個人的に、いわゆる「感動作」は嫌いなのだが、本作ではその感動が生まれた背景にある悲惨な出来事をごまかさずに描いていたのでそれほど不快感はなかった。しかし、それでもやはり人間というものを美化しすぎて描>>続きを読む
PTA監督最新作、そして名優ダニエル・デイ=ルイス引退作(?)。
愛についての映画。最近のPTA作品に特有の難解さはあまりないが、その分やや退屈に感じるかもしれない。しかし、PTA監督の最大の持>>続きを読む
生身の三船像を関係者の証言から炙り出していく、といった感じ。内容はあまり濃密ではなかったが、それでも興味深く観ることができた。今度、午前十時の映画祭で上映される『七人の侍』や『用心棒』がますます観た>>続きを読む
なかなか刺激的な作品だった。映像全体に漂う生々しさのレベルが異様に高く、本来見てはいけないものを覗き見ているようないやらしい緊張感が終始保たれた。特に、「アプリコット遊び」に関する一連のシーンは見て>>続きを読む
残念ながら、期待はずれの作品だった。往年の東映実録路線にはその熱量において遠く及ばず、一方でこの映画は、無意味なほど刺激的な画を無邪気に、そして暴力的に挿入することによってなんとなく「バイオレンス映>>続きを読む
人間の優しさや悲しみが美しいモノクロームの中でとけあって、そこに「港町」が現れる。なぜかその風景が、私にとってもっとも自然に見えてくる。そんな不思議な映画でした。
冒頭の十分間で完全に観客に嘘を信じ込ませるスピルバーグ一流の大ペテンがキレキレでした。本作は二重の虚構によって厳重に保護されており、我々には突っ込む隙など一分たりとも与えられてはいないのです。言い換>>続きを読む
時間軸がよくわからないという映画的な欠点はあったものの、正体不明の怪物に対する興味は持続したので、そう言った意味では面白い作品だった。しかしどうも物語を家族愛だとか人間愛だとかに帰結させようとする作>>続きを読む
宮崎駿という面白いおじさんを中心に、スタジオジブリの内実を描く。ある場面で宮崎駿が、人は果たして自分が幸せになるために生きようなんて思うだろうかというような印象的な問いかけをしていた。彼の答えは否で>>続きを読む
シリアの内乱やそこに端を発する欧州の移民問題はニュースを通して事実としては知っていたが、その実情についてはほとんど知らなかった。容赦なく映し出される凄惨な暴力の数々に思わず目を背けたくなる。が、そうし>>続きを読む
精神障害を持つ人々が自分について語る姿をじっと収めている。その言葉の全てが興味深く魅力的なので長回しの映像にもかかわらず、ずっと彼らの話を聞いていたいと思った。言葉に実感がこもっていた。
『ゆきゆきて、神軍』では奥崎謙三という極端な男が映画の推進力になっていたが、本作にはそうした中心的な力を担う人物を見つけ損ねた感があった。しかし一方で、物語に絶対の中心が存在せず、むしろ多くの小市民の>>続きを読む
ヤン・イクチュンと菅田将暉が最高の演技をしていました。
メインとなるボクシング以外にも舞台となった2021年東京の政治的な背景や東日本大震災の影響など、いくら前後編合わせて5時間の尺があるとはいえ>>続きを読む
ライアン・ゴズリングの演技が面白いです。孤独感や狂気、愛情など多面的な要素を併せ持つ不気味な男をかなりリアルに演じていました。
映画自体はクライムサスペンスというジャンルに分類されるようなタイプで>>続きを読む
劇中何度耳に手を当てたことか。ゴリゴリの筋者西田敏行の恐ろしさといったら。怖すぎる!一方で、大杉漣演じるリーマンヤクザの貧弱さがなんだか可愛らしく思えました。あれは深作欣二監督の『北陸代理戦争』のオ>>続きを読む
ペストが蔓延し、絶望的な空気が漂う中世の北欧で、人々は黙ったままでいる神を狂信したり、あるいはその存在に疑念を抱いたりする。聖職者が盗人になり、女は夫を捨てて愛人と共に逃げるような荒んだ世界で、十字>>続きを読む
ゾンビが全く怖くない。むしろ、コミカルでさえある。最後の方に登場する狂った暴走族の方がよっぽど怖いよ。現代から見るとちょいと間抜けな映画ではあるんだけど、何故だか惹きつけられるのは、やっぱりゾンビ関>>続きを読む
人間たちの世界に迷い込んだ幽霊たちによって人類が侵略されるお話、というとやけにスケールの大きな話のように聞こえるかもしれないが、幽霊による侵略は非常に陰湿に行われる。幽霊が徐々に人間たちの生活領域に>>続きを読む
雰囲気がいい。現代の若者が抱える閉塞感のようなものがクラゲというモチーフを軸としてわかりやすく表現されていたと思う。オダギリジョー演じる主人公の人間としての弱さに非常に共感できる。
韓国の田舎町で相次ぐ不審死。そこには國村隼演じる謎の日本人が関係していると噂されていた。
閉ざされた田舎町の中で人々が恐怖に支配され真実を見誤り混乱していく様が「呪術」「宗教」「暴力」などさまざま>>続きを読む
カリスマと呼ばれる木。周囲の森の草木から生気を吸い取り、死滅させる「カリスマ」。森に住む植物博士とカリスマを排除しようとする組織、そしてカリスマをたった一人で守る青年。どこに正義があるのか誰にもわか>>続きを読む
三年ぶりに帰ってきた夫は幽霊でした、的なやつです。死んでから妻のもとに帰ってくるまでの三年間、夫はどこで何をしてきたのかを、幽霊の夫と現世の妻が共に辿るというホラー風ラブストーリー。妻が夫の死をどの>>続きを読む
(『地獄でなぜ悪い』+『蒲田行進曲』)×三谷幸喜…的な作品(?)。リアリティに欠けすぎるという意見もあるだろうが、それは真っ当な意見。リアリティに欠けすぎて、思わず失笑してしまう場面多々あり。しかし>>続きを読む
まず、モノクロと見紛うほどの彩度の低い色調に驚く。物語の内容も、非常に暗い。その内容に関しては、最終話でとりあえず片付けた感が強い。しかし、全編にわたって俳優たちの狂気じみた熱演は非常に見所が多かっ>>続きを読む
劇場版『世にも奇妙な物語』といった感じ。黒沢監督流の不穏な演出は存分に味わうことができる。しかし、どうしようもなくストーリーが弱い。首長竜に関連する一連の場面にあまり必然性を感じない。それと、佐藤健>>続きを読む
是枝監督の近年の作品とは色味の異なるシリアスな法廷ドラマ。とにかく、役所広司の演技がとてつもない。ただコッペパンにピーナッツバターを塗って食べるだけの演技であそこまで多くを語れる俳優ってそう多くはい>>続きを読む
まず、壮大なオープニングで全部持っていかれる。この映画、絶対に面白い、と思わせるオープニング。そして、そこから唐突に描かれ出す松田龍平と長澤まさみが演じる夫婦の奇妙な生活。この二人の物語は最終的に、>>続きを読む
ノーラン監督最新作ということで大いに期待を膨らませて、日本で唯一のIMAXフルサイズ上映が行われるという109シネマズ大阪エキスポシティへ。結論としては、本作は「体験型映画」としては成功していると思>>続きを読む
物語の軸は、エリート証券マンの主人公がゾンビとの戦いを通じて利己主義を捨て、人のために尽くすことを学び実践するというもの。その軸に絡んでくる友情とか愛情とかに関する人間ドラマのくだりは正直、全然面白>>続きを読む
評判の割には面白くなかった。まず、過去のトラウマを回想形式で示されるとそれだけで冷めてしまう。これは、個人の好みなのでどうしようもない。それと、中途半端な「うまいことやってるぞ感」が鼻に付く。特に、>>続きを読む
ある事件をきっかけに様々な人々の様々な不幸が交錯し、そこに生じる連鎖反応によってさらに多くの不幸が生み出されていく救いようのなさを真正面から描いた作品。本作中には様々な対立軸とそこに付随する様々な葛>>続きを読む
ドタバタ喜劇。ラジオドラマの生放送直前に、主演女優のわがままで急遽脚本を変更。それをきっかけに少しずつ歯車が狂ってゆく様子を面白おかしく描いた作品。非常にテンポが良く、観ていて全く飽きない。登場人物>>続きを読む
本作を観ても、鑑賞前に求めていたような感傷的な気分にはなれなかった。それはなぜか。その理由の一つは、クサい、ポエムじみた、ナレーションにある。特に第1話はヒドく、聴くに耐えなかった。と、それはさてお>>続きを読む
終始殺伐とした映像が続く。この映画の内容を表す表現としては使い古されたものかもしれないが、本作はまさに不条理の連続である。勇敢にも、本作は懇切丁寧な説明というものを一切放棄している。事態が追うものと>>続きを読む
高良健吾と吉高由里子のかわいさ。あの時、あの場所に、確かにあの男はいたのだ!今はただ美しい記憶だけが残り、誰もが彼を懐かしむ。今では私も、彼を懐かしむものたちの一人である。なんちゃって。ごきげんよう>>続きを読む
九州の三県にまたがる物語。共に田舎の閉塞感のなかで、毎日を淡々と孤独に生きている二人の男女の恋愛についての映画。本作では人間の暗い側面が描かれる。特に、満島ひかりは良かった。ステータスの高い男に異常>>続きを読む