Proconさんの映画レビュー・感想・評価

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ルース・エドガー(2019年製作の映画)

4.5

何よりテーマに見合う台詞の鋭さが素晴らしい。演じる俳優陣もよい。
米国内の人種差別、先進国と第三世界のあいだのグローバルジャスティス、性差別、子どもと成人・学校教育の権力関係など、不正義の現代的な問題
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シェイクスピアの庭(2018年製作の映画)

4.0

シェイクスピアの晩年を扱った伝記風フィクション。ケネスブラナー、ジュディディンチ、イアンマッケランとメインキャストが豪華で演技がみなとてもよい。

家族を残してロンドンで演劇人として身を立て恋人も作っ
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355(2022年製作の映画)

3.5

豪華な女性キャスティングとアクションが見もののスパイ映画。というかそれ以外はこれといって特筆すべきポイントはないかもしれない。今どき男女のカップルばかりというのも…と思っていたがシナリオの「これがやり>>続きを読む

ロスト・ドーター(2021年製作の映画)

4.2

テーマは母性神話の解体といってしまえばそれまでだが、子育てに心を傷つけられてきた母親の複雑な心理描写が秀逸。不意に訪れる不穏な昆虫の登場とフラッシュバックが重なる。シナリオ、演出、演技ともにすばらしい>>続きを読む

ジョーンの秘密(2018年製作の映画)

3.8

個人的にはなかなか面白い映画だったのだけど、ロッテントマトのレビューでも評価が低くてあれ?そんなものか?とやや意外。スパイものというより、二つの世界大戦が起こった時代状況の中で原発研究に携わる女性科学>>続きを読む

ユンヒへ(2019年製作の映画)

3.8

かつて恋人どうしだった韓国と日本の女性2人が過去と向き合う物語を、丁寧かつ叙情豊かに描いた佳作。雪の深い港町小樽が舞台として効果的でよかった。個人の心情によりそう要素が中心だが、キャリア形成を断念さぜ>>続きを読む

ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ(2021年製作の映画)

3.8

前作も原作も未見の状態だったが、特に問題なく楽しく鑑賞できた。エイリアンのヴェノムとその宿主エディのコミカルなかけ合いがほほえましい。ふかふかなニワトリたちもかわいい。サンフランシスコを舞台にしたカー>>続きを読む

9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019年製作の映画)

3.6

人物造形の弱さと序盤のストーリー展開がやや煩雑でフォローしにくいところは難点。ただ、丁寧に作り上げたプロットは伏線が回収されていく爽快感も予想外の展開が広がるスリラー的な楽しさもあり、技巧的に満足でき>>続きを読む

スキャンダル(2019年製作の映画)

3.9

題材は2016年にFOX社に対して起きたセクハラ訴訟。ハラスメント講習のサンプルに出てきそうな悪辣な内容なのだが、権力者の暴力が組織的に隠蔽されるしくみや、それに声を上げる被害者の困難やリスクが丁寧に>>続きを読む

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

時代劇としての楽しさもストーリーテリングも役者の演技も素晴らしいが、性暴力と女性差別を題材として扱かう上で必要であろう批判精神が今ひとつ及ばず。たとえば、マルグリットの目線で描かれたレイプシーンが脚色>>続きを読む

シークレット・ジョブ(2019年製作の映画)

3.8

ハッピーエンドで気軽に観られる家族向けコメディドラマだが、動物園や動物たちへのアプローチがなかなか誠実で魅力的。動物園や水族館はたんなる娯楽施設ではなく、種の保存や研究調査、教育を目的とした施設という>>続きを読む

シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021年製作の映画)

4.0

アクションシーンがスタイリッシュで飽きさせない。ストーリーはかなりシンプルだが、アメリカに住む中国ルーツの子どもたちに対する「自分のアイデンティティを大事にして欲しい」という熱いメッセージを感じられる>>続きを読む

フリー・ガイ(2021年製作の映画)

4.0

ビデオゲーム産業とゲーム内世界を舞台にした風刺的なコメディかと思っていた(それは間違ってないのだが)ら、ロマンチックコメディとしても完成度が高くて良い意味で裏切られた。三角関係の解消の仕方がみんな幸せ>>続きを読む

ゲット・アウト(2017年製作の映画)

4.2

人種差別のマイクロアグレッションの描写とそれを活かした違和感の表現が非常に巧み。主人公の孤立と不安がよく伝わってくる。
音楽や効果音、演出のおかげで、びっくりさせられる。というかお化け屋敷的な怖さがあ
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パーフェクション(2018年製作の映画)

4.0

なかなかに不安を煽る映像や編集でけっこう怖かった。「このまま終わらないだろう」という違和感を感じさせつつ、真相をあばくかたちで物語が展開するので「謎が解ける」楽しさも勧善懲悪の爽快感もあって楽しく鑑賞>>続きを読む

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋(2019年製作の映画)

4.1

次期大統領候補という高嶺の花の女性とジャーナリストの恋というあらすじを読んで「現代版『ローマの休日』?」と思ったら、当たらずとも遠からじ。下ネタと社会風刺いっぱいで王道コメディに振り切れた作風が楽しか>>続きを読む

ザ・ホワイトタイガー(2021年製作の映画)

4.0

インドの階級制度を背景に、若者の野心を描く下剋上ドラマ。荒々しくもパワーがあり見せる演出。演技も良い。主人夫婦が一見物分かり良さそうに見えつつも、要所要所で主人公を対等に扱ってない態度が見え隠れすると>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ミソジニーをこれでもかと苛烈に告発する作品で、どんでん返し続きのプロットが見事。友人の復讐を遂げようとする主人公の知能犯ぶりが冴えている。
前途有望な若者によるレイプ事件で、犯人に同情が寄せられる一方
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キューティ・ブロンド(2001年製作の映画)

3.9

ゲイ男性への差別的なシーンがあるので注意を。(2000年くらいの作品だから仕方ないのかもしれないが…)

「金髪美人は頭が悪い」という偏見のせいでみくびられがちな主人公が、その賢さと美しさと正義感で弱
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ベスト・オブ・エネミーズ ~価値ある闘い~(2019年製作の映画)

3.5

人種差別を扱う作品にしては、差別される側の描写がご都合主義に感じた。アンがいわゆる「マジックニグロ」の亜種に見えてしまう。白人男性のCPが抱える問題を察してサポートし、「人種をとわず貧困問題や教育の重>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

3.9

人は死ぬが犬は死なないので安心した。ピットブルの魅力がつまった演技だと思う。

ともあれシャロン・テート殺人事件の背景を知っておくべきという前情報は知っていたものの、簡単にWikipediaで検索した
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ザ・ウォーク(2015年製作の映画)

4.0

綱渡りシーンが怖い。高いところが苦手なので途中何度も画面から目を背けてしまった。高さがとにかく怖い。そのくらい綱渡りのスリルが如実に伝わる見事な映像表現だったのはわかる。まさにサスペンス(宙吊り)その>>続きを読む

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

4.3

Amazonプライムの配信で観たがこれは映画館の音響で鑑賞したかった。難聴時や人工内耳での聞こえ方の演出が主人公の感情の動きと連動していて本当にすばらしい。ろう者コミュニティや障害へのアプローチも誠実>>続きを読む

ザ・スイッチ(2020年製作の映画)

4.0

絶叫と流血と暴力満載のオーセンティックホラー作品。主人公の高校生の成長物語がプラスされてきれいにまとまっている。高校生と殺人鬼の精神が入れ替わる、という設定自体は真新しくないが気弱で可憐なヴィンス・ヴ>>続きを読む

アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)

4.0

ヴィクトリア朝イングランドでは異例の女性で労働者階級出身の古生物学者メアリー・アニングをレズビアンとして描いたラブロマンス。ケイト・ウィンスレットの演技がキャラクター造形に厚みを与えていてとてもよかっ>>続きを読む

隔たる世界の2人(2020年製作の映画)

4.2

無駄のない研ぎ澄まされた短編作品。タイムリープもののスタイルを人種差別の構造の寓意を表現するために使う手法がたいへん見事だった。全編通して緊張感と閉塞感が基調になるので、合間にはさまるイヌのかわいさが>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

4.1

非常に洗練された現代風のソロー『森の生活』というのが第一印象。定住せずキャンピングカーで移動しながら行く先々で働くというライフスタイルは、資本主義経済によって社会からはみ出てしまった貧困や老い、病を抱>>続きを読む

マ・レイニーのブラックボトム(2020年製作の映画)

4.0

ブルースシンガーのマ・レイニーとそのバンドメンバーを主役とした古典的な演劇らしい設定の作品。一見地味だが徐々に話に深みが出ていく展開がよい。ブラックカルチャーが白人が主導権持つ資本主義経済にいかに簒奪>>続きを読む

ミッドナイト・スカイ(2020年製作の映画)

3.2

引き伸ばしの繰り返しでフラストレーションのたまる脚本が残念だった。宇宙船のデザインが外装も内装も凝っていて見応えがあり、印象に残るビジュアルもありその点は楽しかった。

ステージ・マザー(2020年製作の映画)

3.5

群像劇を目指した結果個々のエピソードが紋切り型に陥ってしまった感じで何とももったいない。疎遠になっていたゲイの息子が亡くなり残ったゲイバーを保守的な主婦の母親が再建していく、というアイディアは魅力的。>>続きを読む

ブーリン家の姉妹(2008年製作の映画)

3.2

ヘンリー8世の世継ぎ問題、離婚を可能にするための英国国教会の成立という歴史を描く意図はあまりなく、時代ものの舞台を借りて作られたメロドラマという印象。シナリオや演出がどこかチープで残念。ただ、16世紀>>続きを読む

エノーラ・ホームズの事件簿(2020年製作の映画)

4.2

少女向けの冒険活劇で楽しく視聴できた。女子教育を提唱した18世紀のメアリ・ウルストンクラフトの『女性の権利の擁護』、女性が創造的な活動をするためにプライバシーと孤独な時間の確保が必要というヴァージニア>>続きを読む

イエスタデイ(2019年製作の映画)

4.0

ビートルズへの愛とリスペクトがつまった明るく楽しいコメディ映画。エスニックジョークのセンスもよい。標準的なプロットを手堅く高い技術で押さえていて、どのショットも美しく、音楽のパフォーマンスもよいので、>>続きを読む

2人のローマ教皇(2019年製作の映画)

4.0

ローマ法王ベネディクト16世の退位前後に焦点を当てた歴史劇風のドラマ作品。アンソニー・ホプキンスの演技が抜群によかった。現法王フランシスコとサッカー観戦をしたり、退位直前に会談をしたりといった描写は事>>続きを読む

市民ケーン(1941年製作の映画)

4.0

冒頭の大胆なクローズアップとショット、窓から光が差し込むシーンのバロック絵画のようなコントラストなど、映像が美しい。サスペンスとしては堅実なシナリオの構成だが、いささかひねりが足りないようにも感じた。>>続きを読む

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002年製作の映画)

4.0

若かりし頃詐欺をはたらき実刑判決を受けたフランク・アビグネイル・ジュニアの伝記的小説を下地にしたエンタメ作品。家族の愛を求めて犯罪に手を染める若者と、その行く末を見守るFBI捜査官の人情もの風の脚色は>>続きを読む

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