言いたいことは充分伝わってくる。もしも自分が学生のときに観ていたら違った感想を抱くとも思う。だが、石井監督の過去の作品の残像がどうしても拭いきれなかった。それを、監督の作風と呼べばいいのかどうかはよく>>続きを読む
多角的で美しいランドスケープ。表現と学術を組み合わせるドキュメンタリーが海外の監督はみな上手いと思う。日本人の作るドキュメンタリーでは、その部分で、表現というか情感に傾向し過ぎている気がする。
アナログなものは愛情の対象になるけれど、物を失うデジタルなものは今後どうなるだろう。デジタル時代のレトロ感は収集に向かない。それもどこか悲しい。
全般的にエンタメに括っていいと思う。クライマックスに向けてのアクセルの踏み方や、顔に力のある俳優が多くて見応えがあった。
いま僕たちの船はどこへ向かっているのだろう。世界における日本人の現在地に、もっとも敏感に反応しているのが空族だと言える。日本を離れ、タイに夢を見る。だが、ユートピアはどこにもない。この現実を直視しなけ>>続きを読む
五感の何かを欠落することは、他の感覚を敏感にするものなのか。彼らの剥き出しになった情熱を受け止めたとき、私たちが感覚において、どれだけ盲目なのかがわかる。
撮影監督の才能がアピチャッポン監督を偉大な存在にしていることがよくわかる。この撮影監督が参加したミゲル・ゴメス監督の「アラビアン・ナイト」の公開が待ち遠しい。
暗闇に響く虎の咆哮。古来より深い森は幻想と恐怖を生んできたのだろう。アピチャッポン監督はこの作品に限らず人間の本能的な部分を想起させる。