うらぬすさんの映画レビュー・感想・評価 - 45ページ目

残された者-北の極地-(2018年製作の映画)

3.7

守るべき存在ができたとき、この男の意識はただ漫然と生き延びることから能動的に生きることへ変化したのかもしれない。

人生スイッチ(2014年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

スコアは3.9だけど、全然期待してなかったのに結構面白かったからスコア以上の満足感がある。最初の飛行機を墜落させて復讐する話と、ふたりの男がしょーもない諍いで爆死を遂げる話と、ハッピーウエディングの話>>続きを読む

ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)

3.4

ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオ若っ!!となるのに、ジョン・C・ライリーは今とあんまり変わらなくて笑ってしまった(失礼)

あさがくるまえに(2016年製作の映画)

3.8

詩的で胸を打つ。臓器移植の手術は厳かで神聖な儀式のようだった。
残酷なくらい綺麗な音楽は誰かと思ったらまたアレクサンドル・デスプラか。本当にすごいなこの人は。

プレシャス(2009年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

毒親、性的虐待、貧困、未成年出産、教育格差、HIVととにかく深刻な問題の詰め合わせ。話の筋だけを追うと気分が沈んでしまいそうなところを、空想的な映像、軽快な挿入歌、EOTOの愉快な(というには少々癖の>>続きを読む

ル・コルビュジエの家(2009年製作の映画)

3.6

スノッブで八方美人気味なレオナルドと、豪快でどこか憎めないビクトルの窓をめぐる応酬がなんともシュールで、苦笑いを誘われる。映像自体もわりと独創的だし、この監督には確かな才能の閃きを感じる。すごく気に入>>続きを読む

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(2016年製作の映画)

2.9

残念ながら面白くなかった……。しかもリアルタイムでDCEU作品を追えるようにと思って悪評を承知で観たのに、ワンダーウーマン以降はMCUのようにはあまり作品同士の繋がりが重視されていないと知って余計がっ>>続きを読む

キル・リスト(2011年製作の映画)

3.5

う〜〜ん? 1回観ただけじゃ理解しきれないけど序盤から伏線らしきものが散りばめられてることは分かった。でもこの手の題材は好き。……という浅すぎなレビューしか書けない。

毛皮のヴィーナス(2013年製作の映画)

3.8

元々フランス語の(というかロマンス諸語の)響きはあまり好みじゃないんだけど、日本語吹替で観たらたとえ声優がどんなに上手くてもきっと台無しになると確信するくらい、作品の雰囲気と言語が完璧に調和してた。も>>続きを読む

リアリズムの宿(2003年製作の映画)

3.3

少なくとも自分にとっては想像しうる最悪の旅行だけど、ふたりは妙に適応能力が高いのか器が大きいのか、あれこれ言いつつも楽しめてる風で笑える。
てかこのジャケット画像、右上に値段のシール貼ったままスキャン
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ペーパー・ムーン(1973年製作の映画)

3.6

アカデミー助演女優賞の最年少受賞者であることを知った上で観たから先入観は大いにあるけど、テータム・オニールはなかなか堂に入った演技を披露している、と思う。

ぼくたちのチーム(2016年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ネッドがこれまで見たことないくらい鮮やかな赤毛ですごい、と思って調べたら、赤毛はアイルランドには比較的多いとのこと。
ジョックとナードがお互いの間にある無限に深い溝をどうにかして埋めていくだけの話かと
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預言者(2009年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

文字通り底辺から這い上がっていく骨太な下剋上ストーリーでそこそこ面白かったんだけど、ついこの間観た『君と歩く世界』ほどには映像面での遊び心があまりない、というかむしろストイックな感じだった。鹿を轢くシ>>続きを読む

ゆれる人魚(2015年製作の映画)

4.2

ミュージカルあり、ラブロマンスあり、ゴア描写あり、全体的にゴテゴテした装飾が目立ちもはや毒々しくすらある。そこに更にオルタナティヴ・ロックのようなポップ・フォークのような歌曲(歌詞がまた示唆に富んでい>>続きを読む

夜が明けるまで(2017年製作の映画)

3.5

人生の冬を「冬だから仕方ない」と孤独に寒さを耐え忍ぶのもそれはそれで悪くはないと思うけど、身と心を寄せ合う相手がいるならそれも素敵なことかもしれない。

ピアニスト(2001年製作の映画)

3.4

どこか無機質で冷え冷えとした印象が強い映像に、性のグロテスクな側面を強調するストーリーの組み合わせが底知れぬ不気味さを湛える。格調高く響くクラシック音楽が余計に気味の悪さを増幅させてて、露悪的というの>>続きを読む

君はひとりじゃない(2015年製作の映画)

3.0

挑戦的でアートな趣強めの作風、かつ面白みを見出すのに苦労するという意味で、自分の中では『複製された男』『嗤う分身』あたりと同じ分類。

LOOPER/ルーパー(2012年製作の映画)

3.7

劇中で「タイムトラベルの話は面倒だからするな」みたいな台詞があったけど、そうは言ってもねえ、という気持ち。 まあでも粗を見逃す寛大な姿勢をとれば、複雑に入り組んだ物語をスタイリッシュかつ大胆な映像で魅>>続きを読む

スターリンの葬送狂騒曲(2017年製作の映画)

3.6

ユーモアを真に理解して笑うためには教養が必要なのは言うまでもなく、つまり自分には教養がきっとまだ不足しているということ。それでも権力争いに必死なおじさんたちの姿はひどく滑稽。スターリンの日頃の行いが避>>続きを読む

鉄コン筋クリート(2006年製作の映画)

3.6

街の描き込みがエグい。どれだけの労力が費やされたんだろう。もはや街そのものが主人公と言っても良いかもしれない。
蒼井優はちょくちょくアニメ映画で声優を務める印象があるけど、この作品が(たぶん)声優デビ
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未来よ こんにちは(2016年製作の映画)

4.2

イザベル・ユペールが好きなら満足できるし、そうじゃないならきっと彼女のことが好きになる。知的で複雑で自主独立の精神があって、オーラのある女性を演じさせたら右に出る者はいないんじゃないかというくらい。つ>>続きを読む

ラッカは静かに虐殺されている(2017年製作の映画)

3.8

あまりにむごくて直視するのがつらい。
ISILがメディア戦略を重視していることはかつて報道で見聞きしていたけど、同じくメディアを利用して彼らに対抗する人々がいたとは。でも相手が強大すぎて、こちらが何か
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ザ・レポート(2019年製作の映画)

3.9

"THE TORTURE REPORT"の"TORTURE"(拷問)を塗り潰すことで、CIAの隠蔽工作を痛烈に皮肉ってて面白い。会話劇中心のうえに、みんな早口だし専門用語も飛び交うしで大変。でもアメリ>>続きを読む

スロウ・ウエスト(2015年製作の映画)

4.1

恋の甘き夢想を追ってスコットランドからやって来た貴族の息子という、およそ西部劇には似つかわしくない主人公のキャラが妙味を生んでいる。マイケル・ファスベンダー演じる賞金稼ぎもなかなか粋で格好良く(これま>>続きを読む

君と歩く世界(2012年製作の映画)

4.5

肉体が傷付き心が砕け、やがて遠回りをしながら癒え、また痛みに襲われ。得体の知れない人生という代物の正体は、その限りなき繰り返しなのかもしれない。Rust and Bone(錆と骨)というおそろしく恰好>>続きを読む

殯の森(2007年製作の映画)

3.5

茶畑の遠景の匂い立つような濃い緑色。老人を多く抱えたグループホームの周りを、生命の静かだけど大きなうねりを強く感じさせる景色が取り囲んでいる構図は、情緒があるけど同時にどこかギョッとさせられる。物語が>>続きを読む

ソラリス(2002年製作の映画)

3.2

むしろ原作を読んだことがない方が楽しめるのかも。そうだけどそうじゃないでしょと思ってしまうな……。タルコフスキー版の方が好き。

パス・オーバー(2018年製作の映画)

3.4

演劇作品の映画化というより、演劇の公演をそのまま撮ったかのような斬新なスタイル。この監督の映画は『ブラック・クランズマン』と『インサイドマン』しか観たことなくて、どちらも純粋に面白いエンタメ(としても>>続きを読む

トランスフォーマー(2007年製作の映画)

2.6

幼い頃スーパー戦隊シリーズの玩具で遊んでた人や、今もなおロボットやメカに憧れを抱く少年のような心の持ち主じゃないと楽しめないのでは? ハナから修業のつもりで観た自分も悪いけどさ。

ザ・マミー(2017年製作の映画)

3.9

映画のポスターの煽り文句は全く信用ならないということを示す典型例。どう考えてもホラーではない。が、なるほど確かにギレルモ・デル・トロが好きそう。暗いおとぎ話のような幻想と惨憺たる現実の見事な融合。南米>>続きを読む

白いリボン(2009年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

自分は基本モノクロというだけで「うーん……」と思ってしまう人種。そのうえ好奇心や美的感覚を刺激してやまない映像・物語が展開されるわけでもない(あくまで自分にとっては、という意味)のに、なぜか画面から目>>続きを読む

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

4.2

多少衒学的なきらいはあるものの、心地良いエスプリの効き具合。哲学や芸術からの引用の数々もそうだし、交わすメッセージも日本語訳の字幕じゃなくて英語の原文を読んでみるとすごく洗練されてて思わず唸ってしまう>>続きを読む

ザ・リトル・ストレンジャー(2018年製作の映画)

3.4

『お嬢さん』の原作著者の作品を『ルーム』の監督が映画化、と聞けばいやがうえにも期待が高まるというものだけど、いまひとつ物語に推進力とインパクトが足りていないように思う。いかにもゴシックな陰鬱で湿っぽい>>続きを読む

42〜世界を変えた男〜(2013年製作の映画)

3.9

良く言えば手堅く、悪く言えば無難で古風な作り。でも野球に対する個人的な関心が人生で最も高まっている今、たぶん平時よりずっと興味深く鑑賞できた。この手の映画は、人も社会も世界も確かに善い方向に変わってい>>続きを読む