Kinaponzさんの映画レビュー・感想・評価

Kinaponz

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アップグレード(2018年製作の映画)

3.8


すぐそこにある未来。

昨夜にひきつづき、
リー・ワネル監督、脚本作品。

いかにもかくやあらん、という遠くない未来。

AIの万能性と希望、
及びその反転としての恐怖と絶望。

デジタルとアナログ
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透明人間(2019年製作の映画)

3.3


『ソウ』シリーズを手がけたリー・ワネルが
 監督、脚本ということで鑑賞しました。

前半、姿を見せずに忍び寄る気配と、
姿が見えないのに明らかな悪意が
サスペンスフルに描かれていて、

惹き込まれま
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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

3.7


既成の善と悪に塗れていない

“ 無垢 ” の鋭利な残酷さ。

” 無垢 ” と云うのは

長所や美徳の謂いなどではない。

鞘のない剥きだしの抜き身に似て

その煌めきに誘われて
近づくものの生命
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愛と宿命の泉 PART I /フロレット家のジャン(1986年製作の映画)

4.1


『愛と宿命の泉』(1986) / 2部作 4Kレストア版

「フロレット家のジャン」(122分)
「泉のマノン」(114分)


新年(令和4年 / 2022 ) 初投稿です。

新年第1作は、19
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バニラ・スカイ(2001年製作の映画)

4.0



トム・クルーズが『オープン・ユア・アイズ』を
甚く気にいって、自らハリウッドでの映画化権を獲得し
リメイクした作品です。

舞台をニューヨークに移し
トムが演じた主人公の生い立ちや
社会的背景に膨
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オープン・ユア・アイズ(1997年製作の映画)

4.0


先取的でありながらも
普遍的なテーマを扱った作品。

先見性に満ちた難題を手がたくまとめて
かつ示唆に富む意味深な会話で
物語を牽引する優れた脚本。

ペネロペ・クルスの
その年ごろならではのまばゆ
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エンゼル・ハート(1987年製作の映画)

3.3


1987年 (昭和62年) 夏
日比谷のスカラ座で観て以来、34年ぶりの再観です。

昨年春のコロナ禍以降、
ぽつぽつ思い出したように映画を日常に取り戻して来ましたが、

そうなるずっと以前から、こ
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ギルダ(1946年製作の映画)

-


今夜の月はやけに大きくて

  望月とはまさに、

 いま懸かっている月のことを云うのでしょうね。

       *************

『マルホランド・ドライブ』で
 ルース叔母の家に飾ら
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バウンド(1996年製作の映画)

3.8



町山智浩さんが『マルホランド・ドライブ』には
本作の影響も見られる、とツイートされているのを目にして
これは観ておかねば、と鑑賞しました。


観客を作品世界に招じ入れるオープニング・タイトル
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何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)

-


『マルホランド・ドライブ』でナオミ・ワッツが演じている
ベティの叔母の名前がルースということで

本作のジェーンを演じるベティ・デイヴィスの本名
ルース・エリザベス(ベティ)・デイヴィスにちなんで、
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サンセット大通り(1950年製作の映画)

-



いわずとしれた不朽の名作。
いまさら何を付け加えることがあろう。

一分の隙がなく
皮肉やエスプリがよく効いていてぐうの音しか出ない。



けれどもただ一点蛇足したく、本作は

大時代的な世界に
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マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)

4.3


リンチ作品の中で、
いちばん回数を観ている作品が
『マルホランド・ドライブ』かもしれません。

ネット上には色とりどりの解釈、解説があふれかえっていて

それらを見ていると、多くの人たちが
本作の虜
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パリ、テキサス(1984年製作の映画)

4.1



色彩と音楽と言葉を
巧みに組み合わせて

5人の家族それぞれの心理の襞に
カメラは静かに分け入っていきます。

揺れ動くこころに寄り添いながら、
穏やかに人物を捉えるその描写は

どこまでも静謐で
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ストレイト・ストーリー(1999年製作の映画)

4.1


『ロスト・ハイウェイ』(1997) につづくリンチ監督作品。


久しぶりに

人の善意や好意が
しみじみとしみわたる映画体験をしました。


シンプルなストーリー。

主人公のアルヴィン (73)
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ロスト・ハイウェイ(1997年製作の映画)

3.7


「ツイン・ピークス / ローラ・パーマー 最期の7日間」につづく
 デヴィッド・リンチ監督5年ぶりの作品。



メビウスの輪に継ぎ目があるとするなら

“ Dick Laurent is dead
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Twin Peaks: The Missing Pieces(原題)(2014年製作の映画)

4.0



劇場公開版は、
陰陽でいうところの
陰に特化した編集になっていましたが

削除シーンをまとめた本作には

公開版には登場しなかったツイン・ピークスおなじみの面々が
済々と描かれていました。

つま
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ショーガール(1995年製作の映画)

3.4



鑑賞後にいくつかの映画サイトを渉猟してみたら

本作が
おもしろ半分の解説や嘲笑的な批判に長くさらされて
散々虚仮にされてきたことを知りました。


その主な原因は、やはり性的な描写にまつわるもの
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ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間(1992年製作の映画)

4.0



TVドラマでは、
赤い部屋のシーンでしか
生きて動くローラは見られなかった。

あったのはローラの写真と関係者の証言だけだった。

にもかかわらず、
ローラは紛れもなくツイン・ピークスに在りつづけ
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マローボーン家の掟(2017年製作の映画)

3.5



雰囲気に惹かれて鑑賞しました。

まだご覧になっていない方は
ぜひ予備知識なしで観ていただきたい作品です。



公式サイトには “マローボーン家の掟” として五つ掲げられており
それらを破ると何
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ヒドゥン(1987年製作の映画)

3.3


『ツイン・ピークス』を現在鑑賞中で
カイル・マクラクランつながりで鑑賞しました。

仏の第16回アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭
グランプリ受賞作とのことです。

かの淀川長治さんも本作を高
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ANNA/アナ(2019年製作の映画)

3.4


昨年6月に日本公開された
リュック・ベッソン監督作品を鑑賞しました。

久方ぶりのリュック・ベッソン節
相変わらず健在でした。


小気味よい展開に明快なストーリー。

ここのところ、もつれた糸をほ
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ポランスキーの 欲望の館(1972年製作の映画)

3.2



ドラマティックな筋立てがある訳ではないので
本邦において劇場公開のないままソフト化のみに終わったのは

いかにもありうべきことと察せられます。


邦題も、
内容にマッチしている部分がなくはないと
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ワイルド・アット・ハート(1990年製作の映画)

3.3


『ツイン・ピークス』の第1シーズンと第2シーズンの
 間隙を縫うように公開された作品。


『オズの魔法使い』の翻案とも、
『ラブ・ミー・テンダー』を敷衍して再現、

 結晶化した作品とも云えようか
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チャイナタウン(1974年製作の映画)

3.8



依頼人の仕事を引き受けて調査を開始したとき

ジェイク・ギテス(ジャック•ニコルソン) が手にしていた競馬新聞に
大きく扱われていたのはアメリカの名馬シービスケットでした。

その僅か数秒のショ
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ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)

3.7


『反撥』からの命脈を保ち
『赤い航路』『ナインスゲート』へとつづく分岐点
 とも云うべきあやしき写真。


ローズマリー (ミア•ファロー) は
装いも挙措も可憐で険のないヒロイン。

そんな彼女が
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ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)

3.4


ラストがまったく意想外で、
新たな問いが筆者の中に巣くうことに。

ネコの行方を心配し、
未明にキャットフードを
いとわず買い求めに出たり

同じフロアの半裸で過ごしている女性たちにも
色眼鏡で見ず
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ビッグ・リボウスキ(1998年製作の映画)

3.3


『インヒアレント・ヴァイス』つながりで
 本作をチョイスしてみたのですが、

 ひ弱な筆者には、物騒な連中の物騒なやりとりは
 今回ばかりはちとこたえました。

 血の気が多くてエナジーが有り余って
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インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

3.8


およそ2時間半、
長いと云えば長いのだが長さが苦にならない。

私立探偵のドク(ホアキン•フェニックス) を訪れる依頼人はひきもきらない。
その依頼のために、関連する場所や人をドクもまた足繁く訪ねる
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袋小路(1965年製作の映画)

3.2


なんといってもジョージを演じている
ドナルド・プレザンスの滑稽な挙動が目につきます。

不安や動揺、戸惑いや苛つきなどの内面を
全身で表現しているさまはいかにも珍妙で

嗤いを誘わずにはいない一方、
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オルフェ(1950年製作の映画)

-



この世界観、たまりません。

作品を鑑賞中、どういうわけか
泉鏡花のことが浮かんできました。

どの作品と云うわけではありませんが。

また読み直したい。

『オルフェ』も何度でも

 観ることが
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反撥(1964年製作の映画)

4.1


キャロル(カトリーヌ•ドヌーヴ) の逸脱は
謂われのないことでは決してない。


ラストシーンでクローズアップされる写真の中の
幼いキャロルが呪詛するように見つめるその先の人物は

父、或いは親
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翔んだカップル オリジナル版(1982年製作の映画)

3.7


高校に入学したばかりの勇介 (鶴見辰吾)と圭 (薬師丸ひろ子) 。

ひょんなことから

東京での新生活をともに一つ屋根の下で
スタートさせることになった二人の

半年余りの歩みを活写しています。
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π(1997年製作の映画)

3.6


期せずして非凡な人間と化してしまったマックス。

数に関する非凡な才を手に入れた一方
激しい頭痛、幻覚、痙攣、昏睡等の変調に悩まされている。


数に魅入られて、次第に数に追いつめられていくマックス
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イレブン・ミニッツ(2015年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます


17:11/11/07/2014

ある出来事が起こります。

私たちの日常にも時に訪れる
死傷者何名、何十名という事故や事件、惨事の類です。

この映画は、ある悲惨な出来事が
何故その場所で、その
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水の中のナイフ(1962年製作の映画)

-


書き出しの一文で心を奪われる作品は
まず間違いなく名作と決まっているが

映画の出だしでも同じことが云えよう。

オープニングがいい。

音楽もまた。



プジョーの狭い車内に窮屈げに接している夫
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