riolionさんの映画レビュー・感想・評価

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変な家(2024年製作の映画)

3.2

前半は原作を踏襲する形で、ホラーの雰囲気とマッチして緊張感があった。ところが後半になるとオリジナルへと脱線し始め、やや設定を詰め込みすぎたせいか説明調が目立つ。「間取り」という最高に面白い切り口が死に>>続きを読む

Love Letter(1995年製作の映画)

3.5

藤井樹という同姓同名の男女。そして、藤井女と顔がそっくりな藤井男の元交際相手の女性。まったく面識のない女性2人の文通から物語が始まる。奇遇にも同姓同名の男女の住所は時を超えて同じ場所。ラブレターという>>続きを読む

冬の華(1978年製作の映画)

3.3

なんの血の繋がりもないが、親代わりとしての責任感を背負う狩野。当時3歳だった女の子が15年の時を経て出所したころには年頃の女性になっていた。何度も会いたいと懇願され会いたいとも思うが、自らの手で葬った>>続きを読む

楢山節考(1983年製作の映画)

3.0

社会と隔絶された限界集落の独特な風習を、伝統的な民謡から考察して、丁寧に映像に落とし込んだ作品。いわゆる「姨捨山」の民話が元になっていることはいうまでもない。その他、村八分や性交渉に関する描写も見られ>>続きを読む

ショウタイムセブン(2025年製作の映画)

2.8

『グッドモーニングショー』をなぞったような構図で新鮮味がない。阿部寛が周囲からそこまで邪険に扱われる理由も判然としない。また生放送を続けるというリアリティもあまり感じられず、それはないでしょとツッコミ>>続きを読む

トラペジウム(2024年製作の映画)

2.3

アイドルになりたい一人の女子高校生が、独りよがりにメンバーを集め、それを踏み台にして自分がアイドルになる話。そう捉えられても仕方ない作りだ。映画尺の問題でどうしようもないが、メンバー集めはびっくりする>>続きを読む

#真相をお話しします(2025年製作の映画)

3.2

最近YouTubeなどのライブ配信や縦型動画の画面技法を取り入れた映画が増えたように感じる。コメント欄や投げ銭に右往左往する人間や行き過ぎた承認欲求が生んだ犯罪などを扱うケースも多い。
今回はグリーン
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博士の愛した数式(2005年製作の映画)

3.3

円周率、虚数、ネイピア数…。博士は割り切れないものや心の中にしか存在しないものを探究する。そんなことが何の役に立つのかわからないが、数を人間に置き換えれば、私たちは日々そういったことと向き合って生きて>>続きを読む

ゆきてかへらぬ(2025年製作の映画)

3.0

中原中也が木戸大聖というキャスティングは見た目や雰囲気含めてとても良かったと思う。突っ張り棒で支え合う歪な三角関係が本作の見どころ。どうしても泰子が男二人を振り回しているように見えてしまうが、史実を紐>>続きを読む

白蛇伝(1958年製作の映画)

-

1958年製作の長編アニメーション映画。まずのスタンダードの画角に驚かされた。そしてミュージカル調の展開やコミカルな演出は、東映アニメーションが東洋のディズニーに変貌を遂げるための強い決心の表れだと捉>>続きを読む

かくかくしかじか(2025年製作の映画)

3.9

原作者がようやく出した映像化の許諾。脚本や監修、出資を通して、作品にがっつり関わることで生み出された渾身の自伝的映画だ。モノローグでの進行が作品に安定感をもたらしており心地良い。主演2人はさることなが>>続きを読む

告白 コンフェッション(2024年製作の映画)

3.7

回想を除けば、登場人物は浅井とジヨンの2人のみ。吹雪の山小屋で一夜を越すワンシチュエーション。瀕死のジヨンの告白を聞いてしまったにも関わらず、命拾いしてしまったことから物語は16年の時を超えて動き出す>>続きを読む

スイート・マイホーム(2023年製作の映画)

3.2

ホラー/ミステリー/不倫/殺人事件など立て続けに起こるため、主題の軸がどこに置かれているのか判然としない。いわゆる「人怖」なのだろうが、軸がブレているため、結末もインパクトに欠ける。展開の推測はしやす>>続きを読む

きっと、うまくいく(2009年製作の映画)

3.3

展開が容易に推測できるし予定調和なところがあるが、3時間近くの長編をあっという間に楽しめた。ミュージカルな部分やインドの独特な風習から刺激的な部分を得られたからだと思う。
主人公は常識に捉われることな
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.2

褒め言葉として岸井ゆきのの不憫さや薄幸感がぴったりと役に合っている。自分のことを棚に上げて、自分の短所を相手に指摘してしまう哀れさ、そして無自覚に自分はそこから目を背けようとしている態度が堪らない。>>続きを読む

箱男(2024年製作の映画)

2.2

このレビューはネタバレを含みます

「箱」というのは「映画館」を指していて、空けられた覗き穴は、16:9になっていてスクリーンの意匠である。観客全員は「箱男」であり、物語の一部を覗いている。「ノート」は各々の解釈を意味していて、その解釈>>続きを読む

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

3.7

死を感じることで生をよりよく感じられる。消費されゆく日常なんかクソ食らえ、そんなもの全部ぶっ殺してしまえばいい。血飛沫をあげ拳で殴り合う爽快感。不眠症で頭がおかしくなったのか、自傷行為に留まらず犯罪行>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.3

核開発や宇宙競争で覇権を握るアメリカがこういった映画を、ナチズムを突き進んだドイツや唯一の被爆国ニッポン、冷戦で火花を散らしたロシアの目が光るにも関わらず、製作したことに驚きだ。日本では間違いなく製作>>続きを読む

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

2.7

仲間集めや撮影シーンなど端折り方がうまいので、短い尺にまとめてくれた印象。物語の停滞が少ないのでみやすい。いわゆる映画部や映研ものだが、時代劇という切り口が斬新。またタイムリープ要素も織り交ぜていたこ>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.7

4人家族で3人は聾者、主人公だけが健常者という構成。漁師を営む家系だ。家族の結束力はかなり強く愛情も深い。意外なのが母親が主人公を出産したときに聾者であることを願ったことだ。耳が聞こえない気持ちがわか>>続きを読む

恋する寄生虫(2021年製作の映画)

2.3

三秋縋ファンなので鑑賞。初実写映画としては豪華な俳優陣。CGにもある程度お金がかかっているようだ。ただし、何故この作品をチョイスしたかは疑問。やはり活字で読むことと、役者から聞くことでは、入ってくる情>>続きを読む

詩季織々(2018年製作の映画)

3.3

短編3本から構成される映画。2本目を除き、新海イズムが貫かれる。大人になった孤独な男性が、過去に置いてきた青春を未練たっぷりと振り返る構図。1本目はビーフン、2本目はファッション、3本目はカセットテー>>続きを読む

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

3.5

JR東日本、スラムダンク、岩井俊二、ミスチル…日台合作映画でこれだけ日本要素を取り込むのも珍しい。親日国だからこそ成せる日本愛が作品から滲み出ている。タイトルから分かる通り、青春18きっぷの旅路で、3>>続きを読む

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.6

アイドルから女優へ転身した主人公は、ドラマの劇中演出と錯綜しながら、現実と悪夢を何度も行き来する。その転換がシームレスかつ技巧的すぎて空いた口が塞がらない。実写の現場だけでなく、歌唱や振付などエンタメ>>続きを読む

花まんま(2025年製作の映画)

3.4

前半のセットアップにややダボつきがあるものの、クライマックスに来るであろう挙式と披露宴はわかっていても涙が止まらない。どうして「自分の」妹や娘が旅立っていく姿はこんなにも美しいのだろう。それは「私は私>>続きを読む

新幹線大爆破(2025年製作の映画)

3.5

1975年公開の本家映画から派生した設定を盛り込んだ2025年リメイク版。50年で進化した特撮技術やCGをフル動員してクオリティを極限まで上げている。
本家のオマージュを混ぜながらも、JR東日本の全面
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