yabaioriさんの映画レビュー・感想・評価

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バワリー25時(1956年製作の映画)

3.5

貧民街に流れ着いた一人の男と彼の貧民街の人々との交流をドキュメンタリー・タッチで描き、カサヴェテスらに強く影響を与えたと言われる作品。
顔のクローズアップ(老人がゲームをしている二人の別の老人のところ
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偉大なるメリエス(1952年製作の映画)

3.5

「偉大なるメリエス」という題を冠しながらも、本作が描こうとするメリエスの肖像は、天才的な芸術家のそれというより、子供や手品や玩具が大好きで商売を苦手とする一人の愛すべきアマチュアのものである。そしてこ>>続きを読む

Love Is Gay, Love Is Sad(英題)(1969年製作の映画)

2.5

ちょっと風刺的でちょっと抒情的なラブコメディ。ポレにはめずらしい普通の劇映画だったが、正直面白くない。

三人の秘密(1950年製作の映画)

4.0

『三人の妻への手紙』においては、自分たちのうち一人の夫が駆け落ちをするのだと聞かされた女たちが、それぞれの結婚生活を振り返るのだった。翌年の本作では、事故で生死をさまよう子供が自分たちの誰かの実の子だ>>続きを読む

Notfilm(原題)(2015年製作の映画)

3.5

サミュエル・ベケットの構想に基づく作品『フィルム』についてのドキュメンタリー。
ベケットの貴重な肉声が聞ける個所など、ベケット・ファンにとっての史料的価値は十分。また単に一作品の舞台裏についてのインタ
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ジキル博士の二つの顔(1960年製作の映画)

3.5

鑑賞前にはどうせ主人公が怪物に変身して暴れる話だろうと見当をつけていたが、本作で主人公が変身するハイド氏は――過去の同原作の映画化とも、『吸血狼男』のような他のハマー作品での変身とも異なり――若々しい>>続きを読む

FBIモスクワに潜入せよ(1960年製作の映画)

3.0

『スプリングフィールド銃』や『無法の拳銃』等、ド・トスの傑作は異なる集団間の駆け引きと身分を偽っての潜入、突発する暴力を描く点でスパイ映画としての性格をそなえていたが、本作はまさに冷戦期のスパイを題材>>続きを読む

怪人フー・マンチュー/連続美女誘拐事件(1966年製作の映画)

3.0

前作の博物館が病院や劇場に、チベットがエジプトになったくらいで、あまり変わり映えはしないし、前作の方が導入部の迫力や陰謀のインパクト等の面で優れていたとは思う。
とはいえ『007』シリーズのつまらない
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アラジンと魔法のランプ(1954年製作の映画)

3.0

大建造物が空を舞う様をいささかの鈍重さもなしに表象できるのは影絵アニメーションだからこそ。ジブリ(『ハウルの動く城』)の緻密な描きこみとは別種の魅力。

奇蹟人間(1936年製作の映画)

3.5

超越者の気まぐれで無限の能力を与えられた無限の能力を制御しかねる男の姿を通じ、全体主義の脅威に対して警鐘を鳴らすウェルズ脚本の寓話的SF――と言うとかっこいいが、一言でまとめれば『ドラえもん』。
主人
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粘菌/はじまりの知性 ─ ザ・クリーピング・ガーデン(2014年製作の映画)

3.0

粘菌壁紙、粘菌ロボット、粘菌音楽などの様々な取り組みが紹介される。なかなか面白い試みもあるとはいえ、パンルヴェの作品を愛する者としては様々な色彩と奇妙な形態の粘菌がうごめく姿をもっと見たかった。

Letters Home(原題)(1986年製作の映画)

4.0

シルヴィア・プラス母娘の書簡をデルフィーヌ・セイリグと彼女の姪が読む朗読劇。そこでとりあげられる主題は女性の独立、金銭、名声、養育の困難、自殺といった、アケルマンのフィクション作品では馴染み深いもので>>続きを読む

歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡(2019年製作の映画)

3.0

作品の冒頭では『パタゴニア』の有名な冒頭(ブロントサウルスの毛皮のくだり)が参照され、チャトウィンという亡き友についての探求がそれ自体、失われたものに対する探求、それも必然的に幻想や憧憬をはらまずには>>続きを読む

僕と祭で会わないかい?(1953年製作の映画)

3.5

演出はさすがに水準以上だが、サーク作品としてはやや期待外れ。
本作と同じく軽妙なコメディでは『ステキなパパの作り方』、メロドラマでは『わたしの願い』など、近い時期の作品でも主人公と年齢や地位の異なる複
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人間ロケット(1953年製作の映画)

3.0

B級SFっぽい邦題だが話としてはミステリー寄りで、人間がロケットに乗る描写は少しだけ(DVDジャケットの宇宙ステーションは出てこない)。
やたら気軽に次々と打ち上げが行われていたり、現場の思い付きで無
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ブルックリン物語(1978年製作の映画)

3.5

同役者に異なる役を演じさせる中篇二本立て、一本はボクシングものでもう一本はミュージカル。
スコットは相変わらずいいし演出もさすがに上手い。ミュージカル篇のバークレイ風ルーレット演出(白と黒の服の女たち
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空の雲(1940年製作の映画)

3.0

タイトルはレントゲン写真にうつるガンのこと。体の調子が悪くても教会にしか行かないようなヒスパニックの家庭が医学の力で幸せになる啓蒙的短篇。特別面白くはない。

熱砂の女盗賊(1954年製作の映画)

3.5

ストーリーはもちろんくだらないし、活劇場面も特に冴えているわけではないが、砂丘や盗賊のアジトがある岩山を捉えた魅力的な画面、華やかな色彩設計、エキゾチックな(そして露出の多い)3人の美女の存在が目を楽>>続きを読む

The Wandering Soap Opera(英題)(2017年製作の映画)

2.5

ナンセンスな会話劇を中心とする短いエピソードの集成。正直あまり面白くないが、最初のエピソードの「筋肉を見せる」ところのくだらなさは好き。

四次元(1937年製作の映画)

3.5

幽霊みたいな手が人体から骨を抜くところはまるで怪奇映画。題材が水生生物じゃなくても全然面白い。

Intruder in the Dust(原題)(1949年製作の映画)

3.5

DVD題『墓地への侵入者』。黒人が殺人事件の容疑者としてリンチにあいかけ、彼を救うため恩のある白人少年とその周囲の人々が真相を探る。フォークナー原作。
黒人キャストに重要な役割が与えられ、映画史的にも
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セールスマン(1969年製作の映画)

4.0

聖書のセールスマンという独特の切り口を通じ、消費社会(とその只中で生きる独身者たち)のさもしさ、滑稽さ、時として悲哀を映し出すドキュメンタリーの傑作。
主人公がフロリダの一画を車でさまよう場面の湛える
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貞操切符(1931年製作の映画)

3.0

帝政ロシアでユダヤ人居住区に暮らしていた若い女性が瀕死の父に会うため自由な移動を許可されていた売春婦になる。結果不幸のどん底に突き落とされた彼女はある日、心正しいイギリス人ジャーナリストに出会う...>>続きを読む

ディシジョン・アット・サンダウン(1957年製作の映画)

4.5

錯誤の主題を中核に据えた、50年代半ばらしいアイロニーを湛えた西部劇の傑作。『無頼の群』と『逮捕命令』をかけあわせたような印象。
開始20分ほどで的確に登場人物を紹介する語りの巧みさに感嘆させられる。

栄光のジャングル(1961年製作の映画)

3.0

男女を含むパーティが、様々なトラブルに見舞われたり恋のさや当てをくぐり抜けたりしながら目的地を目指す。本作は西部劇以来しばしば扱われてきた物語のパターンをなぞっている。
しかし本作で生じる障害は全体に
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地獄の道連れ(1956年製作の映画)

3.5

ターナー監督、グレン・フォード主演のジャングルものなので、もちろん面白い。とりわけ夜の集落を舞台にしたクライマックスの対決には興奮。
ただしリュートン時代の作品の方が、不穏な空気感の演出や、直接は見せ
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カラナグ(1937年製作の映画)

3.5

サブーが仏像にlord of allと呼びかけていたり、そもそものインド人少年が象狩りで白人の大人たちに認められるまでという話にしても鼻白む部分があるのは否定しがたい。とはいえ大量の象は壮観だし、サブ>>続きを読む

底抜け楽じゃないデス(1957年製作の映画)

3.5

水準以上だが、『のるかそるか』『シンデレラ野郎』の方が優れている。冒頭のホースのギャグなどスティーブンスまで豪快に巻き込むのが面白いが、子供を引き取るあたりから失速する印象。
とりわけ気になるのがラス
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Gates of Heaven(原題)(1978年製作の映画)

3.0

ペット・セメタリーについてのドキュメンタリー。アメリカでは高く評価されているが、ワイズマンの方がはるかに巧みに被写体の未知の表情を引き出していると思う。ばあさんたちが互いをけなし合ったり、ペットの話題>>続きを読む

さようなら黴菌さん(1940年製作の映画)

3.0

博士がアニメの黴菌さんと会話しながら少年と少女に黴菌さんの危険を説明する教育映画。面白い。
ネタバレになるが、登場キャラクターの一人は最後にはあっけなく殺されてしまう。

火の女(1942年製作の映画)

4.0

キューカー作品が個人の支配あるいはファシズムを問題化する仕方には大きく二通りあり、一方の系列では主人公は愛情を盾にとられて近しい人に束縛され、もう一方の系列では社会関係の内に絡めとられる。二つの系列が>>続きを読む

ながれ者(1956年製作の映画)

3.5

ミステリー的な要素をそなえたプロットを通じ、ウォルシュは観客の期待と鮮やかに戯れてみせる。50代のゲイブルを主演に据えた簡素な舞台装置の本作は途方もない作品ではないにせよ、巨匠の手さばきを十分に堪能さ>>続きを読む

断崖の河(1957年製作の映画)

4.5

50年代ドワン作品の「善人か悪人か分からない」主人公の系譜に属するのはクインではなくミランドだ。洞窟、川といった舞台装置とともに『裸の拍車』を想起させる、タイトな上映時間にいくつものサスペンスを盛り込>>続きを読む

恋の旅路(1975年製作の映画)

4.0

70代の監督が、60代の俳優2人を主演に爆笑ものの法廷ラブコメを撮ってしまう奇跡。
年の差婚への偏見をあおる感じになっているのはPC的にちょっとまずいかも?

野性の息吹き(1957年製作の映画)

4.0

マニャーニの主演と彼女が馬を心から愛しているという設定だけで既にすばらしい。ロッセリーニとルノワールを同時に継承したかのような傑作。

海賊大将(1965年製作の映画)

4.0

冒頭のすさまじい暴風によって白人一家は床下、黒人たちが太鼓をたたいて魔術を試みる世界へともぐりこむ。上下の分離が本作を規定している(船の甲板と船内)。このとき唐突な落下が暴力的な不穏さをもって立ち現れ>>続きを読む

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