うめまつさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

うめまつ

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別れる決心(2022年製作の映画)

3.2

私の両の目はこの映画の解像度に適したレンズではないのであるな。。という印象。これまで沢山映画を観てきて、本作含めその殆どは縁遠い話なのに、自分にとって「必要な物語」と「不必要な物語」は一体どこで分けら>>続きを読む

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

3.6

ポップで陽気でキラキラした『THE☆青春ムービー』な導入部にすっかり気持ちが寛いだ頃、いきなり血生臭い現実がどかどかと押し入って来て四方を取り囲まれてからようやく気付かされる。これは戦争映画だったんだ>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.6

まさかここへ来てスラムダンクの新作映画にワクワクできるなんて「生きてるとうっかり良いこともあるもんだなぁ」って0.1秒くらい思えたから、まずは井上先生、これまで命を削って漫画を描き続けてくれて、さらに>>続きを読む

ロマンスドール(2019年製作の映画)

3.8

あまりに大きな喪失に遭った時、周りの音は消え失せる。季節とか気温とか昼夜とか時間とか社会とか倫理とか自分の皮膚一枚隔てた外側の声は一切聴こえなくなる。内側では断ち切られた過去がもう掴めない未来に手を伸>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

3.4

寝室のシーンに内心「キターーーー!!」って興奮したから、私の黒沢清偏差値もなかなかのものだと思った。蒼井優ちゃんと高橋一生という最愛キャストで、ちゃんとキヨシクロサワにも開眼してるはずなのに、ハマりき>>続きを読む

恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)

3.6

前半あまりにもフィル(ビルマーレイ)が傲慢で嫌な奴なので、ラブシーンとかも嫌悪感しかなくてジト目で見てしまった。後半改心してくれたあたりからようやく平常心を取り戻せた。半年以上をかけて《毎日同じ日を繰>>続きを読む

1秒先の彼女(2020年製作の映画)

3.4

ロマンチックとホラーは紙一重案件。可愛いラブコメであることは間違いないけど、あのヒロインを想ってる男の子がバスの痴漢おじさんの容貌だったらかなり厳しいよな。。と思いながら見ていた。(元も子もない見方)>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.6

これまでにアニメや映画や小説で何度も触れてきた若草物語。四姉妹の性格も趣味も特徴も関係性も全部知ってるし、主要なエピソードも殆ど覚えてた。なのに、なのに、なんて新鮮な気分なんだろう。メグもジョーもベス>>続きを読む

戦場のメリークリスマス 4K 修復版(1983年製作の映画)

5.0

ミラクル奇天烈薔薇色キャストが織りなす戦争という名の狂った日常。その干涸びた荒地にひっそりと咲く花は、憧憬のような友愛のような恋慕のような複雑な顔をしている。

麗しのボウイ様が映る度にあまりに鮮烈に
>>続きを読む

8年越しの花嫁 奇跡の実話(2017年製作の映画)

3.4

生まれてこのかた自分の存在に疑問を抱いたことないくせに(←偏見)、どうしてそんなに不器用に笑えるの健。。美男美女の難病もので、さらにタイトルに《花嫁・奇跡・実話》なんて付いちゃうと心のシャッターが勢い>>続きを読む

オルジャスの白い馬(2019年製作の映画)

4.2

気をぬくと「猫かわいい」しか言えなくなる『こねこ西部劇』だった。そして森山未來がまさかのカザフスタン人役という衝撃。ネイティヴに近いのかはわからないけど台詞も流暢に聞こえたし、もう風貌からしてカザフス>>続きを読む

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

4.4

このアンニュイで気障で浮世離れした登場人物達は何について語り、何を思いながら煙草を燻らせ、何に泣きながら林檎を齧り、何を願いながらくるくると回っているのか私には皆目わからなかったが、印象としては《超哲>>続きを読む

オデッセイ(2015年製作の映画)

3.6

宇宙兄弟読んでたらSF欲を満たしたくなって観た。やっぱり最後に身を助けるのは農業なんですね。。とか、あぁ頭良くなってNASA語を理解したいなぁとか、ジェシカ様かっこいーとか色々あったけど、どんな設定や>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.8

不謹慎極まりないけど『リアル戦場ゲーム〜ボーナスは英国紳士〜』をしているような2時間だった。隅々まで配慮された親切な作りで、その継ぎ目のない滑らかな編集や美しさや切なさまでもが整頓された演出は大変見心>>続きを読む

Love Letter(1995年製作の映画)

4.8

ミミミミミポリンキレイイイイイ!!で始まってミミミミミポリンカワイイイイイ!!で終わる素晴らしい映画。画面に映るだけで人を幸せにできる能力を女優(優れた女)と呼ぶ。見ている間、ずっと押されてなかったツ>>続きを読む

ラストレター(2020年製作の映画)

3.4

私もそろそろ岩井俊二への拗らせた初恋を過去に葬らなくてはならないんだと悟った。あんなに美しく芳しく吸い込んだ途端身体中をキラキラで満たしてくれる澄みきった毒にはもう二度と絶対に出会えないから、ずっと何>>続きを読む

翔んで埼玉(2018年製作の映画)

3.2

『生まれた時から植え付けられた偏見を一瞬で覆せるもの、それは恋!』という素敵な話だった。二階堂ふみちゃんの役がオスカル設定(男として育てられた女の子)だとばかり思ってたので、普通に男の子で拍子抜けした>>続きを読む

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)

4.2

ジュディが「あなた」と歌う時、それはいつもジュディ自身のことのように聴こえた。失われた子供時代の自分。ドロシーを演じなかった自分。母親としての自分。娘としての自分。特別じゃなくても愛される自分。フラン>>続きを読む

イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり(2019年製作の映画)

3.8

大画面で空飛ぶエディが見れるだけで満足人間なので、期待してなかった分バルーンパニックとしてかなり楽しんだ。私なら間違いなく離陸から20分辺りで死んでるなってくらいの、高いよ怖いよ寒いよの大冒険インザス>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

3.8

とことんリアルなのに何処かファンタジーのような不思議な映画だった。生々しい感情は見えるのにそれを抱える人物の質量は感じないというか、ずっしり重いはずなのに浮いているような感覚から『ピレネーの城』を思い>>続きを読む

名もなき生涯(2019年製作の映画)

4.2

人間が持つことの出来る最も美しいものは、艶めく髪でもきめ細かい肌でも鍛え上げられた肉体でもなく、その内側に宿る魂だということを証明するような映画だった。高潔という言葉はフランツの為にあると思った。どん>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.6

愛おしい。この踊り出したいような髪をくしゃくしゃに撫でたいようなギュッとした気持ちを、ミント色の箱に入れてワイン色のリボンをかけて誰かに贈りたい。もちろん蝶々結びでね。観ている間心の中では、好き、大好>>続きを読む

ムーミン谷とウィンターワンダーランド(2017年製作の映画)

4.2

冬眠っていいなぁ。ゆっくりたっぷり眠るために何日も前からせっせと準備をして、キノコを採り、ジャムを作って、隅々まで掃除をし、たらふく食べて、部屋をあったかくして、時計を止めて、お日様にお別れを言ってベ>>続きを読む

くるみ割り人形と秘密の王国(2018年製作の映画)

3.2

話に集中できないくらいフォイたん(©︎ピッコロさん)のお顔が完成されすぎててちょっと怖い。美は強すぎると圧力になるの見本。クララってせいぜい14歳くらいまでだよね、という意識で見てたからフォイたんが大>>続きを読む

LORO 欲望のイタリア(2018年製作の映画)

3.8

人生のように先が見えなくて長い長い160分だった。今は一生のうちのどの辺なんだろうとぼんやり思う時、当然ながら過ぎていった距離しか測れないのでいつも迷子だ。20歳の女の子も70歳のお爺さんも一生という>>続きを読む

アパートの鍵貸します(1960年製作の映画)

3.8

流石名作と言わんばかりに全秒みっちり面白いんだけど、部下のアパートをホテル代わりに利用しといて1ミリも罪悪感のない性根の腐った重役じじい達(←誇張してない)に水面下でずーっと腹が立ち続ける。清々しいく>>続きを読む

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)

4.2

怒りは単純なようでいて最も複雑な感情なのかもしれない。こちらの一言が相手の中に燻っている何に火を付けるかわからない。怒りの底には失った喜びや癒えない悲しみや吐き出せない苦しみや煮詰まった悔しさが渦巻い>>続きを読む

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)

4.0

なんて気持良い世界なんだ!嫌なところがひとっつもない。全ての不純物は洗い流され、生まれたての光を浴びてキラキラと輝いている。中でも屈指の反射率を誇る小松菜奈はもはや呼吸する宝石だった。綺麗で可愛いくて>>続きを読む

焼肉ドラゴン(2018年製作の映画)

3.6

なんて暑苦しい世界なんだ!真っ赤な火鍋にぶち込んだようなグツグツ煮える家族愛。熱い辛い無理と文句を言いながら見てたら、汗の代わりに最後は泪が滲んでた。こんなに騒々しくて短気で毎日がぶつかり稽古みたいな>>続きを読む

I am Sam アイ・アム・サム(2001年製作の映画)

4.0

この映画を初めて観た時、私はスターバックスもセブンイレブンもピザハットも知らなかったというどうでも良い事実にびっくりし、未だに地元にそれらが全部ないことにも愕然とした。そしてダコタファニングの賢者の瞳>>続きを読む

マシュー・ボーン IN CINEMA 白鳥の湖(2019年製作の映画)

5.0

新しい扉を開けてしまった。もう見る前の自分には戻れない。スクリーンに釘付けになりながら、このまま時が止まればいいのにと思った。優雅で獰猛で妖艶で気高い鷹のような鋭さと豹のようなしなやかさを併せ持つ白鳥>>続きを読む

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

5.0

この映画に会えて本当に良かった。嬉しくて嬉しくて言葉にできないから今日はオフコース日和。撮影が神がかってるとか、音楽が格好良いとか、演出が冴えてるとか、台詞の旨味が凄いとか、配役が絶妙とか、クレジット>>続きを読む

億男(2018年製作の映画)

2.0

ハイヒールでシャンパン飲む高橋一生はなかなか見応えあったなぁ。『アンダーグラウンド』のオマージュですよね。わかります。でも冴えないヨレヨレの佐藤健には、そんな恵まれた顔に生まれたラッキースタート人生を>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.0

長い長い綱渡りのダンス。怒りと妄執と葬いと再生と祈りのダンス。さぁ悪夢と手を取り合って、冷たい床を忘れる為に爪先が擦り切れるまで踊り続けよう。血で滴る足跡が私の生きた証になる。寂しくて寂しくて寂しくて>>続きを読む

チワワちゃん(2018年製作の映画)

3.6

私がこれまでに触れたことのない感触と纏ったことのない色彩と浴びたことのない光線と酒と煙草と男と女とプールと音楽と練乳とセックスとSNSでこの映画の全部が出来ていて、くるくる回るベッドで飛び跳ねるのに6>>続きを読む