アニマル泉さんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

アニマル泉

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男と女 人生最良の日々(2019年製作の映画)

4.2

何度も振り出しに戻る双六のような映画だ。ジャン=ルイ・トランティニアン、アヌーク・エーメ、二人の子役が 53年ぶりに同じ役で出演したその後の「男と女」。トランティニアンは認知症で養老院にいる。思い出す>>続きを読む

テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2018年製作の映画)

4.5

テリー・ギリアムの「8 1/2」だ。夢と魔術と祝祭。巨大装置とカトリック世界と狂乱。トリックスター。フェリーニ的な宇宙が繰り広げられる。ドン・キホーテのCM撮影が難航しているなか、監督のアダム・ドライ>>続きを読む

男はつらいよ お帰り 寅さん(2019年製作の映画)

5.0

渥美清は不世出の存在である。あらゆるマドンナを受け止めて輝かせるとてつもない存在だ。寅さんがいる回想場面がみんな活きいきしている。運動会とメロンの場面は本当に可笑しい。浅丘ルリ子、倍賞千恵子が美しい。>>続きを読む

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

4.2

レイ3部作の完結編。IMAX 3Dで鑑賞。
剣やライトセーバーが重要な騎士の物語。血統をめぐる物語。フォース、感じることの物語。どこか東洋的な世界観。これらは第1作から変わらない。そして勇気、友情、共
>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

5.0

スコルセッシの「タクシードライバー」以来の衝撃の傑作。トラヴィスを思い出した。ポン・ジュノの人物造形が見事だ。愚かでどうしようもない人間を逞しく愛おしく描く。悲劇的な状況にも一切めげない唖然とする前向>>続きを読む

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

4.5

90歳間近のイーストウッドが「フィルムノワールのように撮った」という最新作。実話の爆破事件を描くのだが、これはイーストウッドが描いた究極のホームドラマだ。ホームドラマとはいえ、母と息子二人の極限のホー>>続きを読む

ラストレター(2020年製作の映画)

4.2

岩井俊二の新作。自らの「Love Letter」と「四月物語」を足したような集大成。しかしこれでは困る。画面を切り裂く凄みがない。岩井俊二は数少ない世界に通用する監督なのだから、もっと勝負して欲しい。>>続きを読む

モガンボ(1953年製作の映画)

5.0

映画の神様からの至福のプレゼント!巨匠フォードがクラーク・ゲイブル、エヴァ・ガードナー、グレース・ケリーを軽快に演出した大人の映画だ。ルビッチもホークスも顔負けの粋な仕上がりである。エヴァ・ガードナー>>続きを読む

わたしのSEX白書 絶頂度(1976年製作の映画)

4.0

ヒロインの仕事が採血というのがいかにも面白い。蓮実重彦は吸血鬼の映画と評したが、本作は「血液と精液」の映画だ。曽根中生らしくグチャグチャな人間のどうしようもなさを愛おしく描く。「吸う」ことにこだわる口>>続きを読む

リオ・グランデの砦(1950年製作の映画)

5.0

雄大なメニュメントバレーを切り裂いて馬が疾走する。蓮實重彦が「ジョン・フォード論」(文學界2月号)で喝破してるように本作は見事な馬の映画である。ネイティブ・アメリカンとの戦闘場面の疾走は圧倒的だし、裸>>続きを読む

去年マリエンバートで(1961年製作の映画)

4.5

「去年など誰も存在しないと思っていたのに、いつのまにか去年が蔓延している」ロブ=グリエの言葉に立つならば本作はホラー映画として楽しむのが正解かもしれない。とにかく何も判らない。登場人物の名前、関係、場>>続きを読む

アニエスによるヴァルダ(2019年製作の映画)

4.0

ヴァルダ自身による自作の解説。遺作である。大切なのは「ひらめき」「創造」「共有」ドキュメンタリーにだんだん傾きながら創造的なパフォーマンスを生涯追い求めた。そのエネルギッシュなパワーに圧倒される。ヴァ>>続きを読む

ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)

4.0

南仏の漁村ラ・ポワント・クールトを舞台にしたヴァルダの処女作。密漁の取り締まりと、夫の不倫で離婚の危機にある夫婦の二つの物語で構成されている。密漁のくだりはドキュメンタリー風に描かれる。まず冒頭の洗濯>>続きを読む

ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

4.0

ヴァルダが育児中に自宅があるダゲール街の50メートル以内だけで撮ったハートフルなドキュメンタリー。ふだんから馴染みの人々を撮っているのでそれぞれがみせる顔がいい。ヴァルダのナレーションで進み、主人公は>>続きを読む

ザ・キング(2017年製作の映画)

3.8

韓国の検察内部で不正な権力と汚職と暴力を利用して成り上がっていくクライムエンタテインメント。現代政治史に重ね合わせてスピーディーな展開とスタイリッシュな映像で描く。野望、絶頂、失墜、裏切り、そして復讐>>続きを読む

真実(2019年製作の映画)

4.0

カンヌ映画祭でパルムドールを制した是枝裕和の受賞後第1作。カトリーヌ・ドヌーブの大輪が咲き誇り、ただただ圧倒されるのに尽きる。ドヌーブとジュリエット・ビノシュの母と娘の愛憎の物語。淡々と会話劇が進んで>>続きを読む

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

4.0

平凡なタクシー運転手が光州事件に巻き込まれる実話に基づいた大ヒット韓国映画。ソン・ガンホが素晴らしい。軍との衝突場面は容赦ない。カーチェイスや追跡のアクションで魅せる。要所でセンチメンタルになるのがや>>続きを読む

(1954年製作の映画)

5.0

フェリーニの不滅の金字塔。トップカットから海と子供たちだ。フェリーニは海だ。そして子供たちが抜群にいい。ザンパノとジェルソミーナの人物像が冒頭から完璧。ジュリエッタ・マシーナの比類のない愛おしさ。アン>>続きを読む

ハンター(1980年製作の映画)

4.0

実話に基づく保釈中逃亡犯を掴まえる賞金稼ぎハンターの物語。マックィーンの遺作。逃亡犯の逮捕が次々と羅列される。冒頭からまあよく車がぶつかる。畑の中の車とトラクターのカーチェイスは見もの。全編スラム街で>>続きを読む

炎の城(1960年製作の映画)

4.0

ロミオとジュリエットを下敷きにしたという加藤泰の時代劇。むしろ壮絶な復讐劇だ。端正な構図でほぼワンシーン・ワンカットを貫いている。大川橋蔵のセリフとモノローグが説明過多なのと物語の運びが荒っぽい。全体>>続きを読む

エデンの東(1954年製作の映画)

4.5

旧約聖書のカインとアベルをモチーフにしたスタインベックの大作小説の映画化。なんといってもジェームス・ディーンだ。映画史には忘れられない鮮烈なスターの登場がある。まさにその1作。アクターズ・スタジオの優>>続きを読む

紙の月(2014年製作の映画)

4.0

平凡な主婦が巨額横領事件を犯してしまう恐怖を描く角田光代のベストセラーの映画化。宮沢りえが不気味に素晴らしい。妖しさ、美しさ、狂気を圧倒的に醸し出している。しかし、それゆえに、日常から堕ちていく取り返>>続きを読む

夜霧よ今夜も有難う(1967年製作の映画)

4.0

「カサブランカ」を横浜を舞台にリメイクした石原裕次郎と浅丘ルリ子の日活ムードアクション。日活ならではのサイケデリックな照明やネオンが際立つセットだ。ラストの港の引き込み線での撃ち合いもなかなかの仕上が>>続きを読む

傷だらけの栄光(1956年製作の映画)

4.0

当初はジェームス・ディーン主役だったが自動車事故で急逝したために、アクターズ・スタジオ同期のポール・ニューマンが千載一遇のチャンスをものにした出世作。世界ミドル級チャンピオンのロッキー・グラジアーノの>>続きを読む

左きゝの拳銃(1958年製作の映画)

4.0

ビリー・ザ・キッドの生涯を描くアーサー・ペンの処女作。不意打ちの鮮やかさと残虐さが「俺たちに明日はない」を早くも予感させる。ポール・ニューマンの演技がアクターズ・スタジオの同期・ジェームス・ディーンを>>続きを読む

象は静かに座っている(2018年製作の映画)

4.0

29歳の俊英、胡波の処女作にして遺作の切ない野心作。師匠のタル・ベーラを彷彿とさせる閉塞的社会に生きる4人の主人公の一日を描く。胡波はタル・ベーラと同じくオブビートの作家だ。光より影、顔より背中、ノー>>続きを読む

太陽の季節(1956年製作の映画)

4.0

太陽族という流行語を生んだ石原慎太郎のベストセラーの映画化。社会とアジャスト出来ない若者たちの無軌道と残酷を描く。南田洋子がいい。長門裕之はもっと活き活きしてほしい。ナルシスティックな芝居になっている>>続きを読む

この首一万石(1963年製作の映画)

4.5

巨匠・伊藤大輔の傑作時代劇。槍持ちの人足の運命を前半はエネルギッシュな世話物で、後半は一転して壮絶な活劇で描く。伊藤大輔は群像描写が上手い。奥行きのあるセットを縦横無尽に群像をスピーディーに重層的に動>>続きを読む

続・荒野の1ドル銀貨(1965年製作の映画)

3.8

ジュリアーノ・ジェンマのヒットマカロニウェスタンの第二弾だが1ドル銀貨は全く関係ない。黒澤明の「用心棒」以来、主人公が匿われるのは棺桶屋というのが定番だが本作では花屋というのがなんとも異色。ドウッチョ>>続きを読む

サタンタンゴ(1994年製作の映画)

4.5

いかがわしさと偽物だらけのハンガリーの共同農場が崩壊していくさまを冷徹に描く7時間18分のタル・ベーラによる現代の黙示録。モンタージュを排した長回しが貫かれる。モンタージュは時間の効率化であるのに対し>>続きを読む

荒野の1ドル銀貨(1965年製作の映画)

4.0

ジュリアーノ・ジェンマの出世作。題名の1ドル銀貨の一発アイデアの作品である。スタイリッシュなタイトルバックは「ルパン3世」への影響がうかがえる。テーマ曲はマカロニウェスタンの中でも屈指の名曲だ。ただし>>続きを読む

オデッサ・ファイル(1974年製作の映画)

3.8

「ジャッカルの日」に続くフレデリック・フォーサイスの小説の映画化。ロナルド・ニームが「ポセイドン・アドベンチャー」に続いて撮った。地下鉄の墜落場面をスローモーションなど使わずに鮮やかに描くのは職人技だ>>続きを読む

ロケットマン(2019年製作の映画)

4.0

頂点を登りつめロケットで一人宇宙にぶっ飛んだスーパースター、エルトン・ジョンの孤独と狂乱を描くミュージカル。前半の爆発力と華やかさは素晴らしい。監督のデクスター・フレッチャーは「ボヘミアンラプソディー>>続きを読む

シャイニング(1980年製作の映画)

4.0

密閉空間で人間が狂っていく。キューブリックの十八番の主題で描かれるホラー。ステディカムで縦横無尽に動くカメラワークが圧巻。赤、青など統一された色彩、シンメトリーな構図、鏡などが周到に計算されている。諸>>続きを読む

十三人の刺客(1963年製作の映画)

4.0

工藤栄一による東映集団抗争時代劇の代表作。片岡千恵蔵、嵐寛寿郎をはじめとする東映オールスター。リアルなタッチでスタイリッシュなロングショットと手持ち撮影や長望遠レンズのフォローショットを駆使してダイナ>>続きを読む

ブレードランナー ファイナル・カット(2007年製作の映画)

4.2

夜、雨、液体、臓器、光、煙、無国籍、電飾...リドリー・スコットの奇怪でフェティッシュな世界観が圧巻。サイバーパンクの代表作でありアダルトビデオまであらゆるサブカルチャーに多大な影響を及ぼした作品であ>>続きを読む