キャッチ30さんの映画レビュー・感想・評価 - 16ページ目

キャッチ30

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運命は踊る(2017年製作の映画)

4.0

人の運命は予め決められているのか。それとも、偶然によって左右されるのだろうか。
『運命は踊る』は運命のいたずらによって引き裂かれていく家族を描く。

発端はミハイルとダフナ夫妻のもと
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抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-(1956年製作の映画)

4.0

脱走映画で有名なのは『大脱走』である。ただ、『大脱走』が明るく、集団で脱走を計画するのに対し、『抵抗』は陰の雰囲気を漂わせ、あくまで個人で行動する。

時代背景はナチス・ドイツ占領下のフラ
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戦場のピアニスト(2002年製作の映画)

3.9

『戦場のピアニスト』はサバイバル映画だと思った。そう聞くと、『ゼロ・グラビティ』や『レヴェナント』と同じ系譜の映画だと連想するかもしれないが、そんなことはない。なぜなら、主人公が強靭な精神力を持>>続きを読む

若者のすべて(1960年製作の映画)

4.5

鑑賞中、『ゴッドファーザー』を想起した。両作ともイタリア系一家の物語であり、壮大なる叙事詩であることが共通している。私は思わず、本作がコッポラに影響を与えたのではないかと勘繰ってしまった。

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突然炎のごとく(1961年製作の映画)

4.1

本作のヒロインが女性解放の象徴と言われていることに私は違和感を感じる。確かに、ヒロインの行動は自由奔放だが、裏を返せば男に対する支配欲が強いと言ったら良いか。

話の軸は男二人女一人の奇妙
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寝ても覚めても(2018年製作の映画)

3.9

私はヒロインの朝子のある行動に愕然とした。観客は男女問わずに朝子に共感できないというのが総意だろう。ただ、朝子は根っからの悪女では無いと私は思う。

大阪に住んでいた朝子は麦という名の青年
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灼熱の魂(2010年製作の映画)

4.5

力強く、琴線に触れる映画だ。ハリウッド進出以降のドゥニ・ヴィルヌーヴ作品と比較すると、重苦しい印象を与えるだろう。それでも、見応えのある内容となっている。尚且つ、ヴィルヌーヴの最高傑作ではないか>>続きを読む

赤い河(1948年製作の映画)

3.8

物語の骨格は父と子の葛藤であり、世代交代の波を表している。

ダンソンはテキサスの広大な土地に牧場を持っている。彼は牛の大群を売却する為に、養子のマシューや仲間と共に遠く離れたミズーリへ向
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ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

4.4

究極のサンプリング映画であり、ロックンロール映画だと思った。流れてくる楽曲に合わせて、登場人物がアクションを起こす。本作はそれが繰り返される。監督のエドガー・ライトはタランティーノに劣らぬ天才に>>続きを読む

鬼火(1963年製作の映画)

4.2

この映画で描かれる主人公の苦悩は、公開当時よりも現在の方が身に染みるのではないだろうか。SNSによる対人関係の希薄化より、むしろ社会の閉塞感が強くなっている方が正しいかもしれない。

アラ
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ニュールンベルグ裁判(1961年製作の映画)

4.3

第二次世界大戦終結後、ドイツのニュールンベルグにてナチスの戦争犯罪を裁く国際軍事裁判が開かれた。俗にニュールンベルグ裁判と呼ばれる。ただし、この裁判には続きがある。米軍は先の裁判で裁かれなかった>>続きを読む

海街diary(2015年製作の映画)

4.1

私は将来、海が一望できる場所に住みたいという願望がある。喧騒した都会の雰囲気を忘れ、のんびりと余生を過ごしたい。それに、海岸に一人でぽつんと立っていると癒されるという思い込みもある。今作を観てた>>続きを読む

アマデウス ディレクターズ・カット(2002年製作の映画)

4.2

「凡人は天才には勝てない」というのは常套句だが、それがこの映画にも当てはまる。

オーストリア皇帝の宮廷作曲家だったサリエリは悪夢にうなされ、自殺を図る。入院した病院で面会者の神父に彼は「
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カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.5

断言しよう。『カメラを止めるな!』は今年一番のベストムービーであり発掘作だ。普段シリアスな映画を好む私にはかなりの清涼剤になった。

あらすじは省略するが、簡単に言えば37分のゾンビ映画に
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ブラジルから来た少年(1978年製作の映画)

3.7

色白で黒髪で青い瞳の少年がいる。年齢は14歳だが、残酷な笑みを終始浮かべている。しかし、そんな少年が何人もいたら観客はぞっとするだろう。しかも、その遺伝子がナチスの一員だと知れば尚更だ。

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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

4.0

これほどタイムリーな映画も珍しい。過去の出来事なのに、状況が現在と重なっているからだ。

1971年、ベトナム戦争を分析・報告した国防総省の機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」の存在をニュー
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15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

4.0

素人俳優を使った映画はある。『自転車泥棒』はその代表格だ。今作でも主要キャストにプロの俳優はいない。然も、実際の事件の当事者だという。イーストウッドはこの実験的手法に踏み込んでいる。

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死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)

4.0

『インファナル・アフェア』でエレベーターは地獄への入り口を象徴していた。今作でもタイトルの通り、エレベーターの役割は同じだ。

社長夫人のフロランスと社長の部下のジュリアンは不倫関係にある
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ウインド・リバー(2017年製作の映画)

3.8

ワイオミング州ウィンド・リバー保留地。先住民が多く住むこの地区では法律はない。あるのは、差別と自警主義だけである。

雪山の中で少女の遺体が発見された。死因は凍死だが、レイプの痕跡がある。
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(1985年製作の映画)

4.1

一言で表すなら地獄、悪夢、狂気といったところか。いずれにせよ、負の感情が映画を覆っている。戦国時代を背景に人間の欲望が渦巻いている。

一文字家当主秀虎は高齢の為、三人の息子に家督を継がせ
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万引き家族(2018年製作の映画)

4.2

『ディーパンの闘い』、『わたしは、ダニエル・ブレイク』と近年のパルムドール受賞作は擬似家族をモチーフにした映画が多い。今作もその傾向が強い。

彼等は万引きという犯罪で繋がっている家族だ。年
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パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)

3.9

少女は現実の世界の残酷さに絶望した。だからこそ、少女はおとぎの世界へ逃避する。たとえ、その世界へ行く為の試練もまた過酷だとしても。『パンズ・ラビリンス』は無垢な少女の叫びを汲み取っているようだ。>>続きを読む

レディ・バード(2017年製作の映画)

4.0

主人公の言動に痛いと思うかもしれないが、高校時代なら誰でも共感してしまうだろう。特に、地方出身者や女子高生は。

今作は監督・脚本を務めたグレタ・ガーウィグの初監督作であり、自伝的要素が詰
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ジェシー・ジェームズの暗殺(2007年製作の映画)

3.8

この映画のブラッド・ピットは怖い。彼が今作で演じているのは西部開拓時代のアウトロー「ジェシー・ジェームズ」だ。強盗を繰り返しているが、新聞では"英雄"と謳われているガンマンをピットは悪魔の要素を>>続きを読む

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

4.5

関連作でいうと、デヴィッド・フィンチャーの『ゴーン・ガール』に近い。男と女の支配関係の逆転。ポール・トーマス・アンダーソンはこの設定を実体験を絡まえながら挑んでいる。

舞台は1950年代
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山猫(1963年製作の映画)

3.9

上流階級を舞台にしたホームドラマだと思った。画面の中の豪華絢爛な世界も監督であるヴィスコンティ自身が貴族階級であるためリアリティがある。また、老いと若さの問題も見え隠れしている。

舞台は
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軽蔑(1963年製作の映画)

4.2

「映画は欲望がつくる世界の可視化である」。ゴダールの映画批評の師匠であり、ヌーヴェルヴァーグの父親的存在であるアンドレ・バザンの言葉である。では、今作のゴダールの欲望とは…。

話はシンプ
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