

3.8

前半はほぼずっと不穏な空気が支配しているのだけど、それは《主人公が次に誰を食べてしまうのか》という恐怖なのだ。捕食者と被食者両側の視線で映画を観る、という感覚が新鮮だった。ガラステーブルの下に寝転ぶ姿>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

4.4

最高かよ。私も極限まで鍛えたら、虎にも負けない身体を持ち、橋の上から子供をスカイダイビング救出し、ナートゥダンスで意中の人を射止め、毒蛇に噛まれても驚異的に回復し、鋼のローズウィップ処刑にも屈さず、民>>続きを読む

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

4.2

今を生きる全ての女性たちよ。凡ゆる差別や冷遇や恐怖に耐え忍び、今日まで何とか生き延びて来たことをお互いにそっと讃え合おうぞ。。という気持ちになった。それくらい女にとってまだまだこの世は地獄で、藻がくの>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

2.4

ミュージカル映画なのにライブシーンにノれないのが致命的過ぎる。森山未來やアヴちゃん本人が妖艶な着物姿でパフォーマンスしてたら、本人の魅力も相まってもうちょっと見られたかもしれないけど(お二人のレコーデ>>続きを読む

アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング(2018年製作の映画)

3.6

元気しか出ない。私もこれから毎朝鏡に向かって「私は勇敢!私はブロンド!私はデキる女!」と呪文をかけようと思った。もちろん容姿なんてどうでもいいなんて思ったことは1秒たりともないし、この映画を観た後もや>>続きを読む

マシュー・ボーン・シネマ「くるみ割り人形!」(2022年製作の映画)

4.4

ファンキーでポップな真冬の夜の夢。ナットクラッカーが実寸化してクローゼットから出てくるシーンの衝撃たるや!その不気味さに第六天魔王でも降りて来たのかと思った。さらに被り物を脱ぎ捨てて第三形態になった時>>続きを読む

JUNK HEAD(2017年製作の映画)

4.0

グロいカワイイグロいカワイイグロいグロいグロいカワイイで101分がぎゅぎゅぎゅと針も通せないほど隙間なく構成されており、全く先の読めないRPG的な冒険も、ジャンクディストピアな世界観も、少年ジャンプ級>>続きを読む

ウェイトレス 〜おいしい人生のつくりかた(2006年製作の映画)

4.2

終始モラハラDV束縛旦那に殺意を抱き続けながら、妊婦(主人公)と産婦人科医の不倫を見続けるという、最低と最悪をドロドロに煮詰めた濃厚カラメルソースのような設定なのに、不思議なほど後味は爽やか。まず主人>>続きを読む